最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1126話 ソフィVSナギリ
「待たせたな」
ナギリに向けて『漏出』を使ったソフィは、その算出された数値に笑みを浮かべていると、自身の戦力値や魔力値を測られていたと、知る由もないナギリがそう呟いた。どうやら彼の本気の戦闘準備が整ったようで、その刀にも彼の周囲を覆う『瑠璃色』の濃い『青色のオーラ』が覆われていた。
「さぁ、存分に来るがよい」
ソフィもまた浮かべていた笑みを消すと同時、自身の右手に紅を用いた『創成具現』でナギリの刀とやり合う為の準備を整えていく。
既に戦力値と魔力値は『漏出』で確かめ終えているソフィだが、戦力値だけで判断をする程『基本研鑽演義』を怠っているソフィではない。
それに戦力値5000億を超えるという事はこの世界ではどうであるかは知らないが、アレルバレルの世界に於いては『魔神級』クラスの領域に達している。今のソフィの戦力値差であっても当然戦い方次第で勝敗が入れ替わるラインである。
しかしソフィはそんな打算的な考えすらしていない。勝敗がどうというよりも、それ程の強さを持つナギリとこれから戦うという、その事自身に興味を抱いており、楽しみで仕方がないといわんばかりであった。
「っせやぁ!!」
喜々としながら向かってくる事を心待ちにしているソフィに対して、刀に力を入れたナギリは恐ろしい速度で駆け出していく。
(速い……が、この程度の速度であれば、いくらでも間合いに入る前に対処は出来る程だ)
今のソフィは魔神に預けている魔力をある程度戻している状態であり、形態も『真なる大魔王化』状態で、自身も『第二形態』に変貌している。
その気になれば今のナギリの本気の速度であっても、ソフィにとってはナギリを間合いに入れさせずに、あっさりと対処する事が可能である。
『煌鴟梟』のアジトに現れた『チアキ』が使役した妖魔の式である『英鬼』や『代替身体』の『レキ』と戦っている時と遜色のない力を出しているのだからそれは当然と言える事であるが、今はナギリの力を確かめる事に重点を置いている為に、あえてソフィはナギリの接近をこのまま許して彼の間合いに付き合う事にした。
ソフィの周囲にスタックさせた『魔力』はそのまま継続して出しているが、それら全ての魔力に『魔法』を点火させず放置したままで、あえてオーラの防御のみに徹してナギリが接近するのを待っていると、目当てのナギリが遂にソフィを彼の間合いに捉えたようである。
「クックック!」
高揚感に包まれたソフィに視線を向けながら、ナギリはソフィの手前で跳躍したかと思うと『瑠璃色』のオーラを付与した刀を上空から振り下ろして来る。
ソフィはそのオーラに包まれた刀を自身もまた『紅』の『創成具現』で作り出したその両手を覆うオーラの手刀で真っ向から受け止めようとする。
「『幻朧』」
しかしソフィがナギリの刀を受け止めて、鍔迫り合いになると予想された次の瞬間、その『瑠璃色』のオーラに包まれたナギリごと消え去った。
「むっ……! 消えた……?」
力を込めて手刀を突き出していたソフィは、そのまま向かってくるナギリの存在が消え去った事で鍔迫り合いになると予想して振り切った紅に包まれた手刀が空を切った。
「……『光撃裂火』」
ふいにソフィの耳元にナギリの声が届いたかと思うと、突如としてソフィの左側の脇腹に熱さを感じた後、その熱はそのまま身体を駆け上がって来るのを感じた。
「ぬっ……!」
そしてソフィもまたやられた痛みと熱さを感じながらも斬られた数秒にも満たぬ間に、その感覚を与えて来た要因であるナギリに、魔力感知を使って視界には映らない、彼の魔力を頼りに居場所を突きとめる。
(居た……!)
放った魔力感知で僅かながら『魔力』を持つナギリを捉えると、ソフィの視界にはまだ姿が見えないナギリだが、斬りかかる先にナギリは居るという事を明確に感じ取ったソフィは、直ぐにソフィはそちらに向き直りながらナギリに斬りかかる。
まさか姿が見えない筈の自分を目掛けて的確に必中させられる場所へと、ソフィのオーラの手刀が迫って来るのを確認したナギリだったが、直ぐに動揺を消すように冷静に次の手を打つ。
「『百火』」
「むっ……!?」
ナギリが何かを呟いた声がソフィの耳に届いた瞬間、ソフィの斬られた傷跡が唐突に燃え上がり始める。
「ぐ、ぬぅ……!?」
最早ソフィは斬られた時に感じた熱さではなく、明確に『魔法』の炎によって焼かれたのと同じ熱さを感じるのであった。そしてその炎はあっという間に熱量を増していき、一瞬で轟轟と燃え上がったかと思うとソフィの身体は大炎上を起こす。
技を放ったナギリはその場から一気に離脱して距離を取った後、向き直って身体が大炎上しているソフィに視線を向けた。
「や、やりすぎだよ、ナギリ!」
(いや、旦那がこの程度でやられる筈がない)
試合の様子を見ていたスオウが声をあげながら駆け出そうとするが、その横でセルバスは冷静に自身の主を無言で見つめ続けていた。
「くっ……、クックック! ハーハッハッハッハ!! 我の身体が燃えておる! そしてこれ程の鋭い痛みを我は感じておる!!」
炎上を起こしている中心からソフィの嬉しそうな声が聞こえたかと思うと――。
――次の瞬間、青白い光がソフィを包み込んでいく。
ソフィを助けようと駆け出し始めていたスオウは、そのままソフィの笑い声に足を止めて、驚愕の視線を送るのだった。
「まだ終わってはおらぬ、続きをやるぞ」
青白い光が徐々に緑色へと変わっていった後、最後には包み込んでいた光が消え去る。そしてその中心には、ソフィを焼いていた火が消えて傷口が完全に消えて、元通りとなったソフィの両目が、近くに居るスオウ達ではなく、遠くから驚いた目をしているナギリを捉えると、ソフィは口角を吊り上げながらそう告げるのだった。
ナギリに向けて『漏出』を使ったソフィは、その算出された数値に笑みを浮かべていると、自身の戦力値や魔力値を測られていたと、知る由もないナギリがそう呟いた。どうやら彼の本気の戦闘準備が整ったようで、その刀にも彼の周囲を覆う『瑠璃色』の濃い『青色のオーラ』が覆われていた。
「さぁ、存分に来るがよい」
ソフィもまた浮かべていた笑みを消すと同時、自身の右手に紅を用いた『創成具現』でナギリの刀とやり合う為の準備を整えていく。
既に戦力値と魔力値は『漏出』で確かめ終えているソフィだが、戦力値だけで判断をする程『基本研鑽演義』を怠っているソフィではない。
それに戦力値5000億を超えるという事はこの世界ではどうであるかは知らないが、アレルバレルの世界に於いては『魔神級』クラスの領域に達している。今のソフィの戦力値差であっても当然戦い方次第で勝敗が入れ替わるラインである。
しかしソフィはそんな打算的な考えすらしていない。勝敗がどうというよりも、それ程の強さを持つナギリとこれから戦うという、その事自身に興味を抱いており、楽しみで仕方がないといわんばかりであった。
「っせやぁ!!」
喜々としながら向かってくる事を心待ちにしているソフィに対して、刀に力を入れたナギリは恐ろしい速度で駆け出していく。
(速い……が、この程度の速度であれば、いくらでも間合いに入る前に対処は出来る程だ)
今のソフィは魔神に預けている魔力をある程度戻している状態であり、形態も『真なる大魔王化』状態で、自身も『第二形態』に変貌している。
その気になれば今のナギリの本気の速度であっても、ソフィにとってはナギリを間合いに入れさせずに、あっさりと対処する事が可能である。
『煌鴟梟』のアジトに現れた『チアキ』が使役した妖魔の式である『英鬼』や『代替身体』の『レキ』と戦っている時と遜色のない力を出しているのだからそれは当然と言える事であるが、今はナギリの力を確かめる事に重点を置いている為に、あえてソフィはナギリの接近をこのまま許して彼の間合いに付き合う事にした。
ソフィの周囲にスタックさせた『魔力』はそのまま継続して出しているが、それら全ての魔力に『魔法』を点火させず放置したままで、あえてオーラの防御のみに徹してナギリが接近するのを待っていると、目当てのナギリが遂にソフィを彼の間合いに捉えたようである。
「クックック!」
高揚感に包まれたソフィに視線を向けながら、ナギリはソフィの手前で跳躍したかと思うと『瑠璃色』のオーラを付与した刀を上空から振り下ろして来る。
ソフィはそのオーラに包まれた刀を自身もまた『紅』の『創成具現』で作り出したその両手を覆うオーラの手刀で真っ向から受け止めようとする。
「『幻朧』」
しかしソフィがナギリの刀を受け止めて、鍔迫り合いになると予想された次の瞬間、その『瑠璃色』のオーラに包まれたナギリごと消え去った。
「むっ……! 消えた……?」
力を込めて手刀を突き出していたソフィは、そのまま向かってくるナギリの存在が消え去った事で鍔迫り合いになると予想して振り切った紅に包まれた手刀が空を切った。
「……『光撃裂火』」
ふいにソフィの耳元にナギリの声が届いたかと思うと、突如としてソフィの左側の脇腹に熱さを感じた後、その熱はそのまま身体を駆け上がって来るのを感じた。
「ぬっ……!」
そしてソフィもまたやられた痛みと熱さを感じながらも斬られた数秒にも満たぬ間に、その感覚を与えて来た要因であるナギリに、魔力感知を使って視界には映らない、彼の魔力を頼りに居場所を突きとめる。
(居た……!)
放った魔力感知で僅かながら『魔力』を持つナギリを捉えると、ソフィの視界にはまだ姿が見えないナギリだが、斬りかかる先にナギリは居るという事を明確に感じ取ったソフィは、直ぐにソフィはそちらに向き直りながらナギリに斬りかかる。
まさか姿が見えない筈の自分を目掛けて的確に必中させられる場所へと、ソフィのオーラの手刀が迫って来るのを確認したナギリだったが、直ぐに動揺を消すように冷静に次の手を打つ。
「『百火』」
「むっ……!?」
ナギリが何かを呟いた声がソフィの耳に届いた瞬間、ソフィの斬られた傷跡が唐突に燃え上がり始める。
「ぐ、ぬぅ……!?」
最早ソフィは斬られた時に感じた熱さではなく、明確に『魔法』の炎によって焼かれたのと同じ熱さを感じるのであった。そしてその炎はあっという間に熱量を増していき、一瞬で轟轟と燃え上がったかと思うとソフィの身体は大炎上を起こす。
技を放ったナギリはその場から一気に離脱して距離を取った後、向き直って身体が大炎上しているソフィに視線を向けた。
「や、やりすぎだよ、ナギリ!」
(いや、旦那がこの程度でやられる筈がない)
試合の様子を見ていたスオウが声をあげながら駆け出そうとするが、その横でセルバスは冷静に自身の主を無言で見つめ続けていた。
「くっ……、クックック! ハーハッハッハッハ!! 我の身体が燃えておる! そしてこれ程の鋭い痛みを我は感じておる!!」
炎上を起こしている中心からソフィの嬉しそうな声が聞こえたかと思うと――。
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ソフィを助けようと駆け出し始めていたスオウは、そのままソフィの笑い声に足を止めて、驚愕の視線を送るのだった。
「まだ終わってはおらぬ、続きをやるぞ」
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