幻魔世界のマヨイビト

ノベルバユーザー586521

第4話 未知の力

カンッ!!
「……は?」
「……え」
森の中に甲高い音が、響き渡る。それと同時に、2人の顔は絶望に染まる。
カレンのナイフは怪物の首狙った一撃で、確かに、首に入ったはずだった。カレンのナイフは、怪物の首に触れる寸前で止まっていた。
「ん……なんだ、あれ」
渚は気づく。怪物の首と、ナイフの間に、カレンが出していたものと同じようなもんじゃみたいなものがあることに。
「魔力障壁!?」
カレンは驚きながら、怪物と距離を取る。
「ナギサ、巻き込まれる心配があるので、離れていてください!!」
「え……お、おう。分かった。」
突然の忠告に戸惑いながら、怪物とカレンから距離を取る渚。
「ふぅー……。」
カレンは、渚が離れたことを確認すると、大きく息を吐く。すると、先と同じような円状の紋章みたいなものが空中に描かれる。
すると、さっきまでほとんどなかった風が、勢いよく吹き始めるが、その風は全て、カレンの所に集められていく。
「今度はなんだ!?」
渚がその光景に驚いていると、カレンはそれが完成したのか、怪物に狙いを定める。そして、
「『カマイタチ』!!」
カレンがそう叫ぶと、今までカレンの所に集まっていた風が渦になり、怪物を襲う。
怪物はとっさに、魔力障壁を出し、防ごうとする。だが、
パリーンッ!!
魔力障壁は一瞬にして破られ、怪物は風の渦に飲み込まれる。
ヴオオオー!!
怪物の悲痛な鳴き声が、響きわたる。
「逃げましょう、ナギサ!!」
そう言い、カレンは渚の方へ走り、
「うあ、ちょ、カレン!?」
「すみません。失礼します。」
渚をお姫様抱っこし、
「『疾風脚』」
またもや、聞きなれない単語を言うと、突然、カレンの足下に風が発生し、体が宙に浮く。
「落ちないように、気をつけてください。」
渚にそう告げたカレンは上昇する。
「え、ちょ、ま__。うわぁぁぁ……!!」
カレンは、渚の悲鳴を無視して、猛スピードで空を駆ける。

~数分後~

「あ!!見えてきました!!」
「…………え?」
疲れきった渚は、カレンの言葉に反応し、カレンの見ている方向を見る。そこには街があった。周りは高い壁に囲まれ、そこの中には建物が沢山ある。
「すげぇ……。」
「あそこが私の暮らしている所です。」
カレンは笑顔でそう言う。
「なぁ、あそこはなんだ?」
渚は、街の中心部を指さす。
「あそこは、私が通う『魔法学校』です。」
「へー、魔法学校かー。ん?……魔法?え?」
「そのあたりのことも、私の家に着いたら説明します。」
「お、おう……。」
それから、会話は一切なかった。カレンは、ただ前を見る。渚は、お姫様抱っこをされてる恥じらいを忘れ、空を見るだけだった。
そして、そんな時間が数分続いた頃だった。
「到着しました。」
と、カレンは下を見ながら言う。渚もそれにつられて下を見る。
辺りは田んぼや畑に囲まれており、街からは遠く離れた所だった。
そして、カレンの家はその開けた土地の真ん中にポツリとたたずむ、御屋敷だった。
「空の旅、楽しかったですか?」
降下しながら、カレンは渚に聞いてくる。
「う〜ん、どうだろな」
「ふふ、なんですかその返答は。」
渚の返答に笑顔になるカレン。その時、
「カレン様ー、無事でしたかー!!」
突然 、下から声が聞こえ、2人は下を見るとそこには、
「え、幻覚でも見てるのか?俺は」
銀髪の髪に狼の耳らしきものがあり、可愛らしいメイドく服を着用し、その腰辺りには同じく狼のしっぽらしきものがある。どちらもフリフリ動いており、リアルなものだと分かる。
「これって俗に言う……ケモ耳少女!!」

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