話花【咲く花舞う花巡る季節】-向日葵の見上げる頃俯く頃に-

葵冬弥

向日葵の蕾の頃⑧


翌日の補習には舞は参加していなかった。

持ち回り制なのかな。

少しざんね……でもないけど、うん、まぁ、しょうがないよね。

もしかしたら、明日はあとやってない人は一人だけだし、二回の人が出るから来るかもしれないし。

それにしても、今日の生徒会はなんだか派手な人がいるな、存在が。

髪型が見事な縦ロール(?)だった。

「……クロワッサン食べたい」

「……っ!」

蓮乃の呟きが聞こえて吹き出しそうになった。

「あら、そこのあなた、この私に何かようかしら?」

うわぁ……。

見た目通りテンプレなお嬢様っぽいな。

「い、いえ……何も……」

笑いをこらえながら目を逸して答える。

あとで、楓先輩に訊いてみよう。

その日は結局舞と会うことも姿を見かけることも無かった。


「あぁ、巻多 永華まきた えいかのことでしょ」

夕食の席で楓先輩はクロワッサンを齧りながら答えてくれた。

ちなみに蓮乃は今日の夕食のセットメニューにクロワッサンがあって少し感動してた。

食堂は基本的に昼食時以外はAかBのセット、ようは和食か洋食のどちらかから選ぶ事になってる。

「結構この学園では有名人だよ。家柄のせいもあるけど、キャラクターの方が大きいかな」

「全然知りませんでした」

「たまに取り巻き連れて歩いてる人達いるでしょ」

「先輩たちのことですか?」

「ちがくて。なんか、こう信者みたいな」

「やっぱり先輩たちの事じゃないですか」

「ちがう……!全く、君と言う奴は。病院の院長が回診するって、ゾロゾロ歩くあんな感じかな」

どうやら、本当に一緒にされたくないらしい。

「あぁ、遠くから見たことあるような」

なんか、隊列組んで歩いてるみたいなのを見かけたことがある。

「まぁ、1年生とは教室も離れてるからね。それに、今年は結構大人しいかな。去年あんな事があったから」

「あんな事?」

「どんな事?」

珍しく蓮乃も食いついてきた。

「でも、私が知ってるのもあくまで噂話だからね。過ぎた事だし、君達の耳に入れるのは良くない」

「ふーん」

「そうですか」

まぁ、特段興味も引かれなかったので大人しく引き下がる。

でも、見た感じだと同じ生徒会にあんな人いたらやりにくいだろうのになー。

なんでメンバーにしたんだろう。

やっぱり、学園ヒエラルキー的に入れざるをえなかったのかな。

そして、私もクロワッサンを頬張った。

おいしっ。

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