最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第806話 VSタシギ
「ちっ……、しぶとい奴だな」
「無限の空間、無限の時間、無限の理に住みし魔神よ。悠久の時を経て、契約者たる大魔王の声に応じよ、我が名はソフィ」
ソフィが詠唱を唱え始めると、空間に亀裂が入り見目麗しい女性の姿をした『力の魔神』が出現する。
「あれは『式』か……? 奴は妖魔では無かったのか?」
ソフィが魔神を呼び出した所を見た狐面の男は、一人でブツブツと呟いていたが、そこに剣士が近づき口を開いた。
「『タクシン』どうしますか? アイツはどうやらただの妖魔では無いみたいですが……」
どうやら狐の面をつけた男の名は『タクシン』と言うらしく、この場での決定権を持つ者は、女の剣士の方では無くタクシンの方であるらしい。
そこに魔神に預けている魔力を回収し、魔力が一気に上昇して『金色のオーラ』を使い始めるソフィだった。
「見てみろ。あやつ先程の傷が完全に治癒し終わっている。それだけで無くさっきまでとは、比較にならぬ力を感じる」
「気をつけろ! あやつはケイノトに現れた妖魔団。その長であった『鬼人』級を越えているかもしれぬ」
タクシンと呼ばれた男の言葉に、気を引き締め直す女剣士だった。
「クックック、さぁ再開と行こうか。力ある者達よ」
魔神から本来の魔力を回収したソフィは『擬鵺』と戦っていた時とは、また比較にもならない程に強さを増している。
【種族:魔族 名前:ソフィ第二形態(大魔王化) 魔力値:1850億
状態:金色 戦力値:1900億 地位:アレルバレルの王】。
「来るぞ……っ! 前衛は任せるぞタシギ!」
「承知した!」
タシギと呼ばれた女剣士は、耳につけた鈴のピアスの音を鳴らしながら『金色のオーラ』を纏うソフィに向かっていった。攻撃対象は当然ながらソフィである。
少し距離のある場所だが、ソフィは女剣士の体がブレて見える程の速度を見て、直ぐにこの場所にやってくると理解する。
「素晴らしい速度だ。それに背後の者も何かをしようとしておるな」
ソフィは口でそう呟きながらも、手は動かしている。
アレルバレル世界の『理』を使い『神域魔法』の『スタック』を展開させる。
膨大な魔力に加えて慣れ親しんだ『理』から放つソフィの魔法は、まさに無詠唱にして、最上位領域に居る大魔王達の『詠唱』有の魔法に匹敵する。
移動を開始していたタシギの後から魔法の準備を行っていたというのに、こちらに迫って来る間に魔法発動の準備を終えたソフィ。
放とうと準備をした神域領域の攻撃魔法。その正体は天候を操り、一瞬で雨雲を生み出しながら放たれる『天雷一閃』。地属性の天候系魔法にして、この系統では最強の魔法である。
――だが、ソフィがこの『スタック』させた魔法を即座に放つような事はしない。
こちらに向かってくる、タシギと呼ばれていた女剣士程の力を有する者であれば、こんな大技をいきなり放ったところでまず当たる事は無いと理解しているからである。
ソフィは、『スタック』を必要としない程の小規模の魔法を頭で描き始める。これは『レパート』の世界の魔法を発動させるための『理』である。
既にソフィは『レパート』の世界の『理』を理解し『世界間移動』などの『時魔法』以外では、ほとんどの魔法を使用できる。
(さて、後は上手く誘導する為のタイミングだな)
ソフィは目の前で刀を握り返して、こちらに突っ込んでくるタシギを睨みつける。フェイントを織り交ぜて来るか、正直に真正面から切り掛かってくるか。オーラを纏いながらソフィは、それによって対応を変えようと考えている。
「覚悟っ!」
加速したままこちらに向かって突進してくる女の剣士。
どうやら真正面から刀を振りかぶって、斬りかかって来るようだった。
「うむ……。その正直さもまた素晴らしい」
――神聖魔法、『聖身憑依』。
タシギはソフィ目掛けて刀を振り下ろす。
リィーンと、タシギのピアスの鈴の音が鳴り響いた。
しかし確実に斬ったと思ったタシギの持つ刀に何の手応えも感じられなかった。そしてソフィの姿が残像が消えるかの如く、ぼやけるように消えていく。
「どこだ!?」
――神聖魔法、『聖動捕縛』。
ソフィの姿を探していたタシギの足に青色のオーラが包み込み、タシギは足に違和感を感じて直ぐに確認をする。どうやら普段より少し重く感じられる程度であった為、特に問題は無いとタシギは判断する。
どうやら魔族では無いタシギには、動きを完全に封じる程の効力は伴わなかったようである。
タシギは跳躍しながらもソフィが何処にいるかを探る為、目を素早く巡らしながら辺りを見渡し始める。そこでぽたりとタシギの額に、水滴が垂れてくる。
(雨? さっきまで晴れていた筈だが……)
「タシギ! そこから離れろ!!」
突然の雨に意識を割かれていたタシギは、タクシンのその声に反応するが、上空へ跳んだところであった為に行動をするのが遅れてしまった。
雨雲が生み出された空から一筋の閃光。それは真下に居る対象を目掛けて降り注いだ。
「くっ……!」
避けるのは間に合わないと判断したタシギは、意味がある行動だとは思わなかったが、持っていた刀を天に向けて投げる。
タシギの垂直上に投げられた刀を貫きながら雷光の一撃は、そのままタシギの身体も呑み込むのだった。
森の木の上に立ちながらソフィは、目を凝らしながら雷光が降り注いだ場所を睨みつける。
(直撃はしたようだが、投げられた刀のせいで少しズレたか?)
森で会った場所はソフィの放った『天雷一閃』の一撃で酷い事になっている。
地上に大穴が出来て底が見えない。しかしその所為でタシギが仕留められたかどうかを判断する事も出来なかった。
そしてソフィが『漏出』を使おうと魔力を込めようとした瞬間。木の上に居るソフィの高さに迫る程の大きな巨体の鬼が姿を見せる。
鬼は持っている棍棒でソフィを叩き潰そうと振り下ろしてくる。しかしその鬼が振り下ろした一撃は、ソフィに届く事は無かった。
『力の魔神』が一瞬でソフィの前に姿を現したかと思うと、その鬼の持つ棍棒を左手で軽々しく受け止めたからであった。
……
……
……
「無限の空間、無限の時間、無限の理に住みし魔神よ。悠久の時を経て、契約者たる大魔王の声に応じよ、我が名はソフィ」
ソフィが詠唱を唱え始めると、空間に亀裂が入り見目麗しい女性の姿をした『力の魔神』が出現する。
「あれは『式』か……? 奴は妖魔では無かったのか?」
ソフィが魔神を呼び出した所を見た狐面の男は、一人でブツブツと呟いていたが、そこに剣士が近づき口を開いた。
「『タクシン』どうしますか? アイツはどうやらただの妖魔では無いみたいですが……」
どうやら狐の面をつけた男の名は『タクシン』と言うらしく、この場での決定権を持つ者は、女の剣士の方では無くタクシンの方であるらしい。
そこに魔神に預けている魔力を回収し、魔力が一気に上昇して『金色のオーラ』を使い始めるソフィだった。
「見てみろ。あやつ先程の傷が完全に治癒し終わっている。それだけで無くさっきまでとは、比較にならぬ力を感じる」
「気をつけろ! あやつはケイノトに現れた妖魔団。その長であった『鬼人』級を越えているかもしれぬ」
タクシンと呼ばれた男の言葉に、気を引き締め直す女剣士だった。
「クックック、さぁ再開と行こうか。力ある者達よ」
魔神から本来の魔力を回収したソフィは『擬鵺』と戦っていた時とは、また比較にもならない程に強さを増している。
【種族:魔族 名前:ソフィ第二形態(大魔王化) 魔力値:1850億
状態:金色 戦力値:1900億 地位:アレルバレルの王】。
「来るぞ……っ! 前衛は任せるぞタシギ!」
「承知した!」
タシギと呼ばれた女剣士は、耳につけた鈴のピアスの音を鳴らしながら『金色のオーラ』を纏うソフィに向かっていった。攻撃対象は当然ながらソフィである。
少し距離のある場所だが、ソフィは女剣士の体がブレて見える程の速度を見て、直ぐにこの場所にやってくると理解する。
「素晴らしい速度だ。それに背後の者も何かをしようとしておるな」
ソフィは口でそう呟きながらも、手は動かしている。
アレルバレル世界の『理』を使い『神域魔法』の『スタック』を展開させる。
膨大な魔力に加えて慣れ親しんだ『理』から放つソフィの魔法は、まさに無詠唱にして、最上位領域に居る大魔王達の『詠唱』有の魔法に匹敵する。
移動を開始していたタシギの後から魔法の準備を行っていたというのに、こちらに迫って来る間に魔法発動の準備を終えたソフィ。
放とうと準備をした神域領域の攻撃魔法。その正体は天候を操り、一瞬で雨雲を生み出しながら放たれる『天雷一閃』。地属性の天候系魔法にして、この系統では最強の魔法である。
――だが、ソフィがこの『スタック』させた魔法を即座に放つような事はしない。
こちらに向かってくる、タシギと呼ばれていた女剣士程の力を有する者であれば、こんな大技をいきなり放ったところでまず当たる事は無いと理解しているからである。
ソフィは、『スタック』を必要としない程の小規模の魔法を頭で描き始める。これは『レパート』の世界の魔法を発動させるための『理』である。
既にソフィは『レパート』の世界の『理』を理解し『世界間移動』などの『時魔法』以外では、ほとんどの魔法を使用できる。
(さて、後は上手く誘導する為のタイミングだな)
ソフィは目の前で刀を握り返して、こちらに突っ込んでくるタシギを睨みつける。フェイントを織り交ぜて来るか、正直に真正面から切り掛かってくるか。オーラを纏いながらソフィは、それによって対応を変えようと考えている。
「覚悟っ!」
加速したままこちらに向かって突進してくる女の剣士。
どうやら真正面から刀を振りかぶって、斬りかかって来るようだった。
「うむ……。その正直さもまた素晴らしい」
――神聖魔法、『聖身憑依』。
タシギはソフィ目掛けて刀を振り下ろす。
リィーンと、タシギのピアスの鈴の音が鳴り響いた。
しかし確実に斬ったと思ったタシギの持つ刀に何の手応えも感じられなかった。そしてソフィの姿が残像が消えるかの如く、ぼやけるように消えていく。
「どこだ!?」
――神聖魔法、『聖動捕縛』。
ソフィの姿を探していたタシギの足に青色のオーラが包み込み、タシギは足に違和感を感じて直ぐに確認をする。どうやら普段より少し重く感じられる程度であった為、特に問題は無いとタシギは判断する。
どうやら魔族では無いタシギには、動きを完全に封じる程の効力は伴わなかったようである。
タシギは跳躍しながらもソフィが何処にいるかを探る為、目を素早く巡らしながら辺りを見渡し始める。そこでぽたりとタシギの額に、水滴が垂れてくる。
(雨? さっきまで晴れていた筈だが……)
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突然の雨に意識を割かれていたタシギは、タクシンのその声に反応するが、上空へ跳んだところであった為に行動をするのが遅れてしまった。
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「くっ……!」
避けるのは間に合わないと判断したタシギは、意味がある行動だとは思わなかったが、持っていた刀を天に向けて投げる。
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地上に大穴が出来て底が見えない。しかしその所為でタシギが仕留められたかどうかを判断する事も出来なかった。
そしてソフィが『漏出』を使おうと魔力を込めようとした瞬間。木の上に居るソフィの高さに迫る程の大きな巨体の鬼が姿を見せる。
鬼は持っている棍棒でソフィを叩き潰そうと振り下ろしてくる。しかしその鬼が振り下ろした一撃は、ソフィに届く事は無かった。
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