最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第938話 サカダイの派遣部隊
「隊長! 逃げようとしていた連中を全て確保。屯所に連行しておきました!」
酒場を出たコウゾウ達の元に、店の宿に踏み込んできた護衛隊たちが走りながら近づいてきて、開口一番に報告を告げてくる。
「そうか、ご苦労! これから俺達も屯所へ向かう。お前達は引き続き見回りを続けろ。何か不審な輩が居た時は、また俺に知らせにこい」
「了解しました!」
三人程居た若い警備隊の者達は、コウゾウに敬礼するとその場から去っていった。
「では、悪いが屯所に来てもらうぞ」
「うむ」
警備隊のやり取りを感心しながら見ていたソフィにコウゾウは声を掛けると、どうやら屯所がある方へと歩き始めるのだった。ソフィはその後ろをついていきながら、エイジに小声で話掛ける。
「どうやらお主が言っておった通り、この町の治安を守る護衛の者達というのは、指揮系統がちゃんと機能していて、しっかりしているようだな」
「そうだろう。この町の護衛隊と名乗っておるが、彼らはサカダイから派遣されてきた『予備群』で間違いは無さそうだ」
「予備群?」
「サカダイの町には『妖魔退魔師』という戦士たちが居るのは説明したな?」
「うむ、妖魔から人間達を守る者達でお主ら『妖魔召士』とは違う組織の者達だったか」
「その通りだ。そして彼ら『予備群』とは、その『妖魔退魔師』側の組織の中に存在する『下部組織』のような者達の事で『妖魔退魔師』には選ばれなかったが、下位の妖魔相手であれば、十分に戦える者達である」
「なるほど『妖魔退魔師』の下部組織……か。つまりは『ゲンロク』とやらの組織する『退魔組』のようなものなのだな?」
「位置付け的にはそうなるだろうが、役職や戦力としては全く別物だな」
「ふむ……。ややこしいものだな」
組織が違うのだから全く同じでは無いのは当然かとソフィは頷いたが、まだよく分かっていない為に曖昧な返事になってしまうのであった。
「ケイノトの町に『妖魔退魔師』が居た頃にはなかった組織なのだが、サカダイの町に彼らの組織が移って行ってから出来た彼らの組織の稼業の一つにこうした旅籠屋や、治安維持の出来ない小さな町などに『サカダイ』に護衛要請依頼を出す事で彼らのような『予備群』達が駆り出されて、こうして町の警備隊として代わりに彼らが町の治安維持を務めているのだろう」
そこまでエイジが話をすると、コウゾウは足を止めて振り返った。
「大体はあっているが俺達は町の警備隊では無い。あくまでサカダイの護衛の者達だ。呼ぶなら『護衛隊』と呼んでもらおう」
「すまぬすまぬ、護衛隊だな」
「うむ!」
エイジが言い直すと彼は満足したのか、笑みを浮かべて再び歩き始めた。
「どうやらこだわりがあるようだな」
「そのようだ。気を付けておくに、越したことは無いだろう」
(ふーむ。色々と覚える事が多くて難儀する世界だ。しかし魔力はそこまで大きくは感じられぬが、少し探ってみるか)
ソフィは気づかれないように、背後からコウゾウに向けて『漏出』を放った。
【種族:人間 名前:コウゾウ 年齢:23歳 状態:通常
魔力値:40 戦力値:測定不能 所属:サカダイの予備群】。
『漏出』によって、出てきた詳細を見てソフィは首を傾げた。
(ふむ……。退魔組の『退魔師』とやらと違って全く魔力は高くはないようだ。しかしこの形態での漏出では、彼の戦力値は測れない。つまり戦力値はそこまで低くはないという事だ)
先程もエイジは言っていたが、下位ランクの妖魔達であれば彼らは十分に戦えると言っていた。つまりエイジの言う下位ランクとは、今の我の魔力値では推し量れない程度の妖魔達だという事だろう。
(今の我の形態であっても、真なる魔王程度が相手であれば十分に測れるのだがな、まぁこの旅籠に来る前であっても、ミカゲやシタギと呼ばれていた者達も測れなかったのだが。最低でもコウゾウ殿は、大魔王クラスはあるという事か……?)
このノックスの世界の常識は、リラリオの世界と同じように考えてはいけないのだと、改めて考え直すソフィであった。
(全く、この世界もまた期待させる世界だな)
そしてソフィはニヤリと笑みを浮かべながら、コウゾウの言っていた屯所まで歩いて行くのであった。
酒場を出たコウゾウ達の元に、店の宿に踏み込んできた護衛隊たちが走りながら近づいてきて、開口一番に報告を告げてくる。
「そうか、ご苦労! これから俺達も屯所へ向かう。お前達は引き続き見回りを続けろ。何か不審な輩が居た時は、また俺に知らせにこい」
「了解しました!」
三人程居た若い警備隊の者達は、コウゾウに敬礼するとその場から去っていった。
「では、悪いが屯所に来てもらうぞ」
「うむ」
警備隊のやり取りを感心しながら見ていたソフィにコウゾウは声を掛けると、どうやら屯所がある方へと歩き始めるのだった。ソフィはその後ろをついていきながら、エイジに小声で話掛ける。
「どうやらお主が言っておった通り、この町の治安を守る護衛の者達というのは、指揮系統がちゃんと機能していて、しっかりしているようだな」
「そうだろう。この町の護衛隊と名乗っておるが、彼らはサカダイから派遣されてきた『予備群』で間違いは無さそうだ」
「予備群?」
「サカダイの町には『妖魔退魔師』という戦士たちが居るのは説明したな?」
「うむ、妖魔から人間達を守る者達でお主ら『妖魔召士』とは違う組織の者達だったか」
「その通りだ。そして彼ら『予備群』とは、その『妖魔退魔師』側の組織の中に存在する『下部組織』のような者達の事で『妖魔退魔師』には選ばれなかったが、下位の妖魔相手であれば、十分に戦える者達である」
「なるほど『妖魔退魔師』の下部組織……か。つまりは『ゲンロク』とやらの組織する『退魔組』のようなものなのだな?」
「位置付け的にはそうなるだろうが、役職や戦力としては全く別物だな」
「ふむ……。ややこしいものだな」
組織が違うのだから全く同じでは無いのは当然かとソフィは頷いたが、まだよく分かっていない為に曖昧な返事になってしまうのであった。
「ケイノトの町に『妖魔退魔師』が居た頃にはなかった組織なのだが、サカダイの町に彼らの組織が移って行ってから出来た彼らの組織の稼業の一つにこうした旅籠屋や、治安維持の出来ない小さな町などに『サカダイ』に護衛要請依頼を出す事で彼らのような『予備群』達が駆り出されて、こうして町の警備隊として代わりに彼らが町の治安維持を務めているのだろう」
そこまでエイジが話をすると、コウゾウは足を止めて振り返った。
「大体はあっているが俺達は町の警備隊では無い。あくまでサカダイの護衛の者達だ。呼ぶなら『護衛隊』と呼んでもらおう」
「すまぬすまぬ、護衛隊だな」
「うむ!」
エイジが言い直すと彼は満足したのか、笑みを浮かべて再び歩き始めた。
「どうやらこだわりがあるようだな」
「そのようだ。気を付けておくに、越したことは無いだろう」
(ふーむ。色々と覚える事が多くて難儀する世界だ。しかし魔力はそこまで大きくは感じられぬが、少し探ってみるか)
ソフィは気づかれないように、背後からコウゾウに向けて『漏出』を放った。
【種族:人間 名前:コウゾウ 年齢:23歳 状態:通常
魔力値:40 戦力値:測定不能 所属:サカダイの予備群】。
『漏出』によって、出てきた詳細を見てソフィは首を傾げた。
(ふむ……。退魔組の『退魔師』とやらと違って全く魔力は高くはないようだ。しかしこの形態での漏出では、彼の戦力値は測れない。つまり戦力値はそこまで低くはないという事だ)
先程もエイジは言っていたが、下位ランクの妖魔達であれば彼らは十分に戦えると言っていた。つまりエイジの言う下位ランクとは、今の我の魔力値では推し量れない程度の妖魔達だという事だろう。
(今の我の形態であっても、真なる魔王程度が相手であれば十分に測れるのだがな、まぁこの旅籠に来る前であっても、ミカゲやシタギと呼ばれていた者達も測れなかったのだが。最低でもコウゾウ殿は、大魔王クラスはあるという事か……?)
このノックスの世界の常識は、リラリオの世界と同じように考えてはいけないのだと、改めて考え直すソフィであった。
(全く、この世界もまた期待させる世界だな)
そしてソフィはニヤリと笑みを浮かべながら、コウゾウの言っていた屯所まで歩いて行くのであった。
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