ダンジョン・ザ・チョイス
241.それぞれの港へ
「じゃあ、よろしくマスター」
シレイアさんに促され、”調伏の太刀”の柄に手を置き……魔神に近付く。
「得物は長ドスか」
ヤクザの匕首の長いバージョン……ランクはBらしいし、鍔のない刀は好みじゃないかな。
「文字無しで頼むよ」
「分かってるー」
ただでさえクリア直後に突発クエストに見舞われる可能性があるのに、今回はパーティーごとに別れるため、より危険性が増しているから。
『……――ッ』
魔神・刀鬼が、滑るように高速で動きだす。
これが、話に聞いてた”摺り足”か……私の知ってる摺り足と違うけれど――真似できそう。
「「「へ?」」」
「……さすが」
一度での移動距離は、さすがに魔神と比べるべくもないか。
ま、今後の課題かな。
「”抜刀術”――波断」
刀鬼の利き腕である左を斬撃で切り裂き、カウンターを入れられるのを防ぐ。
「”刀剣術”――撃打ち」
右手一本で振るってきた長ドスに向かって、”調伏の太刀”で強烈な衝撃をぶつけて動きを止める。
「”跳躍”」
敵正面で跳躍し、”紫雲猿の靴”で勢いよく蹴り降りると同時に――頭をかち割るつもりで剣を掲げる!
「”鬼人刀剣術”――――紅葉断ち」
紅い紅葉を振り撒きながら放たれた剣は、魔神・刀鬼を両断した。
「……ちょっと疲れた」
着地時の脚への負担……少しキツかったかも。
「いや……マジでスゲーな」
ザッカルさんが呟く。
「映画の伝説的なアクションシーンと言いますか……とにかく凄かったです!」
「さすが、龍の民の剣豪ですね」
カナさんとノーザンさんも、なんだかやたら持ち上げてくる。
私的には、リアルハーレムの人の方がずっと凄いと思うんだけれど。
あの時の藍色の光を纏ったコセさんは……アレは別格というか……文字通り次元が違った。
アレに勝てるビジョンが、まるで湧いてこない。
ベッドでは毎回良い勝負なのに!
「マスター? 脚でも痛むのかい?」
「ううん……早く選んじゃおうか」
私は、”抜刀術のスキルカード”を選べば良いかな。
○これより、第十八ステージに続く船着き場に転移します。
私達のパーティーの行き先は、魔女の避暑地。
いったい……どんな所なんだろう?
●●●
「”抜剣”」
”聖遺物の鞘盾”から、”聖剣光輝”を適用させた状態で”ヴリルの聖剣”を抜く!
「”光波衣”」
光の波を幾重にも纏い、魔神・刀鬼に向かって駆ける!
「”二重魔法”、”冥雷魔法”――サンダラスヘル!!」
「”精霊魔法”――ノーム!」
アヤナの広範囲魔法とフェルナンダの土の小人による岩の礫攻撃により、魔神・刀鬼の動きが止まった。
「”瞬足”跳躍”!!」
”聖剣光輝”によって聖剣の力が一時的に強化された状態で、正面から一気に距離を詰める!
「”光輝剣術”――シャイニングストライク!!」
魔神の胸に、”ヴリルの聖剣”を突き立てた。
「あ……終わってしまいましたね」
スゥーシャの言葉が終わる頃には、魔神の身体は消え失せてしまう。
「”光属性強化”のスキルを得たのもあって、一撃で倒せたか」
光属性が弱点だったらしいから、私にとって有利だったわけだが。
ただ、一撃で終わらせられず、”摺り足”で動き続けられたら厄介だっただろう。
個人的には、魔神・大盾亀の方が攻略が難しかったかな。
「……さて」
○転移先を選択できます。どこへ転移しますか?
★第十六ステージ 順当コース
★第十六ステージ 旅行コース
★第十七ステージ 旅行コース
★第十八ステージ 旅行コース
★第十九ステージ 旅行コース
ボス討伐報酬をさっさと選んだわけだが……私達は十九ステージ、遺跡島行きだったな。
メルシュとジュリーの話では、私向きの剣がこのステージで手に入るらしい。
「よし。選ぶぞ、みんな!」
○これより、第十九ステージに続く船着き場に転移します。
●●●
「コセさん一人で、本当に宜しいんですか?」
クマムが心配してくれる。
「メルシュに、戦闘経験を積んだ方が良いって言われてさ」
「文字は無しでね。文字の訓練のためとはいえ、最近文字頼りになってたし」
魔神・刀鬼は危険な分、良い訓練になるらしい。
”サムシンググレートソード”ではなく、”グレイトドラゴンキャリバー”のみを手に歩き出す。
「ご主人様、ピンチだと思ったら援護に入りますので」
トゥスカが、余裕有り気にそう口にする。
「無様は見せないようにしないとな」
――魔神に向かって歩いていると、剣が自分の身体の一部になったような気がしてきた。
『……』
「来いよ」
俺に応えてくれたわけじゃないだろうけれど、魔神・刀鬼が、長ドスを手に床を”摺り足”で移動し出す。
――斜め後ろからの振り降ろしを、”近接探知”で捉えて回避。
「”超竜撃”」
『――!』
直撃は避けられたけれど、右腕に、余波による損傷を与えられた。
『グオオオオオオ!!』
ようやく喋ったな。
長ドスが輝き、突きを見舞ってくるも――竜の頭を模ったブラウンの剣で逸らす!
「”古代竜魔法”――エンシェントフィジカル」
肉体を強化し、脚力に任せて前へ!
「く!!」
”摺り足”を使って、直接脚をぶつけてきた。
剣で斬り付けるように受けたけれど、派手に後退させられる。
『――』
鞘に長ドスを収めた――来るか。
『――――ッ!!』
「”飛王剣”!!」
放たれた波断に対し、王の斬撃をぶつけて相殺させる。
『ガアアアアア!!』
「”瞬足”、”竜剣術”――ドラゴンスラッシュ」
すれ違いざまに、魔神の左太股を切り裂く。
「”跳躍”」
背後に回ってから高く飛び、”グレイトドラゴンキャリバー”の効果を使用しながら振り下ろす!!
「――”超竜撃”」
『ギャアアアアアアアアああああああッッ!!!』
……今、凄い声が出たな。
「”古代竜魔法”――エンシェントドラゴンブラスター!!」
古代竜の光線を左腕部分からぶつけ、半壊した魔神・刀鬼にトドメを刺した。
「……フー、疲れた」
ステージギミックを使うボスだったら、こうはいかなかっただろうな。
「お疲れ様です、ご主人様」
「ありがとう、トゥスカ」
トゥスカからブカブカの水筒を受け取り、水分を補給する。
準備してたって事は、援護する必要はないと信じてくれていたと言うこと。
やっぱり……トゥスカだけは、最後まで傍に居て欲しいな。
○おめでとうございます。魔神・刀鬼の討伐に成功しました。
○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。
★刀鬼の長ドス ★刀剣使いのスキルカード
★抜刀使いのスキルカード ★刀鬼の白着
「聞いてはいたけれど、”摺り足”は無いんだな」
ボスの特徴的なスキルか武具が、これまでは必ず手に入っていたように思うけれど。
「なぜかそういう仕様なんだよね。制作者の意図があるのか、ただのミスなのか」
まあ、ここで”摺り足のスキルカード”を選択する気にはなれないけれど。
「トゥスカは、”刀鬼の白着”をお願い」
メルシュは、”刀鬼の長ドス”を選択……ここでもボスキャラの特徴を持つ武具を選択したか。
俺は”抜刀術のスキルカード”を選択……得物が日本刀じゃないと使えないらしいけれど。
○転移先を選択できます。どこへ転移しますか?
★第十六ステージ 順当コース
★第十六ステージ 旅行コース
★第十七ステージ 旅行コース
★第十八ステージ 旅行コース
★第十九ステージ 旅行コース
「十六ステージの旅行コースだったよな」
順当コースは、十六から十九まで順番に回るルートらしい。
「じゃあ、選ぶぞ」
「「はい」」
「良いわよ」
「オッケーだよ、マスター」
四人の同意を得て、第十六ステージの宝石島へと向かう旅行コースを選択した。
シレイアさんに促され、”調伏の太刀”の柄に手を置き……魔神に近付く。
「得物は長ドスか」
ヤクザの匕首の長いバージョン……ランクはBらしいし、鍔のない刀は好みじゃないかな。
「文字無しで頼むよ」
「分かってるー」
ただでさえクリア直後に突発クエストに見舞われる可能性があるのに、今回はパーティーごとに別れるため、より危険性が増しているから。
『……――ッ』
魔神・刀鬼が、滑るように高速で動きだす。
これが、話に聞いてた”摺り足”か……私の知ってる摺り足と違うけれど――真似できそう。
「「「へ?」」」
「……さすが」
一度での移動距離は、さすがに魔神と比べるべくもないか。
ま、今後の課題かな。
「”抜刀術”――波断」
刀鬼の利き腕である左を斬撃で切り裂き、カウンターを入れられるのを防ぐ。
「”刀剣術”――撃打ち」
右手一本で振るってきた長ドスに向かって、”調伏の太刀”で強烈な衝撃をぶつけて動きを止める。
「”跳躍”」
敵正面で跳躍し、”紫雲猿の靴”で勢いよく蹴り降りると同時に――頭をかち割るつもりで剣を掲げる!
「”鬼人刀剣術”――――紅葉断ち」
紅い紅葉を振り撒きながら放たれた剣は、魔神・刀鬼を両断した。
「……ちょっと疲れた」
着地時の脚への負担……少しキツかったかも。
「いや……マジでスゲーな」
ザッカルさんが呟く。
「映画の伝説的なアクションシーンと言いますか……とにかく凄かったです!」
「さすが、龍の民の剣豪ですね」
カナさんとノーザンさんも、なんだかやたら持ち上げてくる。
私的には、リアルハーレムの人の方がずっと凄いと思うんだけれど。
あの時の藍色の光を纏ったコセさんは……アレは別格というか……文字通り次元が違った。
アレに勝てるビジョンが、まるで湧いてこない。
ベッドでは毎回良い勝負なのに!
「マスター? 脚でも痛むのかい?」
「ううん……早く選んじゃおうか」
私は、”抜刀術のスキルカード”を選べば良いかな。
○これより、第十八ステージに続く船着き場に転移します。
私達のパーティーの行き先は、魔女の避暑地。
いったい……どんな所なんだろう?
●●●
「”抜剣”」
”聖遺物の鞘盾”から、”聖剣光輝”を適用させた状態で”ヴリルの聖剣”を抜く!
「”光波衣”」
光の波を幾重にも纏い、魔神・刀鬼に向かって駆ける!
「”二重魔法”、”冥雷魔法”――サンダラスヘル!!」
「”精霊魔法”――ノーム!」
アヤナの広範囲魔法とフェルナンダの土の小人による岩の礫攻撃により、魔神・刀鬼の動きが止まった。
「”瞬足”跳躍”!!」
”聖剣光輝”によって聖剣の力が一時的に強化された状態で、正面から一気に距離を詰める!
「”光輝剣術”――シャイニングストライク!!」
魔神の胸に、”ヴリルの聖剣”を突き立てた。
「あ……終わってしまいましたね」
スゥーシャの言葉が終わる頃には、魔神の身体は消え失せてしまう。
「”光属性強化”のスキルを得たのもあって、一撃で倒せたか」
光属性が弱点だったらしいから、私にとって有利だったわけだが。
ただ、一撃で終わらせられず、”摺り足”で動き続けられたら厄介だっただろう。
個人的には、魔神・大盾亀の方が攻略が難しかったかな。
「……さて」
○転移先を選択できます。どこへ転移しますか?
★第十六ステージ 順当コース
★第十六ステージ 旅行コース
★第十七ステージ 旅行コース
★第十八ステージ 旅行コース
★第十九ステージ 旅行コース
ボス討伐報酬をさっさと選んだわけだが……私達は十九ステージ、遺跡島行きだったな。
メルシュとジュリーの話では、私向きの剣がこのステージで手に入るらしい。
「よし。選ぶぞ、みんな!」
○これより、第十九ステージに続く船着き場に転移します。
●●●
「コセさん一人で、本当に宜しいんですか?」
クマムが心配してくれる。
「メルシュに、戦闘経験を積んだ方が良いって言われてさ」
「文字は無しでね。文字の訓練のためとはいえ、最近文字頼りになってたし」
魔神・刀鬼は危険な分、良い訓練になるらしい。
”サムシンググレートソード”ではなく、”グレイトドラゴンキャリバー”のみを手に歩き出す。
「ご主人様、ピンチだと思ったら援護に入りますので」
トゥスカが、余裕有り気にそう口にする。
「無様は見せないようにしないとな」
――魔神に向かって歩いていると、剣が自分の身体の一部になったような気がしてきた。
『……』
「来いよ」
俺に応えてくれたわけじゃないだろうけれど、魔神・刀鬼が、長ドスを手に床を”摺り足”で移動し出す。
――斜め後ろからの振り降ろしを、”近接探知”で捉えて回避。
「”超竜撃”」
『――!』
直撃は避けられたけれど、右腕に、余波による損傷を与えられた。
『グオオオオオオ!!』
ようやく喋ったな。
長ドスが輝き、突きを見舞ってくるも――竜の頭を模ったブラウンの剣で逸らす!
「”古代竜魔法”――エンシェントフィジカル」
肉体を強化し、脚力に任せて前へ!
「く!!」
”摺り足”を使って、直接脚をぶつけてきた。
剣で斬り付けるように受けたけれど、派手に後退させられる。
『――』
鞘に長ドスを収めた――来るか。
『――――ッ!!』
「”飛王剣”!!」
放たれた波断に対し、王の斬撃をぶつけて相殺させる。
『ガアアアアア!!』
「”瞬足”、”竜剣術”――ドラゴンスラッシュ」
すれ違いざまに、魔神の左太股を切り裂く。
「”跳躍”」
背後に回ってから高く飛び、”グレイトドラゴンキャリバー”の効果を使用しながら振り下ろす!!
「――”超竜撃”」
『ギャアアアアアアアアああああああッッ!!!』
……今、凄い声が出たな。
「”古代竜魔法”――エンシェントドラゴンブラスター!!」
古代竜の光線を左腕部分からぶつけ、半壊した魔神・刀鬼にトドメを刺した。
「……フー、疲れた」
ステージギミックを使うボスだったら、こうはいかなかっただろうな。
「お疲れ様です、ご主人様」
「ありがとう、トゥスカ」
トゥスカからブカブカの水筒を受け取り、水分を補給する。
準備してたって事は、援護する必要はないと信じてくれていたと言うこと。
やっぱり……トゥスカだけは、最後まで傍に居て欲しいな。
○おめでとうございます。魔神・刀鬼の討伐に成功しました。
○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。
★刀鬼の長ドス ★刀剣使いのスキルカード
★抜刀使いのスキルカード ★刀鬼の白着
「聞いてはいたけれど、”摺り足”は無いんだな」
ボスの特徴的なスキルか武具が、これまでは必ず手に入っていたように思うけれど。
「なぜかそういう仕様なんだよね。制作者の意図があるのか、ただのミスなのか」
まあ、ここで”摺り足のスキルカード”を選択する気にはなれないけれど。
「トゥスカは、”刀鬼の白着”をお願い」
メルシュは、”刀鬼の長ドス”を選択……ここでもボスキャラの特徴を持つ武具を選択したか。
俺は”抜刀術のスキルカード”を選択……得物が日本刀じゃないと使えないらしいけれど。
○転移先を選択できます。どこへ転移しますか?
★第十六ステージ 順当コース
★第十六ステージ 旅行コース
★第十七ステージ 旅行コース
★第十八ステージ 旅行コース
★第十九ステージ 旅行コース
「十六ステージの旅行コースだったよな」
順当コースは、十六から十九まで順番に回るルートらしい。
「じゃあ、選ぶぞ」
「「はい」」
「良いわよ」
「オッケーだよ、マスター」
四人の同意を得て、第十六ステージの宝石島へと向かう旅行コースを選択した。
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