幻魔世界のマヨイビト

ノベルバユーザー586521

第5話 帰宅

「これって俗に言う……ケモ耳少女!!」
「え?」
「え?なんか変なこと言ったか?」
「い、いえ。その、驚かないのかなと思いまして。」
「驚き疲れた。あと、可愛いから。」
「そ、そうですか。」
と、二人でそんな会話をしてると、
「あ、あの~……」
申し訳なさそうに、ケモ耳の少女が話しかける。
 「あ、ごめんなさいエレン!!あなたを無視するつもりは無かったの!!」
「い、いえ!?別に気にしておりませんし、カレン様が無事に帰ってきてくださってワタシはとても安心しております。」
「心配かけて、ごめんなさい。」
「カ、カレン様!?頭をお上げ下さい。」
「そ、そうですか。」
二人の少女が忙しない会話を続けていると、
「ところでカレン様。」
と、ケモ耳少女がまたもや申し訳なさそうな顔をする。
「えっと、その方は……。」
と、渚の方を見る。
「あ、あぁ!!この方はナギサ。ここだけの話ですが、ナギサは『マヨイビト』かもしれないのです。」
と、ヒソヒソ声で話すカレン。
「え、ま、マヨイビトー!?」
と、驚くケモ耳少女。
「まだ、確定してる訳ではありまんが。」
「そうなんですか。」
「なぁ、なんでお前らヒソヒソ声で会話してんの?周りに誰もいないし、俺に聞こえちゃってるよ。」
と、辺りを見回す渚。
「あ、特に意味は無いので。おふざけですので気にしないで下さい。」
「あ、おふざけなんだ。」
カレンの言葉に苦笑いになる渚。
「とりあえず、おふざけはこれくらいにして……家に入ってもらってよろしいでしょうか。」
「え?」
突然のカレンの発言に、渚は頭が真っ白になる。
「えっと……急だね。」
「え?……あ、すみません!!けしてイヤらしい意味ではありません。」
カレンは顔を赤くしながら、頭を下げる。
「え、ちょ、頭を上げて。俺は別にそういう意味で捉えたわけじゃなくて、急のことだったから少し驚いただけ。」
「そ、そうですよね。あはは……。」
顔が赤くなったままのカレンは苦笑いをする。
「え~と、色々と説明をしたいので、家に入ってもらってよろしいでしょうか……。」
恥ずかしそうに訂正し、館の方を指すカレン。
「わ、わかった……。」
気まずく返事をする渚。
「そ、それではこちらへ。」
ケモ耳の少女が気まずそうに、案内をする。
そして、3人は気まずい空気のまま館へ向かう。

  ◆

案内されるまま、とある部屋の前に着く渚。
「ここは?」
「私の部屋です。」
渚の質問に少し恥ずかしそうに答えるカレン。
「なんでカレンの部屋?」
「ここなら、誰にも聞かれないからです。」
「え?」
カレンの返m答に疑問を覚える渚。
「とりあえず、私はお茶の準備をしてくるので、先に部屋に入っててください。」
そういうと、カレンはケモ耳少女とどこかえと行ってしまう。
「……じゃあ、とりあえず失礼しま~す。」
緊張しながらも扉を開けると、
「わぁ、めっちゃ綺麗だな。」
中は、普通のアパートの部屋ぐらいの広さで、右側には棚があり、中に本がびっしり詰まっている。そして左側には、机と椅子があり、奥の方には窓があり、その手前にベットがある。
(予想してたのと違うな。)
渚はそう思いつつ、部屋の中を探索する。
それっと言ってめぼしいものはない。
(女子の部屋ってみんなこうなのかな?)
そうアレコレ考えていると、
「すみません。準備に時間がかかってしまって。」
扉が開き、カレンの声が聞こえてくる。渚は振り向く。
「……。」
「ど、どうしたのですか?私、何か変ですか?」
渚はカレンの姿を見るや否や、かたまってしまう。その理由としては、カレンにあった。先程までのボロボロのワイシャツにボロボロのスカートではなく、綺麗な緑色のセーターに、白のロングスカート。髪は一部を後ろにリボンでまとめたハーフアップ。先程とは印象がガラッと変わったカレンに、頭が追いついていなかった。
「な、ナギサ?」
「あ、ご、ごめん。なんでもない!!」
渚はとっさに謝る。
「そうですか。なら、お話始めてもよろしくですか?」
カレンは床にティーカップ2つとポット、お菓子が乗ったお盆を置きながら聞いてくる。
「え?あ、いいよ」
「それでは、この世界の説明をさせていただきます。」

コメント

  • シロユリ イチョウ

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