醜女の幸せは海の向こうにありました〜美醜逆転嫁取り物語〜
父の心
感動的な親子の和解をラーズは微笑みを浮かべながら見守っていた。
「ラーズ様、あのっ、『たすけ、ありがと』」
たどたどしいユナス大陸の言葉で礼を告げるリンカの姿にケイロンは目を見開いた。
どうやらリンカがユナス大陸の言葉を話せるとは思っていなかったらしい。
「メイロウ大陸の言葉で大丈夫だよ」
ラーズがメイロウ大陸の言葉で告げるとリンカはメイロウ大陸の言葉を使うことにしたらしい。
「ラーズ様、助けていただきありがとうございました。 貴方に助けて頂いていなければ、私はお父様やお母様とお互いの気持ちを確認するのともできませんでした」
そう微笑むリンカの顔に、助けた直後の時のような儚さは無かった。
「いいえ、私は何もしていない。 全てはリンカの力だ」
それからリンカの話を聞いたケイロンは盛大に顔を顰めてみせた。
「金のために渋々嫁にもらってやった? あの野郎息子を甘やかしやがったな、うちの可愛い愛娘を怪物扱いして、しかも悪い虫がつかないように大切に大切に育ててきたリンカが処女じゃないだとっ! あの野郎自分のナニが小せえのが息子に遺伝しただけだろうがふざけやがって」
憤怒を隠しもせずにケイロンはリンカの夫とその婚家を罵っている。
どうやらリンカの夫はケイロン夫妻に自分が告げた暴言を棚上げし、リンカが姿を消したのをこれ幸いにかなりの難癖をつけてきたらしい。
リンカに婚家を飛び出した理由を聞くため、そして失踪した愛娘を心配するあまり手を上げてしまったらしく、止めたラーズに深く感謝していた。
「とにかくリンカは家へ帰ってこい、あんな家に帰ることはない! もう無理に嫁がなくていい、心配するなお前をコケにしやがったあの男にはきっちり母さんと詫びを入れさせてやるからな」
くしゃくしゃと優しくリンカの髪の毛をかき混ぜるケイロンの言葉に、ラーズは焦った。
「ケイロン殿! リンカ、さんに求婚する許可をいただけませんでしょうか」
ラーズの言葉にリンカは目を見開いた。
メイロウ大陸では醜女で、しかも出戻りの娘などを貰おうとするラーズは明らかにおかしい。
しかしユナス大陸では例え歳嵩の未亡人であっても子供が産める女性であれば、縁談が絶えないのが常だ。
むしろ出産経験がある女性の方が人気があると言っても過言ではない。
男達は常に妻に逃げられないように、そして他の男に奪われないように必死に守り慈しむ。
「俺は二度とリンカに結婚の無理強いをしない、リンカが嫁ぎたいと言うならの全力で支えるが」
ケイロンはラーズをにらみながらリンカを守るようにかばう。
「わかっています、ですからお嬢さんに私を知っていただく為に、お嬢さんと共に過ごす許しをいただきたいのです。 必ずお守りいたします」
言い募るラーズとケイロンはしばし互いから目を放さなかったが、先に折れたのはケイロンだった。
「……あのバカ息子よりは多少骨がありそうじゃないか……良いだろう、俺は一度フェイと合流してリンカの嫁ぎ先とケリをつけなければならない、俺が守ってやれない間あんたに時間をやる、娘が欲しければ自分でリンカを説得するんだな」
「あっ、ありがとうございます! お嬢さんは大切にいたします!」
「ふざけんな! 誰も嫁にやるなんて言ってねぇだろうが!」
愛しさを隠しもせずに告げたラーズにケイロンは怒鳴りつけた。
「お父様……ありがとうございます」
ケイロンは深く頭を下げる娘を抱き締める。
「リンカを頼む」
そう告げてケイロンはリンカの部屋を出ていった。
「ラーズ様、あのっ、『たすけ、ありがと』」
たどたどしいユナス大陸の言葉で礼を告げるリンカの姿にケイロンは目を見開いた。
どうやらリンカがユナス大陸の言葉を話せるとは思っていなかったらしい。
「メイロウ大陸の言葉で大丈夫だよ」
ラーズがメイロウ大陸の言葉で告げるとリンカはメイロウ大陸の言葉を使うことにしたらしい。
「ラーズ様、助けていただきありがとうございました。 貴方に助けて頂いていなければ、私はお父様やお母様とお互いの気持ちを確認するのともできませんでした」
そう微笑むリンカの顔に、助けた直後の時のような儚さは無かった。
「いいえ、私は何もしていない。 全てはリンカの力だ」
それからリンカの話を聞いたケイロンは盛大に顔を顰めてみせた。
「金のために渋々嫁にもらってやった? あの野郎息子を甘やかしやがったな、うちの可愛い愛娘を怪物扱いして、しかも悪い虫がつかないように大切に大切に育ててきたリンカが処女じゃないだとっ! あの野郎自分のナニが小せえのが息子に遺伝しただけだろうがふざけやがって」
憤怒を隠しもせずにケイロンはリンカの夫とその婚家を罵っている。
どうやらリンカの夫はケイロン夫妻に自分が告げた暴言を棚上げし、リンカが姿を消したのをこれ幸いにかなりの難癖をつけてきたらしい。
リンカに婚家を飛び出した理由を聞くため、そして失踪した愛娘を心配するあまり手を上げてしまったらしく、止めたラーズに深く感謝していた。
「とにかくリンカは家へ帰ってこい、あんな家に帰ることはない! もう無理に嫁がなくていい、心配するなお前をコケにしやがったあの男にはきっちり母さんと詫びを入れさせてやるからな」
くしゃくしゃと優しくリンカの髪の毛をかき混ぜるケイロンの言葉に、ラーズは焦った。
「ケイロン殿! リンカ、さんに求婚する許可をいただけませんでしょうか」
ラーズの言葉にリンカは目を見開いた。
メイロウ大陸では醜女で、しかも出戻りの娘などを貰おうとするラーズは明らかにおかしい。
しかしユナス大陸では例え歳嵩の未亡人であっても子供が産める女性であれば、縁談が絶えないのが常だ。
むしろ出産経験がある女性の方が人気があると言っても過言ではない。
男達は常に妻に逃げられないように、そして他の男に奪われないように必死に守り慈しむ。
「俺は二度とリンカに結婚の無理強いをしない、リンカが嫁ぎたいと言うならの全力で支えるが」
ケイロンはラーズをにらみながらリンカを守るようにかばう。
「わかっています、ですからお嬢さんに私を知っていただく為に、お嬢さんと共に過ごす許しをいただきたいのです。 必ずお守りいたします」
言い募るラーズとケイロンはしばし互いから目を放さなかったが、先に折れたのはケイロンだった。
「……あのバカ息子よりは多少骨がありそうじゃないか……良いだろう、俺は一度フェイと合流してリンカの嫁ぎ先とケリをつけなければならない、俺が守ってやれない間あんたに時間をやる、娘が欲しければ自分でリンカを説得するんだな」
「あっ、ありがとうございます! お嬢さんは大切にいたします!」
「ふざけんな! 誰も嫁にやるなんて言ってねぇだろうが!」
愛しさを隠しもせずに告げたラーズにケイロンは怒鳴りつけた。
「お父様……ありがとうございます」
ケイロンは深く頭を下げる娘を抱き締める。
「リンカを頼む」
そう告げてケイロンはリンカの部屋を出ていった。
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