最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1085話 妖魔退魔師スオウ
ソフィと同じようにスオウの言葉を聞いていたヌーが口を開いた。
「おいソフィ! そんな連中待つ必要はねぇだろう? 俺達はさっさとエヴィの野郎を見つけねぇといけねぇんだ『妖魔退魔師』だか『妖魔召士』だかのどっちが管理していようが関係ねぇよ。俺達もそのイダラマって野郎と同じように山に向かっちまおうぜ」
堂々とそう言い放つ大魔王ヌーの言葉に、スオウもサシャも目を丸くする。
「そんな事は冗談でも言わない方が良いよ『妖魔召士』が管理している妖魔山はそもそも一般人の妖魔山の立ち入りは許されていないんだ。俺達も『妖魔召士』達も一度取り決めた事を破る者には容赦はしない。それが君たちのような第三者であっても同じことだ。今は大人しく黙って、総長達が帰って来るのを待っててほしいな。それに君は副総長に渡す書簡があるのだろう? 今はここで待っている方が賢明だと思うよ」
そう言ってスオウは、ヌーからソフィの方へと視線を移した。
「ハッ! 馬鹿馬鹿しい。勝手に言ってろや。俺達は力有る魔族だ。てめぇら人間の言う事に黙って従ってたまるかよ!」
そう言ってヌーは話は終わりだとばかりに部屋を出て行こうとする。どうやらこのまま彼は『エヴィ』の居る『妖魔山』に向かおうというのだろう。
踵を返して部屋の扉に向けて歩き始めたヌーだったが、その背中にスオウの言葉が投げかけられる。
「おい、ちょっと待ってくれ。そんな勝手が許されると思っているのか? 俺の言っていた言葉をちゃんと聞いていたんだろうな?」
再びスオウが刀に手をあてると先程の試すような感じではなく、本気でヌーを止めようと殺気を放ち始めた。
「てめぇ……!」
部屋を出て行こうとしていたヌーは、その殺気を背に浴びて足を止める。
「誰に向けてそんな殺気を放ってんだこらぁ! 死ぬ覚悟は出来てんだろうな!! このチビ助が!」
苛立ちを隠し切れない様子でヌーは振り返ると『三色併用』の前段階、くっきりとした『紅のオーラ』を纏い始めながら、殺気を向けたままでいるスオウの方に視線を向けた。
どうやらヌーを冷静にさせない程の殺気が『スオウ』から出されており、ヌーは無意識にオーラを纏い声を荒げた様子であった。
それを見たソフィは、ヌーの取った行いに眉を寄せた。
激昂するヌーとは対照的にスオウは、冷静な視線をヌーに向けた後、一瞬で怒号をあげたヌーの懐に入り込んだ後に大刀の柄の部分で鳩尾を突いた。
「ぐっ……」
そしてヌーは痛みというよりも鳩尾を突かれた事によって、一時的に動きを一瞬だけ止められてしまう。
「さっきも言ったけど、俺は副総長ミスズの命令を受けているんだ。その副総長がいいと許可を出すまでは大人しくこの本部に居てもらうよ」
ヌーはその言葉を耳傍で聞いたのを最後にスオウに右手で首を叩かれた直後、そのまま意識が遮断させられるのであった。
「――!」(ヌー!)
余りの一瞬の出来事に死神の『テア』でさえ守りに入る事が出来ず、そのままヌーが倒れた事でようやく声を出して死神の大鎌を具現化する。
しかし倒れているヌーの前に居るスオウに近づく前にスオウ組の『副組長』である『サシャ』が、テアに接近して首元に抜き身の刀をあてた。
「動かないで……! その場から一歩でも動けば貴方の首を斬り落とす」
「――!」(て、てめぇ……!)
テアはサシャを睨みつけるが、どうやら脅しではなく本当に『サシャ』という女の人間は、動けばテアの首を落とすつもりらしく、充てていた刀で薄くテアの皮膚を切るのであった。
「――!!」(首でも何でも勝手に落としやがれ、私は死神だ! やられても直ぐにお前を殺しに戻って来てやる!!)
言語が違う為にテアもサシャも言葉自体は互いに伝わらなかったが、言わんとしている事は伝わったようで、首に充てられている刀にお構いなしに『テア』は、大鎌を振り切ろうと力を込め始めるのであった。
そのテアの覚悟を間近で感じたサシャは、信じられないとばかりに目を丸くするが、仕方なく本当にテアの首を落とそうとサシャもまた得を持つ手に力を込め始めた。
「うむ、ひとまずはお主達の言う通り、ミスズ殿とやらが戻って来るまでここで大人しく待っているとしよう。だからお主らもそこら辺にしておくのだ」
いつの間にその場に居たのかソフィは、テアとサシャの前に立ちながら互いの武器を左右の手で押さえながらそう告げるのであった。
「――!」(そ、ソフィさん!)
「!」
間に立つように現れたソフィに、テアは驚きながらも大鎌を持つ手の力を直ぐに緩める。対するサシャは対照的に刀を持つ手に力を込めているのだが、ソフィの力が強すぎて引き剥がす事すら出来なかった様子である。
「大人しくするって言ってくれてるんだから、もういいよサシャ」
ヌーの意識を失わせた後にスオウは、腕を組んでこちらの様子を見ていたが、ソフィが間に入って告げた言葉を受けてサシャにそう声を掛けるのであった。
「分かりました……」
そう言ってサシャの力が緩まるのを確認したソフィは、そのサシャの刀から手を離してスオウの方に視線を送るのだった。
「おいソフィ! そんな連中待つ必要はねぇだろう? 俺達はさっさとエヴィの野郎を見つけねぇといけねぇんだ『妖魔退魔師』だか『妖魔召士』だかのどっちが管理していようが関係ねぇよ。俺達もそのイダラマって野郎と同じように山に向かっちまおうぜ」
堂々とそう言い放つ大魔王ヌーの言葉に、スオウもサシャも目を丸くする。
「そんな事は冗談でも言わない方が良いよ『妖魔召士』が管理している妖魔山はそもそも一般人の妖魔山の立ち入りは許されていないんだ。俺達も『妖魔召士』達も一度取り決めた事を破る者には容赦はしない。それが君たちのような第三者であっても同じことだ。今は大人しく黙って、総長達が帰って来るのを待っててほしいな。それに君は副総長に渡す書簡があるのだろう? 今はここで待っている方が賢明だと思うよ」
そう言ってスオウは、ヌーからソフィの方へと視線を移した。
「ハッ! 馬鹿馬鹿しい。勝手に言ってろや。俺達は力有る魔族だ。てめぇら人間の言う事に黙って従ってたまるかよ!」
そう言ってヌーは話は終わりだとばかりに部屋を出て行こうとする。どうやらこのまま彼は『エヴィ』の居る『妖魔山』に向かおうというのだろう。
踵を返して部屋の扉に向けて歩き始めたヌーだったが、その背中にスオウの言葉が投げかけられる。
「おい、ちょっと待ってくれ。そんな勝手が許されると思っているのか? 俺の言っていた言葉をちゃんと聞いていたんだろうな?」
再びスオウが刀に手をあてると先程の試すような感じではなく、本気でヌーを止めようと殺気を放ち始めた。
「てめぇ……!」
部屋を出て行こうとしていたヌーは、その殺気を背に浴びて足を止める。
「誰に向けてそんな殺気を放ってんだこらぁ! 死ぬ覚悟は出来てんだろうな!! このチビ助が!」
苛立ちを隠し切れない様子でヌーは振り返ると『三色併用』の前段階、くっきりとした『紅のオーラ』を纏い始めながら、殺気を向けたままでいるスオウの方に視線を向けた。
どうやらヌーを冷静にさせない程の殺気が『スオウ』から出されており、ヌーは無意識にオーラを纏い声を荒げた様子であった。
それを見たソフィは、ヌーの取った行いに眉を寄せた。
激昂するヌーとは対照的にスオウは、冷静な視線をヌーに向けた後、一瞬で怒号をあげたヌーの懐に入り込んだ後に大刀の柄の部分で鳩尾を突いた。
「ぐっ……」
そしてヌーは痛みというよりも鳩尾を突かれた事によって、一時的に動きを一瞬だけ止められてしまう。
「さっきも言ったけど、俺は副総長ミスズの命令を受けているんだ。その副総長がいいと許可を出すまでは大人しくこの本部に居てもらうよ」
ヌーはその言葉を耳傍で聞いたのを最後にスオウに右手で首を叩かれた直後、そのまま意識が遮断させられるのであった。
「――!」(ヌー!)
余りの一瞬の出来事に死神の『テア』でさえ守りに入る事が出来ず、そのままヌーが倒れた事でようやく声を出して死神の大鎌を具現化する。
しかし倒れているヌーの前に居るスオウに近づく前にスオウ組の『副組長』である『サシャ』が、テアに接近して首元に抜き身の刀をあてた。
「動かないで……! その場から一歩でも動けば貴方の首を斬り落とす」
「――!」(て、てめぇ……!)
テアはサシャを睨みつけるが、どうやら脅しではなく本当に『サシャ』という女の人間は、動けばテアの首を落とすつもりらしく、充てていた刀で薄くテアの皮膚を切るのであった。
「――!!」(首でも何でも勝手に落としやがれ、私は死神だ! やられても直ぐにお前を殺しに戻って来てやる!!)
言語が違う為にテアもサシャも言葉自体は互いに伝わらなかったが、言わんとしている事は伝わったようで、首に充てられている刀にお構いなしに『テア』は、大鎌を振り切ろうと力を込め始めるのであった。
そのテアの覚悟を間近で感じたサシャは、信じられないとばかりに目を丸くするが、仕方なく本当にテアの首を落とそうとサシャもまた得を持つ手に力を込め始めた。
「うむ、ひとまずはお主達の言う通り、ミスズ殿とやらが戻って来るまでここで大人しく待っているとしよう。だからお主らもそこら辺にしておくのだ」
いつの間にその場に居たのかソフィは、テアとサシャの前に立ちながら互いの武器を左右の手で押さえながらそう告げるのであった。
「――!」(そ、ソフィさん!)
「!」
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「大人しくするって言ってくれてるんだから、もういいよサシャ」
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