最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第345話 圧倒的な龍族の力
そしてその頃、レイズ魔国でも龍族達と戦うエリス達の姿があった。
「行きますよ! 全軍空に向けて一気に放ちなさい!」
エリス女王の号令の下。レイズ魔法部隊の魔族達は、空から火を吐きながら攻めてくる龍族達に向けて、次々と魔法を放っていく。
号令を出したエリスは、青のオーラを纏いながら自身も龍達へ魔法を放つ。
――超越魔法、『終焉の雷』。
しかし魔王の領域に居るエリス女王を以てしても、たった一体の龍すら落とす事は出来ず、龍たちの攻撃をなんとか躱す事が精一杯だった。
「な、なんて強さ……! こ、こんなのどうすればいいのですか」
エリスの戦力値は青を包んだ今の状態でさえ、大空で飛び回っている一体の龍と同程度なのであった。
分散して数を減らしている龍たちとはいっても、それでも数千という数にのぼる龍達を相手にどうすることもできない。
――戦いになど全くならなかった。
レアの寵愛を受けたエリスはそれでも善戦したと言えるだろう。しかし数千いる龍族達から、配下の魔族を守ろうと動き、その隙を突かれて龍の攻撃をまともに受けてしまう。
「ぐぅぅっ!! れ、レア様……、も、申し訳……あり……ませ、ん……」
――そしてついには魔法部隊共々エリスも龍族達に襲われて戦死した。
龍族達はたった一体の犠牲も出さずにレイズ魔国城を陥落させた後、同胞達と合流を果たすためにそのままの勢いを持ったまま、魔族達の最後の砦である『ラルグ』魔国へと向かうのだった。
……
……
……
「な……! なんなんだよこれは!?」
ラルグ魔国から一直線へとエリスの元へ向かい、ようやくレイズ魔国にたどり着いたラクスだったが、すでに国は襲われて城は陥落しており、至る所に魔族達の死体が転がっているような惨状であった。
「そ、そうだ! エリス女王は!?」
レイズ魔国の変わり果てた姿に呆けていたラクスだったが、すぐに我に返ってエリスの姿を探し始める。
そして城の近くで同胞を守るように覆いかぶさり、倒れているエリス女王を発見する。
「う、嘘だろ! お、おい!! しっかりしてくれよ!」
すでに事切れているエリスを抱き起こして、ラクスは体を揺さぶって大声を上げる。
「……」
だが、すでに死んでいるエリスから返事があるわけがなく、目を開けたまま息を引き取っていたエリスの眼を閉ざしてあげるラクスだった。
「あ、あんたが死んでどうすんだよ……! レアになんて、何て言ってやりゃいいんだよ!」
ラクスはいつもエリスに嫉妬をしていた。
最初は魔人の同胞を滅ぼしたレアに怒り、殺してやるという殺意さえ持っていたラクスだったが、レアとの生活を続けていくにつれて、徐々にレアの事を好きになっていた自分がいた。
そしてそんなレアと仲がいいエリスに幼げながらに嫉妬という気持ちを抱き、それでもレアの為に動き、いつもレアを支えるエリスをラクスは嫌いではなかった。
「俺はあんたと二人でレアを支えるつもりだったんだ……! あんただけは死んだらダメだろう……」
ラクスの目から知らず知らず涙が零れ落ちた。
「ち、くしょう……。またかよ!」
魔人の同胞を滅ぼされた経験を持つラクスは、これで二度目の悲しみを背負う事になった。
ガサガサ……。
エリスを抱えたまま涙を流していたラクスだが、近くで物音がして瞬時に立ち上がる。
「誰だっ! 龍族か!!」
一瞬で『スクアード』を纏ったラクスは、物音の正体が龍族であれば即座にぶち殺してやろうと脚に力を込めて物音のする方を見る。
「お……、お母さま……?」
そこに居たのはエリス女王を幼くしたような、本当に小さな子供の魔族だった。
……
……
……
「くそっ!! なんて速度で追いかけてきやがるっ!!」
トウジン魔国から軍を引き連れて、ラルグ魔国へ向かう軍勢を空から追い掛け回す龍族達。
すでに多くのトウジン魔国の魔族達はこの龍族達にやられており『クーディ』と共にラルグ魔国へ向かう同胞達は残り少なかった。
そんなクーディ達を嘲笑うかのように、すぐに殺すような真似をせず遊んでいるかの如く、速度をあげたり落としたりして逃げるクーディ達を追いかけまわす龍族達であった。
「行きますよ! 全軍空に向けて一気に放ちなさい!」
エリス女王の号令の下。レイズ魔法部隊の魔族達は、空から火を吐きながら攻めてくる龍族達に向けて、次々と魔法を放っていく。
号令を出したエリスは、青のオーラを纏いながら自身も龍達へ魔法を放つ。
――超越魔法、『終焉の雷』。
しかし魔王の領域に居るエリス女王を以てしても、たった一体の龍すら落とす事は出来ず、龍たちの攻撃をなんとか躱す事が精一杯だった。
「な、なんて強さ……! こ、こんなのどうすればいいのですか」
エリスの戦力値は青を包んだ今の状態でさえ、大空で飛び回っている一体の龍と同程度なのであった。
分散して数を減らしている龍たちとはいっても、それでも数千という数にのぼる龍達を相手にどうすることもできない。
――戦いになど全くならなかった。
レアの寵愛を受けたエリスはそれでも善戦したと言えるだろう。しかし数千いる龍族達から、配下の魔族を守ろうと動き、その隙を突かれて龍の攻撃をまともに受けてしまう。
「ぐぅぅっ!! れ、レア様……、も、申し訳……あり……ませ、ん……」
――そしてついには魔法部隊共々エリスも龍族達に襲われて戦死した。
龍族達はたった一体の犠牲も出さずにレイズ魔国城を陥落させた後、同胞達と合流を果たすためにそのままの勢いを持ったまま、魔族達の最後の砦である『ラルグ』魔国へと向かうのだった。
……
……
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「な……! なんなんだよこれは!?」
ラルグ魔国から一直線へとエリスの元へ向かい、ようやくレイズ魔国にたどり着いたラクスだったが、すでに国は襲われて城は陥落しており、至る所に魔族達の死体が転がっているような惨状であった。
「そ、そうだ! エリス女王は!?」
レイズ魔国の変わり果てた姿に呆けていたラクスだったが、すぐに我に返ってエリスの姿を探し始める。
そして城の近くで同胞を守るように覆いかぶさり、倒れているエリス女王を発見する。
「う、嘘だろ! お、おい!! しっかりしてくれよ!」
すでに事切れているエリスを抱き起こして、ラクスは体を揺さぶって大声を上げる。
「……」
だが、すでに死んでいるエリスから返事があるわけがなく、目を開けたまま息を引き取っていたエリスの眼を閉ざしてあげるラクスだった。
「あ、あんたが死んでどうすんだよ……! レアになんて、何て言ってやりゃいいんだよ!」
ラクスはいつもエリスに嫉妬をしていた。
最初は魔人の同胞を滅ぼしたレアに怒り、殺してやるという殺意さえ持っていたラクスだったが、レアとの生活を続けていくにつれて、徐々にレアの事を好きになっていた自分がいた。
そしてそんなレアと仲がいいエリスに幼げながらに嫉妬という気持ちを抱き、それでもレアの為に動き、いつもレアを支えるエリスをラクスは嫌いではなかった。
「俺はあんたと二人でレアを支えるつもりだったんだ……! あんただけは死んだらダメだろう……」
ラクスの目から知らず知らず涙が零れ落ちた。
「ち、くしょう……。またかよ!」
魔人の同胞を滅ぼされた経験を持つラクスは、これで二度目の悲しみを背負う事になった。
ガサガサ……。
エリスを抱えたまま涙を流していたラクスだが、近くで物音がして瞬時に立ち上がる。
「誰だっ! 龍族か!!」
一瞬で『スクアード』を纏ったラクスは、物音の正体が龍族であれば即座にぶち殺してやろうと脚に力を込めて物音のする方を見る。
「お……、お母さま……?」
そこに居たのはエリス女王を幼くしたような、本当に小さな子供の魔族だった。
……
……
……
「くそっ!! なんて速度で追いかけてきやがるっ!!」
トウジン魔国から軍を引き連れて、ラルグ魔国へ向かう軍勢を空から追い掛け回す龍族達。
すでに多くのトウジン魔国の魔族達はこの龍族達にやられており『クーディ』と共にラルグ魔国へ向かう同胞達は残り少なかった。
そんなクーディ達を嘲笑うかのように、すぐに殺すような真似をせず遊んでいるかの如く、速度をあげたり落としたりして逃げるクーディ達を追いかけまわす龍族達であった。
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