狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜

羽村美海

ヤクザと激甘新婚生活!?⑨


 とっても濃密で刺激的すぎる尊との初夜を過ごした美桜は、二十年間生きてきたなかで、こんなにも気怠い朝を過ごしたことがあっただろうかというほどの倦怠感と疲労感、筋肉痛のような身体の痛みを味わうこととなった。

 当然、身体を動かすことさえできず、一日中ベッドの上で過ごす羽目にも。

 そんな美桜のことを意外にも甲斐甲斐しく世話を焼いてくれたのは夫である尊だ。

 いつものように尊の腕のなかで目覚めた美桜は、昨夜のあれこれを想起し、真っ赤に身悶えていた。

 これまたいつものように、既に目を覚ましていたらしい尊に、意地悪な言葉で揶揄われてしまうだろうと思い身構えていたのだが……。

  開口一番、柄にもなく、神妙な面持ちの尊から、とてもバツ悪そうにしながら。

『美桜、昨夜は酒が入っていたとはいえ、我を忘れて、身体を気遣ってやれず、悪かった』

 そう言って謝罪されてしまった美桜は、驚きのあまり唖然とさせられた。

 尊曰く、『政略結婚とは言え本物の夫婦になったんだ。周囲の目を欺くためにも、恋を経験したことのないお前のためにも、本物の妻のように大事にして、目一杯甘やかしてやる』ということであるらしい。

 こんなことをずっと続けられては、本当に愛されていると勘違いしてしまいそうだが、そうとも言えず、美桜は納得するしかなかった。

 その後も、生まれたばかりの子鹿のように脚腰立たずに寝込んでいた美桜の身体を色々と気遣ってくれていた。

 既に身体は綺麗に清拭されていて、真新しいバスローブに着替えさせてくれてもいて。

 あんなに凄いことをしておいて、今更と思われるかもしれないが、想像してしまった美桜はとんでもない羞恥に襲われ悶えに悶えさせられた。

 美桜は終始真っ赤になってあわあわしっぱなしだったが、尊はどこか愉しげに、食事やトイレにお風呂といった様々な介助を、さも当然のことのようにやってのけたのである。

 その姿は、まさに新妻の世話を焼く夫そのもので、どこから見ても本物の新婚夫婦のようだった。


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