醜女の幸せは海の向こうにありました〜美醜逆転嫁取り物語〜
大陸間の親善大お見合い大会
あれよあれよと言う間に国中の立看板に貼り出されたお触れ書きに、多くの国民が集まってきていた。
『十日後王都宮殿前広場にてメイロウ大陸とユナス大陸の親善大お見合い大会を開催する、メイロウ大陸でユナス大陸の婿を貰うもよし、ユナス大陸へ嫁入りするもよし、嫁入りする場合にはユナス大陸が衣食住を保証するとのこと、希望者は十日後に集合されたし』
お触れ書きを読み、困惑するもの、メイロウ大陸では婿を得られずにいた娘達は色めき立ち衣装屋に駆け込んだ。
王都外からも多くの商人や婿を望む女性や新天地への嫁入りを希望する娘達で溢れかえり十日後の祭りに向け、王都内は一気に活気づいた。
このお触れ書きはユナス大陸から来た大船団の船員達にも交付され、お見合いがうまく行けば帰国する際にお嫁さんと一緒に帰れるということで気合いの雄叫びを上げていた。
大お見合い大会を前にドゥイリオの婿入りが確定した。
お相手はシャーリン姫、どうやら連れ去られた後で熱烈な求婚を受けたらしい、ドゥイリオはニヤリと黒い笑みを浮かべていた。
そしてフランのフェデリコへの嫁入りもドゥイリオのあくどい懇願で、すっかり熱を上げたシャーリンが祝福した事で速やかに決まった。
フラン本人は納得していないようだが、所属している隊の部下たちはモテるのになんだかんだと理由を付けていつまでも嫁に行かないお局……上司を邪魔……とても心配していたらしい。
今日はそんなフランのご両親に結婚の許しを貰いに行くのだとフェデリコがいつも以上に張り切っていた。
不足していた航海に必要な物資を積み入れ終わった船長や船員達は、正式に上陸の許可をリャンシャールから得られたことで船を下り、熱心に婚活中である。
お見合い本番は王都ユーネイで行われるため、数名ずつ船の維持に残し、交代制で皆お見合いに参加することになっている。
そんな中でラーズは港町まで戻るなりはやる気持ちを抑えつつ、真っ直ぐにリンカを預けた治療院へと向かう。
途中花売りをしていた少女からラーズはピンク色の花びらが幾重にも重なる花を買い取った。
ラーズの祖国ではこの花はカーネーションと呼ばれている。 花の花言葉は『熱愛』、ピンク色の可憐な花にリンカの姿を思い浮かべる。
フランの話で海に身を投げるほどに辛い経験をしてきたのだろう、ならリンカが辛い体験を早く忘れられるように幸せにしたい。
やってきた治療院へ入ると治療院にもお触れ書きが回ってきているのだろう、何人もの大船団の船員がやってきていた。
治療院に身を寄せる娘達はみなユナス大陸の女性に近い姿をしているからか、長い航海の合間に必死に覚えたカタコトのメイロウ大陸の共通言語を駆使して求愛を続けているようだった。
「いや! 離して!」
「いい加減にしないか! 初夜の晩に逃げ出すなど何があった!」
諍う声が聞こえて部屋へと飛び込めば、リンカとあまり変わらない体格の少年は右手を振り上げて今にも床に座り込んでいるリンカへ振り下ろさんとしていた。
ラーズは長い足を活かして少年との距離を詰め、振り下ろされる手首を掴んで固定した。
「何をしている!」
「誰だお前は! 部外者が家族の問題に口出さないでもらおう!」
振り向きラーズを睨みあげた少年だと思っていた人物の顎には豊かな髭が蓄えられていて、見た目ほど若くないことがわかる。
「お父様、彼は海で漂流していた私を助けてくれた方なの!」
リンカは父と呼んだ男性の衣に縋り付き懸命に訴えた。
「取り敢えずつもる話もあるでしょう、リンカさんがなぜ海にいたのか、話を聞いてあげてください」
もうリンカに手を振り上げないだろうと判断しラーズは掴んでいた手を放した。
『十日後王都宮殿前広場にてメイロウ大陸とユナス大陸の親善大お見合い大会を開催する、メイロウ大陸でユナス大陸の婿を貰うもよし、ユナス大陸へ嫁入りするもよし、嫁入りする場合にはユナス大陸が衣食住を保証するとのこと、希望者は十日後に集合されたし』
お触れ書きを読み、困惑するもの、メイロウ大陸では婿を得られずにいた娘達は色めき立ち衣装屋に駆け込んだ。
王都外からも多くの商人や婿を望む女性や新天地への嫁入りを希望する娘達で溢れかえり十日後の祭りに向け、王都内は一気に活気づいた。
このお触れ書きはユナス大陸から来た大船団の船員達にも交付され、お見合いがうまく行けば帰国する際にお嫁さんと一緒に帰れるということで気合いの雄叫びを上げていた。
大お見合い大会を前にドゥイリオの婿入りが確定した。
お相手はシャーリン姫、どうやら連れ去られた後で熱烈な求婚を受けたらしい、ドゥイリオはニヤリと黒い笑みを浮かべていた。
そしてフランのフェデリコへの嫁入りもドゥイリオのあくどい懇願で、すっかり熱を上げたシャーリンが祝福した事で速やかに決まった。
フラン本人は納得していないようだが、所属している隊の部下たちはモテるのになんだかんだと理由を付けていつまでも嫁に行かないお局……上司を邪魔……とても心配していたらしい。
今日はそんなフランのご両親に結婚の許しを貰いに行くのだとフェデリコがいつも以上に張り切っていた。
不足していた航海に必要な物資を積み入れ終わった船長や船員達は、正式に上陸の許可をリャンシャールから得られたことで船を下り、熱心に婚活中である。
お見合い本番は王都ユーネイで行われるため、数名ずつ船の維持に残し、交代制で皆お見合いに参加することになっている。
そんな中でラーズは港町まで戻るなりはやる気持ちを抑えつつ、真っ直ぐにリンカを預けた治療院へと向かう。
途中花売りをしていた少女からラーズはピンク色の花びらが幾重にも重なる花を買い取った。
ラーズの祖国ではこの花はカーネーションと呼ばれている。 花の花言葉は『熱愛』、ピンク色の可憐な花にリンカの姿を思い浮かべる。
フランの話で海に身を投げるほどに辛い経験をしてきたのだろう、ならリンカが辛い体験を早く忘れられるように幸せにしたい。
やってきた治療院へ入ると治療院にもお触れ書きが回ってきているのだろう、何人もの大船団の船員がやってきていた。
治療院に身を寄せる娘達はみなユナス大陸の女性に近い姿をしているからか、長い航海の合間に必死に覚えたカタコトのメイロウ大陸の共通言語を駆使して求愛を続けているようだった。
「いや! 離して!」
「いい加減にしないか! 初夜の晩に逃げ出すなど何があった!」
諍う声が聞こえて部屋へと飛び込めば、リンカとあまり変わらない体格の少年は右手を振り上げて今にも床に座り込んでいるリンカへ振り下ろさんとしていた。
ラーズは長い足を活かして少年との距離を詰め、振り下ろされる手首を掴んで固定した。
「何をしている!」
「誰だお前は! 部外者が家族の問題に口出さないでもらおう!」
振り向きラーズを睨みあげた少年だと思っていた人物の顎には豊かな髭が蓄えられていて、見た目ほど若くないことがわかる。
「お父様、彼は海で漂流していた私を助けてくれた方なの!」
リンカは父と呼んだ男性の衣に縋り付き懸命に訴えた。
「取り敢えずつもる話もあるでしょう、リンカさんがなぜ海にいたのか、話を聞いてあげてください」
もうリンカに手を振り上げないだろうと判断しラーズは掴んでいた手を放した。
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