最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1108話 組織間における情報の占有率の対比
両組織の会合の場でエイジという乱入者が現れた事で、当初こそミスズやヒノエ達は、部外者を追い出そうと考えたが、今はもう彼女たちも自分達よりも上の立場に居るシゲンに発言を委ねようと考え始めており、エイジをこの場から追い出そうとするような言及は行わなかった。
「確かにお主の言う通り『禁止区域』の調査を行わなかった事でこれまでの数百年は、平穏とも呼べる時期が訪れていたことは確かだ。今後もその平和が続くというのであれば、この世界に生きる者達を想えば、無理に今の体制を変えず、これまでのようにお主ら『妖魔召士』が、管理を続ける方がいいだろう」
エイジの言葉に折れたような発言をするシゲンに『妖魔退魔師』の幹部連中だけではなく、エイジを睨んでいたゲンロクも驚いてシゲンの方に視線を送るのだった。
「分かってくれたか?」
エイジが少しだけ声を和らげながらシゲンに言葉を告げるが、その視線の先に居るシゲンの様子を見て再びエイジの眉は顰められた。
「だがなエイジ殿。これまでも大丈夫だったのだから今後も大丈夫だろうという考えは、些か思考の放棄が過ぎないだろうか? 確かにこれまでであればお主の考えは間違ってはいないと私も同意する事も出来たかもしれない。しかし先の事件『妖魔団の乱』をお主も忘れたわけではあるまい? あの時は奴らのリーダーでさえ、ランク『7』にも届かぬ妖魔達ではあった。だがそうであっても『ケイノト』の町はこれ以上に無い程の混乱を招いた。そしてこれまで長きに渡って協力関係にあった我々でさえ、あの事件の後、袂を分かつ事となったのだぞ?」
エイジも『妖魔団の乱』は一つの転換期だったとばかりに、シゲンの言葉を聴いて頷いてみせる。
「今後『禁止区域』内の妖魔達が『妖魔団の乱』の時のように、妖魔山に居る全ての妖魔を従えて町を襲ってこないという保障があるか? あくまで我々はまず『禁止区域』へは調査を行う為に入ろうというだけだ。我ら『妖魔退魔師』はお主ら『妖魔召士』達とは違って『妖魔山』の事をほとんど何も知らぬ状態なのだ。お主らは我らが『禁止区域』内で何も考えずに討伐を名目に掲げて暴れようとしていると考えているのかもしれないがそんな事はない。妖魔山を管理しようと考えているのも今の我々の山に対する無知さ加減を憂い、ある程度の状況の把握を行う上で討伐が必要なのかどうか、それに対する備えは如何程なのかを把握しておきたいだけなのだよ」
前回の会合の時にゲンロクを試したように『妖魔退魔師』の総長シゲンは『妖魔召士』である『エイジ』に問いかけながらも自分達の行動を明確に伝えるのだった。
妖魔山の『禁止区域』内の調査を行う事は、既に彼の中で決定事項となっているようで曲げるつもりは無さそうである。
その事を踏まえた上でエイジにこれまでの安寧が偽りのモノではなく、今後もその安寧は守られていくと思うのか、安全だと決めつけて何も備えをせず、このまま危険を享受するくらいならば『禁止区域』内の調査をまず行っておいて現状の把握を行う事こそが『妖魔退魔師』組織として必要なのだとシゲンは告げる。
その上で尚シゲンの胸中ではこのシゲンの発言に対して、どのような返答を示して来るのか見極めようと『妖魔山』の『禁止区域』の件を試金石にして『エイジ』という人間を試し始めるのであった。
「なるほど。お主ら『妖魔退魔師』にも色々と考えがあって『妖魔山』の管理を行いたいという事は理解した。確かに『妖魔召士』の組織が持っている『妖魔山』の情報さえ、お主ら『妖魔退魔師』側は持ってはいないというのは確かだ。我々とは『妖魔山』の管理権に対する知識と情報の前提条件が異なっていたようだな」
これまで頭ごなしに否定を行っていたエイジだったが、シゲンが『妖魔山』の管理権を移すにあたり、必要な説明を行った事でエイジもまた『妖魔退魔師』という妖魔を討伐する組織が、その妖魔達の総本山である妖魔山の内情を得ようと考えるのは、そう不自然な事ではないのだろうと考えて少しだけ話し方を変え始めるのだった。
「確かにお主の言う通り『禁止区域』の調査を行わなかった事でこれまでの数百年は、平穏とも呼べる時期が訪れていたことは確かだ。今後もその平和が続くというのであれば、この世界に生きる者達を想えば、無理に今の体制を変えず、これまでのようにお主ら『妖魔召士』が、管理を続ける方がいいだろう」
エイジの言葉に折れたような発言をするシゲンに『妖魔退魔師』の幹部連中だけではなく、エイジを睨んでいたゲンロクも驚いてシゲンの方に視線を送るのだった。
「分かってくれたか?」
エイジが少しだけ声を和らげながらシゲンに言葉を告げるが、その視線の先に居るシゲンの様子を見て再びエイジの眉は顰められた。
「だがなエイジ殿。これまでも大丈夫だったのだから今後も大丈夫だろうという考えは、些か思考の放棄が過ぎないだろうか? 確かにこれまでであればお主の考えは間違ってはいないと私も同意する事も出来たかもしれない。しかし先の事件『妖魔団の乱』をお主も忘れたわけではあるまい? あの時は奴らのリーダーでさえ、ランク『7』にも届かぬ妖魔達ではあった。だがそうであっても『ケイノト』の町はこれ以上に無い程の混乱を招いた。そしてこれまで長きに渡って協力関係にあった我々でさえ、あの事件の後、袂を分かつ事となったのだぞ?」
エイジも『妖魔団の乱』は一つの転換期だったとばかりに、シゲンの言葉を聴いて頷いてみせる。
「今後『禁止区域』内の妖魔達が『妖魔団の乱』の時のように、妖魔山に居る全ての妖魔を従えて町を襲ってこないという保障があるか? あくまで我々はまず『禁止区域』へは調査を行う為に入ろうというだけだ。我ら『妖魔退魔師』はお主ら『妖魔召士』達とは違って『妖魔山』の事をほとんど何も知らぬ状態なのだ。お主らは我らが『禁止区域』内で何も考えずに討伐を名目に掲げて暴れようとしていると考えているのかもしれないがそんな事はない。妖魔山を管理しようと考えているのも今の我々の山に対する無知さ加減を憂い、ある程度の状況の把握を行う上で討伐が必要なのかどうか、それに対する備えは如何程なのかを把握しておきたいだけなのだよ」
前回の会合の時にゲンロクを試したように『妖魔退魔師』の総長シゲンは『妖魔召士』である『エイジ』に問いかけながらも自分達の行動を明確に伝えるのだった。
妖魔山の『禁止区域』内の調査を行う事は、既に彼の中で決定事項となっているようで曲げるつもりは無さそうである。
その事を踏まえた上でエイジにこれまでの安寧が偽りのモノではなく、今後もその安寧は守られていくと思うのか、安全だと決めつけて何も備えをせず、このまま危険を享受するくらいならば『禁止区域』内の調査をまず行っておいて現状の把握を行う事こそが『妖魔退魔師』組織として必要なのだとシゲンは告げる。
その上で尚シゲンの胸中ではこのシゲンの発言に対して、どのような返答を示して来るのか見極めようと『妖魔山』の『禁止区域』の件を試金石にして『エイジ』という人間を試し始めるのであった。
「なるほど。お主ら『妖魔退魔師』にも色々と考えがあって『妖魔山』の管理を行いたいという事は理解した。確かに『妖魔召士』の組織が持っている『妖魔山』の情報さえ、お主ら『妖魔退魔師』側は持ってはいないというのは確かだ。我々とは『妖魔山』の管理権に対する知識と情報の前提条件が異なっていたようだな」
これまで頭ごなしに否定を行っていたエイジだったが、シゲンが『妖魔山』の管理権を移すにあたり、必要な説明を行った事でエイジもまた『妖魔退魔師』という妖魔を討伐する組織が、その妖魔達の総本山である妖魔山の内情を得ようと考えるのは、そう不自然な事ではないのだろうと考えて少しだけ話し方を変え始めるのだった。
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