ダンジョン・ザ・チョイス
112.ライバル認定と草餅
早く目が覚めた私とコセは、二人でシャワーを浴びたあと朝食の準備をしていた。
言われた通りに野菜を切ったり、彼が作った料理を食堂に運んだりする。
こうしていると、新婚みたい♡
「フフフ♡」
「どうした? 急に笑い出して」
「コセと、本当の夫婦になったんだなって」
私はコセの一番ではないけれど、昨夜のコセは私をたくさん愛してくれた。
乱暴とは違う、優しくも激しい愛情を感じる一時。
なにより、コセが私と真摯に向き合ってくれているのが伝わってきた。
「おはようございます。ご主人様、ユリカさん」
眠そうな顔のトゥスカ。
「おはよう、トゥスカ」
近付いて、寝癖を直してあげながら、身元で囁く。
「来世は、私が一番を貰うから」
今はダメでも、私はずっとコセを想い続けたい。
そして、想われたい。
「……フフ、負けませんよ」
自分がなんで来世なんて言葉を持ち出したのかは良く分からないけれど、トゥスカが真っ直ぐに返してくれた事で、私は……完全に負けを認めてしまったよう。
どちらからともなく、私達は握手していた。
●●●
「「ふあ~あ」」
「なんか、今日は眠そうな人間が多いな」
お前のせいだよ!
お前がユリカとあれスるって話しのせいで、アヤナとアオイが盗み聞きしようとしたのを私が必死に止めたんだぞ!
……それが無くても、眠れなかっただろうけれど。
「コセって、女の子ばっかりで平気なの?」
食事中、アヤナが突然コセに尋ねる。
ちなみに、コセの膝には当たり前のようにモモカが座って居た。
普段はなんとも思わないが、この子がレプティリアンだと思うと、少々思うところはある。
モモカはそれを敏感に感じ取っているのか、私達が現れるとコセかトゥスカに近付いていく傾向があった。
もし私の予想通りなら、申し訳ないな。
「なんで?」
コセが、とても不思議そうに聞き返した。
「ほら、女ばかりだと気を遣うから息が詰まるとか、同性の方が楽とかあるでしょう?」
私の知る男子も、何人かの集団で居ることが多かった。
「いや、別に」
コセがパンをむしって、ごく自然な動作で膝上のモモカに食べさせる。
更に、見ても居ないのにモモカが視線をやったスープを掬って口へと運ぶ。
モモカが咀嚼している間に、流れるようにお肉を小さく切り分け、呑み込み終わった後にお肉を口元へ。
そのお肉をモモカが食べている間に、パンにバターを塗った物を二人分用意。
そのバターだが、コセが使う直前にトゥスカが取りやすい位置にさり気なく移動させていた。
プロだ! なんのプロかは分からないけれど、コイツらはその道のプロフェッショナルだ!
「男にだって気は遣うし……というより、男の方が敵対的だったり無神経だから、余計に気を遣うよ」
コイツは女子なのかな?
「へー、そういうものなんだ」
アヤナ……聞いておいて大して興味なさそうだな。
ちょっと興味湧いたから聞いたけれど、すぐに興味を失ったって感じか。
「じゃあさ、この中で一番面倒くさそうな女って誰よ?」
なぜそんな質問をした、アヤナ!?
「ぶっちぎりでアヤナだな」
「なんでよ!?」
私から見ても、正直……。
「デザートに大福を作ったわよ~」
そこに、さっき作っていた大福を持ってくるサトミ。
サトミの実家は和菓子屋らしい。
「これが大福?」
モモカが緑色の物体をツンツンしながら尋ねた。
「モモカちゃん、本当に可愛いな~♪」
「天使だ、竜の天使♡」
サキとジュリー、モモカがご飯食べてるだけでいつもあのテンション。ちょっとうるさい。
……まあ、私も可愛いと思うが。
「草餅、もしくはヨモギ大福って言うの」
「私が知っているヨモギ大福とは違うな」
こんなパンダの○ンみたいな物じゃなかったはず。
「なんか、パンダの○ンみたい」
アオイ、言いやがった!?
「……アオイちゃんは食べなくて良いわよ?」
謝れ、アオイ!! サトミが滅茶苦茶怖い!!
「誰か、毒味プリーズ」
アオイーーーーー!! なぜ火に油を注ぐ!!?
「はい、モモカ」
いつの間にか半分にしてモモカに手渡しているコセ!?
「ありがとう、コセ! モグモグ……美味しい!!」
モモカが目をキラキラさせて喜んでいる。
「そうでしょう、そうでしょう! ヨモギをたっくさん使った、結構贅沢な代物なんだから」
よく売っている物は、ヨモギの量を少なくしてあるわけか。
「懐かしいな。実家のお婆ちゃんが作ってくれた物に似てる」
コセも美味しそうに食べている。
私も食べるか…………うん、私は売ってる奴の方が良い。
「さすがに草が多すぎるんじゃないか? 蓬だけじゃないよな、これ?」
「分かっちゃう? 実は、色んな植物が競馬村の周りで取れたから、適当に入れてたら分量がおかしくなっちゃって」
これ、競馬村で取った物なのか!!
「凄い! これ回復アイテムになってる!!」
突然声を発したのはメルシュ。
「それって、そんなに凄い事なのか?」
「あらゆる状態異常を回復し、更に状態異常耐性を一、二時間も附与するみたい。それにソーマと同じTP・MPの回復効果もあるんだよ! 凄すぎる!」
「そ、そうか」
メグミの言葉に、力説するメルシュ。
「状態異常に対してこんなに万能なアイテム、アタシも他に知らないね」
「どんな状態異常も回復するとなると、”世界樹の雫”だけだな。でも、”世界樹の雫”では耐性付与効果もTP・MP回復効果も手に入ら無かったはず」
色っぽいシレイアと、イギリス人と日本人のハーフらしいジュリーが補足してくれた。
「その“世界樹の雫”って、名前からして簡単に手に入りそうに無いけれど?」
「ああ、序盤に手に入れることはまず無いよ。五十ステージ以降は村や町でも普通に買えるけれど」
ナオの疑問に、ジュリーが答えた。
そう言えば、ジュリーはこのゲームが好きでプレイ経験があるんだっけ?
「サトミ、優先的にこの草餅を量産して!」
メルシュが勢いよくお願いする。
「材料はたくさんあるから、それなりに用意出来るとは思うけれど~、適当に作っちゃったからすぐには再現できないかも」
「それでも良いから、試してレシピを確立して! 必要な材料にお金は惜しまないから!」
アヤナとサタちゃんが地道? に競馬で稼ぎまくった金があるから、財源に余裕がある。
五十ステージまで行かないと手に入らない貴重なアイテムを超える消耗品が、第六ステージの時点で手に入るなら大助かりという事は想像がつく。
私もゲームが好きだからな!
エロゲーRPGの全年齢版のプレイ動画が好きだったし!
言われた通りに野菜を切ったり、彼が作った料理を食堂に運んだりする。
こうしていると、新婚みたい♡
「フフフ♡」
「どうした? 急に笑い出して」
「コセと、本当の夫婦になったんだなって」
私はコセの一番ではないけれど、昨夜のコセは私をたくさん愛してくれた。
乱暴とは違う、優しくも激しい愛情を感じる一時。
なにより、コセが私と真摯に向き合ってくれているのが伝わってきた。
「おはようございます。ご主人様、ユリカさん」
眠そうな顔のトゥスカ。
「おはよう、トゥスカ」
近付いて、寝癖を直してあげながら、身元で囁く。
「来世は、私が一番を貰うから」
今はダメでも、私はずっとコセを想い続けたい。
そして、想われたい。
「……フフ、負けませんよ」
自分がなんで来世なんて言葉を持ち出したのかは良く分からないけれど、トゥスカが真っ直ぐに返してくれた事で、私は……完全に負けを認めてしまったよう。
どちらからともなく、私達は握手していた。
●●●
「「ふあ~あ」」
「なんか、今日は眠そうな人間が多いな」
お前のせいだよ!
お前がユリカとあれスるって話しのせいで、アヤナとアオイが盗み聞きしようとしたのを私が必死に止めたんだぞ!
……それが無くても、眠れなかっただろうけれど。
「コセって、女の子ばっかりで平気なの?」
食事中、アヤナが突然コセに尋ねる。
ちなみに、コセの膝には当たり前のようにモモカが座って居た。
普段はなんとも思わないが、この子がレプティリアンだと思うと、少々思うところはある。
モモカはそれを敏感に感じ取っているのか、私達が現れるとコセかトゥスカに近付いていく傾向があった。
もし私の予想通りなら、申し訳ないな。
「なんで?」
コセが、とても不思議そうに聞き返した。
「ほら、女ばかりだと気を遣うから息が詰まるとか、同性の方が楽とかあるでしょう?」
私の知る男子も、何人かの集団で居ることが多かった。
「いや、別に」
コセがパンをむしって、ごく自然な動作で膝上のモモカに食べさせる。
更に、見ても居ないのにモモカが視線をやったスープを掬って口へと運ぶ。
モモカが咀嚼している間に、流れるようにお肉を小さく切り分け、呑み込み終わった後にお肉を口元へ。
そのお肉をモモカが食べている間に、パンにバターを塗った物を二人分用意。
そのバターだが、コセが使う直前にトゥスカが取りやすい位置にさり気なく移動させていた。
プロだ! なんのプロかは分からないけれど、コイツらはその道のプロフェッショナルだ!
「男にだって気は遣うし……というより、男の方が敵対的だったり無神経だから、余計に気を遣うよ」
コイツは女子なのかな?
「へー、そういうものなんだ」
アヤナ……聞いておいて大して興味なさそうだな。
ちょっと興味湧いたから聞いたけれど、すぐに興味を失ったって感じか。
「じゃあさ、この中で一番面倒くさそうな女って誰よ?」
なぜそんな質問をした、アヤナ!?
「ぶっちぎりでアヤナだな」
「なんでよ!?」
私から見ても、正直……。
「デザートに大福を作ったわよ~」
そこに、さっき作っていた大福を持ってくるサトミ。
サトミの実家は和菓子屋らしい。
「これが大福?」
モモカが緑色の物体をツンツンしながら尋ねた。
「モモカちゃん、本当に可愛いな~♪」
「天使だ、竜の天使♡」
サキとジュリー、モモカがご飯食べてるだけでいつもあのテンション。ちょっとうるさい。
……まあ、私も可愛いと思うが。
「草餅、もしくはヨモギ大福って言うの」
「私が知っているヨモギ大福とは違うな」
こんなパンダの○ンみたいな物じゃなかったはず。
「なんか、パンダの○ンみたい」
アオイ、言いやがった!?
「……アオイちゃんは食べなくて良いわよ?」
謝れ、アオイ!! サトミが滅茶苦茶怖い!!
「誰か、毒味プリーズ」
アオイーーーーー!! なぜ火に油を注ぐ!!?
「はい、モモカ」
いつの間にか半分にしてモモカに手渡しているコセ!?
「ありがとう、コセ! モグモグ……美味しい!!」
モモカが目をキラキラさせて喜んでいる。
「そうでしょう、そうでしょう! ヨモギをたっくさん使った、結構贅沢な代物なんだから」
よく売っている物は、ヨモギの量を少なくしてあるわけか。
「懐かしいな。実家のお婆ちゃんが作ってくれた物に似てる」
コセも美味しそうに食べている。
私も食べるか…………うん、私は売ってる奴の方が良い。
「さすがに草が多すぎるんじゃないか? 蓬だけじゃないよな、これ?」
「分かっちゃう? 実は、色んな植物が競馬村の周りで取れたから、適当に入れてたら分量がおかしくなっちゃって」
これ、競馬村で取った物なのか!!
「凄い! これ回復アイテムになってる!!」
突然声を発したのはメルシュ。
「それって、そんなに凄い事なのか?」
「あらゆる状態異常を回復し、更に状態異常耐性を一、二時間も附与するみたい。それにソーマと同じTP・MPの回復効果もあるんだよ! 凄すぎる!」
「そ、そうか」
メグミの言葉に、力説するメルシュ。
「状態異常に対してこんなに万能なアイテム、アタシも他に知らないね」
「どんな状態異常も回復するとなると、”世界樹の雫”だけだな。でも、”世界樹の雫”では耐性付与効果もTP・MP回復効果も手に入ら無かったはず」
色っぽいシレイアと、イギリス人と日本人のハーフらしいジュリーが補足してくれた。
「その“世界樹の雫”って、名前からして簡単に手に入りそうに無いけれど?」
「ああ、序盤に手に入れることはまず無いよ。五十ステージ以降は村や町でも普通に買えるけれど」
ナオの疑問に、ジュリーが答えた。
そう言えば、ジュリーはこのゲームが好きでプレイ経験があるんだっけ?
「サトミ、優先的にこの草餅を量産して!」
メルシュが勢いよくお願いする。
「材料はたくさんあるから、それなりに用意出来るとは思うけれど~、適当に作っちゃったからすぐには再現できないかも」
「それでも良いから、試してレシピを確立して! 必要な材料にお金は惜しまないから!」
アヤナとサタちゃんが地道? に競馬で稼ぎまくった金があるから、財源に余裕がある。
五十ステージまで行かないと手に入らない貴重なアイテムを超える消耗品が、第六ステージの時点で手に入るなら大助かりという事は想像がつく。
私もゲームが好きだからな!
エロゲーRPGの全年齢版のプレイ動画が好きだったし!
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