ボクとネコのはなし
第58話 祝福の音
「洸と優人を会わせたのは物事を一気に片付けようと思ったんだよね。洸の事、優人の事、私の事。ほら、一石三鳥」
色々と紆余曲折あったものの言葉通りに三者共に問題は解決したと言えるかもしれない。先人の言葉より一鳥多く捕まえてるあたり、大きな石を投げつけてくれたものだ。
「いい狩人になれそうだね」
「八時ちょうどの?」
「話の流れからしてそっちじゃないだろ!」
ボクのツッコミに早恵は大笑いする。余程ツボにハマったのか周りの見物客がチラチラとこちらを見だすぐらい、笑っている。こんなに大笑いする早恵を見るのは久しぶりかもしれない。いや、初めてかも。
しかし、そんな事に感動してる場合ではなかった。
ちょっと笑いすぎだ。周りの見物客がチラチラどころではなくなってきた。
早恵を、どーどー、と暴れ牛を落ち着かせるように抑えてあげる。ちょっとだけ呼吸を乱すほど笑っていた早恵は少し呼吸を整えると、ねぇ、と呟いた。
「今気づいたんだけどさ、花火って素手で掴んだら火傷しちゃうね」
あまりに今更な言葉にボクは、ああそうだね、と普通のコメントを返すしか無かった。
「やっぱり、花火とか星空よりもちゃんと掴めるもの掴まないと、だね」
そう言って早恵は伸ばしていた手を降ろして、ボクの手を握ってきた。優しい感触にボクも合わせて握り返した。
「以上、私の胸の内、終わり。あー、スッキリしたぁ」
そう言って早恵は伸びをしたので、ボクの握られた手も上へと伸ばされる。タイミング良く今日一番の大きな花火が打ち上がり、何だかそれに二人して万歳している形になった。
「……そういえば、新しい彼氏と花火を観に行く、とか言ってなかったっけ?」
空気が読めないと言われればそんな気もするが、ボクもスッキリしたかったので胸のわだかまりを排除する事にした。
「あー、それ。……ねぇ、気づいてた? 私、“君”付け止めたんだよ」
「あ、そういえば……」
「だから、今日からね、私と洸は新しく付き合うって事なの」
ほら、と言って早恵はキスする形で構えていた。ボクは素直に従ってキスをしようとした。
その時、視界の中に見知った少女が入った。
少し離れた場所に、樹下桜音己がこちらに向かって立っていた。
視界のきかない中、花火の光で確認できたのは、浴衣姿の樹下と横に幼なじみ二人がいた事、幼なじみ二人は仲良く花火を見上げ樹下はこちらにピースサインしている事。ボクも心の中でピースサインを返して、待ち構えていた早恵の唇に唇を合わせた。
花火がクライマックスを迎え連続的に打ち上がっていくのが耳に届く。
それは勝手ながら、ボク達の祝福の音の様な気がした。
色々と紆余曲折あったものの言葉通りに三者共に問題は解決したと言えるかもしれない。先人の言葉より一鳥多く捕まえてるあたり、大きな石を投げつけてくれたものだ。
「いい狩人になれそうだね」
「八時ちょうどの?」
「話の流れからしてそっちじゃないだろ!」
ボクのツッコミに早恵は大笑いする。余程ツボにハマったのか周りの見物客がチラチラとこちらを見だすぐらい、笑っている。こんなに大笑いする早恵を見るのは久しぶりかもしれない。いや、初めてかも。
しかし、そんな事に感動してる場合ではなかった。
ちょっと笑いすぎだ。周りの見物客がチラチラどころではなくなってきた。
早恵を、どーどー、と暴れ牛を落ち着かせるように抑えてあげる。ちょっとだけ呼吸を乱すほど笑っていた早恵は少し呼吸を整えると、ねぇ、と呟いた。
「今気づいたんだけどさ、花火って素手で掴んだら火傷しちゃうね」
あまりに今更な言葉にボクは、ああそうだね、と普通のコメントを返すしか無かった。
「やっぱり、花火とか星空よりもちゃんと掴めるもの掴まないと、だね」
そう言って早恵は伸ばしていた手を降ろして、ボクの手を握ってきた。優しい感触にボクも合わせて握り返した。
「以上、私の胸の内、終わり。あー、スッキリしたぁ」
そう言って早恵は伸びをしたので、ボクの握られた手も上へと伸ばされる。タイミング良く今日一番の大きな花火が打ち上がり、何だかそれに二人して万歳している形になった。
「……そういえば、新しい彼氏と花火を観に行く、とか言ってなかったっけ?」
空気が読めないと言われればそんな気もするが、ボクもスッキリしたかったので胸のわだかまりを排除する事にした。
「あー、それ。……ねぇ、気づいてた? 私、“君”付け止めたんだよ」
「あ、そういえば……」
「だから、今日からね、私と洸は新しく付き合うって事なの」
ほら、と言って早恵はキスする形で構えていた。ボクは素直に従ってキスをしようとした。
その時、視界の中に見知った少女が入った。
少し離れた場所に、樹下桜音己がこちらに向かって立っていた。
視界のきかない中、花火の光で確認できたのは、浴衣姿の樹下と横に幼なじみ二人がいた事、幼なじみ二人は仲良く花火を見上げ樹下はこちらにピースサインしている事。ボクも心の中でピースサインを返して、待ち構えていた早恵の唇に唇を合わせた。
花火がクライマックスを迎え連続的に打ち上がっていくのが耳に届く。
それは勝手ながら、ボク達の祝福の音の様な気がした。
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