カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~
episode 1 入籍は突然に
自分のデスクに戻り、それはそれは深い溜め息をつくと、それを待っていたかのように杏が私の腕を取り強引に廊下へと連れ出した。
「いったいどうなってんの!?」
いわゆる壁ドンというシチュエーションではあるが全く心躍るわけもなく、私は全てを語った。
「……で?」
「いや、それだけ」
「それじゃ、何もないのと一緒じゃない」
「いや、だからずっと言ってるでしょ。本当に何もないんだって」
「あれだけ由華にグイグイいってれば何かあると思うじゃない。本当に初恋の淡い思い出だけだったなんて思いもしなかったから、逆にびっくりしたわ」
「私も驚いてるのよ。衣装合わせから戻ってきた後の新婦様の顔見たでしょ?」
睨まれたり問い詰められたりすればまだ説明のしようもあった。
しかし彼女は何一つ語ることなく、表情を強張らせることも緩めることもなく、完全なる無表情を決め込んだ。
こちらから話を振るわけにもいかないし、蒼空が説明などするわけもないしで、結局どうしようもないまま全ての打ち合わせは終了したというわけだ。
「私から連絡しないし二週間後には結婚するんだから、もう関わることもなくなるわ」
きっと今だけのことなのだと思いたかったし、思おうとしていた。
「そう上手くいけばいいけどね」
何気なく笑いながら漏らした杏の言葉が呪言になるなんて、全く想像もしていなかった。
「いったいどうなってんの!?」
いわゆる壁ドンというシチュエーションではあるが全く心躍るわけもなく、私は全てを語った。
「……で?」
「いや、それだけ」
「それじゃ、何もないのと一緒じゃない」
「いや、だからずっと言ってるでしょ。本当に何もないんだって」
「あれだけ由華にグイグイいってれば何かあると思うじゃない。本当に初恋の淡い思い出だけだったなんて思いもしなかったから、逆にびっくりしたわ」
「私も驚いてるのよ。衣装合わせから戻ってきた後の新婦様の顔見たでしょ?」
睨まれたり問い詰められたりすればまだ説明のしようもあった。
しかし彼女は何一つ語ることなく、表情を強張らせることも緩めることもなく、完全なる無表情を決め込んだ。
こちらから話を振るわけにもいかないし、蒼空が説明などするわけもないしで、結局どうしようもないまま全ての打ち合わせは終了したというわけだ。
「私から連絡しないし二週間後には結婚するんだから、もう関わることもなくなるわ」
きっと今だけのことなのだと思いたかったし、思おうとしていた。
「そう上手くいけばいいけどね」
何気なく笑いながら漏らした杏の言葉が呪言になるなんて、全く想像もしていなかった。
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