最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第672話 動き出したリラリオの支配者
フルーフとレアが再会を喜び分かち合っていた頃。組織と女王『シス』との戦闘が始まるところであった。
『レイズ』城上空からはかなり離れた場所に居るフルーフ達だったが、それでも戦闘の余波や、地響きが鳴り響き不安を煽る。
「感動の再会の途中で悪いが、一旦ここから離れないか?」
そこでキーリは膝枕をされている状態から身体を起こして、場所を変える提案をする。
「そうね。そうしましょう。レイズ魔国の方は……、危険なようだから『ラルグ』魔国の方へ向かいましょうか」
キーリはレアの言葉に頷くと、遠くでキーリ達を護衛していた同胞の龍達に声を掛ける。
「今から全員でラルグへ移動する。これだけ離れていれば、まぁ大丈夫だとは思うが、油断をせずに魔力を探知しながら行くぞ」
「「御意!」」
守護龍を含めた龍族達は、キーリの言葉に返事をするのだった。
フルーフは戦闘をしているシス達の魔力を探るように『レイズ』魔国の方角を見ていた。
(……いや、今はレア達の安全を優先させなければならぬな)
大勢の魔力を感じる中でフルーフは、遠く離れたこの場所からでもシスの魔力に目をつけていた。
どこかで感じた事のあるような、そんな懐かしい魔力を放っているシスに興味を惹かれたフルーフだったが、今は確認しに行っている場合では無いと判断して、レアとキーリの移動に素直に従うフルーフであった。
……
……
……
フルーフ達がラルグ魔国へ向けて空を飛びだった頃、ラルグ魔国とレイズ魔国の首都『シティアス』を繋ぐ洞窟のレア達が居た場所の反対側では、ミールガルド大陸からヴェルマー大陸へ移動してきていた一体の魔族が、レアを追っていた三体の内の一体の大魔王と遭遇していた。
その大魔王とは『隠幕』を使って逃げ回っていたレアを追って、洞窟の中を探索していた『煌聖の教団』に属する魔族であった。
そんなに広くない洞窟の中を探索し終えたその魔族は、レアの姿が無い事を確認して『レイズ』魔国側の出口から出てきた所だった。
空を飛んでいる一体の魔族は『レキ』を確認してようやく逃げ回っていた奴を見つけたと勘違いをしながら『敵意』を以てレキを睨みつけた。
…………
レキはこの辺で感じた大勢の魔力を頼りに、ここまでクッケ付近の洞窟から移動をしてきていたが、既に去った後だった為、再び『漏出』で探り直そうとしていたところ、洞窟から出てきた魔族から敵意を向けられてそちらの方を見た。
「ククッ! いいのがいるじゃねーか」
レキは『煌聖の教団』の魔族の姿を見た後、嬉しそうな表情を浮かべながら近づいていった。
…………
空から嬉しそうに降りて来るレキを見て『煌聖の教団』の魔族は声を掛けた。
「お前がコソコソ姿を隠しながら、今まで逃げ回っていた野郎か?」
「ああ? 何の事を言っているんだ? 俺が誰に対して逃げる必要がある?」
「クククク、そう誤魔化すなよ。俺の仲間達が移動をしたのを見て逃げ切れたと思って『隠幕』を解いたようだが残念だったな。まだお前を追っていた者はここに残っていたということだ」
レキはこの魔族が一体何を言っているのか分からなかったが、そんな事はどうでもよかった。
梗桎梏病という病に気が遠くなるほどの期間、罹患していたレキの身体は休ませなければ、本当に危険な状態にまで陥っていた。
先日、ようやく手に入れた『代替身体』は、ソフィとの一戦で使い物にならなくなってしまった。
レキは本体の身体に鞭をうち、最後の力を振り絞ってこの場に来たというわけである。
つまりゴチャゴチャと意味の分からない事を宣っている奴の言葉の内容など耳に入っていない。
それよりもさっさと、身体を手に入れようと魔族に近づいていく。
「何だ? 先程までのように醜く必死になって逃げ惑わないのか?」
煌聖の教団の魔族は口角を上げながらこちらに向かってくる『レキ』を仕留めようと戦闘態勢に入る。
『青』と『紅』の二色の併用を瞬時に纏い、レキの身体を一刀両断にしようと手を伸ばした。
――しかし次の瞬間。
『レキ』はその煌聖の教団の魔族の手を左手で軽々と掴んだ後、笑みを浮かべながら力を込めて握り潰す。
「ぐ、ぐあ……っ!!」
信じられない程のレキの握力によって、あっさりと手を潰された煌聖の教団の魔族は、レキを驚いた目で見つめる。
「……ククク、脆く貧弱な野郎だな」
そしてレキは掴んでいる左手とは、逆の右手で魔族の腹を殴る。
「ぐぇっ……」
たったそれだけで煌聖の教団の魔族は絶命してしまう。
「耐久力も何もあったもんじゃないが……。ひとまずは、こんな身体でも我慢して使ってやろう。感謝しろよ?」
レキはオーラすら纏わずに、全盛期の頃とは比較にもならない程の弱い身体のままで、あっさりと『煌聖の教団』の本隊に属する『アレルバレル』出身の大魔王の命を奪うのであった。
そして再び『代替身体』の身体を手に入れたレキは、宿敵であるソフィを倒す為に本格的に行動を開始するのだった。
……
……
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『レイズ』城上空からはかなり離れた場所に居るフルーフ達だったが、それでも戦闘の余波や、地響きが鳴り響き不安を煽る。
「感動の再会の途中で悪いが、一旦ここから離れないか?」
そこでキーリは膝枕をされている状態から身体を起こして、場所を変える提案をする。
「そうね。そうしましょう。レイズ魔国の方は……、危険なようだから『ラルグ』魔国の方へ向かいましょうか」
キーリはレアの言葉に頷くと、遠くでキーリ達を護衛していた同胞の龍達に声を掛ける。
「今から全員でラルグへ移動する。これだけ離れていれば、まぁ大丈夫だとは思うが、油断をせずに魔力を探知しながら行くぞ」
「「御意!」」
守護龍を含めた龍族達は、キーリの言葉に返事をするのだった。
フルーフは戦闘をしているシス達の魔力を探るように『レイズ』魔国の方角を見ていた。
(……いや、今はレア達の安全を優先させなければならぬな)
大勢の魔力を感じる中でフルーフは、遠く離れたこの場所からでもシスの魔力に目をつけていた。
どこかで感じた事のあるような、そんな懐かしい魔力を放っているシスに興味を惹かれたフルーフだったが、今は確認しに行っている場合では無いと判断して、レアとキーリの移動に素直に従うフルーフであった。
……
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フルーフ達がラルグ魔国へ向けて空を飛びだった頃、ラルグ魔国とレイズ魔国の首都『シティアス』を繋ぐ洞窟のレア達が居た場所の反対側では、ミールガルド大陸からヴェルマー大陸へ移動してきていた一体の魔族が、レアを追っていた三体の内の一体の大魔王と遭遇していた。
その大魔王とは『隠幕』を使って逃げ回っていたレアを追って、洞窟の中を探索していた『煌聖の教団』に属する魔族であった。
そんなに広くない洞窟の中を探索し終えたその魔族は、レアの姿が無い事を確認して『レイズ』魔国側の出口から出てきた所だった。
空を飛んでいる一体の魔族は『レキ』を確認してようやく逃げ回っていた奴を見つけたと勘違いをしながら『敵意』を以てレキを睨みつけた。
…………
レキはこの辺で感じた大勢の魔力を頼りに、ここまでクッケ付近の洞窟から移動をしてきていたが、既に去った後だった為、再び『漏出』で探り直そうとしていたところ、洞窟から出てきた魔族から敵意を向けられてそちらの方を見た。
「ククッ! いいのがいるじゃねーか」
レキは『煌聖の教団』の魔族の姿を見た後、嬉しそうな表情を浮かべながら近づいていった。
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空から嬉しそうに降りて来るレキを見て『煌聖の教団』の魔族は声を掛けた。
「お前がコソコソ姿を隠しながら、今まで逃げ回っていた野郎か?」
「ああ? 何の事を言っているんだ? 俺が誰に対して逃げる必要がある?」
「クククク、そう誤魔化すなよ。俺の仲間達が移動をしたのを見て逃げ切れたと思って『隠幕』を解いたようだが残念だったな。まだお前を追っていた者はここに残っていたということだ」
レキはこの魔族が一体何を言っているのか分からなかったが、そんな事はどうでもよかった。
梗桎梏病という病に気が遠くなるほどの期間、罹患していたレキの身体は休ませなければ、本当に危険な状態にまで陥っていた。
先日、ようやく手に入れた『代替身体』は、ソフィとの一戦で使い物にならなくなってしまった。
レキは本体の身体に鞭をうち、最後の力を振り絞ってこの場に来たというわけである。
つまりゴチャゴチャと意味の分からない事を宣っている奴の言葉の内容など耳に入っていない。
それよりもさっさと、身体を手に入れようと魔族に近づいていく。
「何だ? 先程までのように醜く必死になって逃げ惑わないのか?」
煌聖の教団の魔族は口角を上げながらこちらに向かってくる『レキ』を仕留めようと戦闘態勢に入る。
『青』と『紅』の二色の併用を瞬時に纏い、レキの身体を一刀両断にしようと手を伸ばした。
――しかし次の瞬間。
『レキ』はその煌聖の教団の魔族の手を左手で軽々と掴んだ後、笑みを浮かべながら力を込めて握り潰す。
「ぐ、ぐあ……っ!!」
信じられない程のレキの握力によって、あっさりと手を潰された煌聖の教団の魔族は、レキを驚いた目で見つめる。
「……ククク、脆く貧弱な野郎だな」
そしてレキは掴んでいる左手とは、逆の右手で魔族の腹を殴る。
「ぐぇっ……」
たったそれだけで煌聖の教団の魔族は絶命してしまう。
「耐久力も何もあったもんじゃないが……。ひとまずは、こんな身体でも我慢して使ってやろう。感謝しろよ?」
レキはオーラすら纏わずに、全盛期の頃とは比較にもならない程の弱い身体のままで、あっさりと『煌聖の教団』の本隊に属する『アレルバレル』出身の大魔王の命を奪うのであった。
そして再び『代替身体』の身体を手に入れたレキは、宿敵であるソフィを倒す為に本格的に行動を開始するのだった。
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