最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第715話 突然の来訪者
先日のヴァルーザ龍王が行った戦争終結宣言の言葉からすでに時が経ち、スベイキア大国の新たな王座にシェイザーが座る事となり、ネスコーは軍の元帥を引退し、新たにスベイキアの宰相を務める事になった。
そしてそのスベイキアの同盟国も様変わりする事となり、イルベキアはこれまで通り、スベイキアの筆頭同盟国のままだが、ハイウルキアは国の中枢たる存在が全て居なくなったことに加えて、スベイキアの現国王であるシェイザーを唆して、同盟国であるイルベキアを攻め立てた事で、スベイキアの同盟国から正式にハイウルキアは外される事となった後、ハイウルキアはイルベキアの従属国となるようにシェイザー王に申告された。
新たにハイウルキアの新国王となった『デヴァイア龍王』は、この決定に異論を挟まずに承諾した。
逆らえば今度はスベイキアの命によって、多くの同盟国を巻き込んだ制裁が行われる。
そうなれば同盟国を除外された『ハイウルキア』が生きていく事は、相当に難しくなるという事をデヴァイアは理解していたのである。
そしてデヴァイアには従うにそれ以外の理由もあった。
ハイウルキアの前政権を担っていた、国の中枢達とは違い、デヴァイアは保守的な考え方をする者では無く、どちらかといえば、自由主義思想を持っているのであった。
その所為もあって前政権では中枢を担う幹部にはなれなかったが、ガウル亡き後のハイウルキアでは、彼をおいて他に国王となる器は居ない。
ハイウルキアのデヴァイア龍王は、スベイキアとイルベキアに協調する事に異論はなく、むしろ進んで足並みを揃えられる国王である。
ヴァルーザ龍王とシェイザー龍王、そしてネスコー宰相の魔族を保護するという言葉にも素直に頷き、今後はハイウルキアでも自由に魔族が過ごせるように協力すると申し出たのである。
ハイウルキア国はもう問題無いと、判断されたのだった。
そして安寧を築いたのは龍族達の大陸だけでは無く、龍族と戦争中であった魔人族達との戦争も終結を果たした。
エイネの当初の予定では、龍族と魔人族の手打ち交渉を行うのはヴァルーザだったのだが、龍族側の戦争終結を果たしたのは、スベイキア新国王であるシェイザー龍王が行った。
元々スベイキア国のイーサ龍王が魔人族と戦争を始めた為、スベイキア国が手打ちを行う事で筋が通り、あっさりと戦争は終結される事となった。
当然戦争終結の執り行う式に、エイネが参加していたのも大きかった。
魔人族の王であるエアルはエイネの姿を見た瞬間に戦争終結に賛成を決めた。
エアルにとって龍族の中では、若造の部類に入る新国王のシェイザーよりも、余程、魔族エイネに逆らう事のデメリットを恐れたようだった。
今後は龍族の大陸と魔人族の大陸で和平親睦の証とし、それぞれの種族の国から外交大使を派遣する事となり、これからは両種族の発展に、協力する事を同意したのだった。
魔人族に隷属させられていた種族の者達も、その立場から解消される事となり、近々使われていない魔人族の広大な土地を新たに別種族の為に、開拓することを約束されるのだった。
……
……
……
そしてイルベキア城の一室を用意されたエイネは、その部屋でフルーフからの『念話』を待っていた。
この世界でやれることはすべて終えたと部屋でエイネは考えていた。
あとはレアを追ってこの世界から去っていったフルーフが、再び再会を果たした後に、この世界へ戻ってきてくれるのを待つだけである。
「無事にレアさんと、会えていればいいけれど」
フルーフ様の魔力はだいぶ回復したとは言っていたけれど、この世界に辿り着いたときの彼は、魔力が完全に枯渇して生命力を犠牲にしていた。
もしあの時に私がフルーフ様に気づき介抱をしなければ、最悪『代替身体』へとその姿を移す事になっていただろう。
九大魔王と呼ばれるようになった今の私でも、フルーフ様には到底敵わないだろうが、ひとたび『代替身体』の身体になればその戦力は、本来の強さの10分の1程まで下がってしまう。
――それだけは、どう抗おうとも変わらない。
『代替身体』とは本来は魔族が生き延びる為に、古来より生み出した秘術ようなものである。
確実に命の灯が消えようともその意識を留まらせて別の肉体としてよみがえる。
そんな神をも恐れぬような行為によって、もう一度生を謳歌する事が出来るのだから、それくらいのデメリットは仕方が無いといえるだろう。
とはいってもこの数千年の間に『魔』の技術が格段に発展してしまい、その『代替身体』すら行う事を拒否する『空間除外』といった魔法も出てきてしまい、確実に転生を行う事も難しくなってきている。
エイネは不死にはなりたいとは思わないが、突然明日にでも襲われて命を奪われてしまったらと考えると『代替身体』を無効化させてしまうような魔法が生み出されたことに懸念を感じていた。
「ソフィ様の願望が叶うところは見たくはないけれど、配下としてはソフィ様の願いに喜ばなくてはいけないのかしらね……」
それまでは『九大魔王』として、そしてそのソフィの配下として、死ぬわけにはいかないと考えるエイネであった。
宛がわれたエイネの部屋に、コンコンとノックの音がなった。
「はい。誰かしら?」
エイネがノックのする方へと声を掛けると、直ぐに返事があった。
「あ、エイネさん! 僕です。ミデェールです!」
(ミデェール……?)
「今開けるから、少し待ってなさい」
エイネは部屋の鍵を開けて、この部屋を訪ねて来たミデェールを部屋に迎え入れるのであった。
……
……
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そしてそのスベイキアの同盟国も様変わりする事となり、イルベキアはこれまで通り、スベイキアの筆頭同盟国のままだが、ハイウルキアは国の中枢たる存在が全て居なくなったことに加えて、スベイキアの現国王であるシェイザーを唆して、同盟国であるイルベキアを攻め立てた事で、スベイキアの同盟国から正式にハイウルキアは外される事となった後、ハイウルキアはイルベキアの従属国となるようにシェイザー王に申告された。
新たにハイウルキアの新国王となった『デヴァイア龍王』は、この決定に異論を挟まずに承諾した。
逆らえば今度はスベイキアの命によって、多くの同盟国を巻き込んだ制裁が行われる。
そうなれば同盟国を除外された『ハイウルキア』が生きていく事は、相当に難しくなるという事をデヴァイアは理解していたのである。
そしてデヴァイアには従うにそれ以外の理由もあった。
ハイウルキアの前政権を担っていた、国の中枢達とは違い、デヴァイアは保守的な考え方をする者では無く、どちらかといえば、自由主義思想を持っているのであった。
その所為もあって前政権では中枢を担う幹部にはなれなかったが、ガウル亡き後のハイウルキアでは、彼をおいて他に国王となる器は居ない。
ハイウルキアのデヴァイア龍王は、スベイキアとイルベキアに協調する事に異論はなく、むしろ進んで足並みを揃えられる国王である。
ヴァルーザ龍王とシェイザー龍王、そしてネスコー宰相の魔族を保護するという言葉にも素直に頷き、今後はハイウルキアでも自由に魔族が過ごせるように協力すると申し出たのである。
ハイウルキア国はもう問題無いと、判断されたのだった。
そして安寧を築いたのは龍族達の大陸だけでは無く、龍族と戦争中であった魔人族達との戦争も終結を果たした。
エイネの当初の予定では、龍族と魔人族の手打ち交渉を行うのはヴァルーザだったのだが、龍族側の戦争終結を果たしたのは、スベイキア新国王であるシェイザー龍王が行った。
元々スベイキア国のイーサ龍王が魔人族と戦争を始めた為、スベイキア国が手打ちを行う事で筋が通り、あっさりと戦争は終結される事となった。
当然戦争終結の執り行う式に、エイネが参加していたのも大きかった。
魔人族の王であるエアルはエイネの姿を見た瞬間に戦争終結に賛成を決めた。
エアルにとって龍族の中では、若造の部類に入る新国王のシェイザーよりも、余程、魔族エイネに逆らう事のデメリットを恐れたようだった。
今後は龍族の大陸と魔人族の大陸で和平親睦の証とし、それぞれの種族の国から外交大使を派遣する事となり、これからは両種族の発展に、協力する事を同意したのだった。
魔人族に隷属させられていた種族の者達も、その立場から解消される事となり、近々使われていない魔人族の広大な土地を新たに別種族の為に、開拓することを約束されるのだった。
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そしてイルベキア城の一室を用意されたエイネは、その部屋でフルーフからの『念話』を待っていた。
この世界でやれることはすべて終えたと部屋でエイネは考えていた。
あとはレアを追ってこの世界から去っていったフルーフが、再び再会を果たした後に、この世界へ戻ってきてくれるのを待つだけである。
「無事にレアさんと、会えていればいいけれど」
フルーフ様の魔力はだいぶ回復したとは言っていたけれど、この世界に辿り着いたときの彼は、魔力が完全に枯渇して生命力を犠牲にしていた。
もしあの時に私がフルーフ様に気づき介抱をしなければ、最悪『代替身体』へとその姿を移す事になっていただろう。
九大魔王と呼ばれるようになった今の私でも、フルーフ様には到底敵わないだろうが、ひとたび『代替身体』の身体になればその戦力は、本来の強さの10分の1程まで下がってしまう。
――それだけは、どう抗おうとも変わらない。
『代替身体』とは本来は魔族が生き延びる為に、古来より生み出した秘術ようなものである。
確実に命の灯が消えようともその意識を留まらせて別の肉体としてよみがえる。
そんな神をも恐れぬような行為によって、もう一度生を謳歌する事が出来るのだから、それくらいのデメリットは仕方が無いといえるだろう。
とはいってもこの数千年の間に『魔』の技術が格段に発展してしまい、その『代替身体』すら行う事を拒否する『空間除外』といった魔法も出てきてしまい、確実に転生を行う事も難しくなってきている。
エイネは不死にはなりたいとは思わないが、突然明日にでも襲われて命を奪われてしまったらと考えると『代替身体』を無効化させてしまうような魔法が生み出されたことに懸念を感じていた。
「ソフィ様の願望が叶うところは見たくはないけれど、配下としてはソフィ様の願いに喜ばなくてはいけないのかしらね……」
それまでは『九大魔王』として、そしてそのソフィの配下として、死ぬわけにはいかないと考えるエイネであった。
宛がわれたエイネの部屋に、コンコンとノックの音がなった。
「はい。誰かしら?」
エイネがノックのする方へと声を掛けると、直ぐに返事があった。
「あ、エイネさん! 僕です。ミデェールです!」
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