気付いたら、豪傑系悪役令嬢になっていた SE
虎と虎編 プロローグ 動き出した計画
アールネス国。
軍部の兵舎。
ある将軍の部屋。
部屋に、ノックの音が響く。
「入れ」
入室を促すと、部屋に一人の兵士が入って来た。
兵士はとても慌てた様子ながらも、将軍へ敬礼する。
「どうした?」
「報告があります」
「なんだ?」
「ビッテンフェルト将軍が、殺害されました」
「何だと?」
将軍は驚いた。
「どちらのビッテンフェルト将軍だ?」
ビッテンフェルトという将軍は軍に二人いる。
アールネス最強と呼ばれる将軍と、その家の婿養子としてビッテンフェルト家へ入ったアルディリア将軍だ。
「ビッテンフェルト公爵様の方です」
「……信じられん。あのビッテンフェルト将軍が……。もう老境とはいえ、あの方がそう易々と命を奪われるとは思えぬ。……相手は? 相手は誰だ?」
兵士は一度息を飲み込むと、その名前を告げた。
「ティグリス・グラン子爵殿です」
報告を聞いた将軍は目を閉じた。
「ティグリス・グラン……。確かに、彼の者ならば匹敵するか……」
某所。
「予定通り、ビッテンフェルト公には死んでいただきました」
「うむ。ご苦労。下がっていい」
「はい」
部屋の主に言われ、報告を終えた女性は杖をついて部屋を出て行く。
扉が閉じられる。
「さて、計画は転がり始めた……。あとはどこへ行き着くか……。その先を楽しみにしているよ、特別顧問殿」
そう呟き、部屋の主は口元を笑みに歪めた。
不意に、振り返る。
そこには、もう一人の男がソファーに座っていた。
その男は答えず、部屋の主同様静かに笑みを湛えるばかりだった。
軍部の兵舎。
ある将軍の部屋。
部屋に、ノックの音が響く。
「入れ」
入室を促すと、部屋に一人の兵士が入って来た。
兵士はとても慌てた様子ながらも、将軍へ敬礼する。
「どうした?」
「報告があります」
「なんだ?」
「ビッテンフェルト将軍が、殺害されました」
「何だと?」
将軍は驚いた。
「どちらのビッテンフェルト将軍だ?」
ビッテンフェルトという将軍は軍に二人いる。
アールネス最強と呼ばれる将軍と、その家の婿養子としてビッテンフェルト家へ入ったアルディリア将軍だ。
「ビッテンフェルト公爵様の方です」
「……信じられん。あのビッテンフェルト将軍が……。もう老境とはいえ、あの方がそう易々と命を奪われるとは思えぬ。……相手は? 相手は誰だ?」
兵士は一度息を飲み込むと、その名前を告げた。
「ティグリス・グラン子爵殿です」
報告を聞いた将軍は目を閉じた。
「ティグリス・グラン……。確かに、彼の者ならば匹敵するか……」
某所。
「予定通り、ビッテンフェルト公には死んでいただきました」
「うむ。ご苦労。下がっていい」
「はい」
部屋の主に言われ、報告を終えた女性は杖をついて部屋を出て行く。
扉が閉じられる。
「さて、計画は転がり始めた……。あとはどこへ行き着くか……。その先を楽しみにしているよ、特別顧問殿」
そう呟き、部屋の主は口元を笑みに歪めた。
不意に、振り返る。
そこには、もう一人の男がソファーに座っていた。
その男は答えず、部屋の主同様静かに笑みを湛えるばかりだった。
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