恋の始まる音がする

ヒロ

行ってきます

入学式。それは新たな出会いの場である。
だが中学校と高校では余りにも違う。
中学校では、小学校で一緒だった人が多いが高校では初対面の人が大半だと思う。
今日入学式を迎える大空 勇輝は今ベッドの上にいた。
「ふぁ〜。」
眠い目を擦りながら体を起こす。
カーテンを開けるために、立ち上がろうとする。
足に重みを感じた。
そこには愛猫のマルがいた。
「マル……おはよう。今日もここで寝てたのか?」
にゃ〜っとマルが鳴く。
「そうかぁ〜。よしよし。」
マルを撫でてカーテンを開けに行く。
眩しく太陽が輝いている。
「いい天気だな。」
初めて着る制服に腕を通す。今日は記念すべき入学式だ。
制服に着替え一回に降りる。
「マル行くぞ〜」
マルは勇輝のところに近づき止まった。
「どうしたマル?降りるぞ」
マルは動かない。
「仕方ないな〜。マル」
マルは嬉しそうな顔をして勇輝の腕に近づいていく。
「お!また重くなったんじゃないか。」
マルを抱えながら階段を降りる。
階段を降りるとそこには母さんがいた。
「あら、勇輝起きてたのね。今ご飯にするから。」
「ああ、ありがとう。」
マルをおろし洗面台に向かった。
顔を洗い終った勇輝は、リビングにある椅子に座った。
少しして、母さんが朝食を持ってきた。
「いただきます。」
あれ?パンが焦げている。いつもはそんなことはないのに……珍しいこともあるもんだ。
朝食を食べ終わり、学校に行く準備をすることにした。
「筆箱と財布、メガネと学校からの手紙ぐらいでいいよな。」
通学用のカバンをもって玄関で靴をはく。
「母さん〜学校行ってくる〜」
「勇輝〜ちょっと待って〜」
スリッパの音がパタパタと聞こえる。
「行ってらっしゃい勇輝。あ!それと勇輝、頑張って友達つくってくるのよ。」
「初日で友達なんかできるかよ」
「それは……こう……頑張るのよ!」
「アドバイスになってねぇじゃん。」
カバンを持って立ち上がる。
「できるだけ頑張ってみるよ。行ってきます。」
今はまだ音は聞こえない。


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