最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第548話 成長の一途
「ディアトロス殿。一体その顔は何ですか?」
「お前が話をややこしくしようとするからじゃ」
「……ほう? 元はと言えば私に一言もなく『ラルグ』の塔へ向かった『ディアトロス』殿達のせいじゃないですか? リーネ様の護衛がなければ、あの時に私はソフィ様の元へ向かえて『レキ』とかいう奴の所へ行けたのですがね」
ディアトロスは露骨に嫌そうな表情を浮かべて、横に居るイリーガルと顔を合わせる。まさに痛いところを突かれてしまい、どうしようかとイリーガルに助け船を求めているようだった。
「その事は悪かったなブラスト。しかしディアトロス殿も、この世界の情勢を知ろうと必死なんだよ。それが分からないお前じゃないだろう?」
「ああ。もちろんそれは分かっている。だが、一言くらい私に伝えてからいけばいいじゃないか」
「それはワシの落ち度じゃったな。悪かったなブラストよ」
「次からは仲間外れにしないで下さいよ。ソフィ様の元へ行くのを断念した私の気持ちを汲んでください」
「分かった分かった」
「全くお前は本当に自分勝手な奴だな? お前がソフィ様の元についていって、一体何の役に立つというんだ」
『ディアトロス』と『ブラスト』がようやく和解したかと思えば、今度はそこで『イリーガル』がまた要らぬ口を挟むのだった。
「ああ? おいイリーガル。貴様も口の利き方に注意しろよ?」
「なんだ? 破壊するしか脳のないお前には、赤ちゃん言葉で言わないと伝わらなかったのでちゅかな?」
「はぁ……」
ディアトロスは二人が今にも喧嘩を始めようとする様子に、今日一番の溜息を吐くのだった。
「クックック! お主達その辺にしておけ」
ソフィは嬉しそうに笑いながら言い争いを続けるブラスト達を諫めるのだった。
「す、すみません」
「すみません、ソフィ様!」
「もっと早く止めればよいモノを、お主楽しんでおったな?」
素直に謝罪をするイリーガルとブラストを横目に、ソフィに悪態をついて責める『ディアトロス』であった。
そこへ夜の空が唐突に光に包まれていき、大きな『魔力』が迸るのを感知した三人は、一斉に同じ方向の空を見上げる。
「「ソフィ様!」」
「この魔力の持ち主は『エルシス』か!」
ソフィはオーラを纏いながら一直線に光を放ったエルシスの元へと飛んで行くのだった。
「リーネ様はワシに任せて、お主らはソフィについていけ」
「「御意!」」
そしてディアトロスに指示された二人は、少し遅れてソフィの後を追いかける。
やがて空で浮きながら何かを見下ろしているソフィに追いつくイリーガル達だったが――。
何を見ているのかとソフィに声を掛けようとするイリーガルだったが、そのソフィの居る場所より少し低い位置に同じように空に浮かぶ、シスの姿を見つけるのだった。
「あれは『組織』の総帥と派手な戦いを繰り広げたいた『シス』という女だったか?」
「おい、イリーガル! もっと下の方を見てみろ!」
シスを見ていたイリーガルは、背後から追いついたブラストに声を掛けられて、地上の方を見下ろすと、一人の人間がどうやらシスの放った『極大魔法』に飲み込まれそうになっていた。
「おいおい! 何て規模の魔法を使っていやがる! この大陸が吹き飛ぶぞ!」
イリーガルはそう言って『転移』をしようと軸足に力を込め始めたが――。
「やめておけ。お主らは動くな」
腕を組みながらソフィは地上を見下ろして、声だけでイリーガルを制止する。
「し、しかしソフィ様!」
「案ずるな。リディアをよく見ていろ」
ソフィの言う『リディア』とはあの地上で『刀』を構えている『人間』の事だろう。イリーガルはソフィの命令通りに転移をする事止めて、成り行きを見守る事にした。
そしてその間にも大きな光は、その絶大なる威力を以て人間諸共に、この大陸を飲み込もうとしていた。
――しかし次の瞬間。
『金色』を纏っていた人間が、そのオーラの全ての輝きを『刀』に集約させるように移していき、黄金に輝く刀に手を掛けた人間が、何とその迫りくる『魔法』に向けて飛び出した。
「あ、あいつ……! 死ぬ気か!?」
大魔王『ブラスト』も魔法を主体にして使い戦う魔族である。エルシスの放った『極大魔法』に向かっていく『リディア』を見てそう漏らす。
だが、イリーガルもブラストも予想していた結末とは、違うものを見せられる事となった。
『九大魔王』であるブラストやイリーガルですら、危険だと思う程の規模であるエルシスの『神聖魔法』である『聖なる滅撃』は、何とリディアの『特異』の力によって斬られた後に、あっさりと消えていったのだった。
「冗談だろう?」
「嘘だろう!?」
イリーガルとブラストは目を丸くしながら、同時に同じような言葉を漏らす。
「エルシス程の大賢者の使う『魔法』でさえも、あやつの『輝く刀』は斬れるようになったのか」
ソフィは一種の感動に打ち震えながら、過去のリディアの『特異』の力を思い出す。
最初は『通常状態』ではあるが、ソフィの神域魔法である『天空の雷』を斬り伏せて、最近では始祖龍である『キーリ』がトウジン魔国にある『闘技場』で行われた試合の中で『三色混合』を用いた状態の『龍滅』を放ったが、リディアは斬ってみせた。
――そして今『アレルバレル』最強の人間であった、大賢者『エルシス』の放つ『神聖魔法』をも斬って見せたのだった。
九大魔王『ブラスト』は、魔法を使う大魔王として、この時を以てあれ程の魔法を消して見せた『リディア』を脅威の存在と認めるのであった。
そしてソフィもまた認めていた人間である『リディア』が、新たに成長を遂げて、また一つ強くなったのだと理解するのだった。
……
……
……
「お前が話をややこしくしようとするからじゃ」
「……ほう? 元はと言えば私に一言もなく『ラルグ』の塔へ向かった『ディアトロス』殿達のせいじゃないですか? リーネ様の護衛がなければ、あの時に私はソフィ様の元へ向かえて『レキ』とかいう奴の所へ行けたのですがね」
ディアトロスは露骨に嫌そうな表情を浮かべて、横に居るイリーガルと顔を合わせる。まさに痛いところを突かれてしまい、どうしようかとイリーガルに助け船を求めているようだった。
「その事は悪かったなブラスト。しかしディアトロス殿も、この世界の情勢を知ろうと必死なんだよ。それが分からないお前じゃないだろう?」
「ああ。もちろんそれは分かっている。だが、一言くらい私に伝えてからいけばいいじゃないか」
「それはワシの落ち度じゃったな。悪かったなブラストよ」
「次からは仲間外れにしないで下さいよ。ソフィ様の元へ行くのを断念した私の気持ちを汲んでください」
「分かった分かった」
「全くお前は本当に自分勝手な奴だな? お前がソフィ様の元についていって、一体何の役に立つというんだ」
『ディアトロス』と『ブラスト』がようやく和解したかと思えば、今度はそこで『イリーガル』がまた要らぬ口を挟むのだった。
「ああ? おいイリーガル。貴様も口の利き方に注意しろよ?」
「なんだ? 破壊するしか脳のないお前には、赤ちゃん言葉で言わないと伝わらなかったのでちゅかな?」
「はぁ……」
ディアトロスは二人が今にも喧嘩を始めようとする様子に、今日一番の溜息を吐くのだった。
「クックック! お主達その辺にしておけ」
ソフィは嬉しそうに笑いながら言い争いを続けるブラスト達を諫めるのだった。
「す、すみません」
「すみません、ソフィ様!」
「もっと早く止めればよいモノを、お主楽しんでおったな?」
素直に謝罪をするイリーガルとブラストを横目に、ソフィに悪態をついて責める『ディアトロス』であった。
そこへ夜の空が唐突に光に包まれていき、大きな『魔力』が迸るのを感知した三人は、一斉に同じ方向の空を見上げる。
「「ソフィ様!」」
「この魔力の持ち主は『エルシス』か!」
ソフィはオーラを纏いながら一直線に光を放ったエルシスの元へと飛んで行くのだった。
「リーネ様はワシに任せて、お主らはソフィについていけ」
「「御意!」」
そしてディアトロスに指示された二人は、少し遅れてソフィの後を追いかける。
やがて空で浮きながら何かを見下ろしているソフィに追いつくイリーガル達だったが――。
何を見ているのかとソフィに声を掛けようとするイリーガルだったが、そのソフィの居る場所より少し低い位置に同じように空に浮かぶ、シスの姿を見つけるのだった。
「あれは『組織』の総帥と派手な戦いを繰り広げたいた『シス』という女だったか?」
「おい、イリーガル! もっと下の方を見てみろ!」
シスを見ていたイリーガルは、背後から追いついたブラストに声を掛けられて、地上の方を見下ろすと、一人の人間がどうやらシスの放った『極大魔法』に飲み込まれそうになっていた。
「おいおい! 何て規模の魔法を使っていやがる! この大陸が吹き飛ぶぞ!」
イリーガルはそう言って『転移』をしようと軸足に力を込め始めたが――。
「やめておけ。お主らは動くな」
腕を組みながらソフィは地上を見下ろして、声だけでイリーガルを制止する。
「し、しかしソフィ様!」
「案ずるな。リディアをよく見ていろ」
ソフィの言う『リディア』とはあの地上で『刀』を構えている『人間』の事だろう。イリーガルはソフィの命令通りに転移をする事止めて、成り行きを見守る事にした。
そしてその間にも大きな光は、その絶大なる威力を以て人間諸共に、この大陸を飲み込もうとしていた。
――しかし次の瞬間。
『金色』を纏っていた人間が、そのオーラの全ての輝きを『刀』に集約させるように移していき、黄金に輝く刀に手を掛けた人間が、何とその迫りくる『魔法』に向けて飛び出した。
「あ、あいつ……! 死ぬ気か!?」
大魔王『ブラスト』も魔法を主体にして使い戦う魔族である。エルシスの放った『極大魔法』に向かっていく『リディア』を見てそう漏らす。
だが、イリーガルもブラストも予想していた結末とは、違うものを見せられる事となった。
『九大魔王』であるブラストやイリーガルですら、危険だと思う程の規模であるエルシスの『神聖魔法』である『聖なる滅撃』は、何とリディアの『特異』の力によって斬られた後に、あっさりと消えていったのだった。
「冗談だろう?」
「嘘だろう!?」
イリーガルとブラストは目を丸くしながら、同時に同じような言葉を漏らす。
「エルシス程の大賢者の使う『魔法』でさえも、あやつの『輝く刀』は斬れるようになったのか」
ソフィは一種の感動に打ち震えながら、過去のリディアの『特異』の力を思い出す。
最初は『通常状態』ではあるが、ソフィの神域魔法である『天空の雷』を斬り伏せて、最近では始祖龍である『キーリ』がトウジン魔国にある『闘技場』で行われた試合の中で『三色混合』を用いた状態の『龍滅』を放ったが、リディアは斬ってみせた。
――そして今『アレルバレル』最強の人間であった、大賢者『エルシス』の放つ『神聖魔法』をも斬って見せたのだった。
九大魔王『ブラスト』は、魔法を使う大魔王として、この時を以てあれ程の魔法を消して見せた『リディア』を脅威の存在と認めるのであった。
そしてソフィもまた認めていた人間である『リディア』が、新たに成長を遂げて、また一つ強くなったのだと理解するのだった。
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