最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1094話 妖魔召士の使役する妖魔
しかしこの場の『妖魔召士』達は、ソフィ達がこの場に来る事がないとはいっても自分達の能力を封じられた状態である事には間違いない。
それでも『予備群』を相手に有効打と呼べるような一撃を一切貰わずに、避け続けられているこの『妖魔召士』の男は大したものだろう。
相手が『妖魔退魔師』程ではないとはいっても、シグレは『予備群』の中でもピカイチの力量を有している。今の状態であればたとえ『予備群』から見れば格上の『妖魔召士』であっても普通であれば、やられていても何もおかしくはなかった筈である。
そうだというのにこのヒュウガと会話を交わしていた『妖魔召士』は、劣勢に立たされてはいるもののまだ冷静に立ち回る事が出来ているといえた。
そして『妖魔召士』はもう何度目か分からないシグレの攻撃を再び躱して見せた後に、前方に出来た廊下のスペースを見据えた後、そのまま一気に廊下を駆けて行った。
「ま、待ちなさい……! くっ……! 貴方達はその連中を外に出さないようにしなさい!」
返事はなかったが周りで他の『妖魔召士』と戦闘中の『予備群』達は、ちらりとシグレに返事をするように視線を向ける。
ここまで耐えられるとは思ってもみなかったシグレは、悔しそうにしながらも直ぐに部下達に指示を出した後、逃げて行った『妖魔召士』の背中を追いかけるのだった。
…………
元々は旅籠にある旅館だった広いこの建物の廊下を『妖魔召士』の男は走りながら、振り返りながら追って来ているシグレを一瞥する。
(魔力を使えないのであれば、これならばどうだ!)
シグレから逃亡を続けるように走っていた『妖魔召士』は襖を開け放つと、一階の一番広い部屋へと入り込んだ後、こちらに向かって走って来るシグレに一呼吸分程の距離を利用して、懐から『契約紙帳』から一枚の式札を取り出して放り投げるのだった。
男が放り投げた式札はヒラヒラと宙を舞っていたが、ボンッという音と共に、一体の『式』が出現するのだった。
シグレはもうすぐ男に追いつくというところまで辿り着き、男が逃げ込んだ一室に入り込もうとした瞬間。何者かに思いきり顔を殴られて、そのまま通路側に圧し戻されたかと思うと、そのまま壁に激突しそうになったが、器用に宙で身体を反転させて地面を蹴るように足を突き出して威力を殺して、そのまま廊下に降り立って、慌てて何が起きたのか確認しようと『妖魔召士』の男が逃げ込んだ部屋に再度足を踏み入れ掛けたが、そこでシグレは見上げるほどに背丈があり、鳥の嘴のような顔をした特徴的な『妖魔』に部屋に入る瞬間に思いきり顔を殴られて、そのまま再び壁に激突させられた後、意識を失って床に倒れ伏すのだった。
…………
屯所の前でコウゾウを動けなくさせていたヒュウガは、取り巻きの『妖魔召士』達を『予備群』達の屯所の中へと入らせた後、屯所の庭先の石段に座り込みながら眼鏡を布で綺麗に拭き取っていた。
石段から立ち上がったヒュウガは、溜息を吐きながらコウゾウの前へ戻ってくる。コウゾウはヒュウガ達がこの旅籠町に現れて彼に『魔瞳』を使われてから相当もの長い間、動けない状態にされて立たされ続けていたのだった。
「やれやれ。遅いですねぇ。中には精々が数人から数十人程度の『予備群』しか居ないでしょうに、この私を待たせて彼らは一体何をモタモタとしているのでしょうか」
ヒュウガは独り言なのか、それともコウゾウに話しかけているのか。判断に困るような距離感でそう口にすると再び溜息を吐くのだった。
「……」
ヒュウガの『魔瞳』で動けなくされているコウゾウだが、どうやら言葉自体は喋られるようで、今も口を開けば会話は出来るだろうがあえてコウゾウは返事をしない。
(確かに『妖魔召士』の方々は強く『予備群』である俺達では勝てる道理はないが、この屯所内であれば少し話は変わってくる)
屯所の中へ入った『妖魔召士』達が遅いと口にしたヒュウガだが、コウゾウはその理由を明確に理解している様子であった。
それでも『予備群』を相手に有効打と呼べるような一撃を一切貰わずに、避け続けられているこの『妖魔召士』の男は大したものだろう。
相手が『妖魔退魔師』程ではないとはいっても、シグレは『予備群』の中でもピカイチの力量を有している。今の状態であればたとえ『予備群』から見れば格上の『妖魔召士』であっても普通であれば、やられていても何もおかしくはなかった筈である。
そうだというのにこのヒュウガと会話を交わしていた『妖魔召士』は、劣勢に立たされてはいるもののまだ冷静に立ち回る事が出来ているといえた。
そして『妖魔召士』はもう何度目か分からないシグレの攻撃を再び躱して見せた後に、前方に出来た廊下のスペースを見据えた後、そのまま一気に廊下を駆けて行った。
「ま、待ちなさい……! くっ……! 貴方達はその連中を外に出さないようにしなさい!」
返事はなかったが周りで他の『妖魔召士』と戦闘中の『予備群』達は、ちらりとシグレに返事をするように視線を向ける。
ここまで耐えられるとは思ってもみなかったシグレは、悔しそうにしながらも直ぐに部下達に指示を出した後、逃げて行った『妖魔召士』の背中を追いかけるのだった。
…………
元々は旅籠にある旅館だった広いこの建物の廊下を『妖魔召士』の男は走りながら、振り返りながら追って来ているシグレを一瞥する。
(魔力を使えないのであれば、これならばどうだ!)
シグレから逃亡を続けるように走っていた『妖魔召士』は襖を開け放つと、一階の一番広い部屋へと入り込んだ後、こちらに向かって走って来るシグレに一呼吸分程の距離を利用して、懐から『契約紙帳』から一枚の式札を取り出して放り投げるのだった。
男が放り投げた式札はヒラヒラと宙を舞っていたが、ボンッという音と共に、一体の『式』が出現するのだった。
シグレはもうすぐ男に追いつくというところまで辿り着き、男が逃げ込んだ一室に入り込もうとした瞬間。何者かに思いきり顔を殴られて、そのまま通路側に圧し戻されたかと思うと、そのまま壁に激突しそうになったが、器用に宙で身体を反転させて地面を蹴るように足を突き出して威力を殺して、そのまま廊下に降り立って、慌てて何が起きたのか確認しようと『妖魔召士』の男が逃げ込んだ部屋に再度足を踏み入れ掛けたが、そこでシグレは見上げるほどに背丈があり、鳥の嘴のような顔をした特徴的な『妖魔』に部屋に入る瞬間に思いきり顔を殴られて、そのまま再び壁に激突させられた後、意識を失って床に倒れ伏すのだった。
…………
屯所の前でコウゾウを動けなくさせていたヒュウガは、取り巻きの『妖魔召士』達を『予備群』達の屯所の中へと入らせた後、屯所の庭先の石段に座り込みながら眼鏡を布で綺麗に拭き取っていた。
石段から立ち上がったヒュウガは、溜息を吐きながらコウゾウの前へ戻ってくる。コウゾウはヒュウガ達がこの旅籠町に現れて彼に『魔瞳』を使われてから相当もの長い間、動けない状態にされて立たされ続けていたのだった。
「やれやれ。遅いですねぇ。中には精々が数人から数十人程度の『予備群』しか居ないでしょうに、この私を待たせて彼らは一体何をモタモタとしているのでしょうか」
ヒュウガは独り言なのか、それともコウゾウに話しかけているのか。判断に困るような距離感でそう口にすると再び溜息を吐くのだった。
「……」
ヒュウガの『魔瞳』で動けなくされているコウゾウだが、どうやら言葉自体は喋られるようで、今も口を開けば会話は出来るだろうがあえてコウゾウは返事をしない。
(確かに『妖魔召士』の方々は強く『予備群』である俺達では勝てる道理はないが、この屯所内であれば少し話は変わってくる)
屯所の中へ入った『妖魔召士』達が遅いと口にしたヒュウガだが、コウゾウはその理由を明確に理解している様子であった。
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