最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第614話 大賢者ミラの狙い
『ダール』の世界からミラの『時魔法・無効化』の魔法を掻い潜り、間一髪逃れる事に成功したフルーフは、次元を越えて別世界へと向かっていく。
そして次元の空間を抜け出して、遂に別世界の地へと降り立つのであった。
「何だ? レアの魔力が全く感知出来ぬ!」
フルーフは過去に訪れた『アレルバレル』の世界とは違う空気を感じ取り、すぐにレアの魔力を探るが全くレアの魔力を感じられなかった。
――そしてすぐにここは『アレルバレル』の世界ではないと気付くフルーフであった。
「ワシは確かにレアの魔力を感知してから『概念跳躍』を使った筈だ。何故こんな世界に辿り着くのだ?」
座標が少し違うだけでも目標地点と外れる難しい魔法ではあるが『概念跳躍』はフルーフ自身が編み出した魔法である為に『発動羅列』や魔法の失敗などあり得よう筈もなかった。
ミラに追われている状態で使っていて、この世界へ来たというのであれば理解は出来るが、フルーフが『概念跳躍』を使った時は、間違いなく万全の態勢で使った筈なのである。そうであるにも拘らずにこのような世界へきた事にフルーフは驚きを隠し切れない。
「仕方あるまい、もう一度……」
しかしそこで自身が魔力枯渇している事に気づき、意識が朦朧とし始める。
フルーフは『聖動捕縛』を解除する為に『地下牢』でひたすら魔力を消費し続けた後に、更にはあのミラとの戦いが行われて『死神皇』を呼び出した。
膨大な魔力値を誇るフルーフではあったが、あれだけの連戦では『魔力』が枯渇するのも無理はなかった。
「い、いかぬ……! このままではマズイ!」
ここでもし意識を失うと直ぐにあのミラは追ってくることだろう。
『死神皇』によって、一度は生命を失ったミラだが、まだまだ仮初の命は残っている筈である。
ミラは直ぐに再生した後に、直ぐにこの世界にフルーフの『魔力』を追って戻ってくる事だろう。
「し、死神皇を、もう……いち、ど……!」
フルーフは手を伸ばしながら、契約を結んだ『死神皇』を再び現世へ呼び出そうとするが、その意思も空しく目が虚ろになってそのまま倒れるのであった。
……
……
……
『ダール』の世界のイザベラ城があった場所から遥か東の大陸で、ミラは青い光に再び包まれたかと思うとゆっくりと目を覚ます。
身体を起こして視線を左右に動かして誰も居ないのを確認した後に、ミラはニヤリと笑った。
「ふふふ。今頃フルーフは『アレルバレル』ではない世界に跳んだ事を知り、大層慌てている事だろうな」
死の間際にミラが放った『時魔法・無効化』は、フルーフの『概念跳躍』を無効化するには至らず、そのまま『世界間転移』を許してしまった。
しかしミラはフルーフの『概念跳躍』を阻止する事は出来ないだろうと気付き、咄嗟に機転をきかして狙いを変えて、ミラは一つの賭けに出たのである。
――その狙いとは『発動羅列』の一部分の消去である。
そしてその弄った部分は『位置座標指定部分』であった。
ミラは『発動羅列』を読み解く『特異』の力を所有している。つまり『魔法無効化』の『魔神』の『技』と自身の『特異』を活かす事で、魔法そのものを無効化せずとも相手の魔法の『発動羅列』に干渉する事が出来るのではないかと考えたのである
もちろんこれはミラ自身初めての試みだった為に『賭け』ではあったが、フルーフが『概念跳躍』を使った瞬間の『発動羅列』を読み解いたミラは、確かに位置座標指定の項目の一部分を消す事に成功したのを見た。
あれでは魔法自体は成功しただろうが、狙いの『アレルバレル』の世界には、辿り着けてはいないだろう。別の世界へ運良く流れ着く事はあり得るだろうが、下手をすればそのまま次元の狭間に跳躍しているかもしれない。
何はともあれこれで時間稼ぎは出来ただろう。
フルーフが直ぐに別世界から『概念跳躍』を再び使って『アレルバレル』の世界へ向かう前に、自身もまた『アレルバレル』の世界へと向かい、ソフィに見つからないように身を隠しながらフルーフを再び支配するか、もしくは殺ってしまわねばならないだろう。
ソフィの元にフルーフとエルシスの力を有する『シス』とかいう魔族が集結してしまえば、それこそ計画は完全に途絶える。
一体ずつ確実に消し飛ばして行かねばならない為に、慎重に今後は動かないとならないだろう。
しかしそれでもミラは『魔神の力』の強大さをフルーフの『時魔法』を妨害した事で再実感して、再び笑みを浮かべるのだった。
そして次元の空間を抜け出して、遂に別世界の地へと降り立つのであった。
「何だ? レアの魔力が全く感知出来ぬ!」
フルーフは過去に訪れた『アレルバレル』の世界とは違う空気を感じ取り、すぐにレアの魔力を探るが全くレアの魔力を感じられなかった。
――そしてすぐにここは『アレルバレル』の世界ではないと気付くフルーフであった。
「ワシは確かにレアの魔力を感知してから『概念跳躍』を使った筈だ。何故こんな世界に辿り着くのだ?」
座標が少し違うだけでも目標地点と外れる難しい魔法ではあるが『概念跳躍』はフルーフ自身が編み出した魔法である為に『発動羅列』や魔法の失敗などあり得よう筈もなかった。
ミラに追われている状態で使っていて、この世界へ来たというのであれば理解は出来るが、フルーフが『概念跳躍』を使った時は、間違いなく万全の態勢で使った筈なのである。そうであるにも拘らずにこのような世界へきた事にフルーフは驚きを隠し切れない。
「仕方あるまい、もう一度……」
しかしそこで自身が魔力枯渇している事に気づき、意識が朦朧とし始める。
フルーフは『聖動捕縛』を解除する為に『地下牢』でひたすら魔力を消費し続けた後に、更にはあのミラとの戦いが行われて『死神皇』を呼び出した。
膨大な魔力値を誇るフルーフではあったが、あれだけの連戦では『魔力』が枯渇するのも無理はなかった。
「い、いかぬ……! このままではマズイ!」
ここでもし意識を失うと直ぐにあのミラは追ってくることだろう。
『死神皇』によって、一度は生命を失ったミラだが、まだまだ仮初の命は残っている筈である。
ミラは直ぐに再生した後に、直ぐにこの世界にフルーフの『魔力』を追って戻ってくる事だろう。
「し、死神皇を、もう……いち、ど……!」
フルーフは手を伸ばしながら、契約を結んだ『死神皇』を再び現世へ呼び出そうとするが、その意思も空しく目が虚ろになってそのまま倒れるのであった。
……
……
……
『ダール』の世界のイザベラ城があった場所から遥か東の大陸で、ミラは青い光に再び包まれたかと思うとゆっくりと目を覚ます。
身体を起こして視線を左右に動かして誰も居ないのを確認した後に、ミラはニヤリと笑った。
「ふふふ。今頃フルーフは『アレルバレル』ではない世界に跳んだ事を知り、大層慌てている事だろうな」
死の間際にミラが放った『時魔法・無効化』は、フルーフの『概念跳躍』を無効化するには至らず、そのまま『世界間転移』を許してしまった。
しかしミラはフルーフの『概念跳躍』を阻止する事は出来ないだろうと気付き、咄嗟に機転をきかして狙いを変えて、ミラは一つの賭けに出たのである。
――その狙いとは『発動羅列』の一部分の消去である。
そしてその弄った部分は『位置座標指定部分』であった。
ミラは『発動羅列』を読み解く『特異』の力を所有している。つまり『魔法無効化』の『魔神』の『技』と自身の『特異』を活かす事で、魔法そのものを無効化せずとも相手の魔法の『発動羅列』に干渉する事が出来るのではないかと考えたのである
もちろんこれはミラ自身初めての試みだった為に『賭け』ではあったが、フルーフが『概念跳躍』を使った瞬間の『発動羅列』を読み解いたミラは、確かに位置座標指定の項目の一部分を消す事に成功したのを見た。
あれでは魔法自体は成功しただろうが、狙いの『アレルバレル』の世界には、辿り着けてはいないだろう。別の世界へ運良く流れ着く事はあり得るだろうが、下手をすればそのまま次元の狭間に跳躍しているかもしれない。
何はともあれこれで時間稼ぎは出来ただろう。
フルーフが直ぐに別世界から『概念跳躍』を再び使って『アレルバレル』の世界へ向かう前に、自身もまた『アレルバレル』の世界へと向かい、ソフィに見つからないように身を隠しながらフルーフを再び支配するか、もしくは殺ってしまわねばならないだろう。
ソフィの元にフルーフとエルシスの力を有する『シス』とかいう魔族が集結してしまえば、それこそ計画は完全に途絶える。
一体ずつ確実に消し飛ばして行かねばならない為に、慎重に今後は動かないとならないだろう。
しかしそれでもミラは『魔神の力』の強大さをフルーフの『時魔法』を妨害した事で再実感して、再び笑みを浮かべるのだった。
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