ダンジョン・ザ・チョイス
372.迷路と鳥の亡骸
「ハアッ!!」
大地の盾で攻撃を受け止めたのち――神代文字を九文字刻んだ“サムシンググレートソード”で、”古生代バッファロー”の頭を大きく斬り付ける!
更に顔面から剣を深々と突き刺し、刀身を胸半ばまで侵入させた!
「ハイパワーブレイク!!」
内側からの炸裂により、“古代の力”による減衰無しでダメージを与える!
「遺跡村の頃よりは楽になったけれど、やっぱり頑丈だな」
頭から首の奥まで吹き飛ばしたのに、まだ動くらしい。
「氷結の刀剣!」
リューナが左腕側に氷の曲刀を生み出し、直接叩き付ける!
「今だ、決めろ!」
「ああ!」
剣に十二文字を刻み――ボロボロの古生代モンスターを両断した。
「神代文字のゴリ押しで、短期決戦に持ち込めたか」
狭い通路だから当然だけれど、出て来たのが一体だけで良かった。
俺達が文字を使えなければ、かなりの難所だったんじゃないか、ここ?
「古生代モンスターに有効な攻撃手段が無いのは、なかなか手痛い――」
リューナが話して居る後ろで――いきなり爆発音と爆風が!!?
「おー、ダイナマイト一本で、古生代モンスターを倒せちゃいましたよ!」
なぜかはしゃいでいるように見えるチトセさん……実はかなり過激な側面を持ってる?
「岩石系に対してダメージ倍で、”古代の力”が発動しないから一発でいけたんだ。凄い!」
マリナが賞賛しているけれど、俺とリューナはいきなりすぎてビックリしてるよ。
「おっかねー。チトセ、ダイナマイトはあと何本あるんだ?」
「残り八本です」
一本で一体倒せるなら、かなり頼れるな。
「今みたいに挟まれても、退路は確保できそうだ」
魔神にも有効そうなダイナマイトだけれど、さすがに頼らない方が良いか。量産できない今は貴重だし。
「お、宝箱だな。罠解除」
リューナが迷路隅っこの宝箱を開けると、そこから黄金の翼? が出て来た。
「”ゴルドアーマーウィング”……“黄金障壁”付きのSランクらしい」
おお……格好いい。
「飛べない今は意味がないけれど、この面子で使うとしたらマリナか?」
「へ、私?」
「いや、どうやらこの翼、鎧を装着していないと装備出来ないタイプのようだ」
ライブラリで詳しく確認してくれるリューナ。
「そうなると、使用できるのは必然的にコセさんだけですね」
「俺か……なら、“夜鷹の指輪”はマリナに預けたままにしておくか」
「良いの?」
チトセさんだと薬液銃の性質上、片腕で闘うのは難しいだろうし。
「じゃあ、これはコセに渡しておくぞ」
リューナから、重い金属の翼を受け取る。
「ありがとう」
「ちなみのその翼、基本的にはその他装備欄を使うが、鎧欄に鎧と一緒に装備させておくことも可能らしい。Sランクにしては地味だが、かなり特殊な性質があるな」
貴重なその他欄を使わずに済むなら、地味にありがたい効果だ。
「さっそく……結構重いな」
空を飛ばない場合は、むしろ邪魔か。
「鎧欄に装備だと、いざという時に自由に出し入れが出来ないのか」
そういうデメリットがあるなら、基本的にはその他に付けておいた方が良さそうだ。
装備セット機能で使い分ける方法あるけれど、これだけに割くのも勿体ないな。
「ま、あとで考えるか」
今は外しておく。
「へ……なにこれ」
マリナが角の先で見付けたのは、巨大な鳥の亡骸。
「武器交換――“鳥葬のボーンスレイヤー”」
骨で出来た、軽い大剣に持ち替える。
「なにする気?」
「三十ステージ以降には、特殊な宝箱みたいなのが出るって言ったろ?」
亡骸を剣で切り裂くと、ランダムにアイテムが手に入る。
○謎の鳥の亡骸より、以下のアイテムを回収しました。
★武器ランクアップジュエル×1
★腐った肉×3
★鳥骨×6
★立派な鳥骨×1
★大きな嘴×1
★綺麗な羽毛×4
「骨や腐った肉はともかく、なんでランクアップジュエルが出て来るんだか」
「食べた物が、胃に残ってたとか?」
「なるほど。あとは羽根に引っ掛かってたとかかな?」
烏とかなら光り物を集めるだろうし……考えられるのはそれくらいか。
その後も古生代モンスターと戦いながら迷路を進み、宝箱や鳥の亡骸からアイテムを回収していく。
○35000Gを手に入れました。
★飛び跳ねの指輪×1
○青銅の大剣を手に入れました。
★白銀障壁の指輪×1
○レーザー杖を手に入れました。
★ルビーリング×1
○“乾燥した根っこ”×3を手に入れました。
★綺麗な両翼×1
★神官×1
○“古生代の刃盾”(破損状態)を手に入れました。
「破損状態……これは、鍛冶屋で修繕しないと使えなさそうだな」
この盾には“自動修復”効果が付いていないため、以前の“鉄の短剣”のように修復しないと実体化出来ないようだ。
まああの時は、壊れたまま“グレートオーガの短剣”に打ち直して貰ったんだけれど。
「うーん、ようやく迷路も終わりか」
リューナが背伸びをしながら見詰める先に広がっていたのは、朽ちた宮殿と呼ぶのに相応しい煉瓦の巨大構造物。
中心部分は円柱状で、そこに箱が複数くっ付いたかのような見た目をしている。
その建物と迷路の間のスペースは、安全エリアになっているようだ。
「少し休憩しようか」
特に俺とリューナは神代文字を使用したため、精神力を大分消耗してしまっている。
「じゃあ、お茶の用意をしますね」
「あ、手伝います、チトセさん」
二人が風呂敷を広げ、手早く飲み物やお菓子を用意していく。
俺は少ししょっぱいのが食べたいと思い、チーズを一切れ実体化させて食べ始めた。
「そう言えばチトセ、お前は驚かないんだな。私達が神代文字を使えることに」
リューナが尋ねた。
「へ?」
「私が出会ったプレーヤーは一様に、文字を刻めるのをチートだと抜かす奴等ばかりだったが、お前は触れようともしないだろう?」
言われてみれば確かに。
「お前も、実は文字を使えるんじゃないのか?」
「へ……へと……」
明らかに触れられたくなさそうなチトセさん。
本来の戦闘スタイルを見せないようにしていることと、なにか関係があるのかな?
「……まあ、無理に聞く気はないさ」
「アハハハ……一応は使えますけれど、私はその武器を使いたくないんです。だから……私は神代文字を使わないと思ってください。そもそも、皆さんみたいに上手く使えませんしね! ハハハ……」
余程のなにかがあるらしい。
「でも、神代文字なんて言い方するのは知りませんでしたよ?」
「私も、庭園でユウダイ達に会うまでは知らなかったな」
「そう言えばリューナは、よく神代文字の名前を知ってたな」
俺の場合は、ノーザンが口にしてから、メルシュ達隠れNPCも当たり前のようにそう言うようになったんだったかな?
「私だって、二十ステージでルフィルに出会うまで知らなかったさ」
この世界の住人の中には稀に知っている人間が居て、そっち経由で知ることが出来るかどうかか。
やっぱり、メルシュ達はまだまだ隠している事が多そうだ。
大地の盾で攻撃を受け止めたのち――神代文字を九文字刻んだ“サムシンググレートソード”で、”古生代バッファロー”の頭を大きく斬り付ける!
更に顔面から剣を深々と突き刺し、刀身を胸半ばまで侵入させた!
「ハイパワーブレイク!!」
内側からの炸裂により、“古代の力”による減衰無しでダメージを与える!
「遺跡村の頃よりは楽になったけれど、やっぱり頑丈だな」
頭から首の奥まで吹き飛ばしたのに、まだ動くらしい。
「氷結の刀剣!」
リューナが左腕側に氷の曲刀を生み出し、直接叩き付ける!
「今だ、決めろ!」
「ああ!」
剣に十二文字を刻み――ボロボロの古生代モンスターを両断した。
「神代文字のゴリ押しで、短期決戦に持ち込めたか」
狭い通路だから当然だけれど、出て来たのが一体だけで良かった。
俺達が文字を使えなければ、かなりの難所だったんじゃないか、ここ?
「古生代モンスターに有効な攻撃手段が無いのは、なかなか手痛い――」
リューナが話して居る後ろで――いきなり爆発音と爆風が!!?
「おー、ダイナマイト一本で、古生代モンスターを倒せちゃいましたよ!」
なぜかはしゃいでいるように見えるチトセさん……実はかなり過激な側面を持ってる?
「岩石系に対してダメージ倍で、”古代の力”が発動しないから一発でいけたんだ。凄い!」
マリナが賞賛しているけれど、俺とリューナはいきなりすぎてビックリしてるよ。
「おっかねー。チトセ、ダイナマイトはあと何本あるんだ?」
「残り八本です」
一本で一体倒せるなら、かなり頼れるな。
「今みたいに挟まれても、退路は確保できそうだ」
魔神にも有効そうなダイナマイトだけれど、さすがに頼らない方が良いか。量産できない今は貴重だし。
「お、宝箱だな。罠解除」
リューナが迷路隅っこの宝箱を開けると、そこから黄金の翼? が出て来た。
「”ゴルドアーマーウィング”……“黄金障壁”付きのSランクらしい」
おお……格好いい。
「飛べない今は意味がないけれど、この面子で使うとしたらマリナか?」
「へ、私?」
「いや、どうやらこの翼、鎧を装着していないと装備出来ないタイプのようだ」
ライブラリで詳しく確認してくれるリューナ。
「そうなると、使用できるのは必然的にコセさんだけですね」
「俺か……なら、“夜鷹の指輪”はマリナに預けたままにしておくか」
「良いの?」
チトセさんだと薬液銃の性質上、片腕で闘うのは難しいだろうし。
「じゃあ、これはコセに渡しておくぞ」
リューナから、重い金属の翼を受け取る。
「ありがとう」
「ちなみのその翼、基本的にはその他装備欄を使うが、鎧欄に鎧と一緒に装備させておくことも可能らしい。Sランクにしては地味だが、かなり特殊な性質があるな」
貴重なその他欄を使わずに済むなら、地味にありがたい効果だ。
「さっそく……結構重いな」
空を飛ばない場合は、むしろ邪魔か。
「鎧欄に装備だと、いざという時に自由に出し入れが出来ないのか」
そういうデメリットがあるなら、基本的にはその他に付けておいた方が良さそうだ。
装備セット機能で使い分ける方法あるけれど、これだけに割くのも勿体ないな。
「ま、あとで考えるか」
今は外しておく。
「へ……なにこれ」
マリナが角の先で見付けたのは、巨大な鳥の亡骸。
「武器交換――“鳥葬のボーンスレイヤー”」
骨で出来た、軽い大剣に持ち替える。
「なにする気?」
「三十ステージ以降には、特殊な宝箱みたいなのが出るって言ったろ?」
亡骸を剣で切り裂くと、ランダムにアイテムが手に入る。
○謎の鳥の亡骸より、以下のアイテムを回収しました。
★武器ランクアップジュエル×1
★腐った肉×3
★鳥骨×6
★立派な鳥骨×1
★大きな嘴×1
★綺麗な羽毛×4
「骨や腐った肉はともかく、なんでランクアップジュエルが出て来るんだか」
「食べた物が、胃に残ってたとか?」
「なるほど。あとは羽根に引っ掛かってたとかかな?」
烏とかなら光り物を集めるだろうし……考えられるのはそれくらいか。
その後も古生代モンスターと戦いながら迷路を進み、宝箱や鳥の亡骸からアイテムを回収していく。
○35000Gを手に入れました。
★飛び跳ねの指輪×1
○青銅の大剣を手に入れました。
★白銀障壁の指輪×1
○レーザー杖を手に入れました。
★ルビーリング×1
○“乾燥した根っこ”×3を手に入れました。
★綺麗な両翼×1
★神官×1
○“古生代の刃盾”(破損状態)を手に入れました。
「破損状態……これは、鍛冶屋で修繕しないと使えなさそうだな」
この盾には“自動修復”効果が付いていないため、以前の“鉄の短剣”のように修復しないと実体化出来ないようだ。
まああの時は、壊れたまま“グレートオーガの短剣”に打ち直して貰ったんだけれど。
「うーん、ようやく迷路も終わりか」
リューナが背伸びをしながら見詰める先に広がっていたのは、朽ちた宮殿と呼ぶのに相応しい煉瓦の巨大構造物。
中心部分は円柱状で、そこに箱が複数くっ付いたかのような見た目をしている。
その建物と迷路の間のスペースは、安全エリアになっているようだ。
「少し休憩しようか」
特に俺とリューナは神代文字を使用したため、精神力を大分消耗してしまっている。
「じゃあ、お茶の用意をしますね」
「あ、手伝います、チトセさん」
二人が風呂敷を広げ、手早く飲み物やお菓子を用意していく。
俺は少ししょっぱいのが食べたいと思い、チーズを一切れ実体化させて食べ始めた。
「そう言えばチトセ、お前は驚かないんだな。私達が神代文字を使えることに」
リューナが尋ねた。
「へ?」
「私が出会ったプレーヤーは一様に、文字を刻めるのをチートだと抜かす奴等ばかりだったが、お前は触れようともしないだろう?」
言われてみれば確かに。
「お前も、実は文字を使えるんじゃないのか?」
「へ……へと……」
明らかに触れられたくなさそうなチトセさん。
本来の戦闘スタイルを見せないようにしていることと、なにか関係があるのかな?
「……まあ、無理に聞く気はないさ」
「アハハハ……一応は使えますけれど、私はその武器を使いたくないんです。だから……私は神代文字を使わないと思ってください。そもそも、皆さんみたいに上手く使えませんしね! ハハハ……」
余程のなにかがあるらしい。
「でも、神代文字なんて言い方するのは知りませんでしたよ?」
「私も、庭園でユウダイ達に会うまでは知らなかったな」
「そう言えばリューナは、よく神代文字の名前を知ってたな」
俺の場合は、ノーザンが口にしてから、メルシュ達隠れNPCも当たり前のようにそう言うようになったんだったかな?
「私だって、二十ステージでルフィルに出会うまで知らなかったさ」
この世界の住人の中には稀に知っている人間が居て、そっち経由で知ることが出来るかどうかか。
やっぱり、メルシュ達はまだまだ隠している事が多そうだ。
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