最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第860話 建前では無く本音で
「ど、動忍鬼はランク『4』の妖魔とされている筈だが……!
「お主達が先程から言っておるランク『2』やランク『4』とやらは、一体何なのだ?」
「すまぬソフィ殿、その質問に答える前に小生に聞かせて欲しいのだが、タクシンはそこに居るヌー殿が倒したと聞いたが『動忍鬼』……。鬼人の妖魔は自由になった後、何故殺さずに山に返したのかを聞かせてくれるか?」
「それはあやつが悪い奴ではなかったからだが?」
あっさりと短い言葉でそう告げたソフィに、質問をしたエイジは目を丸くして、今度こそ誰が見ても分かる程に驚いて見せるのだった。
「は、話を聞いていたか、ソフィ殿? お主が相手をした妖魔は、この『ケイノト』を襲撃してきた妖魔の軍勢の者だ。人間を襲う妖魔をお主は、悪い奴では無いと言ったのか?」
ソフィはジッとエイジの表情を窺う。この質問の意図を探ろうとするが、今のエイジは無表情のままであり、流石のソフィから見てもどういう意図でこの質問を行っているか、それを表情と言葉のトーンだけでは読み切れなかった。
仕方無くソフィは、自分の本音で語り始める。
「あやつは『タクシン」とやらに術を施されて、無理矢理襲うように指示をされておった。それに本当は我と戦いたくはないとあやつは言っておったのだ」
タクシンに自我を失わされる前に動忍鬼と『念話』で会話を交わしたソフィは、タクシンの命令で嫌々従わされていたという事を知っていた。
「だが、その鬼人は『ケイノト」の町を襲いに来た妖魔団の一員の妖魔だぞ? 悪いか悪くないかで言えば、悪い奴なのでは無いか?」
「無論、襲撃行為自体は悪い事ではあるだろう。しかしそれも、我には理解が出来る理由があった」
「その理由とはなんだ?」
「無理矢理妖魔を『式』にし強引に従わせて奴隷のように扱う『妖魔召士』という者達から同胞を救い出すという理由だ」
ソフィは動忍鬼からこの町を襲った理由を直接聞いている。そしてその理由を聞いたソフィは、動忍鬼を『悪』ではないと判断した。報復行為自体許されないと思う者もいるだろうが、それは奪われた事がない者だから言える事であり、ソフィにとっては動忍鬼の告げた理由は、真っ当な理由であった。
「ソフィ殿……。勘違いしてほしくないのだが、決して『妖魔召士』は、妖魔を奴隷に扱う者達では無いのだ……!」
「お主はそう考えておるやもしれぬが、あやつはこうもいっておったぞ」
――『人間達は自分達の私欲の為に、我々妖魔達を従える事を目的としている』。
「!」
動忍鬼との会話で彼女がソフィに言っていた言葉をそのままソフィが告げると、エイジは辛そうな表情を浮かべるのだった。そして言葉に詰まった彼の代わりに、横に居た『シュウ』が口を開いた。
「その妖魔が言っている『妖魔召士』は、エイちゃんみたいな本当の『妖魔召士』の事ではないのだろう。それこそ、アイツラ……『退魔組』の連中の事を言っているんだと思うぞ」
俯きがちにソフィにそう伝えるが、彼は内心ではエイジを想っての発言だったのだろう。言葉に出した後にシュウは隣に居るエイジの顔を見るのだった。
「奴に……『動忍鬼』にしてみれば、契約を用いて『式』に変える人間は、皆『妖魔召士』に映っていたという事だろうが、同胞を助けに行く為に行動を起こしたという理由を聞いて我はあやつを自由にする為に山に返したというワケだ」
「成程、理由を話してくれて感謝する」
ソフィが動忍鬼という鬼人の妖魔を山に返した理由を聞き、エイジは顔をあげた後に理解したとソフィに礼を言うのだった。
「『退魔組』に居る者達も決して全員が悪者というワケでは無いのだ。この『ケイノト』に住む町人たちを守る為にあらゆる方法を模索し、町を去った『妖魔退魔師』の代わりに少しでも悪しき妖魔たちと戦えるようにと生み出された組織が『退魔組』なのだ……」
「だが、中途半端に退魔士増えすぎた結果。変革を恐れた『妖魔召士』達の考えていた通り、屑のような考え方をする人間が増えたのも確かだがな」
どうやらシュウという人間は、退魔組に恨みがあるのだろうか。エイジが退魔組の事に関して、フォローを入れようとした瞬間、間髪入れずに悪い点を補足するように告げてくるシュウであった。
「先程、ランクの事について聞いていたな……」
少し場の空気が悪くなり始めた頃、切り替えるようにエイジが口を開いた。
「うむ。相手の強さの基準を示す数値なのだろうと予測は付くが、ランク『1』あたりでどれくらいの差が、あるのかは聞いておきたいところだ」
「この『ランク』の基準は、相当昔の人間が決めたもので今と少しだけ乖離している部分もあるが、それでも構わぬか?」
「ああ、大体の目安が分かれば十分だ」
エイジの言葉に軽く首を縦に振るソフィであった。
そしてどうやらヌーも興味があるようで、先程までよりも幾分こちらの会話に集中する姿勢を見せるのだった。
「お主達が先程から言っておるランク『2』やランク『4』とやらは、一体何なのだ?」
「すまぬソフィ殿、その質問に答える前に小生に聞かせて欲しいのだが、タクシンはそこに居るヌー殿が倒したと聞いたが『動忍鬼』……。鬼人の妖魔は自由になった後、何故殺さずに山に返したのかを聞かせてくれるか?」
「それはあやつが悪い奴ではなかったからだが?」
あっさりと短い言葉でそう告げたソフィに、質問をしたエイジは目を丸くして、今度こそ誰が見ても分かる程に驚いて見せるのだった。
「は、話を聞いていたか、ソフィ殿? お主が相手をした妖魔は、この『ケイノト』を襲撃してきた妖魔の軍勢の者だ。人間を襲う妖魔をお主は、悪い奴では無いと言ったのか?」
ソフィはジッとエイジの表情を窺う。この質問の意図を探ろうとするが、今のエイジは無表情のままであり、流石のソフィから見てもどういう意図でこの質問を行っているか、それを表情と言葉のトーンだけでは読み切れなかった。
仕方無くソフィは、自分の本音で語り始める。
「あやつは『タクシン」とやらに術を施されて、無理矢理襲うように指示をされておった。それに本当は我と戦いたくはないとあやつは言っておったのだ」
タクシンに自我を失わされる前に動忍鬼と『念話』で会話を交わしたソフィは、タクシンの命令で嫌々従わされていたという事を知っていた。
「だが、その鬼人は『ケイノト」の町を襲いに来た妖魔団の一員の妖魔だぞ? 悪いか悪くないかで言えば、悪い奴なのでは無いか?」
「無論、襲撃行為自体は悪い事ではあるだろう。しかしそれも、我には理解が出来る理由があった」
「その理由とはなんだ?」
「無理矢理妖魔を『式』にし強引に従わせて奴隷のように扱う『妖魔召士』という者達から同胞を救い出すという理由だ」
ソフィは動忍鬼からこの町を襲った理由を直接聞いている。そしてその理由を聞いたソフィは、動忍鬼を『悪』ではないと判断した。報復行為自体許されないと思う者もいるだろうが、それは奪われた事がない者だから言える事であり、ソフィにとっては動忍鬼の告げた理由は、真っ当な理由であった。
「ソフィ殿……。勘違いしてほしくないのだが、決して『妖魔召士』は、妖魔を奴隷に扱う者達では無いのだ……!」
「お主はそう考えておるやもしれぬが、あやつはこうもいっておったぞ」
――『人間達は自分達の私欲の為に、我々妖魔達を従える事を目的としている』。
「!」
動忍鬼との会話で彼女がソフィに言っていた言葉をそのままソフィが告げると、エイジは辛そうな表情を浮かべるのだった。そして言葉に詰まった彼の代わりに、横に居た『シュウ』が口を開いた。
「その妖魔が言っている『妖魔召士』は、エイちゃんみたいな本当の『妖魔召士』の事ではないのだろう。それこそ、アイツラ……『退魔組』の連中の事を言っているんだと思うぞ」
俯きがちにソフィにそう伝えるが、彼は内心ではエイジを想っての発言だったのだろう。言葉に出した後にシュウは隣に居るエイジの顔を見るのだった。
「奴に……『動忍鬼』にしてみれば、契約を用いて『式』に変える人間は、皆『妖魔召士』に映っていたという事だろうが、同胞を助けに行く為に行動を起こしたという理由を聞いて我はあやつを自由にする為に山に返したというワケだ」
「成程、理由を話してくれて感謝する」
ソフィが動忍鬼という鬼人の妖魔を山に返した理由を聞き、エイジは顔をあげた後に理解したとソフィに礼を言うのだった。
「『退魔組』に居る者達も決して全員が悪者というワケでは無いのだ。この『ケイノト』に住む町人たちを守る為にあらゆる方法を模索し、町を去った『妖魔退魔師』の代わりに少しでも悪しき妖魔たちと戦えるようにと生み出された組織が『退魔組』なのだ……」
「だが、中途半端に退魔士増えすぎた結果。変革を恐れた『妖魔召士』達の考えていた通り、屑のような考え方をする人間が増えたのも確かだがな」
どうやらシュウという人間は、退魔組に恨みがあるのだろうか。エイジが退魔組の事に関して、フォローを入れようとした瞬間、間髪入れずに悪い点を補足するように告げてくるシュウであった。
「先程、ランクの事について聞いていたな……」
少し場の空気が悪くなり始めた頃、切り替えるようにエイジが口を開いた。
「うむ。相手の強さの基準を示す数値なのだろうと予測は付くが、ランク『1』あたりでどれくらいの差が、あるのかは聞いておきたいところだ」
「この『ランク』の基準は、相当昔の人間が決めたもので今と少しだけ乖離している部分もあるが、それでも構わぬか?」
「ああ、大体の目安が分かれば十分だ」
エイジの言葉に軽く首を縦に振るソフィであった。
そしてどうやらヌーも興味があるようで、先程までよりも幾分こちらの会話に集中する姿勢を見せるのだった。
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