ダンジョン・ザ・チョイス
367.魔神子のナノカ
「ここが、お目当ての場所ですか?」
階段の上にあった石鳥居の先、石で出来た神社のような場所の前に立つ。
魔人の皆さんは、手こずりながらもなんとか倒して“魔人のスキルカード”を手に入れました。
「なんか、お賽銭みたいなのがあるけど……仕切りみたいなのが一つも無い?」
「まあ、そりゃね」
ナオさんの疑問に答えるように、メルシュさんが次々と実体化させた武具を放り込んでいく!?
「それって、全部魔神関係の武具ですか?」
「その通り。これまでの魔神、二十四体を象徴とする武具全種を投入する必要があるんだよ」
でも、数は二十四より多い。
これ、一人だけじゃ絶対に集めることが出来ないのでは?
小魔神や魔人の人達から一応ドロップするとはいえ、無い物がたまたま手に入る確率は低いですし。
「お賽銭箱……どんどん光が強くなっていく」
「それじゃあ、最後はクマムが入れて」
メルシュさんから、魔神・受胎母像によく似た像を受け取る。
「い、いきます」
“受胎母像の御神体”を投げ入れ――あ、角度が悪くて、頭を角にぶつけてバウンドさせてしまいました!
「光が!」
お賽銭箱が粉々に砕け散って、石のお社の扉が勢いよく開かれた!?
○以下から一つを選択出来ます。
★魔神子をパーティーに加える。
★魔神の申し子のサブ職業を手に入れる。
★魔神の加護のスキルカード・魔神への軌跡のスキルカードを手に入れる。
★魔人武術使いのスキルカード・魔人法術のスキルカードを手に入れる。
「選択肢が四つって初めてですよね?」
「それだけ、特別視されてるって事かな」
隠れNPCを増やすとパーティー数も増やさなきゃいけなくなるから、自分達の首を締めることになる。
それでも今ここで入手しようとしているって事は、メルシュさんもジュリーさんも、魔神子の隠れNPCを重要視している証拠。
「じゃあ、選びます」
私が魔神子をパーティーに加えるを選ぶと社の中の光が消え――社に罅が!
「へ!?」
――石の社が跡形もなく砕け散り……社のあった場所には一人の少女が!
「余を解き放ったのはお前か、小娘?」
「へ? ああ……はい」
黒髪を胸下までのポニーテールにした、この街に使われている石にボス魔神のライン光のような黄金の紋様が入った鎧を着ている……勝ち気な美少女。
「余は産まれてから強制的に祀られていたため、まだ名が無い。主に余の名を授ける栄誉をくれてやろう」
「そ、そっか。私が名前を決めるんだ」
私みたいな変な名前を付けられたら可哀想だし、真剣に考えてあげないと!
「…………」
……なんにも思い付かない。
「あの……どなたかアイディアを……」
「ヤシロブッパと言うのはどうだろう? 社を吹き飛ばして登場した彼女に、相応しい名前だと思うのだが?」
「ジュリーさん……それ、本気で言ってます?」
「……へ?」
「マスター……」
ネーミングセンスが残念とは聞いていましたが、あまりにも酷すぎる! サキさんも呆れてますよ。
「ナオさんは……」
「うーん……うーん」
ナオさんも浮かばないみたい……ちょっと親近感。
「おい、余のマスターよ。余の名付けはまだか?」
「ご、ごめんなさい!」
でも、本当になにも浮かばない!
「そんなに思い付かないなら、クマムのもう一つの名前をあげちゃえば?」
メルシュさんからのアドバイス。
「私の、もう一つの名前?」
「ああ、芸名だよ! クマムちゃん!」
ナオさんが満面の笑みを浮かべる。
「あの名前を他の人に……良いかもしれませんね」
過去の――偽物の自分と、決別するという意味でも。
「貴女の名前はナノカ。今日からナノカです!」
表示されたチョイスプレートに名を刻み、決定を押す。
「フム、悪くない響きだ。気に入ったぞ、マスター・クマム」
「私の事は、クマムと呼んでください」
マスターなんて、こそばゆいです。
「そうか? ならば、遠慮無くクマムと呼ばせて貰おう」
「フフ。これから宜しくお願いします、ナノカ!」
名前が名前なのもあって、なんだか妹が出来たみたいです!
●●●
「“吹雪魔法”――ブリザードトルネード!!」
エリューナさんの魔法により、鳥モンスター数体が凍りながら落ちていく。
「まだ少し早かったか」
「みたいですね」
メルシュとの情報交換を終えた頃、外に灯りが増え始めたためホテルから四人で繰り出したのだが、直後に鳥モンスターに襲われた。
「街や村でモンスターに襲われるというのは、不思議な気分だな」
「そうですか?」
俺は始まりの村で大量のモンスターと戦ったからか、大して違和感は無い。
「コセさん、腕の調子はなんともないですか?」
チトセさんに尋ねられる。
「ええ、なんとも」
軽い痛みを感じることもあるけれど、それなら他の部位にも言えることだ。左腕だけが特別痛いわけじゃない。
「それよりも、今夜のうちに用件を済ませないと大きなタイムロスになってしまいます。急ぎましょう」
鳥葬の廃都は、夜にしか出来ないイベントばかりらしい。
「チトセさん、アケビ食べます?」
「うわー、懐かしいですね~! 一つ頂きます!」
チトセさんにアケビを渡すマリナ。
「どっから取ってきたんだ?」
「これよ――“果物栽培”」
“果物栽培のグローブ”の手の平の上に種を置き――それが一つの果物に変わった!?
「なんとなく察してはいたけれど、一瞬で実る物なんだな」
もう完全に、“果物爆弾”のスキルとセットで使うのを前提として居るじゃないか。
「ユウダイも食べる?」
「おう、貰うよ」
ちょっと小腹が空いてたし。
「おい、あったぞ」
エリューナさんが見付けてくれたのは、鳥の骨や羽毛などを使った物が売られているお店。
「いらっしゃい。まあ、見てってくれよ」
○以下から購入が可能です。
★鳥葬のボーンクラブ 16000G
★鳥葬のロングボウ 13000G
★鳥葬のボーンスレイヤー 18000G
★猛禽類の両翼ウィッグ 24000G
★猛禽類の鳥葬鉤爪 20000G
「武器の割には安めだな」
「全部Bランクらしいですから。ただ、鳥葬と付いた武器には、鳥モンスターに対して特攻効果があるらしいです」
鳥葬って、本来は人間の死体を鳥に喰わせるっていう火葬や土葬の類いのはずなのに。
まあ、鳥で葬るじゃなくて、鳥を葬るという意味に取れなくも無いけれど。
取り敢えず、“猛禽類の両翼ウィッグ”を二つ以外は、全て一つずつ購入。
「おい、そんなに買ってどうするんだよ?」
エリューナさんの疑問の答えは、すぐに返ってくる。
「太っ腹だね兄さん! 特別にコレもやるよ。なーに、遠慮することはねー。どうせ俺には使い道がねーからよ」
○“鳥葬のスキルカード”を手に入れました。
「そのカードがお目当てだったってわけか」
「ええ、まあ」
夜鷹などの味方の鳥を凶猛化させ、特に生物系への攻撃能力を強化してくれるという代物。
今の所使い道は無いといって良いけれど、持っておいて損は無いと説明されたため、取り敢えず一枚は所持しておくことにした。
「じゃあ、どんどん行きましょうか」
明日の朝には、次のステージに出発したいからな。
階段の上にあった石鳥居の先、石で出来た神社のような場所の前に立つ。
魔人の皆さんは、手こずりながらもなんとか倒して“魔人のスキルカード”を手に入れました。
「なんか、お賽銭みたいなのがあるけど……仕切りみたいなのが一つも無い?」
「まあ、そりゃね」
ナオさんの疑問に答えるように、メルシュさんが次々と実体化させた武具を放り込んでいく!?
「それって、全部魔神関係の武具ですか?」
「その通り。これまでの魔神、二十四体を象徴とする武具全種を投入する必要があるんだよ」
でも、数は二十四より多い。
これ、一人だけじゃ絶対に集めることが出来ないのでは?
小魔神や魔人の人達から一応ドロップするとはいえ、無い物がたまたま手に入る確率は低いですし。
「お賽銭箱……どんどん光が強くなっていく」
「それじゃあ、最後はクマムが入れて」
メルシュさんから、魔神・受胎母像によく似た像を受け取る。
「い、いきます」
“受胎母像の御神体”を投げ入れ――あ、角度が悪くて、頭を角にぶつけてバウンドさせてしまいました!
「光が!」
お賽銭箱が粉々に砕け散って、石のお社の扉が勢いよく開かれた!?
○以下から一つを選択出来ます。
★魔神子をパーティーに加える。
★魔神の申し子のサブ職業を手に入れる。
★魔神の加護のスキルカード・魔神への軌跡のスキルカードを手に入れる。
★魔人武術使いのスキルカード・魔人法術のスキルカードを手に入れる。
「選択肢が四つって初めてですよね?」
「それだけ、特別視されてるって事かな」
隠れNPCを増やすとパーティー数も増やさなきゃいけなくなるから、自分達の首を締めることになる。
それでも今ここで入手しようとしているって事は、メルシュさんもジュリーさんも、魔神子の隠れNPCを重要視している証拠。
「じゃあ、選びます」
私が魔神子をパーティーに加えるを選ぶと社の中の光が消え――社に罅が!
「へ!?」
――石の社が跡形もなく砕け散り……社のあった場所には一人の少女が!
「余を解き放ったのはお前か、小娘?」
「へ? ああ……はい」
黒髪を胸下までのポニーテールにした、この街に使われている石にボス魔神のライン光のような黄金の紋様が入った鎧を着ている……勝ち気な美少女。
「余は産まれてから強制的に祀られていたため、まだ名が無い。主に余の名を授ける栄誉をくれてやろう」
「そ、そっか。私が名前を決めるんだ」
私みたいな変な名前を付けられたら可哀想だし、真剣に考えてあげないと!
「…………」
……なんにも思い付かない。
「あの……どなたかアイディアを……」
「ヤシロブッパと言うのはどうだろう? 社を吹き飛ばして登場した彼女に、相応しい名前だと思うのだが?」
「ジュリーさん……それ、本気で言ってます?」
「……へ?」
「マスター……」
ネーミングセンスが残念とは聞いていましたが、あまりにも酷すぎる! サキさんも呆れてますよ。
「ナオさんは……」
「うーん……うーん」
ナオさんも浮かばないみたい……ちょっと親近感。
「おい、余のマスターよ。余の名付けはまだか?」
「ご、ごめんなさい!」
でも、本当になにも浮かばない!
「そんなに思い付かないなら、クマムのもう一つの名前をあげちゃえば?」
メルシュさんからのアドバイス。
「私の、もう一つの名前?」
「ああ、芸名だよ! クマムちゃん!」
ナオさんが満面の笑みを浮かべる。
「あの名前を他の人に……良いかもしれませんね」
過去の――偽物の自分と、決別するという意味でも。
「貴女の名前はナノカ。今日からナノカです!」
表示されたチョイスプレートに名を刻み、決定を押す。
「フム、悪くない響きだ。気に入ったぞ、マスター・クマム」
「私の事は、クマムと呼んでください」
マスターなんて、こそばゆいです。
「そうか? ならば、遠慮無くクマムと呼ばせて貰おう」
「フフ。これから宜しくお願いします、ナノカ!」
名前が名前なのもあって、なんだか妹が出来たみたいです!
●●●
「“吹雪魔法”――ブリザードトルネード!!」
エリューナさんの魔法により、鳥モンスター数体が凍りながら落ちていく。
「まだ少し早かったか」
「みたいですね」
メルシュとの情報交換を終えた頃、外に灯りが増え始めたためホテルから四人で繰り出したのだが、直後に鳥モンスターに襲われた。
「街や村でモンスターに襲われるというのは、不思議な気分だな」
「そうですか?」
俺は始まりの村で大量のモンスターと戦ったからか、大して違和感は無い。
「コセさん、腕の調子はなんともないですか?」
チトセさんに尋ねられる。
「ええ、なんとも」
軽い痛みを感じることもあるけれど、それなら他の部位にも言えることだ。左腕だけが特別痛いわけじゃない。
「それよりも、今夜のうちに用件を済ませないと大きなタイムロスになってしまいます。急ぎましょう」
鳥葬の廃都は、夜にしか出来ないイベントばかりらしい。
「チトセさん、アケビ食べます?」
「うわー、懐かしいですね~! 一つ頂きます!」
チトセさんにアケビを渡すマリナ。
「どっから取ってきたんだ?」
「これよ――“果物栽培”」
“果物栽培のグローブ”の手の平の上に種を置き――それが一つの果物に変わった!?
「なんとなく察してはいたけれど、一瞬で実る物なんだな」
もう完全に、“果物爆弾”のスキルとセットで使うのを前提として居るじゃないか。
「ユウダイも食べる?」
「おう、貰うよ」
ちょっと小腹が空いてたし。
「おい、あったぞ」
エリューナさんが見付けてくれたのは、鳥の骨や羽毛などを使った物が売られているお店。
「いらっしゃい。まあ、見てってくれよ」
○以下から購入が可能です。
★鳥葬のボーンクラブ 16000G
★鳥葬のロングボウ 13000G
★鳥葬のボーンスレイヤー 18000G
★猛禽類の両翼ウィッグ 24000G
★猛禽類の鳥葬鉤爪 20000G
「武器の割には安めだな」
「全部Bランクらしいですから。ただ、鳥葬と付いた武器には、鳥モンスターに対して特攻効果があるらしいです」
鳥葬って、本来は人間の死体を鳥に喰わせるっていう火葬や土葬の類いのはずなのに。
まあ、鳥で葬るじゃなくて、鳥を葬るという意味に取れなくも無いけれど。
取り敢えず、“猛禽類の両翼ウィッグ”を二つ以外は、全て一つずつ購入。
「おい、そんなに買ってどうするんだよ?」
エリューナさんの疑問の答えは、すぐに返ってくる。
「太っ腹だね兄さん! 特別にコレもやるよ。なーに、遠慮することはねー。どうせ俺には使い道がねーからよ」
○“鳥葬のスキルカード”を手に入れました。
「そのカードがお目当てだったってわけか」
「ええ、まあ」
夜鷹などの味方の鳥を凶猛化させ、特に生物系への攻撃能力を強化してくれるという代物。
今の所使い道は無いといって良いけれど、持っておいて損は無いと説明されたため、取り敢えず一枚は所持しておくことにした。
「じゃあ、どんどん行きましょうか」
明日の朝には、次のステージに出発したいからな。
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