狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
本物の夫婦として⑦
その合間にも、美桜の放ったもの以上に、嬉しい言葉を返してくれる。
三ヶ月前、尊が極道の世界から引退したあの日を境に、こうして気持ちを惜しげもなく明かしてくれるようになった。
元極道だけあって、大抵は、独占欲剥き出しの狂気めいたものだったり、少々傲慢なものだったりする。
けれどそうやって伝えようとしてくれる気持ちが嬉しい。
なにより、同じ想いでいてくれているってことが嬉しくてどうしようもない。
もうそれだけで堪らない気持ちになってくる。
いてもたってもいられなくなった美桜は背後の尊の元に振り返る。
尊の相変わらず端正な相貌は、普段とは比較にならないほどに艶めいて見える。
思わずうっとりと見蕩れてしまうほどだ。
それが美桜の顔を目にした瞬間、心底嬉しそうに、蕩けそうな笑顔を綻ばせる。
そうしてうっとりするほど甘やかな声音で愛の言葉を低く囁きかけてくる。
「美桜、愛してる」
「私も。私も愛してます」
「俺の方がもっともっと愛してる」
「私だって負けませんから」
「美桜は愛らしい顔に似合わず、昔からそういう強情なところがあるよな」
「……っ」
尊への想いを伝えたいという気持ちが急く余り、美桜はついついムキになってしまった。
そのことを尊に指摘されてしまい、しっとりと大人の女性のようにできない自分の不甲斐なさにシュンとなり言葉に詰まってしまう。
けれど尊はコツンと美桜の額と自身のそれとをくっつけ、「こーら、真に受けるな」そう言ってくるなり。
「俺はそういうところも全部可愛いと思ってるんだから安心しろ。いいな?」
「はい」
いつものように、たちどころになにもかもをすっぽりと優しく包み込んでくれる。
尊とは歳が一回り近く離れているせいか、こうして時折自分の幼さに落ち込んでしまうけれど、無理に背伸びしなくてもいいのかなと思わせてくれる。
思わずジーンとしているところに、ふっと笑みを零した尊の軽口が耳に届いて。
「美桜はすぐにぼーっとするよな」
美桜は思わずムッとしてしまう。
ーーこういうところが、子供っぽいんだろうな。
なんて思っていると。
「そういうところが可愛くて堪らない。昔も今も。だから変わらないでいて欲しい。それくらい美桜のことを愛してる」
「ん、んぅ……んんっ」
蕩けそうなほどのとびきりの笑顔を満面に綻ばせた尊に、愛に満ちた言葉を不意打ちでお見舞いされてしまった美桜は、続け様にお見舞いされた甘やかな口づけにより骨抜きにされるのだった。
*
そんな甘やかなひと時を経て、気づいたときには、尊の逞しい胸に抱き寄せられ、優しくお腹をさすりつつ、身体を気遣ってくれる。
「美桜、身体キツくなかったか? 張ったりしてないか?」
「……はい。大丈夫ですよ」
「そうか、よかった」
あんまり心配そうにしているので、思わず吹き出しそうになったが、なんとか堪えた。
とそのとき、お腹のなかでなにかが蠢くような感覚が駆け巡る。
「美桜、今のもしかして」
「尊さん、今、動きましたよね?」
「あっ、また動いたぞ」
「ふふっ、元気に動いてますね」
初めての胎動を尊と一緒に感じることができて、それだけでも感激なのに……。
「元気なのはいいが、あんまり暴れて美桜に負担なんてかけるなよ。生まれてくるときも、美桜を苦しめないようにすぐに出てこいよ。おい、こら、聞こえてるのか?」
「赤ちゃんにそんなこと言っても通じませんてば」
「そんなのわからないだろ。あっ、いま返事したぞ」
「ふふっ、そうですね」
お腹の赤ちゃんよりも、美桜のことを一番に気遣ってくれる尊の姿に、心を打たれてしまった美桜は嬉し涙を浮かべながら、この上ない喜びと幸せを噛みしめていた。
三ヶ月前、尊が極道の世界から引退したあの日を境に、こうして気持ちを惜しげもなく明かしてくれるようになった。
元極道だけあって、大抵は、独占欲剥き出しの狂気めいたものだったり、少々傲慢なものだったりする。
けれどそうやって伝えようとしてくれる気持ちが嬉しい。
なにより、同じ想いでいてくれているってことが嬉しくてどうしようもない。
もうそれだけで堪らない気持ちになってくる。
いてもたってもいられなくなった美桜は背後の尊の元に振り返る。
尊の相変わらず端正な相貌は、普段とは比較にならないほどに艶めいて見える。
思わずうっとりと見蕩れてしまうほどだ。
それが美桜の顔を目にした瞬間、心底嬉しそうに、蕩けそうな笑顔を綻ばせる。
そうしてうっとりするほど甘やかな声音で愛の言葉を低く囁きかけてくる。
「美桜、愛してる」
「私も。私も愛してます」
「俺の方がもっともっと愛してる」
「私だって負けませんから」
「美桜は愛らしい顔に似合わず、昔からそういう強情なところがあるよな」
「……っ」
尊への想いを伝えたいという気持ちが急く余り、美桜はついついムキになってしまった。
そのことを尊に指摘されてしまい、しっとりと大人の女性のようにできない自分の不甲斐なさにシュンとなり言葉に詰まってしまう。
けれど尊はコツンと美桜の額と自身のそれとをくっつけ、「こーら、真に受けるな」そう言ってくるなり。
「俺はそういうところも全部可愛いと思ってるんだから安心しろ。いいな?」
「はい」
いつものように、たちどころになにもかもをすっぽりと優しく包み込んでくれる。
尊とは歳が一回り近く離れているせいか、こうして時折自分の幼さに落ち込んでしまうけれど、無理に背伸びしなくてもいいのかなと思わせてくれる。
思わずジーンとしているところに、ふっと笑みを零した尊の軽口が耳に届いて。
「美桜はすぐにぼーっとするよな」
美桜は思わずムッとしてしまう。
ーーこういうところが、子供っぽいんだろうな。
なんて思っていると。
「そういうところが可愛くて堪らない。昔も今も。だから変わらないでいて欲しい。それくらい美桜のことを愛してる」
「ん、んぅ……んんっ」
蕩けそうなほどのとびきりの笑顔を満面に綻ばせた尊に、愛に満ちた言葉を不意打ちでお見舞いされてしまった美桜は、続け様にお見舞いされた甘やかな口づけにより骨抜きにされるのだった。
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そんな甘やかなひと時を経て、気づいたときには、尊の逞しい胸に抱き寄せられ、優しくお腹をさすりつつ、身体を気遣ってくれる。
「美桜、身体キツくなかったか? 張ったりしてないか?」
「……はい。大丈夫ですよ」
「そうか、よかった」
あんまり心配そうにしているので、思わず吹き出しそうになったが、なんとか堪えた。
とそのとき、お腹のなかでなにかが蠢くような感覚が駆け巡る。
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「尊さん、今、動きましたよね?」
「あっ、また動いたぞ」
「ふふっ、元気に動いてますね」
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「そんなのわからないだろ。あっ、いま返事したぞ」
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