ダンジョン・ザ・チョイス

魔神スピリット

230.ハイエンジェルウィッチ

「シールドバッシュ!!」

 青い円盾、“アジュアバックラー”から放たれた衝撃で、マッスルリザードマンを後退させます!

「“噴射飛行”!!」

 “蒼穹を駆けろ”でお腹に突っ込み、“騎槍術”のランスブレイクで四散させました。

「無事、タマ?」
「はい、問題ありません」

 穴の終着点まで、もうすぐという所まで来る。

「ようやくか。かなり色んな種類のリザードマンが居たな」
「奥に扉……安全エリアがあるのは扉の先か」

 ルイーサさんとフェルナンダさんが、話ながら扉に近付いていく。

「オーイ。二人とも、行き先は逆だよ」

 ジュリー様とサキさんのお目当てが居るのは、扉とは反対方向。

「そうだった」
「わ、私は最初から分かってたぞ! うん、分かってたとも!」

 フェルナンダさんが赤面しているところ、初めて見たかも。

 扉の反対側は真っ暗で、なにも見えない。

 知らなかったら、絶対に扉の方に進んでたな。

「“閃光魔法”、フラッシュ」

 ジュリー様が光源を作り出し、私達は先へと進む。

「きゃ!?」

 歩き出して数分後、いきなり眩しくなった!!


 ――――目の前に広がっていたのは、黄色い空と……朽ちた白亜の神殿?


コォォォォォォォコォォォォ――』

 目の前に光が煌めき、そこから出て来たのは……黄色い布に覆われた四翼を持つ女性らしき天使様!

 彼女は奇怪な声を上げながら浮き上がり、頭に天使様の輪っかを浮かべる。

「ルイーサは防御に集中! “万雷魔法”――トワイライトスプランター!!」

 ジュリー様の先制攻撃!

「“魔断障壁”を使わせた!」
「“古代鞭術”――オールドウィップ!!」

 魔法で仕掛けると魔法を完全に防ぐ障壁を使われるそうで、その際完全に動きが止まるという行動パターンを利用し、サキさんが“竜皮の削り鞭”を肩に決める!

コォォォォォォッコォォォォォォッ!!』

 手にしていた翼の意匠がある杖から、白い雷を放ってきた!?

「“避雷針”」

 ジュリー様が、“避雷針の魔光剣”で白き雷を受け止める!

「タマ!」
「“ホロケウカムイ”! “噴射飛行”!!」

 青い炎気を纏って、“神代文字”を六文字刻み――駆け出す!


「“逢魔槍術”――オミナスチャージ!!」


 私の“蒼穹を駆けろ”が、ハイエンジェルウィッチを捉えて穿ち抜いた!

アァァァァァアァァァァァァァァァァァァァ!!?』

「避けろ、タマ! “精霊魔法”、ノーム!」

 フェルナンダさんが呼びだした石の小人が、大きな石を礫のごとく飛ばす!

「“雷光斬”!!」

 ジュリー様の斬撃がトドメとなり、ハイエンジェルウィッチは光に変わり出しました。

「“魔物契約”!」

 サキさんの鞭が天使様に絡み付き、黄金の光に包まれる。

「成功です、マスター!」
「良かった」
「これで……天使様が私達の仲間に?」

 なんだか、凄く悪いことをしてしまった気がします。

 背徳感という意味では、数日前のスーシャとコセ様との一夜の方がずっと凄かったですけれど……ニャー♡

「貴女の名前は、今日から黄色い天使よ」

 ジュリー様……相変わらずネーミングセンスが無い。

 サキさん、変な名前を付けられなくて良かったですね。

『……冗談ですよね?』

 ハイエンジェルウィッチさんが、本気で引いていらっしゃいますよ、ジュリー様!!

「で、では、セラなんてどうでしょう?」

 コセ様との間に女の子が生まれた時に付けようと思っていた名前を、思わず言ってしまった私!!

『セラですか……大変良いですね』
「では、セラで決定ですね」
「サキ? なんで主である私の意見を無視するの?」

 それは……仕方ないです。

『私は、今日からセラです。宜しくお願いします、皆さん』

 セラさん自身が、強引にセラって決めちゃった。


○“天雷の大杖”を手に入れました。
○“天雷魔法のスキルカード”を手に入れました。
○“天使法術のスキルカード”を手に入れました。
○“万雷魔法のスキルカード”を手に入れました。
○“ハイエンジェルウィッチのスキルカ-ド”を手に入れました。

○先に進みますか?


「ここは安全エリアだし、少し休んでから行こうか」
「そうだな。一時間くらい戦いっぱなしだし」

 ジュリー様にルイーサさんが同意を示すと、休憩することに決まる。

「ここから元の空間に戻ると、ボス部屋手前の安全エリアに出るんだっけ?」
「だから、コッチに来ると手に入らなくなる物が色々あるんだよね」

 ルイーサさんとジュリー様は、最近は本当によく話している様子。

 まるで、私とスゥーシャみたいな関係に見える。

「……スーシャは、今頃上手くやれてるのかな?」


●●●


「“幻影の銛群”」

 Sランク武器の“ファンタズムハープン”の効果で、空中に浮かせた銛を六つに増やしてリザードマンさん達を射抜いていく!

「スーシャだけで、ほとんど片付いちゃったわね」

 そう言ってくださったのは、ユリカさん。

 ユリカさんのオッパイって確かに大きいけれど、同じくらいのオッパイの持ち主はこのレギオンにはいっぱい居る。

 なのに……なぜかユリカさんのオッパイは、人一倍気を惹くんです。

 ……形が……ジュリーさんやルイーサさんよりもエッチかもしれない。

 服の上からでもそれが分かってしまうくらい、ユリカさんのオッパイは主張が激しい。

 うぅ……姉さんも大きかったけれど、ユリカさんのは本当にエッチだな~……羨ましい。

 タマも、私より一回りくらい大きそうだったし。

「スゥーシャ~、なにさっきからユリカのオッパイガン見してんの?」

 アヤナさんが、私に向かってイヤラシイ笑みを向けてきた。

 この人のこういう乗り、ちょっと苦手です。

「す、すみません……」

 だって……男の人はみんなオッパイが好きだって……サトミさんから聞いたから。

「ユリカのオッパイ……かなり目を惹くもんね」

 アオイさんまで乗っかってきた!?

「そうですね。マスターのオッパイは少々お下品です」

 ヨシノさんが、珍しく冗談を口にする。

「へ? 私のオッパイって下品なの? ……自分では、良い形してるなって思ってたのに」

 いえ、実際に良い形をしてますよ、ユリカさんのオッパイは♡

「どうなの? コセって、やっぱり大きい方が好きなの?」

「「……さあー?」」

 アヤナさんに聞かれて考えますが、あの夜の時ですら大きさがどうこうとか言いませんでしたからね、コセ様は。

「皆様、お喋りは安全エリアに着いてからにしましょう」

 穴の最下層部分に着くと、ヨシノさんに戒められた。

「あの扉の向こうには、突然変異したという設定の上位リザードマンがランダムに出現しています。くれぐれもご注意を」

「じゃ、サクッと倒しちゃいますか」

 ユリカさんが扉を開けると……そこには翠の鎧と斧を持つ巨大リザードマンが鎮座していた!

「アマゾンリザードマンですね。持っている斧は“バーストアックス”と思われます」

 ヨシノさんが情報をくれる!

「パワータイプですが、奴は“保護色”スキルを――」


「“煉獄魔法”――インフェルノブラスター!!」


 神代文字を九つ刻んだ杖から放たれた煉獄の炎線により、アマゾンリザードマンは一撃で跡形もなく吹き飛んだ。

「……マスター、あまり神代文字に頼らないで欲しいのですが」
「良いじゃない。こういうのは使ってないと鈍るんだから」

 やっぱり、コセ様に見初められた女性って凄い。

 私も、負けてなんて居られません!

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