強くてかわいいマレニアさん

ふみゅうひぅ

第1話

僕の名前はアセビトゥ。ある日目覚めたら見知らぬ世界にいた。どうやらこの世界では僕は「褪せ人」と呼ばれるようだ。縁もゆかりも無い、頼れる物も人もいないこの世界で、たった一つの思いを持ち、長い道のりを歩む。

そしてついにたどり着いたのだ




マレニア「長い夢を見ていた」

アセビトゥ「マレニアさん…!」

マレニア「何だ貴様…まだ喋っているというのに」

アセビトゥ「ご、ごめんなさい…でも僕、どうしても貴女に会いたくてここに来たんです…!」

マレニア「私に…?」

アセビトゥ「はい。……とりあえず剣を置いて貰えませんか?私に敵意は無いです!」

マレニア「だ、だろうな…。その格好…。」


そう、今の僕の神肌に触れているのはパンツというこの世界で生きるためには余りにも心細いものだけであった。
それはマレニアさんに敵意が無いことを示したかったからだ。


……いや、触れているものはパンツだけでは無い。僕の右手には一輪の薔薇がある。
僕はそれをマレニアさんに向けようとする。


スパンッ!


アセビトゥ「あ」

マレニア「ふっ…どういうつもりか知らないが、花で私を倒せるとでも…」

アセビトゥ「うう…ただの薔薇です…折角摘んできたのに…」


思わず涙がこぼれてしまう。マレニアさんを思い、折角つんだ薔薇…。それはいとも容易く両断された。


マレニア「す、すまない…何か危険物かと思って…」


マレニアさんはこんな僕に優しく接してくれる。冷静になってみれば僕が悪い。なんの前触れも無く突然出したら戦人であれば誰でも警戒するだろう。


マレニア「で、でもな、戦場で突然膝まづいて薔薇を向けてくる君も悪いのだ…!何をしに来たんだ?迷子か?」

アセビトゥ「ち、違います!私は貴女に伝えたいことがあって来たんです!その薔薇は…僕の思いです……。」

マレニア「思い……?」

アセビトゥ「はい……。」


ああ……ついに伝える時が来たんだ…。
心臓が痛いほど鼓動を早める。


アセビトゥ「マレニアさん、僕と……」

マレニア「……」

アセビトゥ「僕と……僕と付き合ってくださいっっ!!」


……静寂だ。時が止まったのかと思った。この世界なら有り得なくはない。


マレニア「…………良かろう」

アセビトゥ「……え、本当ですか!?」

マレニア「突きあいたい……ああ。やはり戦をお望みのようだ。ならばこのミケラの刃マレニア……お相手させて頂こう……!」


そういい彼女は刀を構える


アセビトゥ「わあああ!!違います!違いますよ!?!?」

マレニア「何が違うというのだ!早く武器を握れ!!」


もうダメだ!!今にも切られる!!こうなったらもっと直接的に言うしかない!!


アセビトゥ「ぼ、僕は貴女が好きなんです!!」

マレニア「……は?」

アセビトゥ「僕は…私アセビトゥは……ミケラの刃マレニアに…恋をしてしまったのです…」

マレニア「…………」

マレニア「はあああああ!?!?」

マレニア「な、何を言っているんだ!?私をからかっているのか!?」

アセビトゥ「からかってなんかいません!」

アセビトゥ「私は……私はそもそも、貴女と戦えるほど強くはありません。ここに来るまでも何度も何度もやられました…。」

アセビトゥ「それでも、貴女に会いたい。貴女に思いを伝えたい…。その思いだけを武器にここまで来ました。」

マレニア「…………」

アセビトゥ「…………でも、ダメのようだ。」

アセビトゥ「女神に気安く告白した私に……罰を。」


僕は……目を瞑った。その一瞬の痛みを覚悟して。


マレニア「…………」


マレニアさんの足音が近づいてくる。ああ……このあとどうしよう、一応祝福には触れたけど……戻ったらもうここには来ないことにしよう。


そんなことを考えているうちにその時は来た。僕に終わりを告げる、足音が僕の前で止まった……。


第2話へ続く

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