最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第14話 冒険者レン
一行はゲルたちを倒した後、ようやく『ラクール』地域から『セソ』地域に入った。
「ようやくここまで来たな」
ディラックが言うにはここからはもう目と鼻の先に『サシス』の町があり、他のギルドの冒険者や馬車便が溢れかえって混み始めるそうなので、歩いて『サシス』に向かおうかという話になった。
馬車便はこのまま『サシス』とは違う方向の『セス』地域の町に向かって護衛を雇いに行くらしく、ここで別れる事となった。
「貴重な話をしてもらった、とても有意義な時間だったぞ」
ソフィがそういうと御者は、それはよかったと笑顔で頷いてくれた。
「また縁があれば会うこともございましょう、その時は御贔屓に」
そういって気のいい御者は、笑顔を向けて去っていった。
「どうやら御者のおじさんは、ソフィの事をだいぶ気に入ったみたいね」
突然そんなことをいうものだからソフィは、首を捻ってどうしてか聞くと御者のソフィを見る目が、私が年下の子を見る目にそっくりだったかららしい。
ソフィはどういう意味なのだろうかと、首を傾げる他なかった。
「さて、では我々も『サシス』の町に向かうぞ、今日中に『サシス』のギルド長に会っておきたいからな」
ディラックがそう口にすると一行は、サシスの町へ歩いて向かうのであった。
(我一人ならば一度辿り着きさえすれば、後は我の移動呪文で一瞬で『グラン』に戻れるのだが、レグランの実を食べに『グラン』の町に戻りたいからといって、このまま帰ったら怒るだろうな)
ソフィは笑えない冗談を心の中で考えるのであった。
御者と別れてから数十分程歩くと、ちらほらと他の冒険者たちの姿が見えてきた。
どうやら皆同じ場所に向かっているらしく、もしかしたら対抗戦の出場者かもしれない。
そしてコチラが気づいたという事は、もちろんあちらも気づいているはずであり、互いに気にはしながらも話しかけるようなことはしない。
――と、思っていたのだが。
「やぁ、君たちはどこのギルド?」
ソフィに向かって男の子が、声をかけて来るのだった。
人間の姿のソフィと同じ年齢くらいの子だが、ソフィはなんとなく少年から魔物の匂いを感じた。
「む、我たちは『グラン』からきた冒険者だ」
嘘偽りなく答えると、男の子は笑顔で頷いていた。
「へえ? 『グラン』かぁ。また遠い所から来たんだね? ここまで歩いてきたの?」
「いや、途中まで馬車便できたよ。君はどこのギルドの冒険者なのかな?」
前を歩いていたニーアが、いつの間にか隣に来て会話に入ってきた。
「馬車便かぁ、まぁそりゃそうだよね。僕はセス地域の『ウィラルド』っていう町からきたんだぁ』
「『セス』地域ということは、そこまで離れてはおらぬのか?」
「そうだねぇ? 馬車便とかを使う程の距離ではないかな」
話し方がゆったりとしていて、落ち着いているという印象を受ける少年だった。
「君も対抗戦に出るの?」
ニーアが核心に迫るようなことを言うと、何やら少年は少し考える素振りを見せた。
「うん、僕は『ウィラルド』の代表選手なんだ。お兄さんたちも出るの?」
「そうだよ。ここにいるソフィ君と僕、そして前に歩いているお兄さんが出る予定だよ」
少年に包み隠さずに全て話していくニーアだった。
ソフィとリーネは別に全部言う必要はないんじゃないかと思わないでもなかったが、まぁ事前に参加することが分かったところで、どうなるものでもないかと深くは考えないようにした。
「なるほどねぇ。みんな強そうだねぇ? 特に君とか別格だよね」
そういって男の子は目を細めて、真っすぐソフィに射貫く様な視線を向けてきた。
(ほう? 『漏出』は我が隠蔽しておるから通じない筈だが、我のこの見た目で何かを感じ取れたのか?)
ソフィがニヤリと笑みを浮かべると、男の子もくすっと笑うのだった。
「それじゃ僕は行くね。もし対抗戦で当たることがあったらよろしく」
そういって男の子は去っていった。
「『漏出』」
【種族:人間 性別:男 年齢:9歳 名前:レン
魔力値:330 戦力値:57409 職業:冒険者ランクB】。
「クックック、なるほどな」
ソフィが去っていく背中に向けて男の子に『漏出』をかけた結果、どうやら男の子の名前はレンというらしく、レンは九歳にして既にこの場に居るソフィを除いた全員より戦力値が上であり、冒険者ランク勲章もリーネと並ぶBクラスだった。
「直ぐにソフィ君の強さに気づくなんて……ね。どうやらあの子、徒者ではないみたいだね」
ニーアも単独で『開示』を使っていたらしく魔力値を見たのだろう。その顔には焦りが見て取れた。
「あの子凄いよ。私から見ても全く隙がないもん。下手に攻撃を仕掛けられないわ」
道中で緩んでいた気が引き締まったようでニーアたちは、武器を握りなおしていた。
そして一際高い塔のような建物が見えてきた。どうやらあそこが『サシス』の町なのだろう。
『サシス』の街の入り口には長蛇の列ができており、町の中に入るための検問のようだった。
「うわー凄いねこの人数、下手をすれば入るだけで、日が暮れるんじゃないの」
冗談でも何でもなく、そう思わせる程の長蛇の列が出来ているのだった。
「いや、そうでもないぞ」
会話に入ってきたのはディラックだった。
「対抗戦に出るギルド関係者は一度に参加人数分の許可証が出るからな、見た目以上には時間はかからんだろう」
確かによく見ると一度立ち止まった後、数人が一気に入っているようだった。
並んでいるのがほとんどが各町のギルド関係者なのだろう。あっという間に、ソフィたちの順番まで回ってきた。
「『グラン』の町のギルドじゃ。ここにいる三人が対抗戦に参加する」
ディラックがそういうと、門番たちは頷いて通行許可証を渡してきた。
「対抗戦が終わるまでは、必ずこの通行許可証を無くさぬようにご注意をお願いしますね」
そういって許可証を渡した後、ソフィ達は『サシス』の町の中に入れて貰える事となった。
「ようやくここまで来たな」
ディラックが言うにはここからはもう目と鼻の先に『サシス』の町があり、他のギルドの冒険者や馬車便が溢れかえって混み始めるそうなので、歩いて『サシス』に向かおうかという話になった。
馬車便はこのまま『サシス』とは違う方向の『セス』地域の町に向かって護衛を雇いに行くらしく、ここで別れる事となった。
「貴重な話をしてもらった、とても有意義な時間だったぞ」
ソフィがそういうと御者は、それはよかったと笑顔で頷いてくれた。
「また縁があれば会うこともございましょう、その時は御贔屓に」
そういって気のいい御者は、笑顔を向けて去っていった。
「どうやら御者のおじさんは、ソフィの事をだいぶ気に入ったみたいね」
突然そんなことをいうものだからソフィは、首を捻ってどうしてか聞くと御者のソフィを見る目が、私が年下の子を見る目にそっくりだったかららしい。
ソフィはどういう意味なのだろうかと、首を傾げる他なかった。
「さて、では我々も『サシス』の町に向かうぞ、今日中に『サシス』のギルド長に会っておきたいからな」
ディラックがそう口にすると一行は、サシスの町へ歩いて向かうのであった。
(我一人ならば一度辿り着きさえすれば、後は我の移動呪文で一瞬で『グラン』に戻れるのだが、レグランの実を食べに『グラン』の町に戻りたいからといって、このまま帰ったら怒るだろうな)
ソフィは笑えない冗談を心の中で考えるのであった。
御者と別れてから数十分程歩くと、ちらほらと他の冒険者たちの姿が見えてきた。
どうやら皆同じ場所に向かっているらしく、もしかしたら対抗戦の出場者かもしれない。
そしてコチラが気づいたという事は、もちろんあちらも気づいているはずであり、互いに気にはしながらも話しかけるようなことはしない。
――と、思っていたのだが。
「やぁ、君たちはどこのギルド?」
ソフィに向かって男の子が、声をかけて来るのだった。
人間の姿のソフィと同じ年齢くらいの子だが、ソフィはなんとなく少年から魔物の匂いを感じた。
「む、我たちは『グラン』からきた冒険者だ」
嘘偽りなく答えると、男の子は笑顔で頷いていた。
「へえ? 『グラン』かぁ。また遠い所から来たんだね? ここまで歩いてきたの?」
「いや、途中まで馬車便できたよ。君はどこのギルドの冒険者なのかな?」
前を歩いていたニーアが、いつの間にか隣に来て会話に入ってきた。
「馬車便かぁ、まぁそりゃそうだよね。僕はセス地域の『ウィラルド』っていう町からきたんだぁ』
「『セス』地域ということは、そこまで離れてはおらぬのか?」
「そうだねぇ? 馬車便とかを使う程の距離ではないかな」
話し方がゆったりとしていて、落ち着いているという印象を受ける少年だった。
「君も対抗戦に出るの?」
ニーアが核心に迫るようなことを言うと、何やら少年は少し考える素振りを見せた。
「うん、僕は『ウィラルド』の代表選手なんだ。お兄さんたちも出るの?」
「そうだよ。ここにいるソフィ君と僕、そして前に歩いているお兄さんが出る予定だよ」
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ソフィとリーネは別に全部言う必要はないんじゃないかと思わないでもなかったが、まぁ事前に参加することが分かったところで、どうなるものでもないかと深くは考えないようにした。
「なるほどねぇ。みんな強そうだねぇ? 特に君とか別格だよね」
そういって男の子は目を細めて、真っすぐソフィに射貫く様な視線を向けてきた。
(ほう? 『漏出』は我が隠蔽しておるから通じない筈だが、我のこの見た目で何かを感じ取れたのか?)
ソフィがニヤリと笑みを浮かべると、男の子もくすっと笑うのだった。
「それじゃ僕は行くね。もし対抗戦で当たることがあったらよろしく」
そういって男の子は去っていった。
「『漏出』」
【種族:人間 性別:男 年齢:9歳 名前:レン
魔力値:330 戦力値:57409 職業:冒険者ランクB】。
「クックック、なるほどな」
ソフィが去っていく背中に向けて男の子に『漏出』をかけた結果、どうやら男の子の名前はレンというらしく、レンは九歳にして既にこの場に居るソフィを除いた全員より戦力値が上であり、冒険者ランク勲章もリーネと並ぶBクラスだった。
「直ぐにソフィ君の強さに気づくなんて……ね。どうやらあの子、徒者ではないみたいだね」
ニーアも単独で『開示』を使っていたらしく魔力値を見たのだろう。その顔には焦りが見て取れた。
「あの子凄いよ。私から見ても全く隙がないもん。下手に攻撃を仕掛けられないわ」
道中で緩んでいた気が引き締まったようでニーアたちは、武器を握りなおしていた。
そして一際高い塔のような建物が見えてきた。どうやらあそこが『サシス』の町なのだろう。
『サシス』の街の入り口には長蛇の列ができており、町の中に入るための検問のようだった。
「うわー凄いねこの人数、下手をすれば入るだけで、日が暮れるんじゃないの」
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「いや、そうでもないぞ」
会話に入ってきたのはディラックだった。
「対抗戦に出るギルド関係者は一度に参加人数分の許可証が出るからな、見た目以上には時間はかからんだろう」
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