最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第299話 魔族の王レアは動き出す
魔人達に襲われているダイオ魔国。そのダイオ魔国の王である『レグーザ』は悩んでいた。敵は魔族ではなく魔人であるからである。
魔人達の狙いが分からない以上、降伏宣言をしたところで攻撃をやめてくれるかすら分からない。
魔族達の魔人たちのイメージは『魔族以上に粗暴で、何を考えているか分からない蛮族』である。
すでに『レイズ』魔国のエリス女王には魔人達の襲撃の事は伝えてある。
あとはエリス女王の返事を待つだけだったが、魔人達の侵攻は予想以上に早く、このままではエリスからの連絡の前に『ダイオ』魔国は滅びそうである。
現にこのダイオ城以外の拠点の多くは、魔人達にすでに制圧されており、この城に辿り着くのも時間の問題であろう。
「何故、今頃になって魔人達が魔族を狙う? 何故俺達の国なんだ……」
嘆きながら頭を抱えていたレグーザの元に、ドアを叩く喧ましいノック音が響いた。
「入れ……」
レグーザの許可を得た事で、ドアを叩いていた魔族は慌てて入ってくる。
「し、失礼します! レア女王陛下とレイズ魔国王エリス様をお連れ致しました!」
「は?」
レグーザは目を丸くしながら、配下の言葉を頭で反芻させる。そしてそんなダイオ魔国王の前に、小さな幼女が姿を見せるのだった。
「お邪魔しまぁす」
そんな第一声を発した子供をレグーザは眉を寄せて見る。
「こ、こ、これは……! レア女王陛下!!」
その場から急いで立ち上がったレグーザは、レアの前まで走っていくとレアの前で慌てて跪く。
同じ一国の王ではあるが、レアはこの大陸全ての国の王より偉く『魔族』達の王である。
こんな辺境にある国の王が、言葉を交わすだけでも年に一度あるかないかという程であった。その様子を見てレアはにやにやと笑う。
「頭を御上げなさい。レグーザ王」
ダイス魔国を含む多くの魔国を支配下に置く大国。レイズ魔国王『エリス』の言葉にレグーザは頭を上げる。
「此度の件。返事が遅くなって申し訳なかったわね」
エリスがそう謝罪するとレグーザは、脂汗を浮かべながら首を横に振る。
「い、いえいえ! こうしてエリス様自らがお越しになるとは思いもしませんで……」
それどころかレア女王陛下も連れ立ってくるとは、夢にも思わぬレグーザであった。
「それで、魔人とやらはどこにいるのかしらぁ?」
挨拶もほどほどに、レアは無理矢理に本題へ入ろうとする。
「そ、それが……、既にダイオ魔国兵達は全滅。もうまもなくこの城へと奴らは進軍してくるでしょう」
そう言葉にするレグーザは、半ば諦めに近い表情を浮かべてレアに説明する。
数は少ないが魔人の力はとても大きい。
自国の拠点を次から次に破壊されていく知らせを受け続けたダイオ魔国王レグーザは、魔人の恐ろしさを誰よりも知る事となったのであった。
「確かに、数は少ないとはいえ、ここまで一方的だとは私も思いませんでした」
そう口にするのはエリス女王であった。
「魔人ねぇ? 私にはお前達が怠慢なだけに見えるのだけど、そんなに強いものなのかしらぁ?」
レアの言葉に慌てて反論するレグーザ。
「な、何を仰いますか! 奴らの強さを直接見ていないから、そのような事……が……」
勢いに任せて喋っていたレグーザは、それ以上言葉を続けることが出来なくなった。
何かをされたわけではなく、レアが笑うのをやめて無表情でレグーザを見ただけであった。
ただそれだけでレグーザの身体は震えて、流暢に喋っていた筈の舌が回らなくなったのである。
――まさに蛇に睨まれた蛙であった。
「まぁいいわぁ。確かに見てもいない内から、決めつけはよくなかったわねぇ? ごめんなさい。ダイオ魔国の王様ぁ」
そう言ってレアがレグーザに頭を下げる。
「なっ!?」
そんな事をされたレグーザは、黙ってみているわけにもいかない。
「いえいえ、そんなそんな! お、お許しください女王陛下!」
レアはぺろりと舌を出して、レグーザの慌てる様子を見て笑みを浮かべていた。
「レア様、お戯れはそのくらいに」
エリス女王がそんなレアを優しく窘める。
「まぁ事態が切迫している事は分かったわぁ。でも安心しなさいねぇ?」
そういうとレアはコツコツと足音をたてながら部屋の中を歩く。そして外を見下ろす事が出来る窓の前まで来ると再度口を開いた。
「私が魔族の王になった以上、敵対する種族は皆殺しにしてあげるわ」
瞬間――。
糸が張り詰めるかの如く、その場に緊迫感が漂うのだった。
魔人達の狙いが分からない以上、降伏宣言をしたところで攻撃をやめてくれるかすら分からない。
魔族達の魔人たちのイメージは『魔族以上に粗暴で、何を考えているか分からない蛮族』である。
すでに『レイズ』魔国のエリス女王には魔人達の襲撃の事は伝えてある。
あとはエリス女王の返事を待つだけだったが、魔人達の侵攻は予想以上に早く、このままではエリスからの連絡の前に『ダイオ』魔国は滅びそうである。
現にこのダイオ城以外の拠点の多くは、魔人達にすでに制圧されており、この城に辿り着くのも時間の問題であろう。
「何故、今頃になって魔人達が魔族を狙う? 何故俺達の国なんだ……」
嘆きながら頭を抱えていたレグーザの元に、ドアを叩く喧ましいノック音が響いた。
「入れ……」
レグーザの許可を得た事で、ドアを叩いていた魔族は慌てて入ってくる。
「し、失礼します! レア女王陛下とレイズ魔国王エリス様をお連れ致しました!」
「は?」
レグーザは目を丸くしながら、配下の言葉を頭で反芻させる。そしてそんなダイオ魔国王の前に、小さな幼女が姿を見せるのだった。
「お邪魔しまぁす」
そんな第一声を発した子供をレグーザは眉を寄せて見る。
「こ、こ、これは……! レア女王陛下!!」
その場から急いで立ち上がったレグーザは、レアの前まで走っていくとレアの前で慌てて跪く。
同じ一国の王ではあるが、レアはこの大陸全ての国の王より偉く『魔族』達の王である。
こんな辺境にある国の王が、言葉を交わすだけでも年に一度あるかないかという程であった。その様子を見てレアはにやにやと笑う。
「頭を御上げなさい。レグーザ王」
ダイス魔国を含む多くの魔国を支配下に置く大国。レイズ魔国王『エリス』の言葉にレグーザは頭を上げる。
「此度の件。返事が遅くなって申し訳なかったわね」
エリスがそう謝罪するとレグーザは、脂汗を浮かべながら首を横に振る。
「い、いえいえ! こうしてエリス様自らがお越しになるとは思いもしませんで……」
それどころかレア女王陛下も連れ立ってくるとは、夢にも思わぬレグーザであった。
「それで、魔人とやらはどこにいるのかしらぁ?」
挨拶もほどほどに、レアは無理矢理に本題へ入ろうとする。
「そ、それが……、既にダイオ魔国兵達は全滅。もうまもなくこの城へと奴らは進軍してくるでしょう」
そう言葉にするレグーザは、半ば諦めに近い表情を浮かべてレアに説明する。
数は少ないが魔人の力はとても大きい。
自国の拠点を次から次に破壊されていく知らせを受け続けたダイオ魔国王レグーザは、魔人の恐ろしさを誰よりも知る事となったのであった。
「確かに、数は少ないとはいえ、ここまで一方的だとは私も思いませんでした」
そう口にするのはエリス女王であった。
「魔人ねぇ? 私にはお前達が怠慢なだけに見えるのだけど、そんなに強いものなのかしらぁ?」
レアの言葉に慌てて反論するレグーザ。
「な、何を仰いますか! 奴らの強さを直接見ていないから、そのような事……が……」
勢いに任せて喋っていたレグーザは、それ以上言葉を続けることが出来なくなった。
何かをされたわけではなく、レアが笑うのをやめて無表情でレグーザを見ただけであった。
ただそれだけでレグーザの身体は震えて、流暢に喋っていた筈の舌が回らなくなったのである。
――まさに蛇に睨まれた蛙であった。
「まぁいいわぁ。確かに見てもいない内から、決めつけはよくなかったわねぇ? ごめんなさい。ダイオ魔国の王様ぁ」
そう言ってレアがレグーザに頭を下げる。
「なっ!?」
そんな事をされたレグーザは、黙ってみているわけにもいかない。
「いえいえ、そんなそんな! お、お許しください女王陛下!」
レアはぺろりと舌を出して、レグーザの慌てる様子を見て笑みを浮かべていた。
「レア様、お戯れはそのくらいに」
エリス女王がそんなレアを優しく窘める。
「まぁ事態が切迫している事は分かったわぁ。でも安心しなさいねぇ?」
そういうとレアはコツコツと足音をたてながら部屋の中を歩く。そして外を見下ろす事が出来る窓の前まで来ると再度口を開いた。
「私が魔族の王になった以上、敵対する種族は皆殺しにしてあげるわ」
瞬間――。
糸が張り詰めるかの如く、その場に緊迫感が漂うのだった。
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