最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第670話 大賢者エルシスの最強魔法
原初の魔族である『レキ』が封印された後のこの『リラリオ』のような世界や『アサ』のような世界は、力ある魔族にいわせれば簡単に支配出来る『程度の低い』世界と呼ばれている。
センスのある真なる魔王領域に達している存在や、大魔王下限領域に位置する者であれば、あっさりと支配が出来てしまう事からそう呼ばれているのである。
この場に居る『煌聖の教団』の本隊に属する魔族であれば、一体一体がそういったレベルの世界を支配出来る程の力量を持っている。
そんな『煌聖の教団』に属する本隊の大魔王が、この場には凡そ数十万という規模で集まっており、そしてその本隊の魔族達がたった一人に対して総掛かりで襲撃したのである。如何にやりすぎているかが、窺い知れるというものであろう。
この場に居る教団の魔族達は、下限の存在であっても大魔王中位領域以上であるが、年齢はそれぞれ異なっている。若くして大魔王中位領域になれた者や、それこそ大賢者エルシスが居た時代を生きた者もいる。そんなエルシスが生きていた時代を知る魔族達は、今回のエルシスの襲撃に対して、決してやりすぎだとは決して考えては、いなかった。
エルシスを倒す為の攻撃が今も繰り広げられているが、比較的若い年齢の魔族達は、もう勝負は決まっているだろうと楽観して手を抜いている者もいる。
――そしてそれは司令官である、ルビリスもまた同じであった。
エルシスが生きていた時代を知る教団の魔族は、そんな司令官である『ルビリス』に対して注意など出来ようがないが、その代わりに今も本気で『神域魔法』を撃ち続けているのだった。そんな長く生きている魔族達の考えている事は一つだった。
――ここで確実に仕留めなければ、我々は必ず後悔する事になる。
大賢者エルシスが何故『アレルバレル』の世界で最強の大魔王ソフィに敗れるまで『人間界』や、あらゆる『魔界』の中で最強と呼ばれていたか。
人間の身で何故『アレルバレル』の『魔界』で『最強の人間』と囁かれる事となったのか。
それをよく知る古き魔族達は、もう戦闘は終わったという空気の中でも必死に攻撃を続けていた。司令官ルビリスは、隣に居るバルドと話をしていたが、やがて今も撃ち続けられている魔法をみて流石にやり過ぎだろうと考えが過り、ついに口を開いた。
「……もう攻撃をおやめなさい。シスさんは跡形もなく吹き飛んだ事でしょう。これ以上イタズラに世界を破壊する事を我々は望んではいません」
司令官ルビリスがそう言うと、この場での副司令の立場にあるネイキッドは、慌てて全員に攻撃を停止するように声をあげた。
ようやく号令がかかったかとばかりに『煌聖の教団』の若い魔族の者達は手を止める。年齢のいっている魔族も仕方ないといった様子で動きを止めた。やがてピタリと攻撃が止み、エルシスが居た場所を眺める『煌聖の教団』の者達。
ルビリスもまた笑みを浮かべて満足そうに、配下達と同じようにエルシスの居た場所を見る。
確実に仕留めたと信じて疑わないルビリスや『煌聖の教団』の者達は、同じ表情を浮かべている。
――しかし、その顔は僅かな時間で変貌し歪める事となった。
何と魔法が止んだ事で陸が沈み海となった場所の上で、青色のバリアに包まれたエルシスが、無表情で『煌聖の教団』の者達を見つめていたのである。
何も言葉を発さずにエルシスはゆっくりと空を上がって来る。
「「……」」
ルビリスやネイキッドを含めた多くの『煌聖の教団』の魔族達は信じられないといった様子で、静かに浮き上がってくるエルシスを呆然と眺めている。
「……次はこちらの番だね」
多くの魔族達と同じ目線の高さまで、空を上がってきたエルシスの身体が『青』と『金色』の『二色』が混ざり始めていく。
力ある魔族であるならば『紅』と『青』の『二色の併用』や『金色のオーラ』を纏うのが一般的である。
しかしそんな中で魔族のシスの身体を纏っているのは『青』と『金色』の『二種類の混合のオーラ』であった。
「青と、金色ですって……?」
「こ、これはまずい……!」
ルビリスがエルシスの纏うオーラを見ながらそう漏らしていると、隣に居たバルドは何かを察したようで、慌ててルビリスの身体に手を置いて移動呪文を唱え始めた。
「ば、バルドさん! な、何をなさるのです!?」
バルドの突然の行動によってエルシスを見ていたルビリスは、その場から強引に離脱させられた。
そして長く生きる魔族達も呆けている『煌聖の教団』の年齢の若い魔族の仲間達にこの場を離れるように声を掛けながら離れていく。
「もう遅い……。君たちが何をやっても終わりだよ」
エルシスの目が『金色』に輝いたかと思うと『青』と『金色』に包まれたエルシスは右手を天に向けて、そしてその人差し指をあげた。
――神聖魔法、『聖なる滅撃』。
――まさにそれは空を照らす、眩い閃光のようだった。
大魔王ソフィの願望を叶える為だけに、生前のエルシスが創り出した、魔族に対して恐ろしい程の威力を発揮する『極大魔法』。
――彼の最高傑作。人生を懸けて生み出した至高の作品。
それが数十万規模の大魔王に向けて発射された。
その場から逃げなかった者達は『綺麗だな』という感情を抱いてその場で消滅した。
その場から逃げようとした者達は光が覆い尽くす速度に『高速転移』でも追いつけないと判断して『次元防壁』を展開しようとした。
しかし『次元防壁』という『時魔法』を使おうとした瞬間に魔族達の身体が動かなくなった。
『青』と『金色』に包まれた今の形態のエルシスの魔法の射程は恐ろしく広く、エルシスの射程範囲内に居る、数十万と居た魔族全てに『聖動捕縛』を放ったのである。
動く事の出来なくなった教団の本隊。数十万の魔族は一斉にエルシスの『聖なる滅撃』が直撃して骨も残らず消し潰された。
―――最強の大賢者と呼ばれた人間『エルシス』が放った魔法は、間違いなく彼の全力全開であった。
そしてエルシスはまだ止まらない、更にその恐ろしく広い射程の届く範囲の全てに向けて続けて魔法を放った。
――神域魔法、『空間除外』。
魔族を狩る事に関してスペシャリストであるエルシスは、対魔族に関して他の者達の追随を許さない。
『聖なる滅撃』によって、消し潰した魔族達の魂を『代替身体』へと向かわさないように彼は、完全に対策を施行して見せたのだった。
――今の形態のエルシスは、戦力値の数値で表すと5000億を遥かに超えている。
それはつまり大魔王ソフィが第二形態で『三色併用』を用いて尚、真なる大魔王化を果たした状態であっても『特効』の効果を含めれば、甚大なダメージを与える事を可能とする程の一撃であった。
数多の世界を含めた、大魔王最上位領域に居る魔族の中でもこのエルシスの『聖なる滅撃』を耐えられる者は僅かな一握りだけだろう。
戦力値が1000億未満の『大魔王中位領域』程度の存在がこの場に数十万どころか、たとえ数百万体いようと最早エルシスには何一つ関係がないと断言ができる。
――かつて『最強』と呼ばれた大賢者は、その本領を見せつける形で『煌聖の教団』の本隊の魔族全てを壊滅させるのだった。
……
……
……
センスのある真なる魔王領域に達している存在や、大魔王下限領域に位置する者であれば、あっさりと支配が出来てしまう事からそう呼ばれているのである。
この場に居る『煌聖の教団』の本隊に属する魔族であれば、一体一体がそういったレベルの世界を支配出来る程の力量を持っている。
そんな『煌聖の教団』に属する本隊の大魔王が、この場には凡そ数十万という規模で集まっており、そしてその本隊の魔族達がたった一人に対して総掛かりで襲撃したのである。如何にやりすぎているかが、窺い知れるというものであろう。
この場に居る教団の魔族達は、下限の存在であっても大魔王中位領域以上であるが、年齢はそれぞれ異なっている。若くして大魔王中位領域になれた者や、それこそ大賢者エルシスが居た時代を生きた者もいる。そんなエルシスが生きていた時代を知る魔族達は、今回のエルシスの襲撃に対して、決してやりすぎだとは決して考えては、いなかった。
エルシスを倒す為の攻撃が今も繰り広げられているが、比較的若い年齢の魔族達は、もう勝負は決まっているだろうと楽観して手を抜いている者もいる。
――そしてそれは司令官である、ルビリスもまた同じであった。
エルシスが生きていた時代を知る教団の魔族は、そんな司令官である『ルビリス』に対して注意など出来ようがないが、その代わりに今も本気で『神域魔法』を撃ち続けているのだった。そんな長く生きている魔族達の考えている事は一つだった。
――ここで確実に仕留めなければ、我々は必ず後悔する事になる。
大賢者エルシスが何故『アレルバレル』の世界で最強の大魔王ソフィに敗れるまで『人間界』や、あらゆる『魔界』の中で最強と呼ばれていたか。
人間の身で何故『アレルバレル』の『魔界』で『最強の人間』と囁かれる事となったのか。
それをよく知る古き魔族達は、もう戦闘は終わったという空気の中でも必死に攻撃を続けていた。司令官ルビリスは、隣に居るバルドと話をしていたが、やがて今も撃ち続けられている魔法をみて流石にやり過ぎだろうと考えが過り、ついに口を開いた。
「……もう攻撃をおやめなさい。シスさんは跡形もなく吹き飛んだ事でしょう。これ以上イタズラに世界を破壊する事を我々は望んではいません」
司令官ルビリスがそう言うと、この場での副司令の立場にあるネイキッドは、慌てて全員に攻撃を停止するように声をあげた。
ようやく号令がかかったかとばかりに『煌聖の教団』の若い魔族の者達は手を止める。年齢のいっている魔族も仕方ないといった様子で動きを止めた。やがてピタリと攻撃が止み、エルシスが居た場所を眺める『煌聖の教団』の者達。
ルビリスもまた笑みを浮かべて満足そうに、配下達と同じようにエルシスの居た場所を見る。
確実に仕留めたと信じて疑わないルビリスや『煌聖の教団』の者達は、同じ表情を浮かべている。
――しかし、その顔は僅かな時間で変貌し歪める事となった。
何と魔法が止んだ事で陸が沈み海となった場所の上で、青色のバリアに包まれたエルシスが、無表情で『煌聖の教団』の者達を見つめていたのである。
何も言葉を発さずにエルシスはゆっくりと空を上がって来る。
「「……」」
ルビリスやネイキッドを含めた多くの『煌聖の教団』の魔族達は信じられないといった様子で、静かに浮き上がってくるエルシスを呆然と眺めている。
「……次はこちらの番だね」
多くの魔族達と同じ目線の高さまで、空を上がってきたエルシスの身体が『青』と『金色』の『二色』が混ざり始めていく。
力ある魔族であるならば『紅』と『青』の『二色の併用』や『金色のオーラ』を纏うのが一般的である。
しかしそんな中で魔族のシスの身体を纏っているのは『青』と『金色』の『二種類の混合のオーラ』であった。
「青と、金色ですって……?」
「こ、これはまずい……!」
ルビリスがエルシスの纏うオーラを見ながらそう漏らしていると、隣に居たバルドは何かを察したようで、慌ててルビリスの身体に手を置いて移動呪文を唱え始めた。
「ば、バルドさん! な、何をなさるのです!?」
バルドの突然の行動によってエルシスを見ていたルビリスは、その場から強引に離脱させられた。
そして長く生きる魔族達も呆けている『煌聖の教団』の年齢の若い魔族の仲間達にこの場を離れるように声を掛けながら離れていく。
「もう遅い……。君たちが何をやっても終わりだよ」
エルシスの目が『金色』に輝いたかと思うと『青』と『金色』に包まれたエルシスは右手を天に向けて、そしてその人差し指をあげた。
――神聖魔法、『聖なる滅撃』。
――まさにそれは空を照らす、眩い閃光のようだった。
大魔王ソフィの願望を叶える為だけに、生前のエルシスが創り出した、魔族に対して恐ろしい程の威力を発揮する『極大魔法』。
――彼の最高傑作。人生を懸けて生み出した至高の作品。
それが数十万規模の大魔王に向けて発射された。
その場から逃げなかった者達は『綺麗だな』という感情を抱いてその場で消滅した。
その場から逃げようとした者達は光が覆い尽くす速度に『高速転移』でも追いつけないと判断して『次元防壁』を展開しようとした。
しかし『次元防壁』という『時魔法』を使おうとした瞬間に魔族達の身体が動かなくなった。
『青』と『金色』に包まれた今の形態のエルシスの魔法の射程は恐ろしく広く、エルシスの射程範囲内に居る、数十万と居た魔族全てに『聖動捕縛』を放ったのである。
動く事の出来なくなった教団の本隊。数十万の魔族は一斉にエルシスの『聖なる滅撃』が直撃して骨も残らず消し潰された。
―――最強の大賢者と呼ばれた人間『エルシス』が放った魔法は、間違いなく彼の全力全開であった。
そしてエルシスはまだ止まらない、更にその恐ろしく広い射程の届く範囲の全てに向けて続けて魔法を放った。
――神域魔法、『空間除外』。
魔族を狩る事に関してスペシャリストであるエルシスは、対魔族に関して他の者達の追随を許さない。
『聖なる滅撃』によって、消し潰した魔族達の魂を『代替身体』へと向かわさないように彼は、完全に対策を施行して見せたのだった。
――今の形態のエルシスは、戦力値の数値で表すと5000億を遥かに超えている。
それはつまり大魔王ソフィが第二形態で『三色併用』を用いて尚、真なる大魔王化を果たした状態であっても『特効』の効果を含めれば、甚大なダメージを与える事を可能とする程の一撃であった。
数多の世界を含めた、大魔王最上位領域に居る魔族の中でもこのエルシスの『聖なる滅撃』を耐えられる者は僅かな一握りだけだろう。
戦力値が1000億未満の『大魔王中位領域』程度の存在がこの場に数十万どころか、たとえ数百万体いようと最早エルシスには何一つ関係がないと断言ができる。
――かつて『最強』と呼ばれた大賢者は、その本領を見せつける形で『煌聖の教団』の本隊の魔族全てを壊滅させるのだった。
……
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