最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第509話 かつてのリラリオの支配者
ソフィはレキと名乗った魔族が消えた方向を見つめながら物思いに耽る。
(あやつは『アレルバレル』の世界ですら、滅多に見た事がない『三色併用』を使っておった。それもあの練度のオーラをあっさりと同時に交ぜ合わせる『魔力コントロール』は相当なモノだ)
――『三色併用』。
魔族が使う『紅』や『青』、そしてキーリが纏う『緑』。そして生まれついての才能とされる先天的な神が与えし『ギフト』とも呼ばれる『金色』。
これら各色の体現によって生み出される『力』を同時に三つ纏い、思うが儘自在に操る事で本来持つ『力』を何倍にも膨れ上がらせる『戦闘能力向上』の技法である。
『二色の併用』の会得ですら『真なる魔王』領域に居る者が限りなく研鑽を積んだ先、ようやく体現を許される程の難易度である。
そして『金色』は冒頭に述べた通り、持って生まれた才能が必要であり、如何に『世界』を支配出来る程の力を持つ大魔王であったとしても、必ず体現出来るとは限らない。
故に『金色の体現者』となった者は『アレルバレル』の世界であっても例外なく、一目置かれる程である。
――そしてここからが重要な事であるが、二色の併用は『同時』に二つの色のオーラを自身に纏わせる為『魔』のコントロールを二色に合わせる為に、相当な集中力を要求されてしまう。
そこに三色目となる『金色』を混ぜ合わせるとなると、更に難易度は『二色の併用』と比べて跳ね上がる。
(※『金色』に拘わらず、始祖龍『キーリ』の持つ『緑のオーラ』も三色に混ぜる事は『金色』と同様の難易度である)。
非戦闘時であれば『魔力』操作といったモノに秀でた熟練された『金色の体現者』であれば、確かに『二色の併用』時に『金色』を纏う事自体は不可能ではないだろう。しかしそれでも当然に交ぜ合わせる『魔力』コントロールに、精神を統一させる維持能力が必須事項である。
――そして更に戦闘中は相手が居るのである。殺し合いという戦闘の場において『三色併用』を使う事は自殺行為であり、多くの『金色の体現者』は『金色』で戦う事を余儀なくされるだろう。
いくら戦力値や魔力値をいくら増幅させたとしても戦えなければ、ただのサンドバッグにしかならないからである。
そもそも『金色の体現者』自体が稀有な存在である為に、全世界を見渡しても戦闘中に『三色併用』を使えるほどの天才は少なく、自由自在に三色併用を扱い戦う者が居るのであれば『アレルバレル』の世界であっても負ける事が難しくなるだろう。
――それ程までに『三色併用』の『力』の上昇率は桁違いなのである。
『代替身体』状態のレキが『九大魔王』であるリーシャの『金色』状態の一撃を跳ねのけられた事も『三色併用』を自在に操る事を可能としたおかげで、基本値となる戦力値が大幅に増幅されたからであった。
――『レキ・ヴェイルゴーザ』は、ソフィが今まで出会ってきた魔族の中で、一番強い大魔王で間違いないだろう。
ソフィはふと視線をリーシャに移した。
「……」
リーシャは無言で両手を見つめていた。
「どうしたのだ? リーシャよ」
ソフィに声を掛けられたリーシャは、我に返ってソフィに口を開くのだった。
「ソフィ様……。い、いえ何でもありません」
リーシャはそう言って、首を横に振って作り笑いを浮かべた。
リーシャはいま手を合わせた『魔族』が、目の前に居るソフィと同じ領域に居る強さに感じられたのだとは、とても言えなかった。
『金色の体現者』で『九大魔王』に名を連ねる程の実力者である『リーシャ』であれば、一度の戦闘。たった一回の鍔迫り合いを交えた程であったとしても、相手の実力を推し量る事はそう難しい事ではない。
先程のやり合いで『レキ』と名乗った魔族は『アレルバレル』の世界で彼女が戦った、組織の大魔王達『セルバス』や『ハワード』とは、比較にもならない程の強さだと『リーシャ』は感じ取ったのだった。
そんなリーシャの様子を見ていたディアトロスもまた、自身の魔法をキャンセル化された時の事を思い出す。
(……あやつはワシが魔法をキャンセルせざるを得ない、ギリギリの魔力をぶつけてきよった。こちらの力量を見極めた上で、的確に潰してきたのであれば、これはまさしく脅威じゃな)
そんな器用な事が出来るのは『最上位』に位置する者達くらいだろうなと、敵の魔法を封じる時に同じことを得意とする『九大魔王』である『ブラスト』を思い浮かべるディアトロスだった。
ディアトロスにリーシャ。そしてソフィが思い思いに考え耽るが『レキ・ヴェイルゴーザ』とは何者なのだろうかという思いに、三者共が辿り着くのだった。
――そしてこの場に居るソフィだけが、鋭利な牙を口から見せながら嗤っていた。
……
……
……
(あやつは『アレルバレル』の世界ですら、滅多に見た事がない『三色併用』を使っておった。それもあの練度のオーラをあっさりと同時に交ぜ合わせる『魔力コントロール』は相当なモノだ)
――『三色併用』。
魔族が使う『紅』や『青』、そしてキーリが纏う『緑』。そして生まれついての才能とされる先天的な神が与えし『ギフト』とも呼ばれる『金色』。
これら各色の体現によって生み出される『力』を同時に三つ纏い、思うが儘自在に操る事で本来持つ『力』を何倍にも膨れ上がらせる『戦闘能力向上』の技法である。
『二色の併用』の会得ですら『真なる魔王』領域に居る者が限りなく研鑽を積んだ先、ようやく体現を許される程の難易度である。
そして『金色』は冒頭に述べた通り、持って生まれた才能が必要であり、如何に『世界』を支配出来る程の力を持つ大魔王であったとしても、必ず体現出来るとは限らない。
故に『金色の体現者』となった者は『アレルバレル』の世界であっても例外なく、一目置かれる程である。
――そしてここからが重要な事であるが、二色の併用は『同時』に二つの色のオーラを自身に纏わせる為『魔』のコントロールを二色に合わせる為に、相当な集中力を要求されてしまう。
そこに三色目となる『金色』を混ぜ合わせるとなると、更に難易度は『二色の併用』と比べて跳ね上がる。
(※『金色』に拘わらず、始祖龍『キーリ』の持つ『緑のオーラ』も三色に混ぜる事は『金色』と同様の難易度である)。
非戦闘時であれば『魔力』操作といったモノに秀でた熟練された『金色の体現者』であれば、確かに『二色の併用』時に『金色』を纏う事自体は不可能ではないだろう。しかしそれでも当然に交ぜ合わせる『魔力』コントロールに、精神を統一させる維持能力が必須事項である。
――そして更に戦闘中は相手が居るのである。殺し合いという戦闘の場において『三色併用』を使う事は自殺行為であり、多くの『金色の体現者』は『金色』で戦う事を余儀なくされるだろう。
いくら戦力値や魔力値をいくら増幅させたとしても戦えなければ、ただのサンドバッグにしかならないからである。
そもそも『金色の体現者』自体が稀有な存在である為に、全世界を見渡しても戦闘中に『三色併用』を使えるほどの天才は少なく、自由自在に三色併用を扱い戦う者が居るのであれば『アレルバレル』の世界であっても負ける事が難しくなるだろう。
――それ程までに『三色併用』の『力』の上昇率は桁違いなのである。
『代替身体』状態のレキが『九大魔王』であるリーシャの『金色』状態の一撃を跳ねのけられた事も『三色併用』を自在に操る事を可能としたおかげで、基本値となる戦力値が大幅に増幅されたからであった。
――『レキ・ヴェイルゴーザ』は、ソフィが今まで出会ってきた魔族の中で、一番強い大魔王で間違いないだろう。
ソフィはふと視線をリーシャに移した。
「……」
リーシャは無言で両手を見つめていた。
「どうしたのだ? リーシャよ」
ソフィに声を掛けられたリーシャは、我に返ってソフィに口を開くのだった。
「ソフィ様……。い、いえ何でもありません」
リーシャはそう言って、首を横に振って作り笑いを浮かべた。
リーシャはいま手を合わせた『魔族』が、目の前に居るソフィと同じ領域に居る強さに感じられたのだとは、とても言えなかった。
『金色の体現者』で『九大魔王』に名を連ねる程の実力者である『リーシャ』であれば、一度の戦闘。たった一回の鍔迫り合いを交えた程であったとしても、相手の実力を推し量る事はそう難しい事ではない。
先程のやり合いで『レキ』と名乗った魔族は『アレルバレル』の世界で彼女が戦った、組織の大魔王達『セルバス』や『ハワード』とは、比較にもならない程の強さだと『リーシャ』は感じ取ったのだった。
そんなリーシャの様子を見ていたディアトロスもまた、自身の魔法をキャンセル化された時の事を思い出す。
(……あやつはワシが魔法をキャンセルせざるを得ない、ギリギリの魔力をぶつけてきよった。こちらの力量を見極めた上で、的確に潰してきたのであれば、これはまさしく脅威じゃな)
そんな器用な事が出来るのは『最上位』に位置する者達くらいだろうなと、敵の魔法を封じる時に同じことを得意とする『九大魔王』である『ブラスト』を思い浮かべるディアトロスだった。
ディアトロスにリーシャ。そしてソフィが思い思いに考え耽るが『レキ・ヴェイルゴーザ』とは何者なのだろうかという思いに、三者共が辿り着くのだった。
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