最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1104話 恐ろしき、当代の妖魔退魔師達
前回の会合の同じように『妖魔退魔師』のシゲン達はゲンロクの屋敷に入った。妖魔山の管理権を『妖魔召士』から『妖魔退魔師』へと移す事を『妖魔召士』の現在の長であるゲンロクに認めさせる事が、今回の目的であり話の終着点という事になる。
『妖魔退魔師』の副総長の立場に居るミスズは、元々は妖魔山の管理権よりも、コウヒョウの権益とそれを足掛かりに、今後の『妖魔退魔師』の組織の運営に必要な資金を得る為に『妖魔召士』との間で話合いを詰めていき、恒久的な収入を得ようと考えていたが、シゲンが妖魔山に対して想像以上に興味を抱いている様子を理解して『妖魔退魔師』組織である総長のシゲンの目的を最優先する事にしたのだった。
その事で前回『妖魔召士』組織の暫定の長であった『ゲンロク』に『妖魔山』の管理権を渡すように告げたが、どうやら当初は管理権を『妖魔退魔師』側に移す事を半ば認めていた様子のゲンロクだったが、何やらその妖魔山の一角、過去の両組織が『禁止区域』と認めた場所の事を総長が話し始めた事から、話の流れが違う方向へと向かってしまった。
当然『禁止区域』があるという事はこの『妖魔退魔師』という組織に属する事になった数年前から、先輩方に教えられる事はあったが、自分達の世代の『妖魔退魔師』達には、知らされていない妖魔山の内容が多く隠されているという事なのだろう。
そしてその事を『妖魔召士』を管理する者達の長『ゲンロク』は詳しく知っているのだろう。だからこそシゲン総長の言葉に真っ向から反対する行為をとって、前回は管理権を出し渋ったのだと簡単に推測出来る。
ミスズは正直に言うと『コウヒョウ』の権益の方の話を進めたいと考えていた為、もしあの時に総長が今後の決定を促す言葉を放たなければミスズは、そちらの方を確実に勧めていただろう。
――しかしもう賽は投げられたのである。
シゲンの言葉を耳にしたあの時から『妖魔退魔師』に属する全ての人間は、総長シゲンの意向に従う事が決定された。
今回の会合で『妖魔召士』側の結論が山を渡さないというのであれば、名目上ではあるが、今後は『妖魔召士』組織と戦争状態に突入する。
この場合の戦争状態とは両組織の間で行われたこれまでの取り決めの破棄。又は今後行う予定であった、取り決め云々諸々を白紙にするという事であり、具体的には全国の町々の護衛を担っている『予備群』達への護衛料の莫大な請求をも辞さない。
これまでは両組織間の取り決めがあったからこそ、双方がある意味で落とし所をつけていたが、取り決めが白紙になれば『妖魔退魔師』側の要求は青天井となる。
それを認めないと『妖魔召士』が告げた所で、護衛を行う側が無視をすればいいだけの事である。全国的にこの事が発表されてしまえば『妖魔召士』側についている町の領主達は、こぞって『妖魔退魔師』側につく事だろう。
今の『妖魔召士』の数的規模は、前時代と比べるまでもなく減少している。前時代までならば今回のような経済制裁と呼ぶに近しい事が起きていたとしても『妖魔退魔師』側とは、圧倒的な数的優位で何とかなったかもしれないが、当代の『妖魔召士』組織はその数的優位さえままらない状況である。
エイジ達のような『守旧派』の『妖魔召士』達が多く離れてしまい、更にはヒュウガ達のような最高幹部数人と、それについていた『改革派』の『妖魔召士』達が離反している。
ヒュウガについていった『改革派』の『妖魔召士』だけでも各町に与える影響は底が知れず甚大であった。
低ランクの妖魔であっても徒党を組んで町に攻めてくれば『予備群』の護衛などがなければ『結界』だけで全てをいつまでも抑えられる筈もない。
あくまで護衛という存在が居るからこそ、結界というのは役に立つのである。その護衛に支払う各町の領主達が『妖魔召士』を『後ろ盾』につけているというだけで、支払額がこれまでとは雲泥の差となり、本当に青天井にでもなってしまえば領主達は非常に困る事になるだろう。あくまで町の護衛は一例だが、その一例だけでもこれ程の影響が出るのである。
当然それだけに留まらず『妖魔退魔師』の副総長ミスズが、本気で『妖魔召士』に対して経済制裁をする為に動き出せば、ゲンロクや他の『妖魔召士』達が、思いもつかないような事態が待っているといえる。
それだけの事を冗談ではなく『ミスズ』という人間は出来る側の存在である。これまではあくまでも形は似て非なるとはいっても、仕事を共有する間柄であったからこそミスズは、遠慮をしたりもしていたが、今後その遠慮という枷を取り外してシゲンに『本気で潰せ』と言われてしまえば、ミスズは『妖魔召士』という組織を相手に全力で潰す為に、持ち得る力を最大限発揮して行動を開始するだろう。
名目上の戦争状態でさえこれだけの事が考えられるというのに加えて、前回の会合でシゲンが告げた今回の処置内容に、コウゾウを襲った実行犯及び、実行を促させたヒュウガ達の首をゲンロクに差し出させた後、ゲンロクには『妖魔召士』の長を退いてもらうという言葉が、明確に打ち出されたのである。
つまり前術した経済制裁だけではなく、そのシゲンの言葉に従わなければ、武力を以て戦争を起こす事になる。ゲンロクや『妖魔召士』達は、脅しやハッタリだと口にする事は出来ないだろう。あの『ミスズ』という副総長や、圧倒的な力を持って実力で総長になった『シゲン』。それに前々回の会合で啖呵を切った『ヒノエ』の存在。
それ以外にも『妖魔召士』であれば、誰でも知っている数々の『妖魔退魔師』の武勇伝。それらを持った『妖魔退魔師』の最高幹部達が、敵に回るというだけで、実際に行動をされないとしても、今後は決して枕を高くして寝ることは出来ないだろう。
つまり今回ゲンロクは『妖魔山』の管理権をシゲンに渡した上で、シゲンの全ての要求を呑む以外に『妖魔召士』という組織が生き残る道はない。
今回はもうシゲンやミスズ達にとっては、分かりきった答えを聞くだけの茶番と呼べる会合であった。
『妖魔退魔師』の副総長の立場に居るミスズは、元々は妖魔山の管理権よりも、コウヒョウの権益とそれを足掛かりに、今後の『妖魔退魔師』の組織の運営に必要な資金を得る為に『妖魔召士』との間で話合いを詰めていき、恒久的な収入を得ようと考えていたが、シゲンが妖魔山に対して想像以上に興味を抱いている様子を理解して『妖魔退魔師』組織である総長のシゲンの目的を最優先する事にしたのだった。
その事で前回『妖魔召士』組織の暫定の長であった『ゲンロク』に『妖魔山』の管理権を渡すように告げたが、どうやら当初は管理権を『妖魔退魔師』側に移す事を半ば認めていた様子のゲンロクだったが、何やらその妖魔山の一角、過去の両組織が『禁止区域』と認めた場所の事を総長が話し始めた事から、話の流れが違う方向へと向かってしまった。
当然『禁止区域』があるという事はこの『妖魔退魔師』という組織に属する事になった数年前から、先輩方に教えられる事はあったが、自分達の世代の『妖魔退魔師』達には、知らされていない妖魔山の内容が多く隠されているという事なのだろう。
そしてその事を『妖魔召士』を管理する者達の長『ゲンロク』は詳しく知っているのだろう。だからこそシゲン総長の言葉に真っ向から反対する行為をとって、前回は管理権を出し渋ったのだと簡単に推測出来る。
ミスズは正直に言うと『コウヒョウ』の権益の方の話を進めたいと考えていた為、もしあの時に総長が今後の決定を促す言葉を放たなければミスズは、そちらの方を確実に勧めていただろう。
――しかしもう賽は投げられたのである。
シゲンの言葉を耳にしたあの時から『妖魔退魔師』に属する全ての人間は、総長シゲンの意向に従う事が決定された。
今回の会合で『妖魔召士』側の結論が山を渡さないというのであれば、名目上ではあるが、今後は『妖魔召士』組織と戦争状態に突入する。
この場合の戦争状態とは両組織の間で行われたこれまでの取り決めの破棄。又は今後行う予定であった、取り決め云々諸々を白紙にするという事であり、具体的には全国の町々の護衛を担っている『予備群』達への護衛料の莫大な請求をも辞さない。
これまでは両組織間の取り決めがあったからこそ、双方がある意味で落とし所をつけていたが、取り決めが白紙になれば『妖魔退魔師』側の要求は青天井となる。
それを認めないと『妖魔召士』が告げた所で、護衛を行う側が無視をすればいいだけの事である。全国的にこの事が発表されてしまえば『妖魔召士』側についている町の領主達は、こぞって『妖魔退魔師』側につく事だろう。
今の『妖魔召士』の数的規模は、前時代と比べるまでもなく減少している。前時代までならば今回のような経済制裁と呼ぶに近しい事が起きていたとしても『妖魔退魔師』側とは、圧倒的な数的優位で何とかなったかもしれないが、当代の『妖魔召士』組織はその数的優位さえままらない状況である。
エイジ達のような『守旧派』の『妖魔召士』達が多く離れてしまい、更にはヒュウガ達のような最高幹部数人と、それについていた『改革派』の『妖魔召士』達が離反している。
ヒュウガについていった『改革派』の『妖魔召士』だけでも各町に与える影響は底が知れず甚大であった。
低ランクの妖魔であっても徒党を組んで町に攻めてくれば『予備群』の護衛などがなければ『結界』だけで全てをいつまでも抑えられる筈もない。
あくまで護衛という存在が居るからこそ、結界というのは役に立つのである。その護衛に支払う各町の領主達が『妖魔召士』を『後ろ盾』につけているというだけで、支払額がこれまでとは雲泥の差となり、本当に青天井にでもなってしまえば領主達は非常に困る事になるだろう。あくまで町の護衛は一例だが、その一例だけでもこれ程の影響が出るのである。
当然それだけに留まらず『妖魔退魔師』の副総長ミスズが、本気で『妖魔召士』に対して経済制裁をする為に動き出せば、ゲンロクや他の『妖魔召士』達が、思いもつかないような事態が待っているといえる。
それだけの事を冗談ではなく『ミスズ』という人間は出来る側の存在である。これまではあくまでも形は似て非なるとはいっても、仕事を共有する間柄であったからこそミスズは、遠慮をしたりもしていたが、今後その遠慮という枷を取り外してシゲンに『本気で潰せ』と言われてしまえば、ミスズは『妖魔召士』という組織を相手に全力で潰す為に、持ち得る力を最大限発揮して行動を開始するだろう。
名目上の戦争状態でさえこれだけの事が考えられるというのに加えて、前回の会合でシゲンが告げた今回の処置内容に、コウゾウを襲った実行犯及び、実行を促させたヒュウガ達の首をゲンロクに差し出させた後、ゲンロクには『妖魔召士』の長を退いてもらうという言葉が、明確に打ち出されたのである。
つまり前術した経済制裁だけではなく、そのシゲンの言葉に従わなければ、武力を以て戦争を起こす事になる。ゲンロクや『妖魔召士』達は、脅しやハッタリだと口にする事は出来ないだろう。あの『ミスズ』という副総長や、圧倒的な力を持って実力で総長になった『シゲン』。それに前々回の会合で啖呵を切った『ヒノエ』の存在。
それ以外にも『妖魔召士』であれば、誰でも知っている数々の『妖魔退魔師』の武勇伝。それらを持った『妖魔退魔師』の最高幹部達が、敵に回るというだけで、実際に行動をされないとしても、今後は決して枕を高くして寝ることは出来ないだろう。
つまり今回ゲンロクは『妖魔山』の管理権をシゲンに渡した上で、シゲンの全ての要求を呑む以外に『妖魔召士』という組織が生き残る道はない。
今回はもうシゲンやミスズ達にとっては、分かりきった答えを聞くだけの茶番と呼べる会合であった。
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