社会人1年目、犬系彼女と同棲する。

りゅう





 「ただいまー」
 「お、お邪魔します」

 鍵は空いてるから入って!とインターホン越しにまゆのお母さんに言われたのでまゆに続いて僕はまゆのご実家に入る。めちゃくちゃ緊張する……

 「りゅうさん!お久しぶりですー」

 ドタドタとこちらに近づいてくる音がしたと思ったら僕はいきなり歳下の女の子に抱きつかれた。

 「ちょ、ちょっとみほ!りゅうちゃんから離れて!」
 「えへへーやーだ」

 そう言ってまゆの妹のみほちゃんが僕を抱きしめる。みほちゃんは今年大学2年生の女の子でまゆに似てすごくかわいらしい。僕とまゆの大学の後輩でもあり、僕と同じバイトをしていたこともあり仲がいい。(まゆが本気でヤキモチを妬くくらい……)

 「みほちゃん、久しぶり……あ、あの……まゆに怒られるから離れよっか……」
 「えー」
 「みほ……」

 まゆにガチトーンで名前を呼ばれてみほちゃんは慌てて僕から離れる。まゆ、怒るとめちゃくちゃ怖いから……

 ちなみに、以前まゆが僕とみほちゃんが仲良すぎてヤキモチを妬いた時にまゆがみほちゃんに僕に対して恋愛的な感情はあるのかを聞いたらこれっぽっちもない。と答えたらしい。あくまで僕のことは大好きな先輩でお姉ちゃんの彼氏だからお兄ちゃん的な存在として認識しているみたいだ。まゆとみほちゃんは2人姉妹だからお兄ちゃんが欲しかったのーとか笑顔で言っていたらしい…

 「あらあら、みほちゃん、まゆちゃんの大切な彼氏に手出しちゃダメよー」

 穏やかな声でそう言って僕たちを出迎えに来てくれたのはまゆのお母さんだった。まゆに似てすごくかわいらしい感じの雰囲気があって、大学生の娘がいるとは思えないくらい若々しい。

 「お邪魔してます…あ、えっと、これよかったら食後のデザートにでも…」
 「あらあら、ありがとうね。いつも何かいただいちゃって申し訳ないわ」

 まゆのお母さんにお土産を渡して、靴を脱いでまゆのご実家に上がらせていただく。

 「もう少しで夜ご飯できるからまゆのお部屋でゆっくりしてて」
 「あ、はい。ありがとうございます」

 そう言ってまゆのお母さんは忙しそうにリビングの方に向かって行く。僕はまゆに案内されて2階にあるまゆの部屋に向かう。みほちゃんも着いてきて3人でまゆの部屋に入る。

 まゆの部屋は以前来た時よりも物が減っていたが、きちんと掃除は行き届いていた。元々綺麗だった部屋が維持されているのはまゆのお母さんがまゆが居なくなってからも掃除をしてくれているからだろう。

 「何にもないけど適当にくつろいでていいからね」

 そう言ってまゆはお茶を淹れに行く。と言って一度部屋から出て行き、まゆの部屋には僕とみほちゃんだけになった。







 

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