最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1026話 見張りの妖魔
『煌鴟梟』のボス達を捕えたコウゾウ達が、ソフィ達と合流してそのまま旅籠町へと向かった後、ケイノト方面にある森を抜けた先でじっとコウゾウ達を見張っていたとても大きな梟の妖魔が『人型』を取ったかと思うとゆっくりとその姿を現した。
「……」
彼はゲンロクの里に居るとある『妖魔召士』の放った『式』でランク『3』の『梟』の妖魔『浮梟』。
梟の姿で『煌鴟梟』のアジトを見張るように指示されていた彼は、一度だけ人型になった時『妖魔召士』のキネツグにその魔力を察知されかけたが、何とか結界の範囲外まで逃げ出して、再び梟の姿をとってこれまで上手く潜伏をしながら、移動を繰り返し見張っていたようである。
『浮梟』はソフィ達の姿が見えなくなった後、その『妖魔召士』の二人とトウジやミヤジといった『煌鴟梟』の者達。そして件の二人組であるソフィとヌーの情報を届けるために、浮梟はゲンロクの里に居る彼の主の元へと向かうのであった。
大きな身体をしている浮梟だが、翼を羽搏かせて一直線に空を飛びあがり、ほとんど無音のままでその場から飛び去って行った。移動する時も浮梟は、ほとんど音を出さない為、一度見失ってしまえば、彼を探す事は困難である。妖魔の相手をする事に慣れていたキネツグでさえ、一度彼を見失った後は、魔力を追う事すらせずに野良の妖魔だと判断させたほどである。
……
……
……
浮梟が『煌鴟梟』のアジトからゲンロクの里へと向かった頃、時を同じくしてゲンロクの里に居るヒュウガも密かに動きを見せていた。
「いっつ……!」
「だ、大丈夫ですか、ヒュウガ様」
ヒュウガは自室でチェーンのついた眼鏡を外しながら右目が開かない程に、腫れあがった頬に氷水をあてる。ひんやりとした冷たさを心地よく思いながらもゲンロクのヒュウガに対するケジメの為に、つけられた傷口の存外な大きさに、舌打ちをするヒュウガであった。
「はぁ……。まぁ大丈夫ですよ。それよりキネツグ達はまだ、例の連中共を仕留めていないのですか? あれからどれくらいの時間が経っていると思っているのですか」
「すみません、まだ何も連絡はありません。奴らはサカダイの近くの旅籠町に居る様子なのですが、どうやらその旅籠町には『妖魔退魔師』側の護衛が回されているようで、キネツグやチアキ達も中々に手が出しずらいようです」
「『妖魔退魔師』の下部組織の『予備群』か。確かに今連中に手を出すような事があれば、こっち側は色々とまずい事になる『妖魔退魔師』が本気になってうちと事を構えられたら『妖魔召士』の長がどうとか言っている場合じゃなくなりますからねぇ。では見張りをもっと増やしておきなさい。間違ってもキネツグとチアキには、例の二人組以外には手を出させないようにしなさい!」
「わ、分かっています! キネツグ達も『妖魔退魔師』を敵に回したらどうなる事かくらいは、考える頭は持っているはずですから心配は無いでしょうが、すでに私の『式』を見張りにまわしております」
『妖魔退魔師』という組織に所属する隊員は『妖魔召士』よりも数が少なく『式』を使える『妖魔召士』と違って『妖魔退魔師』は、身一つで妖魔と戦う者達である。
数の上では圧倒的に『妖魔召士』の方が上である為、工作行為や諜報活動といった分野においては『妖魔退魔師』に遅れを取る事は無い。
しかし抗争となるような事だけは、絶対に避けなければならない。
『式』と禁術を発展させた今の『妖魔召士』側であっても、戦闘面に関して『妖魔召士』は『妖魔退魔師』に勝てる道理が無いからである。
その事を深く理解している者は、ゲンロクやヒュウガ、そしてサイヨウやエイジまでの時代であり、その下の世代の『妖魔召士』達は、粗末な文献や伝来程度にしか理解していない。
しかしヒュウガ達はまだ件の二人組を抹殺する為だけに差し向けた筈の追手。その『妖魔召士』二名『キネツグ』と『チアキ』が予想に反して『妖魔退魔師』側の下部組織である『予備群』に手を出している事など露程にも思っておらず、この後ヒュウガと会話をしている『妖魔召士』の『式』が伝えるとんでもない報告によって、この両名は酷く後悔する事となるのであった。
「……」
彼はゲンロクの里に居るとある『妖魔召士』の放った『式』でランク『3』の『梟』の妖魔『浮梟』。
梟の姿で『煌鴟梟』のアジトを見張るように指示されていた彼は、一度だけ人型になった時『妖魔召士』のキネツグにその魔力を察知されかけたが、何とか結界の範囲外まで逃げ出して、再び梟の姿をとってこれまで上手く潜伏をしながら、移動を繰り返し見張っていたようである。
『浮梟』はソフィ達の姿が見えなくなった後、その『妖魔召士』の二人とトウジやミヤジといった『煌鴟梟』の者達。そして件の二人組であるソフィとヌーの情報を届けるために、浮梟はゲンロクの里に居る彼の主の元へと向かうのであった。
大きな身体をしている浮梟だが、翼を羽搏かせて一直線に空を飛びあがり、ほとんど無音のままでその場から飛び去って行った。移動する時も浮梟は、ほとんど音を出さない為、一度見失ってしまえば、彼を探す事は困難である。妖魔の相手をする事に慣れていたキネツグでさえ、一度彼を見失った後は、魔力を追う事すらせずに野良の妖魔だと判断させたほどである。
……
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浮梟が『煌鴟梟』のアジトからゲンロクの里へと向かった頃、時を同じくしてゲンロクの里に居るヒュウガも密かに動きを見せていた。
「いっつ……!」
「だ、大丈夫ですか、ヒュウガ様」
ヒュウガは自室でチェーンのついた眼鏡を外しながら右目が開かない程に、腫れあがった頬に氷水をあてる。ひんやりとした冷たさを心地よく思いながらもゲンロクのヒュウガに対するケジメの為に、つけられた傷口の存外な大きさに、舌打ちをするヒュウガであった。
「はぁ……。まぁ大丈夫ですよ。それよりキネツグ達はまだ、例の連中共を仕留めていないのですか? あれからどれくらいの時間が経っていると思っているのですか」
「すみません、まだ何も連絡はありません。奴らはサカダイの近くの旅籠町に居る様子なのですが、どうやらその旅籠町には『妖魔退魔師』側の護衛が回されているようで、キネツグやチアキ達も中々に手が出しずらいようです」
「『妖魔退魔師』の下部組織の『予備群』か。確かに今連中に手を出すような事があれば、こっち側は色々とまずい事になる『妖魔退魔師』が本気になってうちと事を構えられたら『妖魔召士』の長がどうとか言っている場合じゃなくなりますからねぇ。では見張りをもっと増やしておきなさい。間違ってもキネツグとチアキには、例の二人組以外には手を出させないようにしなさい!」
「わ、分かっています! キネツグ達も『妖魔退魔師』を敵に回したらどうなる事かくらいは、考える頭は持っているはずですから心配は無いでしょうが、すでに私の『式』を見張りにまわしております」
『妖魔退魔師』という組織に所属する隊員は『妖魔召士』よりも数が少なく『式』を使える『妖魔召士』と違って『妖魔退魔師』は、身一つで妖魔と戦う者達である。
数の上では圧倒的に『妖魔召士』の方が上である為、工作行為や諜報活動といった分野においては『妖魔退魔師』に遅れを取る事は無い。
しかし抗争となるような事だけは、絶対に避けなければならない。
『式』と禁術を発展させた今の『妖魔召士』側であっても、戦闘面に関して『妖魔召士』は『妖魔退魔師』に勝てる道理が無いからである。
その事を深く理解している者は、ゲンロクやヒュウガ、そしてサイヨウやエイジまでの時代であり、その下の世代の『妖魔召士』達は、粗末な文献や伝来程度にしか理解していない。
しかしヒュウガ達はまだ件の二人組を抹殺する為だけに差し向けた筈の追手。その『妖魔召士』二名『キネツグ』と『チアキ』が予想に反して『妖魔退魔師』側の下部組織である『予備群』に手を出している事など露程にも思っておらず、この後ヒュウガと会話をしている『妖魔召士』の『式』が伝えるとんでもない報告によって、この両名は酷く後悔する事となるのであった。
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