最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第871話 タクシンの亡骸
『加護の森』の変わり果てた様子に驚かされたミカゲ達だが、森の中へ入ってからその時とは比較にならない驚きを彼らは見せる事となった。
その理由とは森の中に入って少し進んだ先に、不自然に盛り上がった土があり、不審に思った退魔士が、その地面を掘り起こしたのだが何とそこには『特別退魔士』の『タクシン』が埋められていたのである。
「「う、うわああっ!!」」
その姿を見た退魔士達が驚きの声をあげながら後ずさる。
「た、タクシン様!?」
ミカゲもまた変わり果てたタクシンの姿に、他の者達と同じ驚きの声をあげる。ミカゲは目の前で眠るように息を引き取っているタクシンに、サテツやゲンロクに二人組の事を伝えるようと言われた。それはつまり、このタクシンの最後の会話を交わした人物という事になる。
彼にとって次に会う時は二人組の妖魔を倒した後だと信じて疑わなかった、タクシンの死体が出てきたのである。驚くなという方が無理だろう。
タクシンの身体を両手で掴みながら、ミカゲは涙を浮かべる。
「スー、少しこの場を頼む」
「あ、ああ?」
「まだこの辺に妖魔が居るかもしれない。結界の様子を探りながら俺は頭領殿に伝達の『式』を送る」
「そ、そうだな。よしこの場は任せろ。お前ら! この場から動くんじゃねぇぞ、まだ妖魔がいるかもしれねぇ!」
スーがそう叫ぶと放心状態だった退魔士達は、何とか我に返ったが今度は妖魔がまだこの辺に潜伏しているかもしれないと考えてしまい、震えあがりながら、先程とは違う緊張感の中で辺りを見回すのだった。
…………
その場を一旦離れたイバキは森一帯の結界を意識し始めるが、妖魔達の魔力は感じ取れなかった。
「戦闘の跡を見る限り、だいぶ前にタクシンがやられたのは明らかだが、二人組はもうこの辺りにはもう居ないかな」
イバキは森の入り口付近まで戻った後、懐から一枚の札を取り出して妖魔を『式』として使役する。ボンッという音とともに現れた妖魔は鳥の妖魔であった。
鳥であった妖魔は、何と人型へと姿を変貌させていく。今はランク『4』が人型になれる妖魔の基準とされているが、昔は人型をとれる妖魔はどの種であってもランク『3』以上とされていた。
背中から羽根を生やした人型となったイバキの『式』は、辺りを見回した後に主のイバキに視線を向けた。
「どうやら戦闘で私を呼んだのではなく、伝令を頼みたいという事かな? 主殿」
「久しぶりだな『劉鷺』。察しが良くて助かるよ。一つ『ケイノト』まで伝令を頼みたい。頭領や同志達既にタクシンが事切れていたと伝えてくれ」
イバキはタクシンと同じ『特別退魔士』だが、どうやら強制的に従わせているワケでは無いようで、自分の『式』に命令する口調では無く、頼む態度で告げる。
「あの野郎、遂にくたばったのかい。そりゃいい気味だね全く、いい事聞いて胸がスーッとしたよ主殿」
「『劉鷺』!」
「……すまない冗談だ。アンタの頼みはもちろん聞くから許しておくれ」
そう言うと背中の羽根を羽搏かせながら『劉鷺』と呼ばれたサギの妖魔は、上空へと飛翔していく。
「劉鷺、伝え終わったらすぐに戻ってきてくれ。サテツの頭領や、他の同志に呼び止められても無視して構わないからな」
「あいよ! どっちにしろ俺は主殿以外には従わないからね」
そう言って主のイバキに笑みを見せた後、劉鷺は森の上空から『ケイノト』の方面へと飛んで行った。
『劉鷺』はタクシンが使役していた妖魔とはスピードが全く違い、恐ろしい速度で去っていくのであった。
「しかしタクシン程の男を葬る者達か。簡単に負けるつもりは無いが、油断が出来ない相手のようだね」
そう言ってイバキは当初の目的を果たして、退魔組の屯所に伝令を飛ばした後、再びスー達の待つ森の奥へと戻っていくのだった。
その理由とは森の中に入って少し進んだ先に、不自然に盛り上がった土があり、不審に思った退魔士が、その地面を掘り起こしたのだが何とそこには『特別退魔士』の『タクシン』が埋められていたのである。
「「う、うわああっ!!」」
その姿を見た退魔士達が驚きの声をあげながら後ずさる。
「た、タクシン様!?」
ミカゲもまた変わり果てたタクシンの姿に、他の者達と同じ驚きの声をあげる。ミカゲは目の前で眠るように息を引き取っているタクシンに、サテツやゲンロクに二人組の事を伝えるようと言われた。それはつまり、このタクシンの最後の会話を交わした人物という事になる。
彼にとって次に会う時は二人組の妖魔を倒した後だと信じて疑わなかった、タクシンの死体が出てきたのである。驚くなという方が無理だろう。
タクシンの身体を両手で掴みながら、ミカゲは涙を浮かべる。
「スー、少しこの場を頼む」
「あ、ああ?」
「まだこの辺に妖魔が居るかもしれない。結界の様子を探りながら俺は頭領殿に伝達の『式』を送る」
「そ、そうだな。よしこの場は任せろ。お前ら! この場から動くんじゃねぇぞ、まだ妖魔がいるかもしれねぇ!」
スーがそう叫ぶと放心状態だった退魔士達は、何とか我に返ったが今度は妖魔がまだこの辺に潜伏しているかもしれないと考えてしまい、震えあがりながら、先程とは違う緊張感の中で辺りを見回すのだった。
…………
その場を一旦離れたイバキは森一帯の結界を意識し始めるが、妖魔達の魔力は感じ取れなかった。
「戦闘の跡を見る限り、だいぶ前にタクシンがやられたのは明らかだが、二人組はもうこの辺りにはもう居ないかな」
イバキは森の入り口付近まで戻った後、懐から一枚の札を取り出して妖魔を『式』として使役する。ボンッという音とともに現れた妖魔は鳥の妖魔であった。
鳥であった妖魔は、何と人型へと姿を変貌させていく。今はランク『4』が人型になれる妖魔の基準とされているが、昔は人型をとれる妖魔はどの種であってもランク『3』以上とされていた。
背中から羽根を生やした人型となったイバキの『式』は、辺りを見回した後に主のイバキに視線を向けた。
「どうやら戦闘で私を呼んだのではなく、伝令を頼みたいという事かな? 主殿」
「久しぶりだな『劉鷺』。察しが良くて助かるよ。一つ『ケイノト』まで伝令を頼みたい。頭領や同志達既にタクシンが事切れていたと伝えてくれ」
イバキはタクシンと同じ『特別退魔士』だが、どうやら強制的に従わせているワケでは無いようで、自分の『式』に命令する口調では無く、頼む態度で告げる。
「あの野郎、遂にくたばったのかい。そりゃいい気味だね全く、いい事聞いて胸がスーッとしたよ主殿」
「『劉鷺』!」
「……すまない冗談だ。アンタの頼みはもちろん聞くから許しておくれ」
そう言うと背中の羽根を羽搏かせながら『劉鷺』と呼ばれたサギの妖魔は、上空へと飛翔していく。
「劉鷺、伝え終わったらすぐに戻ってきてくれ。サテツの頭領や、他の同志に呼び止められても無視して構わないからな」
「あいよ! どっちにしろ俺は主殿以外には従わないからね」
そう言って主のイバキに笑みを見せた後、劉鷺は森の上空から『ケイノト』の方面へと飛んで行った。
『劉鷺』はタクシンが使役していた妖魔とはスピードが全く違い、恐ろしい速度で去っていくのであった。
「しかしタクシン程の男を葬る者達か。簡単に負けるつもりは無いが、油断が出来ない相手のようだね」
そう言ってイバキは当初の目的を果たして、退魔組の屯所に伝令を飛ばした後、再びスー達の待つ森の奥へと戻っていくのだった。
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