最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第962話 虚ろな目をした煌鴟梟のボス
「ボス……。貴方が最近入れた新入りが、もうすぐここに捕らえられていた男を連れて来るでしょう」
数日前セルバスに命令を下したミヤジは、アジトにある現在の『煌鴟梟』のボスの部屋でそう告げた。
「そうか。あの旅籠町はもう駄目だ。今回捕らえられた奴が何も吐いていなかったとしてももう目はつけられている事だろう。サノスケにも経営者を変えるように伝えたが、お前もあの町を出ろ」
『煌鴟梟』のボスはどこか虚ろな目をしながらもミヤジの今後について、説明を行い始めるのだった。
「はっ……? そ、それは余りにも、突然すぎやしませんか? あの町は今回こそ失敗はしましたが、これまでも多く稼げた穴場ですよ。俺達は直接護衛の連中に顔はバレていませんし、また一から足場を固める作業を行うくらいならば、今の町でもう少し稼ぐべきかと!」
これまでのミヤジの知っている『煌鴟梟』のボスの考え方とは、似ても似つかぬその言葉に、反論を唱えるミヤジであった。
「いいから言う通りにするんだ、ミヤジ。そして今度お前に頼もうと思っている仕事は少し荒事になる。そこで今度は専門の武闘派である『セルバス』を全面的に使おうと思っている。お前はセルバスのサポートに回って、奴の言う通りに動け」
「なっ……!?」
(こ、この俺が、あの新入りのサポートをしろだと!?)
今度こそミヤジは目を丸くして絶句する。
「そ、そんな馬鹿な話を聞けるわけがないでしょう!? 俺はアンタがボスになる前からこの『煌鴟梟』の幹部にいた男ですよ!? 前のボスがアンタの言う事を聞けって言うから、俺はそれに従っていただけだ。い、言うに事を欠いてこの俺が、今後は新入りの助力をしろですって!?」
絶句していたミヤジは、沸々と怒りが沸いてきたかと思えば『煌鴟梟』のボスに対して、衝動的に文句を並べ立ててまくし立てるのだった。
しかし彼が不満に思うのも無理はない。
今回の人攫いの一件が行われる前と行われた後で、目の前のボスの様子が明らかに変わってしまっているのである。
先代の『煌鴟梟』のボスは残忍で暴力的な男であったが、当代の今の目の前に居るボスは、冷静に仕事を見極められる男で更にはこの場で現在、激昂しているミヤジを最高幹部と見ていて、ミヤジの野望を理解した上でボスはミヤジを買ってくれていた。
しかしそんなボスの様子は明らかに変わっていて、まるで見えない誰かに淡々と与えられた命令を聴いているだけにしか見えない。それも虚ろな目をしている事も相まって、機械的に従っているだけにしか見えなかった。
「ミヤジ。お前はセルバスと合流を果たし次第、次の指定する町でこちらから指示を出すまで潜伏していろ」
まるでミヤジの怒りの声を聞いていないかの如く、再び今後について話を続けるのであった。
「こ、この……!」
そのあまりのボスの態度にミヤジは我慢ならなくなったのか、ボスに近づこうとして、両脇に立っていたボスのガードに取り押さえられる。
「は、離せ!! クソッ!!」
ボスのガード役についている男たちによって、あっさりと動きを封じられる。ミヤジは頭が切れる組織の大幹部であることに間違いはないのだが、力はそこまで大したことは無く、ただの人間と変わらない。
「落ち着いて下さい、ミヤジさん!」
「ボスの決定ですよ! いつもの冷静な貴方に戻るべきだ」
ガードの二人に取り押さえられながら、諫められてしまう始末であった。確かに『煌鴟梟』のボスの決定に逆らおうとしているはミヤジであり、組織のボスの部下であるミヤジがボスの決定に反論するのは間違っている。
しかしこれまでのボスとの関係性からは、どうにも腑に落ちないミヤジであった。
結局ミヤジはそのまま、ボスの命令で退室させられてしまい、アジトにある一部屋に入れられるのであった。
「明らかにボスの様子がおかしい。今回の人攫いの一件前とは別人だ。それにあんな目をするボスじゃなかった」
先代の時代から『煌鴟梟』に居た大幹部のミヤジは、余りに人が変わったような今の煌鴟梟のボスの様子に信じられないと部屋で一人、そう漏らすのであった。
数日前セルバスに命令を下したミヤジは、アジトにある現在の『煌鴟梟』のボスの部屋でそう告げた。
「そうか。あの旅籠町はもう駄目だ。今回捕らえられた奴が何も吐いていなかったとしてももう目はつけられている事だろう。サノスケにも経営者を変えるように伝えたが、お前もあの町を出ろ」
『煌鴟梟』のボスはどこか虚ろな目をしながらもミヤジの今後について、説明を行い始めるのだった。
「はっ……? そ、それは余りにも、突然すぎやしませんか? あの町は今回こそ失敗はしましたが、これまでも多く稼げた穴場ですよ。俺達は直接護衛の連中に顔はバレていませんし、また一から足場を固める作業を行うくらいならば、今の町でもう少し稼ぐべきかと!」
これまでのミヤジの知っている『煌鴟梟』のボスの考え方とは、似ても似つかぬその言葉に、反論を唱えるミヤジであった。
「いいから言う通りにするんだ、ミヤジ。そして今度お前に頼もうと思っている仕事は少し荒事になる。そこで今度は専門の武闘派である『セルバス』を全面的に使おうと思っている。お前はセルバスのサポートに回って、奴の言う通りに動け」
「なっ……!?」
(こ、この俺が、あの新入りのサポートをしろだと!?)
今度こそミヤジは目を丸くして絶句する。
「そ、そんな馬鹿な話を聞けるわけがないでしょう!? 俺はアンタがボスになる前からこの『煌鴟梟』の幹部にいた男ですよ!? 前のボスがアンタの言う事を聞けって言うから、俺はそれに従っていただけだ。い、言うに事を欠いてこの俺が、今後は新入りの助力をしろですって!?」
絶句していたミヤジは、沸々と怒りが沸いてきたかと思えば『煌鴟梟』のボスに対して、衝動的に文句を並べ立ててまくし立てるのだった。
しかし彼が不満に思うのも無理はない。
今回の人攫いの一件が行われる前と行われた後で、目の前のボスの様子が明らかに変わってしまっているのである。
先代の『煌鴟梟』のボスは残忍で暴力的な男であったが、当代の今の目の前に居るボスは、冷静に仕事を見極められる男で更にはこの場で現在、激昂しているミヤジを最高幹部と見ていて、ミヤジの野望を理解した上でボスはミヤジを買ってくれていた。
しかしそんなボスの様子は明らかに変わっていて、まるで見えない誰かに淡々と与えられた命令を聴いているだけにしか見えない。それも虚ろな目をしている事も相まって、機械的に従っているだけにしか見えなかった。
「ミヤジ。お前はセルバスと合流を果たし次第、次の指定する町でこちらから指示を出すまで潜伏していろ」
まるでミヤジの怒りの声を聞いていないかの如く、再び今後について話を続けるのであった。
「こ、この……!」
そのあまりのボスの態度にミヤジは我慢ならなくなったのか、ボスに近づこうとして、両脇に立っていたボスのガードに取り押さえられる。
「は、離せ!! クソッ!!」
ボスのガード役についている男たちによって、あっさりと動きを封じられる。ミヤジは頭が切れる組織の大幹部であることに間違いはないのだが、力はそこまで大したことは無く、ただの人間と変わらない。
「落ち着いて下さい、ミヤジさん!」
「ボスの決定ですよ! いつもの冷静な貴方に戻るべきだ」
ガードの二人に取り押さえられながら、諫められてしまう始末であった。確かに『煌鴟梟』のボスの決定に逆らおうとしているはミヤジであり、組織のボスの部下であるミヤジがボスの決定に反論するのは間違っている。
しかしこれまでのボスとの関係性からは、どうにも腑に落ちないミヤジであった。
結局ミヤジはそのまま、ボスの命令で退室させられてしまい、アジトにある一部屋に入れられるのであった。
「明らかにボスの様子がおかしい。今回の人攫いの一件前とは別人だ。それにあんな目をするボスじゃなかった」
先代の時代から『煌鴟梟』に居た大幹部のミヤジは、余りに人が変わったような今の煌鴟梟のボスの様子に信じられないと部屋で一人、そう漏らすのであった。
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