最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第533話 順序の違い
「まずは実際に『金色』をボクに見せてくれるかい? この子の中で一応意識はしていたけど、この目で直接はまだ見ていないからね」
リディアはシスの言っている意味が分からないが、どうやら『金色のオーラ』を纏えと言われている事は理解出来たリディアは、直ぐにオーラを纏う準備を始める。
リディアは目を瞑ると『光り輝く二刀』を両手に持つようにする時の様子を想像する。
やがてリディアの周囲を『金色のオーラ』が纏われ始めた。
(……なるほどね。そういう発現の仕方をするのか。ボクやソフィのように『魔力』の調節から始めるのではなく、オーラで生み出す武器の創成具現からとは興味深いね)
エルシスはリディアの金色の体現方法を実際に見ながら、何かに納得するように頷く。
「これでいいのか?」
リディアは目の前に居る『エルシス』と同じ『金色のオーラ』を纏う。戦力値と魔力値が膨れ上がり、先程までのリディアとは比べ物にならない強さになった。
――しかしやはり『リディア』は、純粋な『金色の体現者』のような上昇率は果たしてはいなかった。
「うーん。そうだね。やっぱり順序がおかしい所為なのかな? 本来の金色の力を、引き出せてはいないかな」
エルシスはリディアの周りをゆっくりと歩きながら観察を始める。リディアの周りを一周まわった後にリディアの両手に着目する。
「リディア君といったかな? ちょっと君が戦う時の様子をボクに見せてくれるかい?」
「それはいいが、構えるだけでいいのか?」
リディアの言っている意味がよく分からなかったエルシスは、ゆっくりと首を傾げる。
「いや、何でもない。これでいいか?」
リディアが両手に『金色』を纏った武器を具現化していく。
(ああ、成程。そういう事か。だから創成具現するイメージで、オーラを体現したわけだ)
リディアが構えをとってようやく『金色』の本来の上昇率に近づいたようにエルシスは感じた。
つまり金色を纏った時に本来は十倍程に膨れ上がるところだが、リディアは纏った状態では、七割よくて八割程の上昇をして戦闘時に集中して彼の技を使おうとした時にようやく、九割から十割の力を纏う事が出来るようでこういう金色の力を使い方をする者は、エルシスでも見た事はなかった。
「うん。もういいよ。だいたい分かったからね」
リディアは『二刀の光り輝く刀』の元となる『金色』を解いた。
「金色を纏うようになったのは、最近なんだよね?」
「ああ……。だが、感覚としては十年以上前には、使えていたように思えるが」
リディアの言葉に眉を寄せる。
「『金色』は先天性の類の筈だから『金色』を纏えるようになる時が、体現する瞬間だと思うのだけど?」
(金色の体現を果たしている事に気づかず、無意識に戦いの中で金色を纏わせた武器を具現化して、本能で戦っていたという事だろうか?)
『アレルバレル』の世界のように『大魔王』と呼ばれる存在が『金色』を纏っているところを見た事がなかった為、自身の戦力値向上に使うという発想が出ずに『金色』の本来の使い方を知らぬまま成長して彼が先程使って見せた『二刀の光輝く刀』を使う時に必要な力だと勘違いしてしまっていたのだろう。
彼の周りに『金色の体現者』が居なければ、確かに考えられない事でもないかと『エルシス』はようやく納得をするのだった。
「どうやら君は順序を間違えているだけのようだから今から基本を覚えていけば、確実に今より強くなれるだろうね」
リディアはあっさりとそう言ってみせた『エルシス』に眉を寄せはするが、全てが嘘なのだと疑いはしなかった。
『ミールガルド』大陸に居た頃の『最強の剣士』と呼ばれていた頃であればリディアは『下らない』と吐き捨てただろうが『ソフィ』と出会い、そして『レキ』という存在に色々と教わった今は、所謂自分の知らない世界。つまり『上の領域』にいる者達が居るという事を認めて、渋々ながらも納得してしまうのだった。
「順序か。すまないが一度俺に『この力』の本当の使い方を教えてくれないか?」
「もちろん構わないよ。この子の大事な時間を使わせてもらっているんだ。それくらいしておかないと、逆にこの子に失礼だしね?」
「?」
またよく分からない事を言うシスだったが、今はそんな事はどうでもいいと『リディア』はシスの不思議な発言を無視をするのだった。
纏っていた『金色』を一度解除したリディアを一瞥して、そしてエルシスは瞳を閉じる。
「いいかい? 君も体現者だ。必ず出来るからボクの言う通りにしなさい」
「あ、ああ……」
「まず君の持つ魔力を自分や武器ではなく、何もない虚空に集める感覚を身につける事から始めよう」
「な、何だと? 何もない虚空?」
エルシスはゆっくりと歩き始めたかと思うと、転がっていた少し大きめの石を拾い上げる。
そしてその石をリディアに向けて、ゆっくりと投げてきた。パシッという小気味よい音を立てながらリディアは、その石を掴むとエルシスが口を開いた。
「その石に魔力を込めるつもりで意識をしてみてくれるかな?」
「この石にか?」
「そうだよ。創成具現からオーラを発現しているようだから、形成付与の形からオーラの発現をさせるんだよ」
魔力は魔法を使う為に使われる物であり、魔力回路と呼ばれる魔力の貯蔵庫のような場所に普段は貯めておき、そして魔法を使う時に引き出して使う。魔法使いや賢者と呼ばれる魔法を主体に使う者達は、自身や自身の持つモノ以外に、魔力を通わすという事もあっさりと出来るが、魔法を使って戦う事をしない『リディア』のような、剣士や拳士といった他の職業のモノは、魔力を通わす事に慣れていない為に自分の持ち物以外や、他者に魔力を使うといったやり方が分からない。
リディアも例に漏れず、石に魔力を込めろと言われてあっさりと躓いてしまうのだった。
しかしリディアが悩んでいる間、じっとエルシスは見守るように視線を向けているだけで、何も口に出してこない。まず自分で考えさせようというのだろう。聞けば直ぐに答えをくれたレキとは違う為に『リディア』は、もしかすると想像以上に難航するかもしれないと考えるのだった。
……
……
……
リディアはシスの言っている意味が分からないが、どうやら『金色のオーラ』を纏えと言われている事は理解出来たリディアは、直ぐにオーラを纏う準備を始める。
リディアは目を瞑ると『光り輝く二刀』を両手に持つようにする時の様子を想像する。
やがてリディアの周囲を『金色のオーラ』が纏われ始めた。
(……なるほどね。そういう発現の仕方をするのか。ボクやソフィのように『魔力』の調節から始めるのではなく、オーラで生み出す武器の創成具現からとは興味深いね)
エルシスはリディアの金色の体現方法を実際に見ながら、何かに納得するように頷く。
「これでいいのか?」
リディアは目の前に居る『エルシス』と同じ『金色のオーラ』を纏う。戦力値と魔力値が膨れ上がり、先程までのリディアとは比べ物にならない強さになった。
――しかしやはり『リディア』は、純粋な『金色の体現者』のような上昇率は果たしてはいなかった。
「うーん。そうだね。やっぱり順序がおかしい所為なのかな? 本来の金色の力を、引き出せてはいないかな」
エルシスはリディアの周りをゆっくりと歩きながら観察を始める。リディアの周りを一周まわった後にリディアの両手に着目する。
「リディア君といったかな? ちょっと君が戦う時の様子をボクに見せてくれるかい?」
「それはいいが、構えるだけでいいのか?」
リディアの言っている意味がよく分からなかったエルシスは、ゆっくりと首を傾げる。
「いや、何でもない。これでいいか?」
リディアが両手に『金色』を纏った武器を具現化していく。
(ああ、成程。そういう事か。だから創成具現するイメージで、オーラを体現したわけだ)
リディアが構えをとってようやく『金色』の本来の上昇率に近づいたようにエルシスは感じた。
つまり金色を纏った時に本来は十倍程に膨れ上がるところだが、リディアは纏った状態では、七割よくて八割程の上昇をして戦闘時に集中して彼の技を使おうとした時にようやく、九割から十割の力を纏う事が出来るようでこういう金色の力を使い方をする者は、エルシスでも見た事はなかった。
「うん。もういいよ。だいたい分かったからね」
リディアは『二刀の光り輝く刀』の元となる『金色』を解いた。
「金色を纏うようになったのは、最近なんだよね?」
「ああ……。だが、感覚としては十年以上前には、使えていたように思えるが」
リディアの言葉に眉を寄せる。
「『金色』は先天性の類の筈だから『金色』を纏えるようになる時が、体現する瞬間だと思うのだけど?」
(金色の体現を果たしている事に気づかず、無意識に戦いの中で金色を纏わせた武器を具現化して、本能で戦っていたという事だろうか?)
『アレルバレル』の世界のように『大魔王』と呼ばれる存在が『金色』を纏っているところを見た事がなかった為、自身の戦力値向上に使うという発想が出ずに『金色』の本来の使い方を知らぬまま成長して彼が先程使って見せた『二刀の光輝く刀』を使う時に必要な力だと勘違いしてしまっていたのだろう。
彼の周りに『金色の体現者』が居なければ、確かに考えられない事でもないかと『エルシス』はようやく納得をするのだった。
「どうやら君は順序を間違えているだけのようだから今から基本を覚えていけば、確実に今より強くなれるだろうね」
リディアはあっさりとそう言ってみせた『エルシス』に眉を寄せはするが、全てが嘘なのだと疑いはしなかった。
『ミールガルド』大陸に居た頃の『最強の剣士』と呼ばれていた頃であればリディアは『下らない』と吐き捨てただろうが『ソフィ』と出会い、そして『レキ』という存在に色々と教わった今は、所謂自分の知らない世界。つまり『上の領域』にいる者達が居るという事を認めて、渋々ながらも納得してしまうのだった。
「順序か。すまないが一度俺に『この力』の本当の使い方を教えてくれないか?」
「もちろん構わないよ。この子の大事な時間を使わせてもらっているんだ。それくらいしておかないと、逆にこの子に失礼だしね?」
「?」
またよく分からない事を言うシスだったが、今はそんな事はどうでもいいと『リディア』はシスの不思議な発言を無視をするのだった。
纏っていた『金色』を一度解除したリディアを一瞥して、そしてエルシスは瞳を閉じる。
「いいかい? 君も体現者だ。必ず出来るからボクの言う通りにしなさい」
「あ、ああ……」
「まず君の持つ魔力を自分や武器ではなく、何もない虚空に集める感覚を身につける事から始めよう」
「な、何だと? 何もない虚空?」
エルシスはゆっくりと歩き始めたかと思うと、転がっていた少し大きめの石を拾い上げる。
そしてその石をリディアに向けて、ゆっくりと投げてきた。パシッという小気味よい音を立てながらリディアは、その石を掴むとエルシスが口を開いた。
「その石に魔力を込めるつもりで意識をしてみてくれるかな?」
「この石にか?」
「そうだよ。創成具現からオーラを発現しているようだから、形成付与の形からオーラの発現をさせるんだよ」
魔力は魔法を使う為に使われる物であり、魔力回路と呼ばれる魔力の貯蔵庫のような場所に普段は貯めておき、そして魔法を使う時に引き出して使う。魔法使いや賢者と呼ばれる魔法を主体に使う者達は、自身や自身の持つモノ以外に、魔力を通わすという事もあっさりと出来るが、魔法を使って戦う事をしない『リディア』のような、剣士や拳士といった他の職業のモノは、魔力を通わす事に慣れていない為に自分の持ち物以外や、他者に魔力を使うといったやり方が分からない。
リディアも例に漏れず、石に魔力を込めろと言われてあっさりと躓いてしまうのだった。
しかしリディアが悩んでいる間、じっとエルシスは見守るように視線を向けているだけで、何も口に出してこない。まず自分で考えさせようというのだろう。聞けば直ぐに答えをくれたレキとは違う為に『リディア』は、もしかすると想像以上に難航するかもしれないと考えるのだった。
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