最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第67話 ソフィの心境
酒場を出たソフィだが、直ぐに自分に近づいてくる存在に気づく。
「ソフィ!」
ソフィは自分を呼び止める声に振り返ると、必死にここまであとを追いかけてきたリーネに、息を整えるように促してから、そっと横並びに歩き始めるのだった。
「ソフィはあの魔物達を攻撃した事を後悔しているの?」
そう告げるリーネにソフィは少しだけ驚くような表情を浮かべた。
いつもソフィの事を意識して見ているリーネは、ステンシアの町の前で襲撃してきた魔物達を食い止めた時のソフィの表情をリーネは見ていたのであった。
「少しばかり……、考えていたのだ」
そこでソフィは完全に足を止めた。
「リーネよ、お主は魔物は無条件で全てが憎むべきで敵だと思うか?」
「え?」
突然の思いがけない質問に、数秒程ぽかんとしていたリーネだったが、ソフィが真剣に答えを待っているようだったので直ぐに一生懸命考え始める。
「うーん、確かに『ベア』みたいなのもいるのは分かっているけど、急に魔物が目の前に現れたら無条件で攻撃しちゃうかも」
「うむ、そうか……」
――これはある程度仕方のない事である。
人間と魔物達の間で意思の疎通を取る事は非常に難しく、自分よりも遥かに力を持つ魔物が唐突に目の前に現れたら人間としては、当然自衛の為に武器を取る。
そして人間が武器を取れば、それは魔物にとっても敵対の意思表示と取るであろう。
――こればかりはどうにもならない。
そしてこれまでの歴史の積み重ねによって、魔物に殺された人間は魔物を憎み、人間に仲間を退治された魔物は人間を憎む。
これもまた仕方のない事ではある。
当然その事にもソフィも理解は出来るが、ソフィが考えていたのはその先の事であった。
ソフィが『ステンシア』の町の前で攻撃した魔物は、あくまでも薬に支配されて襲っていた。
あの魔物自体はソフィを攻撃する意思を感じなかったのである。
ソフィは魔族としてあの魔物の本質を理解してしまった。
だがらこそソフィは魔物達に猶予を与えた。
ソフィはあの魔物が、踏み止まってくれるものだと確信していた。
だが、結局魔物達は薬に勝つことが出来ず、その薬に呑まれてしまったのである。
確かに強力な薬の前では仕方のない事なのかもしれない。
そういう風にする為に薬を人間が作って与えているのだから当然ともいえるだろう。
しかし薬に操られていたからといって、人間を襲って殺してしまえばそれは操られていようが操られていまいが、直接手を下したのが魔物である以上それは罪になり、殺された人間はあの魔物を憎む。
だからといって全て人間が悪いのか――?
確かにあの一面だけを見ただけでは、薬を投与して狂暴化させた人間が悪いとみるべきであろう。
されども違う側面から見ればこれもまた、人間を擁護して魔物が悪いと思うかもしれない。
色々なしがらみが絡み合って、今この『ステンシア』の町で争いが起きている。
ソフィはギルドの『指名依頼』を一度受けた以上は、当然このまま傍観をする気はないが、一方的に襲ってくる魔物達を討伐し続けるという事も本心ではやりたくはないと考えているのであった。
「我は薬を投与している人間から事情を聞き出したい。何故そのような事をしているのか、実際に話を聞いて見なければ理解も出来る筈がないし、投与をしているその人間も何かそうせざるを得ない理由もあると我は考えているのだ」
「うん……」
ソフィの言葉を聞いたリーネは同意をするように首を縦に振った。
色々と結論の出ない迷路の最中を彷徨っているソフィだったが、ひとまず目の前の問題を解決するためには、まずこの現象を生み出している原因である薬の売人と魔物に与えている人間、この二人を止める事が一番の解決方法だと結論づけたのだった。
「ソフィ!」
ソフィは自分を呼び止める声に振り返ると、必死にここまであとを追いかけてきたリーネに、息を整えるように促してから、そっと横並びに歩き始めるのだった。
「ソフィはあの魔物達を攻撃した事を後悔しているの?」
そう告げるリーネにソフィは少しだけ驚くような表情を浮かべた。
いつもソフィの事を意識して見ているリーネは、ステンシアの町の前で襲撃してきた魔物達を食い止めた時のソフィの表情をリーネは見ていたのであった。
「少しばかり……、考えていたのだ」
そこでソフィは完全に足を止めた。
「リーネよ、お主は魔物は無条件で全てが憎むべきで敵だと思うか?」
「え?」
突然の思いがけない質問に、数秒程ぽかんとしていたリーネだったが、ソフィが真剣に答えを待っているようだったので直ぐに一生懸命考え始める。
「うーん、確かに『ベア』みたいなのもいるのは分かっているけど、急に魔物が目の前に現れたら無条件で攻撃しちゃうかも」
「うむ、そうか……」
――これはある程度仕方のない事である。
人間と魔物達の間で意思の疎通を取る事は非常に難しく、自分よりも遥かに力を持つ魔物が唐突に目の前に現れたら人間としては、当然自衛の為に武器を取る。
そして人間が武器を取れば、それは魔物にとっても敵対の意思表示と取るであろう。
――こればかりはどうにもならない。
そしてこれまでの歴史の積み重ねによって、魔物に殺された人間は魔物を憎み、人間に仲間を退治された魔物は人間を憎む。
これもまた仕方のない事ではある。
当然その事にもソフィも理解は出来るが、ソフィが考えていたのはその先の事であった。
ソフィが『ステンシア』の町の前で攻撃した魔物は、あくまでも薬に支配されて襲っていた。
あの魔物自体はソフィを攻撃する意思を感じなかったのである。
ソフィは魔族としてあの魔物の本質を理解してしまった。
だがらこそソフィは魔物達に猶予を与えた。
ソフィはあの魔物が、踏み止まってくれるものだと確信していた。
だが、結局魔物達は薬に勝つことが出来ず、その薬に呑まれてしまったのである。
確かに強力な薬の前では仕方のない事なのかもしれない。
そういう風にする為に薬を人間が作って与えているのだから当然ともいえるだろう。
しかし薬に操られていたからといって、人間を襲って殺してしまえばそれは操られていようが操られていまいが、直接手を下したのが魔物である以上それは罪になり、殺された人間はあの魔物を憎む。
だからといって全て人間が悪いのか――?
確かにあの一面だけを見ただけでは、薬を投与して狂暴化させた人間が悪いとみるべきであろう。
されども違う側面から見ればこれもまた、人間を擁護して魔物が悪いと思うかもしれない。
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ソフィはギルドの『指名依頼』を一度受けた以上は、当然このまま傍観をする気はないが、一方的に襲ってくる魔物達を討伐し続けるという事も本心ではやりたくはないと考えているのであった。
「我は薬を投与している人間から事情を聞き出したい。何故そのような事をしているのか、実際に話を聞いて見なければ理解も出来る筈がないし、投与をしているその人間も何かそうせざるを得ない理由もあると我は考えているのだ」
「うん……」
ソフィの言葉を聞いたリーネは同意をするように首を縦に振った。
色々と結論の出ない迷路の最中を彷徨っているソフィだったが、ひとまず目の前の問題を解決するためには、まずこの現象を生み出している原因である薬の売人と魔物に与えている人間、この二人を止める事が一番の解決方法だと結論づけたのだった。
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