最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第637話 予期せぬ一方的な再会
エイネに睨まれながらもヴァルーザは、しっかりとイーサ龍王に『エイネ』に言われた通りの言葉を伝えたのだった。
どうやら連絡を取り終えたのだろうと判断したエイネは、再びヴァルーザ龍王に言葉を放つ。
「どうやら事情を話終えたようね? さっさと貴方のご主人様の所へ案内しなさい」
ヴァルーザはそのエイネの物言いに歯軋りをして苛立ちを見せるが、エイネの冷徹な視線を受けて直ぐに首を縦に振るのだった。
魔族は龍族にとっては眼中にも無い。いわば格下のどうでもいい存在だと今までヴァルーザは思っていた。しかし目の前の魔族は決して格下の存在などではなかった。堂々とした立ち振る舞いに、冷酷とも言える言葉やその冷徹な視線。そして先程自分達龍族に見せつけた力の片鱗。
――まさに『女帝』と呼ぶに相応しい恐ろしい存在であった。
「そ、それでは案内するから部下達の鎖も解いてもらいたい」
「ええ、約束だものね」
エイネの目が通常の色に戻ったかと思うと、部下たちの首から鎖が消えていった。
「こっちだ……」
部下たちの拘束が無くなったのを確認し、素直にヴァルーザ龍王はエイネを龍族達の大陸へと案内するのだった。
……
……
……
その頃『魔人』達の大陸のカストロL・K地域にある基地付近では、軍の最高司令官『トマス・ハーベル』の命令によって軍の魔人達は、暴れる魔族達を鎮圧させる事に成功していた。
『金色の体現』を果たした魔族は『二流戦士』の魔人達を数体程は、気絶させる事に成功していたが『スクアード』を纏った『一流戦士』が鎮圧に動いた為、直ぐに反乱を起こした魔族達は捕らえられた。
「これより本国に捕えた魔族達を連行するが、決してお前達は持ち場を離れるな。いつ龍族達が向かってくるか分からないからな」
最高司令官である『トマス』の言葉に、その場に居た魔人達は素直に従う。
金色の体現を果たした者を含めた多くの魔族達は、不満そうな顔を浮かべながらも従う他が無く、悔しそうにトマスの後を歩かされるのだった。
「よし、ではいくぞ」
トマスの言葉に複数の魔人達が捕まえた魔族達を連行していく。
エイネに操られて虚ろな目を浮かべたトマスは魔族達を連れて、エアル王が待つ魔人達の国へと向かうのであった。
……
……
……
レアの魔力を探知する為に別世界に向けて『漏出』を使っていたフルーフだったが、ダールの城では直ぐに見つかったレアの魔力を未だに探す事が出来ずにいた。
どうやら今のレアは何か事情があるのか『隠幕』を使っているようであった。
『隠幕』を使っている以上、直ぐに見つけ出す事は困難である。
そもそも別世界から『漏出』で目当ての人物の魔力を探す事でさえ超がつく程に困難なのである。そうだというのに更に魔力を隠すように『隠幕』を使われてしまえば、当然簡単に探せる筈がない。
何よりそんな魔法を使っているという事は、誰かに見つかる事を恐れている状況かもしれない。フルーフは普段より冷静さを欠き、再び焦りが生じてしまっていた。
しかしそれでも自分の魔力が普段よりも少ないという事を自覚しているフルーフは、これ以上エイネに迷惑を掛けられないと、何とか自制をして少しだけ休む事にするのだった。
……
……
……
そのレアは今ソフィの指示で『アレルバレル』の世界から『リラリオ』の世界に姿を見せていた。
しかし跳んだリラリオの世界で直ぐレアは、身を隠さなければいけない状況に置かれていた。
(な、何でバルドがアイツと一緒にいるのよぉ!?)
レアが辿り着いた場所は彼女がかつて治めていた『ヴェルマー』大陸の『ラルグ』魔国が見える拠点のすぐ傍の丘だった。
現在レアが居る丘から『高速転移』で移動すれば直ぐといえる距離には洞窟がある。
その洞窟はレイズ魔国に繋がる洞窟なのだが、今レアが居る見渡しがいいその場所では身を隠す方法がないために、レアは跳躍と同時にそう遠くない場所で話に集中していた『バルド』と『ルビリス』の姿を見て直ぐに『隠幕』を纏ったのであった。
レアは数千年前『アレルバレル』の世界で生活をしていた頃、バルドには集落で世話になっていた。ソフィの魔王軍が戦争中の時にバルドとは共に、戦争の真っ最中のとある場所に潜伏していた事もある(※第398話『大賢者ミラの残していた生体実験室』)。
数千年前にレアはエイネに対して自分の目標を叶えた後に、レパートの世界へと帰還を果たしたが、バルドはレアが居なくなった後に集落に居る者達やソフィを裏切り、自らの新たな野望の為に『煌聖の教団』側へと寝返った。
つまり現在のバルドが『煌聖の教団』の一員だと知らないレアは、少し前にシス達と『アレルバレル』の世界で戦っていた『煌聖の教団』のルビリスと親し気に喋っているのを見て、慌てて『隠幕』でその姿を隠したというワケであった。
どうやら連絡を取り終えたのだろうと判断したエイネは、再びヴァルーザ龍王に言葉を放つ。
「どうやら事情を話終えたようね? さっさと貴方のご主人様の所へ案内しなさい」
ヴァルーザはそのエイネの物言いに歯軋りをして苛立ちを見せるが、エイネの冷徹な視線を受けて直ぐに首を縦に振るのだった。
魔族は龍族にとっては眼中にも無い。いわば格下のどうでもいい存在だと今までヴァルーザは思っていた。しかし目の前の魔族は決して格下の存在などではなかった。堂々とした立ち振る舞いに、冷酷とも言える言葉やその冷徹な視線。そして先程自分達龍族に見せつけた力の片鱗。
――まさに『女帝』と呼ぶに相応しい恐ろしい存在であった。
「そ、それでは案内するから部下達の鎖も解いてもらいたい」
「ええ、約束だものね」
エイネの目が通常の色に戻ったかと思うと、部下たちの首から鎖が消えていった。
「こっちだ……」
部下たちの拘束が無くなったのを確認し、素直にヴァルーザ龍王はエイネを龍族達の大陸へと案内するのだった。
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その頃『魔人』達の大陸のカストロL・K地域にある基地付近では、軍の最高司令官『トマス・ハーベル』の命令によって軍の魔人達は、暴れる魔族達を鎮圧させる事に成功していた。
『金色の体現』を果たした魔族は『二流戦士』の魔人達を数体程は、気絶させる事に成功していたが『スクアード』を纏った『一流戦士』が鎮圧に動いた為、直ぐに反乱を起こした魔族達は捕らえられた。
「これより本国に捕えた魔族達を連行するが、決してお前達は持ち場を離れるな。いつ龍族達が向かってくるか分からないからな」
最高司令官である『トマス』の言葉に、その場に居た魔人達は素直に従う。
金色の体現を果たした者を含めた多くの魔族達は、不満そうな顔を浮かべながらも従う他が無く、悔しそうにトマスの後を歩かされるのだった。
「よし、ではいくぞ」
トマスの言葉に複数の魔人達が捕まえた魔族達を連行していく。
エイネに操られて虚ろな目を浮かべたトマスは魔族達を連れて、エアル王が待つ魔人達の国へと向かうのであった。
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レアの魔力を探知する為に別世界に向けて『漏出』を使っていたフルーフだったが、ダールの城では直ぐに見つかったレアの魔力を未だに探す事が出来ずにいた。
どうやら今のレアは何か事情があるのか『隠幕』を使っているようであった。
『隠幕』を使っている以上、直ぐに見つけ出す事は困難である。
そもそも別世界から『漏出』で目当ての人物の魔力を探す事でさえ超がつく程に困難なのである。そうだというのに更に魔力を隠すように『隠幕』を使われてしまえば、当然簡単に探せる筈がない。
何よりそんな魔法を使っているという事は、誰かに見つかる事を恐れている状況かもしれない。フルーフは普段より冷静さを欠き、再び焦りが生じてしまっていた。
しかしそれでも自分の魔力が普段よりも少ないという事を自覚しているフルーフは、これ以上エイネに迷惑を掛けられないと、何とか自制をして少しだけ休む事にするのだった。
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そのレアは今ソフィの指示で『アレルバレル』の世界から『リラリオ』の世界に姿を見せていた。
しかし跳んだリラリオの世界で直ぐレアは、身を隠さなければいけない状況に置かれていた。
(な、何でバルドがアイツと一緒にいるのよぉ!?)
レアが辿り着いた場所は彼女がかつて治めていた『ヴェルマー』大陸の『ラルグ』魔国が見える拠点のすぐ傍の丘だった。
現在レアが居る丘から『高速転移』で移動すれば直ぐといえる距離には洞窟がある。
その洞窟はレイズ魔国に繋がる洞窟なのだが、今レアが居る見渡しがいいその場所では身を隠す方法がないために、レアは跳躍と同時にそう遠くない場所で話に集中していた『バルド』と『ルビリス』の姿を見て直ぐに『隠幕』を纏ったのであった。
レアは数千年前『アレルバレル』の世界で生活をしていた頃、バルドには集落で世話になっていた。ソフィの魔王軍が戦争中の時にバルドとは共に、戦争の真っ最中のとある場所に潜伏していた事もある(※第398話『大賢者ミラの残していた生体実験室』)。
数千年前にレアはエイネに対して自分の目標を叶えた後に、レパートの世界へと帰還を果たしたが、バルドはレアが居なくなった後に集落に居る者達やソフィを裏切り、自らの新たな野望の為に『煌聖の教団』側へと寝返った。
つまり現在のバルドが『煌聖の教団』の一員だと知らないレアは、少し前にシス達と『アレルバレル』の世界で戦っていた『煌聖の教団』のルビリスと親し気に喋っているのを見て、慌てて『隠幕』でその姿を隠したというワケであった。
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