狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
ヤクザから突然のプロポーズ!?④
   来月の六月から週に一度、ハッピーフラワープロジェクト関連で動画配信をすることになった。
その打ち合わせを終えた美桜がスタッフに挨拶をしていたとき、尊から連絡を受けたらしいヤスの指示により、すぐに着物からラフな洋服へと着替えをすませた。
    そうしてニマニマとしたふたりに見送られつつ、わざわざスタジオまで迎えに来てくれた尊の車へと乗り込んだ。
いつもは運転手付きの大きな高級車だが、今日は尊自らハンドルを握ってくれている。
車には詳しくないが、こちらも高級なのだろうことが窺える、スポーツカーだ。
勿論、男性とふたりきりで車に乗ったことなどない美桜は、充分広い車内だとは言え、尊と密室でふたりきりだと思うと、それだけで緊張感に見舞われてしまう。
    運転席の尊にうるさいぐらいに高鳴る胸の鼓動が聞こえやしないかと、ハラハラしどうしだった。
なにより、片手でハンドルをさばく尊の姿があまりにも様になっているものだから、目を逸らそうにも、囚われたように惹きつけられてそれさえもままならない。
 「仕事も順調だと聞いてはいるが、少しは慣れてきたか?」
「……え、あっ、はい。なんとか」
    運転の合間に尊に何度か話を振られたが、どんな返事をしたかも記憶にないほどだ。
そうこうしているうちに、銀座にある商業施設近くの地下駐車場へと到着し、連れてこられた場所は、最新の技術を駆使した体験型のプラネタリウムだった。
これまで家の駒となるためだけに生かされてきた美桜にとっては、男性とふたりきりでのドライブもプラネタリウムも、当然初めてのことだ。
館内に入ってからも、丸みのあるふたりがけのソファ席で尊と隣り合って座ってからも、なにもかもが目新しくてしょうがない。
車内での緊張感など忘れた美桜は、小さな子供のように円らな黒目がちの瞳をキラキラと輝かせはしゃぎどうしだった。
「わぁ、凄いッ! こんなの初めてでドキドキしますッ!」
「……たかがプラネタリウムで大袈裟だな」
    ふっと笑みを零した隣の尊から、笑み混じりの声音が聞こえ、我に返った美桜は、周囲からも好奇の目が向けられていたことに気づき、途端にシュンとし身を竦ませ項垂れる。
「……せっかく連れてきてもらったのに、騒がしくしてしまい、すみません」
「いや、謝らなくていい。連れてきた甲斐があったってもんだ」
「……え?」
「以前も言ったと思うが、いくら政略結婚とは言え、恋の一つも知らないお前のためにも、できるだけこういうデートのような真似事も味わわせてやりたいと思っただけだから、気にするなってことだ。いいな?」
「は、はい。ありがとうございます」
けれど尊から思いがけない言葉をかけてもらったことで、なにもかもがどうでもよくなってくる。
極心会で暮らすようになってからというもの、尊の仕事も忙しくなって、美桜も慌ただしい日々を過ごすようになった。
寂しくてどうしようもないときもあったが、ヤスやヒサを通して、極心会の若頭である尊のことを垣間見たり、尊の気遣いに触れるたびに、尊への想いも募りに募ってしまっていたのも事実だ。
よく、会えない時間が愛を育てるなどと言うが、どうやら本当にそうであるらしい。
ソファにゆったりと背中を預けている尊に、肩を抱き寄せられ、頭をポンポンと優しく撫でてもらった美桜は、返答しながら尊の広くてあたたかな胸へとそうっと頬を預けて、この幸せをひっそりと噛みしめていた。
その打ち合わせを終えた美桜がスタッフに挨拶をしていたとき、尊から連絡を受けたらしいヤスの指示により、すぐに着物からラフな洋服へと着替えをすませた。
    そうしてニマニマとしたふたりに見送られつつ、わざわざスタジオまで迎えに来てくれた尊の車へと乗り込んだ。
いつもは運転手付きの大きな高級車だが、今日は尊自らハンドルを握ってくれている。
車には詳しくないが、こちらも高級なのだろうことが窺える、スポーツカーだ。
勿論、男性とふたりきりで車に乗ったことなどない美桜は、充分広い車内だとは言え、尊と密室でふたりきりだと思うと、それだけで緊張感に見舞われてしまう。
    運転席の尊にうるさいぐらいに高鳴る胸の鼓動が聞こえやしないかと、ハラハラしどうしだった。
なにより、片手でハンドルをさばく尊の姿があまりにも様になっているものだから、目を逸らそうにも、囚われたように惹きつけられてそれさえもままならない。
 「仕事も順調だと聞いてはいるが、少しは慣れてきたか?」
「……え、あっ、はい。なんとか」
    運転の合間に尊に何度か話を振られたが、どんな返事をしたかも記憶にないほどだ。
そうこうしているうちに、銀座にある商業施設近くの地下駐車場へと到着し、連れてこられた場所は、最新の技術を駆使した体験型のプラネタリウムだった。
これまで家の駒となるためだけに生かされてきた美桜にとっては、男性とふたりきりでのドライブもプラネタリウムも、当然初めてのことだ。
館内に入ってからも、丸みのあるふたりがけのソファ席で尊と隣り合って座ってからも、なにもかもが目新しくてしょうがない。
車内での緊張感など忘れた美桜は、小さな子供のように円らな黒目がちの瞳をキラキラと輝かせはしゃぎどうしだった。
「わぁ、凄いッ! こんなの初めてでドキドキしますッ!」
「……たかがプラネタリウムで大袈裟だな」
    ふっと笑みを零した隣の尊から、笑み混じりの声音が聞こえ、我に返った美桜は、周囲からも好奇の目が向けられていたことに気づき、途端にシュンとし身を竦ませ項垂れる。
「……せっかく連れてきてもらったのに、騒がしくしてしまい、すみません」
「いや、謝らなくていい。連れてきた甲斐があったってもんだ」
「……え?」
「以前も言ったと思うが、いくら政略結婚とは言え、恋の一つも知らないお前のためにも、できるだけこういうデートのような真似事も味わわせてやりたいと思っただけだから、気にするなってことだ。いいな?」
「は、はい。ありがとうございます」
けれど尊から思いがけない言葉をかけてもらったことで、なにもかもがどうでもよくなってくる。
極心会で暮らすようになってからというもの、尊の仕事も忙しくなって、美桜も慌ただしい日々を過ごすようになった。
寂しくてどうしようもないときもあったが、ヤスやヒサを通して、極心会の若頭である尊のことを垣間見たり、尊の気遣いに触れるたびに、尊への想いも募りに募ってしまっていたのも事実だ。
よく、会えない時間が愛を育てるなどと言うが、どうやら本当にそうであるらしい。
ソファにゆったりと背中を預けている尊に、肩を抱き寄せられ、頭をポンポンと優しく撫でてもらった美桜は、返答しながら尊の広くてあたたかな胸へとそうっと頬を預けて、この幸せをひっそりと噛みしめていた。
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