最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第560話 隠された神殿の秘密
ここは『ダール』の世界。
『アレルバレル』の世界ように魔族が多い世界であり、精霊族や魔人族が次ぐ形である。形だけでは無く本当の意味で『イザベラ』が支配していた頃は、人間族も数多く暮らしていたのだが、ヌーやミラがこの世界にきた頃から徐々に、人間達の数は減っていった。
原因は『煌聖の教団』を率いる、大賢者『ミラ』の実験の所為であった。人間以外の種族もミラは研究材料にしてはいたが、ミラの実験で一番よく使う種族が人間であり、膨大な数の人間を実験材料にしていったのである。
そしてやはり人間の身体は魔人達に比べると脆く、直ぐに命を落としてしまう事が多かった。気が付けばダールの世界では人間の数が、一番少なくなっていたのである。
表向きは、大魔王イザベラが支配する世界という事になっているがが実際には大魔王『ヌー』と『煌聖の教団』の総帥である『ミラ』が牛耳る世界となっている。
その世界で『煌聖の教団』のミラは教団の幹部の信徒たちと、同盟を結ぶ大魔王ヌーを引き連れて、とある場所へと向かっていた。
「おいミラ。俺を何処へ連れまわそうというのだ?」
「いいから黙ってついてこい」
後ろからついてくるヌーに一瞥もくれず、前を向いたままミラはそう言い捨てる。
どうやら今のミラはいつもとは違い、何かに緊張しているようにも感じられる。あまり普段のような余裕がないようであった。
「ちっ……!」
何か大きな事をしようとしているミラを放って戻るわけにもいかず、最悪の気分を抱いたままで、ミラの言葉に従い後ろをついていくヌーであった。
ミラ達が今歩いている所は、人間が多く暮らし生活をしていた大陸にある山脈だった。かなり高い場所にある為に近くまでは、空を飛んでここまで来たのだが、山の上に建てられていた鳥居がある場所に到着するとヌーは、ミラにここからは歩いていく事を告げられたのだった。
鳥居をくぐってからヌーは違和感を感じており、どうやらこの場所は『結界』が張られているのだろうとヌーは感じるのだった。ヌーは先頭を歩くミラの後ろ姿を眺めながら、今回のこいつは何かいつもと違うと考えていた。いつもどこか飄々としているミラは、戦争を始めるときもどこか余裕があったのだが、今回の奴を纏っているものはいつもと明らかに違う。
いつもであれば確定した未来をなぞるだけといった、どこか作業感を感じさせるような顔をしているミラだったが、今回ばかりはどこか自信がなさげのようでもあり、更には何かに期待しているような表情を浮かべているのである。
鳥居の在った場所から数分程山脈を歩いていくと開けた場所に出た。そこでミラはようやく足を止めて周囲を見渡し始めた。
ここに何かがあるのだろうか? ミラだけではなく『煌聖の教団』の幹部達も何かソワソワしだしている。この場所に同行させられているヌーはこの場所に何があるのかすら聞かされていない。だがあのミラの重々しい足取りや、余裕のない表情を見るに、この場所には、相当重要な事をしにきたのであろう。
辺りを見回していたミラが、静かに目を閉じる。そしてミラの周囲に『金色のオーラ』が纏われ始めると魔力が漏れ始めた。ミラの魔力に呼応するように、ヌー達の視線の先に大きな神殿が出現し始める。どうやら元々この場所にあった神殿をミラの魔法で、見えなくされていたようだった。
わざわざ隠す理由が分からないヌーだったが、成り行きを見守る事にするヌーであった。
完全に神殿の姿が見えた後、ゆっくりとした足取りで、ミラは神殿に向かって歩き始める。
中に何があるのかを探ろうとするヌーだったが、ミラが一瞬立ち止まり後ろを振り返る。何かを言う訳でもないが、立ち止まったミラはヌーを一瞥する。
気になるなら余計な事をせずに中に入れという意味だろう。その後ミラはさっさと歩き出していき、更にその後を『リベイル』達も付いていくのだった。
「……面倒な奴めが」
結局中に何があるのか、はたまた何かが『居る』のか。
『魔力感知』等を用いて確認などせずに、悪態をつきながら『ヌー』も神殿へと歩を進めるのだった。
……
……
……
『アレルバレル』の世界ように魔族が多い世界であり、精霊族や魔人族が次ぐ形である。形だけでは無く本当の意味で『イザベラ』が支配していた頃は、人間族も数多く暮らしていたのだが、ヌーやミラがこの世界にきた頃から徐々に、人間達の数は減っていった。
原因は『煌聖の教団』を率いる、大賢者『ミラ』の実験の所為であった。人間以外の種族もミラは研究材料にしてはいたが、ミラの実験で一番よく使う種族が人間であり、膨大な数の人間を実験材料にしていったのである。
そしてやはり人間の身体は魔人達に比べると脆く、直ぐに命を落としてしまう事が多かった。気が付けばダールの世界では人間の数が、一番少なくなっていたのである。
表向きは、大魔王イザベラが支配する世界という事になっているがが実際には大魔王『ヌー』と『煌聖の教団』の総帥である『ミラ』が牛耳る世界となっている。
その世界で『煌聖の教団』のミラは教団の幹部の信徒たちと、同盟を結ぶ大魔王ヌーを引き連れて、とある場所へと向かっていた。
「おいミラ。俺を何処へ連れまわそうというのだ?」
「いいから黙ってついてこい」
後ろからついてくるヌーに一瞥もくれず、前を向いたままミラはそう言い捨てる。
どうやら今のミラはいつもとは違い、何かに緊張しているようにも感じられる。あまり普段のような余裕がないようであった。
「ちっ……!」
何か大きな事をしようとしているミラを放って戻るわけにもいかず、最悪の気分を抱いたままで、ミラの言葉に従い後ろをついていくヌーであった。
ミラ達が今歩いている所は、人間が多く暮らし生活をしていた大陸にある山脈だった。かなり高い場所にある為に近くまでは、空を飛んでここまで来たのだが、山の上に建てられていた鳥居がある場所に到着するとヌーは、ミラにここからは歩いていく事を告げられたのだった。
鳥居をくぐってからヌーは違和感を感じており、どうやらこの場所は『結界』が張られているのだろうとヌーは感じるのだった。ヌーは先頭を歩くミラの後ろ姿を眺めながら、今回のこいつは何かいつもと違うと考えていた。いつもどこか飄々としているミラは、戦争を始めるときもどこか余裕があったのだが、今回の奴を纏っているものはいつもと明らかに違う。
いつもであれば確定した未来をなぞるだけといった、どこか作業感を感じさせるような顔をしているミラだったが、今回ばかりはどこか自信がなさげのようでもあり、更には何かに期待しているような表情を浮かべているのである。
鳥居の在った場所から数分程山脈を歩いていくと開けた場所に出た。そこでミラはようやく足を止めて周囲を見渡し始めた。
ここに何かがあるのだろうか? ミラだけではなく『煌聖の教団』の幹部達も何かソワソワしだしている。この場所に同行させられているヌーはこの場所に何があるのかすら聞かされていない。だがあのミラの重々しい足取りや、余裕のない表情を見るに、この場所には、相当重要な事をしにきたのであろう。
辺りを見回していたミラが、静かに目を閉じる。そしてミラの周囲に『金色のオーラ』が纏われ始めると魔力が漏れ始めた。ミラの魔力に呼応するように、ヌー達の視線の先に大きな神殿が出現し始める。どうやら元々この場所にあった神殿をミラの魔法で、見えなくされていたようだった。
わざわざ隠す理由が分からないヌーだったが、成り行きを見守る事にするヌーであった。
完全に神殿の姿が見えた後、ゆっくりとした足取りで、ミラは神殿に向かって歩き始める。
中に何があるのかを探ろうとするヌーだったが、ミラが一瞬立ち止まり後ろを振り返る。何かを言う訳でもないが、立ち止まったミラはヌーを一瞥する。
気になるなら余計な事をせずに中に入れという意味だろう。その後ミラはさっさと歩き出していき、更にその後を『リベイル』達も付いていくのだった。
「……面倒な奴めが」
結局中に何があるのか、はたまた何かが『居る』のか。
『魔力感知』等を用いて確認などせずに、悪態をつきながら『ヌー』も神殿へと歩を進めるのだった。
……
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