最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第703話 スベイキアのネスコー元帥
シェアーザが倒れ伏しているところまで何とか辿り着いたヴァルーザ龍王。
相当のダメージを負っているが、それでも規則的な呼吸をしているのを確認する。
命に別状は無いだろうと判断したヴァルーザ龍王は、再び死に体となりかけている身体を強引に奮い起こして、シェイザー王子の命令によって、向かってきている龍達を撃退しようとする。
もはや目の焦点も合わず、戦力値も普段より遥かに下がっている。
しかしそれでもここで自分が戦わなければ、後ろで負傷している側近の命は無い。
ハイウルキアのガウルの生死までは確認出来てはいないが、他の側近達と同じように地に倒れ伏している姿が見える。
あれだけの炎に包まれた以上、ガウルも死んでいることだろう。
それにスベイキアの主力部隊もすでに魔族エイネが粗方倒している。
更にはここに居るネスコー元帥も何故かこちらを攻撃する素振りを見せなくなっている。
つまり後はスベイキアの兵士である『コープパルスドラゴン』の残党達を倒せば、イルベキアは生き残る事が出来る。
――ここで奮闘せずにいつ奮闘するのだ!
ヴァルーザは意識が何度も遠のくのを感じながらも再び緑のオーラを纏いながら、直線上に固まりながら飛んでくる龍達に向けて最後の力を振り絞って『龍ノ息吹』を放つのだった。
だが、そこでこれまで傍観に務めていたネスコー元帥が、配下を引き連れて再び姿を見せたかと思うと、ヴァルーザ龍王の『龍ノ息吹』に合わせて『ネスコー』もまた『龍ノ息吹』が吐き出されて相殺されてしまうのだった。
「ヴァルーザ龍王。すまないが我が国の兵士達を相手にするならば、私は動かざるを得ないのだ……」
ガウル龍王やメッサーガといった『ハイウルキア』との勝負では手を出すつもりは無かったが、再びスベイキアとの戦いとなるならば、軍の元帥としてスベイキア大国の民として仲間達を守るのは、当然の行為と言わざるを得なかった。
ヴァルーザはもう戦う事は出来ないと自覚した上で、遠くで戦い続けている『個別の軍隊』を含めた『イルベキア』の兵士達を見る。
(……すまない、我が国の民達よ。どうやら私はお前達を守れそうにない)
心の中で自国の民達に、謝罪をするヴァルーザ龍王だった。
ネスコー元帥は遠くに居る自国の兵士を見つめるヴァルーザを見て、少しばかり躊躇う様子を見せていたが、やがて何かを決心したように目を細めながら、ヴァルーザ龍王に向けて最後の『龍ノ息吹』を放つ準備を始めた。
どうやらネスコー元帥は、決して嫌いでは無かったイルベキア国の王『ヴァルーザ』龍王を他の誰でも無く、自分の手でケリをつけてやる事こそが一つの決着だと考えたようであった。
「まさかこうなるとは思わなんだ……。ヴァルーザ龍王よ、恨まないで下され」
――『龍ノ息吹』。
自身に放たれたネスコー元帥の火を見ながら『ヴァルーザ』は笑う。
「……誰よりも国を想うネスコー元帥に討たれるならば、仕方あるまい……」
目の前まで迫った『龍ノ息吹』を見ながら、ヴァルーザは一兵卒にやられるよりかは、ネスコー元帥にやられた方がまだ諦めがつくと考えるのだった。
「エイネ殿。魔族達を保護する事はもう叶わないようだ。力及ばず申し訳ない……!」
最後にヴァルーザは魔族エイネにも謝罪の言葉を口にするのだった。
別にこの言葉はエイネに聞かせるつもりで口を開いた訳では無い。だが、このヴァルーザの呟きには返答があった。
「いいえ。貴方には必ず魔族達を保護をしてもらうわ」
ヴァルーザの意識が遠のいて行くその瞬間。確かにエイネの声が聞こえるのだった。
しかしそのまま意識を失って、ヴァルーザ龍王は倒れ伏した。
そのヴァルーザの元にネスコー元帥の『龍ノ息吹』が届き得たかと思えた瞬間。ヴァルーザの龍の体を守るように、長い長い鎖が結界の如く絡まりながら行く手を阻む。
そしてそのヴァルーザ龍王の前に一体の魔族が出現する。
自身も鎖を纏っているその魔族は、鎖に魔力を込める。
――絶技『当身』。
ネスコー元帥の放った『龍ノ息吹』は、そのままの勢いで『ネスコー』の元に跳ね返っていった。
「!?」
ネスコー元帥は自身が放った時よりも恐ろしい速度で自身の火が返ってきた事で、驚きながらもなんとか、自身の火を回避する事に成功した。
『個別の軍隊』と戦っていた『スベイキア』の『コープパルス・ドラゴン』達も魔族エイネの出現に、その場からエイネに向かってくる。
ヴァルーザ龍王を守りながら一歩もその場から動かず、エイネは近寄って来る龍族に向けて大声を発した。
「私はエイネという魔族である。この場に居る者達で一番偉い者は誰かしら? 最高司令官、もしくは指揮官と話がしたい!」
しかし突然現れた魔族の言葉に誰も耳を傾けようとせず、スベイキアの『コープパルス・ドラゴン』達は、エイネに攻撃をする為に近づいてくる。
そしてコープパルス・ドラゴンの龍兵たちが、一斉にエイネの姿を捉えて射程に入った瞬間に『龍ノ息吹』を吐いて攻撃を始めるのだった。
最初の者達だけでは無く、その後にも続々と集まって来る龍族達の攻撃によって、エイネの体を炎が包み込んでいく。
やがて十分だろうと判断出来たのか、龍族達のエイネへの攻撃が止まった。
誰もがエイネを仕留めたと判断したようだったが、攻撃が止んだ後すぐに『紅』と『青』のオーラの輝きが、エイネの居た場所に光輝いた。
「私と話をするつもりは無いという事でいいわね?」
この場に現れてから『ヴァルーザ龍王』に対してのネスコー元帥の攻撃以外、エイネは龍族達に攻撃を一切加えてはいない。
そしてエイネの対話を求める言葉に反応があれば、そのままイーサ龍王の報復で動いてるであろう龍族の指揮官に事情を説明するつもりでいた。
しかし対話を拒否するように彼ら龍族は、無防備のエイネに集団で攻撃をしたのである。
――エイネは正義を重んじる勇者ではなく、敵対する者には容赦をしない魔族である。
対話を拒否するのならば、それならばそれで構わない。だがしかし、攻撃を仕掛けてきた以上、無事に済ますつもりはない。
「私と話をしたくないというのであれば、それでもいいわ」
エイネが両手を前に突き出すと、鎖が具現化し始める。
(……私の攻撃を一瞬で跳ね返した。まさかあの魔族がイーサ龍王を……!)
ネスコー元帥はそこまで考えると、直ぐにエイネに対して声をあげた。
「ま、待ってくれ! 私が指揮官の……」
エイネがネスコーの言葉に気づき、攻撃する手を緩めてそちらを見ようとした瞬間。
「お前達! 何をしている!! そいつが我が父を亡き者にした魔族だ!! 殺せ、早く殺せぇっ!!」
「ま、待ってください王子!」
ネスコー元帥が止めようとしたが、すでにシェイザー王子の言葉によって『スベイキア』の龍兵たちの攻撃は再開されてしまうのだった。
「お、お前達待つんだ! 攻撃をやめろぉっ!!」
必死にネスコー元帥は、エイネに攻撃をしようとする軍の配下達を止めようしたのだが、国の王子である、
シェイザーの命令を優先した軍の兵士達は、エイネに対しての攻撃を緩める事はなかった。
エイネはネスコー元帥の言葉を聴いた事でどうやら彼は、対話をするつもりがあると判断した。そしてその事が彼ら龍族達の命を救う事となったのである。
エイネは突き出した手で、鎖に魔力を込め始める。
――絶技、『武魔殺鎖』。
魔力が込められた鎖はこちらに攻撃を仕掛けてきた、
龍族達の首に向かっていき、首に鎖が巻き付いたと同時に、黒色のオーラに包まれた。
エイネに鎖を巻かれた『コープパルス・ドラゴン』達の魔力が全員枯渇し、攻撃する力を緩めながらそのままフラつき始める。
エイネは龍族達の攻撃が止まったのを確認した後、先程の指揮官らしき『龍』の元へと向かっていくのだった。
相当のダメージを負っているが、それでも規則的な呼吸をしているのを確認する。
命に別状は無いだろうと判断したヴァルーザ龍王は、再び死に体となりかけている身体を強引に奮い起こして、シェイザー王子の命令によって、向かってきている龍達を撃退しようとする。
もはや目の焦点も合わず、戦力値も普段より遥かに下がっている。
しかしそれでもここで自分が戦わなければ、後ろで負傷している側近の命は無い。
ハイウルキアのガウルの生死までは確認出来てはいないが、他の側近達と同じように地に倒れ伏している姿が見える。
あれだけの炎に包まれた以上、ガウルも死んでいることだろう。
それにスベイキアの主力部隊もすでに魔族エイネが粗方倒している。
更にはここに居るネスコー元帥も何故かこちらを攻撃する素振りを見せなくなっている。
つまり後はスベイキアの兵士である『コープパルスドラゴン』の残党達を倒せば、イルベキアは生き残る事が出来る。
――ここで奮闘せずにいつ奮闘するのだ!
ヴァルーザは意識が何度も遠のくのを感じながらも再び緑のオーラを纏いながら、直線上に固まりながら飛んでくる龍達に向けて最後の力を振り絞って『龍ノ息吹』を放つのだった。
だが、そこでこれまで傍観に務めていたネスコー元帥が、配下を引き連れて再び姿を見せたかと思うと、ヴァルーザ龍王の『龍ノ息吹』に合わせて『ネスコー』もまた『龍ノ息吹』が吐き出されて相殺されてしまうのだった。
「ヴァルーザ龍王。すまないが我が国の兵士達を相手にするならば、私は動かざるを得ないのだ……」
ガウル龍王やメッサーガといった『ハイウルキア』との勝負では手を出すつもりは無かったが、再びスベイキアとの戦いとなるならば、軍の元帥としてスベイキア大国の民として仲間達を守るのは、当然の行為と言わざるを得なかった。
ヴァルーザはもう戦う事は出来ないと自覚した上で、遠くで戦い続けている『個別の軍隊』を含めた『イルベキア』の兵士達を見る。
(……すまない、我が国の民達よ。どうやら私はお前達を守れそうにない)
心の中で自国の民達に、謝罪をするヴァルーザ龍王だった。
ネスコー元帥は遠くに居る自国の兵士を見つめるヴァルーザを見て、少しばかり躊躇う様子を見せていたが、やがて何かを決心したように目を細めながら、ヴァルーザ龍王に向けて最後の『龍ノ息吹』を放つ準備を始めた。
どうやらネスコー元帥は、決して嫌いでは無かったイルベキア国の王『ヴァルーザ』龍王を他の誰でも無く、自分の手でケリをつけてやる事こそが一つの決着だと考えたようであった。
「まさかこうなるとは思わなんだ……。ヴァルーザ龍王よ、恨まないで下され」
――『龍ノ息吹』。
自身に放たれたネスコー元帥の火を見ながら『ヴァルーザ』は笑う。
「……誰よりも国を想うネスコー元帥に討たれるならば、仕方あるまい……」
目の前まで迫った『龍ノ息吹』を見ながら、ヴァルーザは一兵卒にやられるよりかは、ネスコー元帥にやられた方がまだ諦めがつくと考えるのだった。
「エイネ殿。魔族達を保護する事はもう叶わないようだ。力及ばず申し訳ない……!」
最後にヴァルーザは魔族エイネにも謝罪の言葉を口にするのだった。
別にこの言葉はエイネに聞かせるつもりで口を開いた訳では無い。だが、このヴァルーザの呟きには返答があった。
「いいえ。貴方には必ず魔族達を保護をしてもらうわ」
ヴァルーザの意識が遠のいて行くその瞬間。確かにエイネの声が聞こえるのだった。
しかしそのまま意識を失って、ヴァルーザ龍王は倒れ伏した。
そのヴァルーザの元にネスコー元帥の『龍ノ息吹』が届き得たかと思えた瞬間。ヴァルーザの龍の体を守るように、長い長い鎖が結界の如く絡まりながら行く手を阻む。
そしてそのヴァルーザ龍王の前に一体の魔族が出現する。
自身も鎖を纏っているその魔族は、鎖に魔力を込める。
――絶技『当身』。
ネスコー元帥の放った『龍ノ息吹』は、そのままの勢いで『ネスコー』の元に跳ね返っていった。
「!?」
ネスコー元帥は自身が放った時よりも恐ろしい速度で自身の火が返ってきた事で、驚きながらもなんとか、自身の火を回避する事に成功した。
『個別の軍隊』と戦っていた『スベイキア』の『コープパルス・ドラゴン』達も魔族エイネの出現に、その場からエイネに向かってくる。
ヴァルーザ龍王を守りながら一歩もその場から動かず、エイネは近寄って来る龍族に向けて大声を発した。
「私はエイネという魔族である。この場に居る者達で一番偉い者は誰かしら? 最高司令官、もしくは指揮官と話がしたい!」
しかし突然現れた魔族の言葉に誰も耳を傾けようとせず、スベイキアの『コープパルス・ドラゴン』達は、エイネに攻撃をする為に近づいてくる。
そしてコープパルス・ドラゴンの龍兵たちが、一斉にエイネの姿を捉えて射程に入った瞬間に『龍ノ息吹』を吐いて攻撃を始めるのだった。
最初の者達だけでは無く、その後にも続々と集まって来る龍族達の攻撃によって、エイネの体を炎が包み込んでいく。
やがて十分だろうと判断出来たのか、龍族達のエイネへの攻撃が止まった。
誰もがエイネを仕留めたと判断したようだったが、攻撃が止んだ後すぐに『紅』と『青』のオーラの輝きが、エイネの居た場所に光輝いた。
「私と話をするつもりは無いという事でいいわね?」
この場に現れてから『ヴァルーザ龍王』に対してのネスコー元帥の攻撃以外、エイネは龍族達に攻撃を一切加えてはいない。
そしてエイネの対話を求める言葉に反応があれば、そのままイーサ龍王の報復で動いてるであろう龍族の指揮官に事情を説明するつもりでいた。
しかし対話を拒否するように彼ら龍族は、無防備のエイネに集団で攻撃をしたのである。
――エイネは正義を重んじる勇者ではなく、敵対する者には容赦をしない魔族である。
対話を拒否するのならば、それならばそれで構わない。だがしかし、攻撃を仕掛けてきた以上、無事に済ますつもりはない。
「私と話をしたくないというのであれば、それでもいいわ」
エイネが両手を前に突き出すと、鎖が具現化し始める。
(……私の攻撃を一瞬で跳ね返した。まさかあの魔族がイーサ龍王を……!)
ネスコー元帥はそこまで考えると、直ぐにエイネに対して声をあげた。
「ま、待ってくれ! 私が指揮官の……」
エイネがネスコーの言葉に気づき、攻撃する手を緩めてそちらを見ようとした瞬間。
「お前達! 何をしている!! そいつが我が父を亡き者にした魔族だ!! 殺せ、早く殺せぇっ!!」
「ま、待ってください王子!」
ネスコー元帥が止めようとしたが、すでにシェイザー王子の言葉によって『スベイキア』の龍兵たちの攻撃は再開されてしまうのだった。
「お、お前達待つんだ! 攻撃をやめろぉっ!!」
必死にネスコー元帥は、エイネに攻撃をしようとする軍の配下達を止めようしたのだが、国の王子である、
シェイザーの命令を優先した軍の兵士達は、エイネに対しての攻撃を緩める事はなかった。
エイネはネスコー元帥の言葉を聴いた事でどうやら彼は、対話をするつもりがあると判断した。そしてその事が彼ら龍族達の命を救う事となったのである。
エイネは突き出した手で、鎖に魔力を込め始める。
――絶技、『武魔殺鎖』。
魔力が込められた鎖はこちらに攻撃を仕掛けてきた、
龍族達の首に向かっていき、首に鎖が巻き付いたと同時に、黒色のオーラに包まれた。
エイネに鎖を巻かれた『コープパルス・ドラゴン』達の魔力が全員枯渇し、攻撃する力を緩めながらそのままフラつき始める。
エイネは龍族達の攻撃が止まったのを確認した後、先程の指揮官らしき『龍』の元へと向かっていくのだった。
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