人狼中学校

ヒロ

一人目

俺達は食堂を出て屋上に向かう。もちろん山本が逃げないように春人、山本、優の並びでだ
屋上に着くと山本が口を開いた。
「話って何?もしかして、人狼ゲームの事?」
俺達はドキッとしたが悟られぬよう平常を装った。
「そうそう人狼の事。」
いきなりは殺せない……そう思い少し話をすることにした。
「山本はさ、このゲームどう思う?」
「どうって?本当か嘘かってこと?それとも……誰が人狼かってこと?」
俺達はまたドキッとした。
「ああ」
「ホントかどうかは分からないけど、人狼は多分上の方の奴だと思うんだよね……」
なるほど俺達と考えは同じみたいだな。だが、自分が人狼だというのを悟られないための口実だろうと思った。
「君たちは誰だと思う?」
少し沈黙が続いた。少しして優が喋りだした
「う〜ん……俺達が人狼だと思うのは……」
山本は、黙っている。
「人狼は……お前だよ!!」
そう言うと、優は意気よいよく山本を掴み屋上の端まで押していく。
山本は急な事で体勢が不安定で立て直せない。
「お前が人狼なんだろ!だから死んでくれよ!」
優の顔は必死だ。
「ぉ……お、俺じゃ無い。俺にこんな事はできない」
山本は殺されるかも知れないという恐怖で声がほとんど出ていない。
山本の言葉に優の顔は強張った。
「お前が人狼なんだ!!」
その言葉を言い終わると優は山本を押し、屋上から落とした。優は息が荒い。
二人は恐る恐る下を見る。
「うわぁーーー」
俺は叫んだ。それもそうだ人を殺したのだから。
優も顔がひきつっている。
「ゔぇ。うぅ……はぁはぁ。」
俺は吐きそうになった。というより吐いた。
俺は今日人生で初めて人を殺した。

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