追放された悪役令嬢と転生男爵のスローで不思議な結婚生活

ヒーター

幕間的なモノ:妹談義-シキ陣-


幕間的なモノ:妹談義-シキ陣-


 ある春の日。
 今日は互いに外で仕事があったので、互いに外で昼食を摂るという話になったので俺は【レインボー】にて昼食を摂る事にした。
 そして偶然アイボリーとオーキッドが居たので卓を共にした。ウツブシさんはオーキッドの……膝? の上で寝ている。
 座った後に神父様が所用で来て、シアン達は今日一日薬草を取りに行ったというので、誘うと一緒に食事を摂る事になった。

「そういや、妹が居るってどんな感じなんだ」
「どうした急に」

 そして他愛もない会話をしていると、アイボリーがふと思いついたように尋ねて来た。

「俺は妹のような女性はいたんだが、実際にいる訳じゃ無い」
「妹のような……そういえばアイボリーって一人っ子だっけか?」
「一応兄が一人だ。ともかく、クロには実妹は居るし、前世でも妹が居たんだろう?」
「まぁな」
「後ついでに学園の騎士女も妹扱いして誑かしている」
「してねぇ」
「スノーホワイトも妹が居るだろう。あのクロの弟の婚約者の……」
「パールホワイトだな。後はミルキーホワイトというのも要るな。二人共義理ではあるが」
「オーキッドは……確か居なかったな」
「ククク……そうだね。……唐突に妹を名乗り、家に強襲をかけて住もうとする子は居たが」
「そういう闇は要らん」
「ともかく私は居ないよ。ウツブシは居るだろうが」
「そうなのか?」
「うん、兄弟が敵であり競争相手であり、共同体でありながら自身の代替として――」
「待て。それを深く聞くとウツブシの闇が垣間見えそうだからそれ以上言うな」
「ウツブシさんの妹……妹も猫からパンダになったりするのだろうか。それとも子豚がアヒルになったりするのだろうか」
「ククク……なにを言っているんだクロ。子豚がアヒルに変身なんて、そんなはず無いだろう」
「うん、尤もなツッコミだが、少々納得いかない」
「それで、妹がどうしたんだ?」
「単純に妹が居る、というのはどんな感じかと思っただけだ。ほら、妹が居ると年下に興味が無くなるとか言うだろう? そういうのがあるかと思ってな」
「それ、俺が年下のシアンと付き合ったのは、妹をそういった目で見ていたから、という事にならないか」
「そういう意味ではない」
「その理屈だと姉と妹が居る俺は同い年しか無理という話になるんだが……確かに年下はあまり興味が無かったな」
「そうなのか?」
「年下は面倒見る子、という感じが強かったし」
「じゃあクロは年上好きだったりしたのか。ヴァイオレットとは年齢の割には大人っぽいからな」
「いや、年上は年上で、前世の母親を彷彿とさせて嫌だった」
「お前女関係面倒だな」
「だって前世の母、外見常に二十代で……大人っぽい女という存在が他者の家庭を壊す存在として認識されて……うっ、頭が」
「それでアイボリー! 妹について聞きたいのはそれだけか!」
「お、おう。ええと……お前らにとっての妹はどういう存在だ?」
「ククク……具体的に言わないと伝わらないよ」
「そうだな……俺にとって妹は“守るべき存在”という認識だ」
「ふむ?」
「だが、お前らの妹は……なんか強いだろう」
「なんか強いて」
「スノーホワイトの妹は戦闘方面については強いと言うか、生きる強さが強いように思える」
「ああ。ナイト家は強い血を代々引き継いでいるからな。ミルキーもパールも、本来生物が制限している肉体を意図的に開放する異能を継いでいる。だから戦うとかなり強いぞ」
「なんだその家系」
「俺は使えないんだがな」
「ククク……ちなみにウツブシも似たような力は使えるよ。というか猫になっているのもその力さ」
「マジかよ」
「異能はともかく……クロの妹は肉体を研究したいと思うほど素晴らしかった。なにせ筋肉が凄いだろう?」
「え、……待て、クロ。クロの妹ってあの華奢なあの子だろう? 筋肉質には思えないが」
「クリは今160cmで160キロの体脂肪一桁だ」
「いや、だとしても――160キロ……160キロ!?」
「ああ。クリに直接聞いたから間違いない。だから言っておくが神父様より遥かに力持ちだぞ」
「そうなのか……」
「ククク……女性の体重を勝手に言って良いのかい?」
「別に隠していないようだし、ここに居るのは変に噂はしないだろう。で、それがどうしたんだアイボリー?」
「いや、そうだな。……妹が強いと、兄としてもっと強くあらねば、と思わないかと思ってな」
「ああ、兄としての威厳を保つためにー、的な感じか」
「そうだ。……重ねてになるが、お前らの妹は強いからな。より思うのではないかとふと思った。それだけだ」
「強弱は関係無いな。クリもクリームヒルトも、強かろうと弱かろうと妹だ。そこは変わらないし……兄としての資格と言われても今一つ分からないしな」
「俺もだな。兄として立派に、とは思った事はあるがそういうのはよく分からない。結局は相手の特徴を理解した上で接する大切な齢の近い家族……だからな」
「……そういうモノか」
「そういうモノだと思うぞ。ああ、でも、強がりはあるだろうが、身近に年下の子がいる、というのは責任感を持ちはするな」
「確かに。俺もクリームヒルトが居なければ、前世は割と酷い人生を送っていただろうからな。そう思うと結構――」
「ハッハー! 話は聞かせてもらったぜお前達!」
『!? カーキー!?』
「お前達は勘違いをしている!」
「ククク……勘違い、かい?」
「そうだ! 妹様は偉大なる者だぜ。兄として守ってやらねばならないし、どんな我が儘も受け入れなきゃならないし、逆らえないんだぜハッハー!」
『お前の特殊な妹については聞いていない』

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