ダンジョン・ザ・チョイス
204.藍色人魚のキジナ
「試すって、いったいどういうこと!?」
「問答無用!!」
青味を帯びた黒い銛を手に、斬り掛かってくるキジナ姉さん!!
「う!!」
「”ワッカカムイ”を使っているくせに、私よりも反応速度が遅いとはどういう事だ!」
姉さんは、歴戦の男の人魚にも引けを取らないほど強かった!
私が勝てるわけ……。
「弱者の目だな」
――銛を横に薙いだのを防ぐと、そのまま吹き飛ばされてしまう私!!
「スゥーシャさん!!」
タマちゃんが助けに入ってくれる。
「いきなりどういうつもりですか!」
「邪魔をしないで貰おうか、獣人の娘。これは姉妹の問題だ」
「姉妹?」
「……本当です、タマちゃん」
私達家族に、ずっとデルタに立ち向かうことを訴えていた姉さん。
「私を……私達家族を……恨んでるの?」
「……フハハハハハハハハハハハ!! スゥーシャ! まさか自分達に、恨まれる価値があるとでも思っていたのか?」
「……へ?」
キジナ姉さんの予想の斜め上を行く反応に、困惑してしまう。
「デルタに捕まってこの世界に連れて来られたとき……私はただただお前達家族に――失望したんだよ」
誇り高かったキジナ姉さんが、悪意を滲ませている。
「恨んだとすればそれは……お前達家族に期待していた――私自身にだ!!」
――――姉さんの銛に、神代文字が刻まれた!?
「いけ好かない奴等が白い人魚の話をしていたから、わざわざ待っていてやったというのに、我が妹は相も変わらずくだらぬ!」
「幾らなんでも言いすぎです!」
タマちゃんが、”蒼穹を駆けろ”に文字を三文字刻んだ!!
「フン! スゥーシャ、お前は愛想だけは良いからな。どこぞの男に媚び諂って買って貰ったのだろうが……せめてもの慈悲だ。これ以上生き恥を晒させないでやる」
「……キジナ姉さん。今――コセ様をバカにしたの?」
「……す、スゥーシャさん?」
――酷く冷たく、それでいて無機質な感覚が、青い奔流となって流れ込んで来る。
「……三文字どころか、四か五を行ったり来たりか。やっぱりお前は……」
「姉さんは良いよね。後先考えずに言いたいことが言えて」
「なに?」
タマさんの前に出る。
「お父さんとお母さんと喧嘩した後、いったい誰が場を収拾してたと思っているの? 姉さんがデルタを否定するたび、臣下の者達を動揺させぬよう誰が配慮してたと思っているの?」
これ以上、この感覚に委ねてはいけないと思いながらも――堰を切ったように、感情を止められない!
「す、スゥーシャ?」
「――たまには、ちゃんと責任取ってよ」
”天の白河は流れる”を――殺すつもりで叩きつける!!
「くッ!! これがスゥーシャだと!?」
姉さんの頬を尾びれで打ち付け、吹き飛ばす!
「ごめんね、姉さん――殺したくなって来ちゃった」
肉親とか、友人とか――――情なんて物に囚われるのが、この世のなによりもくだらなく思えてきたから。
「ッ、”ワッカカムイ”!!」
姉さんが神の威を借る。
「早く消えてよ、姉さん」
「やはり、睨んでいた通り……お前の方が親和性を」
銛を引き、姉さんの身体に深々と突き刺すために集中力を高めていく。
「それ以上やるなら、私も黙ってるわけにはいかない」
――銀の甲冑を纏った黒紫色の有翼の馬が現れ、その上には癖っ毛をポニーテールにした黒い皮膚の女性が。
その女性は、黒と紫の騎槍と、尖った盾を手にしている。
「ガブリエラか……」
「こんなところで、大事な仲間を失うわけにはいかない。目的を達成するまでは」
「……そうだったな」
「邪魔するなら、貴女から殺しますよ?」
「その時は、残念だけれど貴女を殺さないといけなくなる」
黄金と赤い鎧を着た、金のメッシュ入りの黒長髪女性が、タマさんの”蒼穹を駆けろ”のように騎槍で飛行し、下に噴射させながらゆっくりと降りてくる。
その槍には、ユイさんの刀を思わせるような刃が生えていた。
「キジナ、我が儘はここまでよ。早くアテルに追い付かないといけないんだから」
「ああ……もう用は済んだよ。付き合わせて悪かったな、ミユキ、ガブリエラ」
あの姉さんが……他人に対して気を許している?
「――邪魔しないでって言ってるのにッ!!」
「落ち着いてください、スゥーシャさん!」
た、タマちゃんに羽交い締めにッ!!
「は、離して!! あのバカ姉のせいで、私がこの十数年間どれだけ苦しんだ事かぁぁぁぁああああああjrd3うgfjc3いくぁgr3ッッッ!!」
●●●
「は、離して!! あのバカ姉のせいで、私がこの十数年間どれだけ苦しんだ事かぁぁぁぁああああああjrd3うgfjc3いくぁgr3ッッッ!!」
あのお淑やかで気品のあるスゥーシャさんが、もの凄い力で暴れている!?
「タマとか言ったな。妹の事は頼んだ」
「へ!? ちょ、待ってくださいよ!!」
この状態のスゥーシャさんを、置いて行くんですか!?
ミユキという人の赤と黒と黄金が入り混じる騎槍を、キジナという人が掴む。
「それと、次のステージの隠れNPCであるパイレーツは、今頃アテル達が手に入れているはずだ。じゃあな」
ガブリエラって人の天馬と共に、三人が猛スピードで去って行く。
「あ、あの人、本当にこの状態のスゥーシャさんほっぽってどっか行っちゃったし!」
スゥーシャさんが怒るのも、無理ないかもしれない。
「クソ姉さぁあぁぁぁああああんんんいぃぃjd3fhで3rsh3いhcgッッッ!!!!」
――うそ、神代文字が六つも刻まれてる!
それどころか、七つ目まで光が灯り始めてる!!
こ、このままだとマズい!!
「た、確か、コセ様が暴走したときの対処法を聞いていた気が……へと、へとへとへとへと!」
どうしよう! 一つしか思い出せない!!
「うぎゃああj3んdrsk3っdc3jtくぁfhgkッ!!!」
――文字、七つ目まで完全に刻まれたッ!?
「スゥーシャさん――ごめんなさい!!」
――――スゥーシャさんの唇を……私は奪った。
「――ん、んんッ♡♡!!」
す、スゥーシャさん、自分から積極的に舌を絡めてき――はうっ♡
「…………あれ? 私はなにを……タマさん? なんか顔が赤い……――――ふにゅッ♡♡!!!」
ようやく……正気に戻ってくれた……。
スゥーシャさんの顔が真っ赤で……凄く……恥ずかしいッ…………ニャーー♡♡♡!!
「問答無用!!」
青味を帯びた黒い銛を手に、斬り掛かってくるキジナ姉さん!!
「う!!」
「”ワッカカムイ”を使っているくせに、私よりも反応速度が遅いとはどういう事だ!」
姉さんは、歴戦の男の人魚にも引けを取らないほど強かった!
私が勝てるわけ……。
「弱者の目だな」
――銛を横に薙いだのを防ぐと、そのまま吹き飛ばされてしまう私!!
「スゥーシャさん!!」
タマちゃんが助けに入ってくれる。
「いきなりどういうつもりですか!」
「邪魔をしないで貰おうか、獣人の娘。これは姉妹の問題だ」
「姉妹?」
「……本当です、タマちゃん」
私達家族に、ずっとデルタに立ち向かうことを訴えていた姉さん。
「私を……私達家族を……恨んでるの?」
「……フハハハハハハハハハハハ!! スゥーシャ! まさか自分達に、恨まれる価値があるとでも思っていたのか?」
「……へ?」
キジナ姉さんの予想の斜め上を行く反応に、困惑してしまう。
「デルタに捕まってこの世界に連れて来られたとき……私はただただお前達家族に――失望したんだよ」
誇り高かったキジナ姉さんが、悪意を滲ませている。
「恨んだとすればそれは……お前達家族に期待していた――私自身にだ!!」
――――姉さんの銛に、神代文字が刻まれた!?
「いけ好かない奴等が白い人魚の話をしていたから、わざわざ待っていてやったというのに、我が妹は相も変わらずくだらぬ!」
「幾らなんでも言いすぎです!」
タマちゃんが、”蒼穹を駆けろ”に文字を三文字刻んだ!!
「フン! スゥーシャ、お前は愛想だけは良いからな。どこぞの男に媚び諂って買って貰ったのだろうが……せめてもの慈悲だ。これ以上生き恥を晒させないでやる」
「……キジナ姉さん。今――コセ様をバカにしたの?」
「……す、スゥーシャさん?」
――酷く冷たく、それでいて無機質な感覚が、青い奔流となって流れ込んで来る。
「……三文字どころか、四か五を行ったり来たりか。やっぱりお前は……」
「姉さんは良いよね。後先考えずに言いたいことが言えて」
「なに?」
タマさんの前に出る。
「お父さんとお母さんと喧嘩した後、いったい誰が場を収拾してたと思っているの? 姉さんがデルタを否定するたび、臣下の者達を動揺させぬよう誰が配慮してたと思っているの?」
これ以上、この感覚に委ねてはいけないと思いながらも――堰を切ったように、感情を止められない!
「す、スゥーシャ?」
「――たまには、ちゃんと責任取ってよ」
”天の白河は流れる”を――殺すつもりで叩きつける!!
「くッ!! これがスゥーシャだと!?」
姉さんの頬を尾びれで打ち付け、吹き飛ばす!
「ごめんね、姉さん――殺したくなって来ちゃった」
肉親とか、友人とか――――情なんて物に囚われるのが、この世のなによりもくだらなく思えてきたから。
「ッ、”ワッカカムイ”!!」
姉さんが神の威を借る。
「早く消えてよ、姉さん」
「やはり、睨んでいた通り……お前の方が親和性を」
銛を引き、姉さんの身体に深々と突き刺すために集中力を高めていく。
「それ以上やるなら、私も黙ってるわけにはいかない」
――銀の甲冑を纏った黒紫色の有翼の馬が現れ、その上には癖っ毛をポニーテールにした黒い皮膚の女性が。
その女性は、黒と紫の騎槍と、尖った盾を手にしている。
「ガブリエラか……」
「こんなところで、大事な仲間を失うわけにはいかない。目的を達成するまでは」
「……そうだったな」
「邪魔するなら、貴女から殺しますよ?」
「その時は、残念だけれど貴女を殺さないといけなくなる」
黄金と赤い鎧を着た、金のメッシュ入りの黒長髪女性が、タマさんの”蒼穹を駆けろ”のように騎槍で飛行し、下に噴射させながらゆっくりと降りてくる。
その槍には、ユイさんの刀を思わせるような刃が生えていた。
「キジナ、我が儘はここまでよ。早くアテルに追い付かないといけないんだから」
「ああ……もう用は済んだよ。付き合わせて悪かったな、ミユキ、ガブリエラ」
あの姉さんが……他人に対して気を許している?
「――邪魔しないでって言ってるのにッ!!」
「落ち着いてください、スゥーシャさん!」
た、タマちゃんに羽交い締めにッ!!
「は、離して!! あのバカ姉のせいで、私がこの十数年間どれだけ苦しんだ事かぁぁぁぁああああああjrd3うgfjc3いくぁgr3ッッッ!!」
●●●
「は、離して!! あのバカ姉のせいで、私がこの十数年間どれだけ苦しんだ事かぁぁぁぁああああああjrd3うgfjc3いくぁgr3ッッッ!!」
あのお淑やかで気品のあるスゥーシャさんが、もの凄い力で暴れている!?
「タマとか言ったな。妹の事は頼んだ」
「へ!? ちょ、待ってくださいよ!!」
この状態のスゥーシャさんを、置いて行くんですか!?
ミユキという人の赤と黒と黄金が入り混じる騎槍を、キジナという人が掴む。
「それと、次のステージの隠れNPCであるパイレーツは、今頃アテル達が手に入れているはずだ。じゃあな」
ガブリエラって人の天馬と共に、三人が猛スピードで去って行く。
「あ、あの人、本当にこの状態のスゥーシャさんほっぽってどっか行っちゃったし!」
スゥーシャさんが怒るのも、無理ないかもしれない。
「クソ姉さぁあぁぁぁああああんんんいぃぃjd3fhで3rsh3いhcgッッッ!!!!」
――うそ、神代文字が六つも刻まれてる!
それどころか、七つ目まで光が灯り始めてる!!
こ、このままだとマズい!!
「た、確か、コセ様が暴走したときの対処法を聞いていた気が……へと、へとへとへとへと!」
どうしよう! 一つしか思い出せない!!
「うぎゃああj3んdrsk3っdc3jtくぁfhgkッ!!!」
――文字、七つ目まで完全に刻まれたッ!?
「スゥーシャさん――ごめんなさい!!」
――――スゥーシャさんの唇を……私は奪った。
「――ん、んんッ♡♡!!」
す、スゥーシャさん、自分から積極的に舌を絡めてき――はうっ♡
「…………あれ? 私はなにを……タマさん? なんか顔が赤い……――――ふにゅッ♡♡!!!」
ようやく……正気に戻ってくれた……。
スゥーシャさんの顔が真っ赤で……凄く……恥ずかしいッ…………ニャーー♡♡♡!!
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