あなた達を異世界へ召喚してあげましょう?

ノベルバユーザー570502

第42話 合流

下山を始めた麻衣子と美咲と由香だったが、下山の途中で暗くなって動けなくなっていた。

麻衣子はスマホをライトモードにして足元を照らしていた。

だがスマホのライトの明かりは小さく足元を何とか照らせる程度の明るさであった。

麻衣子達の周囲は真っ暗闇で夜のとばりが落ちており由香が怖がるのも当然であった。

「あ、・・・あ・・・・あれは・・・何だったんですか?」

由香が精一杯絞り出した声だった。

そして由香が抑えていた感情を爆発させて泣き出してしまった。

すると美咲が大声で由香に言った。

「ちょっと由香!!その話はしないって約束でしょ!!なんで話すのよ!!いい加減にしなさいよ!!」

だが由香がその場に泣き崩れてしまった。

「うあーん!!」

麻衣子が美咲に言った。

「ちょっと美咲!!言い方ってもんがあるでしょう!!」

麻衣子が美咲に言った。

「由香が悪いんじゃない!さっきの話はしないって約束だったでしょ?」

麻衣子が美咲に言った。

「美咲!怖い気持ちは分かるけど、お願いだからちょっと黙ってて?」

すると麻衣子が由香の側にやってきた。

そして由香に言った。

「由香、怖い気持ちは本当に分かるわ。私だって怖いもん。」

麻衣子が由香の肩をさすった。

由香はただに泣いていた。

「うあーん、あーん。」

麻衣子は由香を励ました。

しばらくして由香が泣くのをやめた。

麻衣子が由香に尋ねた。

「由香、もう大丈夫?」

由香が麻衣子に言った。

「はい、麻衣子さん、すいませんでした。」

すると美咲が由香に言った。

「ごめん、由香、ちょっと言い過ぎたわ。」

由香が美咲に言った。

「あっ、いえ。」

すると由香がキョロキョロしだした。

どうやら何かに気がついたようだった。

由香が麻衣子に言った。

「麻衣子さん、何か音がしませんか?」

麻衣子が由香に尋ねた。

「音?」

麻衣子が耳を済ませて聞いてみた。

すると確かに小さな音が聞こえた。

ピーーートン。と

美咲が由香に尋ねた。

「えっ?そんな音する?」

麻衣子が美咲に言った。

「美咲?ちょっと静かにして。」

麻衣子は周囲を見渡しながら静かに様子を伺った。

すると空が一瞬光ったように見えた。

少し遅れてピーーートン。と聞こえてきた。

麻衣子が美咲に言った。

「そうか、花火だ。」

美咲が麻衣子に尋ねた。

「えっ?花火?」

麻衣子が美咲に言った。

「そうよ花火よ、二実さん達が買いに行ってたでしょ?きっと二実さん達が花火を上げてくれてるんだよ。」

美咲が麻衣子に言った。

「それじゃあ?」

麻衣子が美咲に言った。

「あの花火が上がった方角に進んでいけば、晴南達の所に戻れるわ。」

麻衣子達は花火が見える方角を確認しながらその方角に進んでいった。

ピーーードン。

そして花火の音が少しつづ大きくなっていった。

麻衣子達がしばらく歩いていくと遠くの方に小さな光が四つ見えた。

そして聞きなれた声が聞こえてきた。

「麻衣子!!!美咲!!どこにいるのー!!」

「由香!!いたら返事をしてくれー!!」

「由香ちゃん!麻衣子ちゃん!!」

美咲が大きな声で言った。

「晴南達の声だ!!」

麻衣子が大きな声で言った。

「晴南!!ここよ!!」

晴南の声が響いた。

「麻衣子??!!どこにいるの??」

拓也の声が響いた。

「大声を出してくれ!!」

麻衣子と美咲が大声をあげた。

「ここよ!!ここ!!ここ!!」

麻衣子と美咲と由香が大声で叫んだ。

その声が森の中に声がこだまする。

少しして麻衣子達の近くに四つの懐中電灯の明かりが近づいてきた。

そして懐中電灯を持った四人が駆けよってきた。

駆けよってきたのは晴南と二実と拓也と慎吾の四人で麻衣子達を探していたのだった。

晴南が大声で言った。

「麻衣子!!」

二実が大声で言った。

「美咲ちゃん!!」

晴南が大きな声で麻衣子に言った。

「もう麻衣子!!どこをほっつき歩いてたのよ?」

少し嬉しそうに麻衣子が晴南に言った。

「ごめんね。晴南。探しに来てくれたのね。」

晴南が麻衣子に言った。

「もう?当然でしょ!!麻衣子は私の専属のツッコミ役なのよ?麻衣子がいなくなったら誰がツッコミをいれるのよ?」

麻衣子が晴南に言った。

「あのさ専属のツッコミ役ってなによ?私はいつから晴南の専属になったわけ?」

晴南が麻衣子に言った。

「だから!麻衣子!勝手にいなくなったらダメよ?」

麻衣子が晴南に言った。

「そうね。ええ、分かってるわ。」

二実が美咲に尋ねた。

「美咲ちゃん大丈夫だった?」

美咲が二実に尋ねた。

「二実さん、ベリエのマドレーヌありますか?」

二実が美咲に言った。

「えっ?うん、ちゃんと用意してあるよ。」

美咲が二実に言った。

「ありがとうございます。」

二実が美咲に言った。

「美咲ちゃん、本当にスイーツが好きだよね。」

拓也と由香が話をしていた。

由香はほっと安心したようで泣き始めてしまった。

拓也が心配そうに由香に尋ねた。

「大丈夫か、由香?」

由香は慌てて涙を拭うと拓也に言った。

「す、すいません。大丈夫です、松浦君。」

拓也が由香に言った。

「いや、大丈夫ならそれでいいんだ。」

拓也が由香に言った。

「ともかく無事で良かった。」

すると二実がみんなに言った。

「さあここで話してても仕方ないわ。はやく下に戻りましょう。」

晴南達は下社に向かって歩き始めた。

美咲が横を歩いていた晴南に言った。

「もう晴南、怖かったんだから!!もっと早く来てよ。」

晴南が美咲に言った。

「ごめん。ごめん。」

すると美咲の後ろを歩いていた麻衣子が晴南に言った。

「あーそう言えば晴南?美咲がさっきこう言ってたわよ?晴南がベリエのマドレーヌを全部食べちゃわないか心配だって?」

美咲が麻衣子に言った。

「ちょっと麻衣子?今それ言う??」

麻衣子が美咲に言った。

「いや別に嘘は言ってないでしょ?ついでに晴南に聞いといたら?私の分のマドレーヌ盗み食いしてないでしょうねって?」

晴南が美咲に言った。

「へえーそっか。じゃあ美咲の希望通り、戻ったらベリエのマドレーヌ全部食べちゃうわね?」

美咲が晴南に言った。

「ちょっと晴南?」

晴南が美咲に言った。

「期待にはしっかり応えないとね!」

美咲が晴南に言った。

「もう悪かったわ!謝るから許してよ?」

晴南が美咲に言った。

「じゃあ許します。」

晴南達は他愛もない話をしながら、封木神社の下社へと帰ってきた。

封木神社の下社の敷地に戻ってくると、社務所の西側の広場に二人がいた。

その二人は懐中電灯の灯りを頼りに打ち上げ花火に点火をしていた。

そして打ち上げ花火が上がった。

ピーーーパン!!

花火の閃光と音が周囲に響いた。

すると拓也が大きな声でその二人に言った。

「おーい!晃太!!優斗!!もういいぞ!!麻衣子達が戻ってきた。」

すると優斗と晃太が暗がりの広場から晴南達の所にやって来た。

晃太が拓也に言った。

「無事に見つかったんだな。」

すると麻衣子が晃太に言った。

「ありがとう晃太君、おかげで花火を目印に下りてこられたわ。」

晃太が麻衣子に言った。

「いや礼なら優斗に言ってくれ。俺は花火を上げてただけだ。優斗が花火をあげたらいいんじゃないかって提案してくれたんだ。」

麻衣子が優斗に言った。

「そうなの?優斗君ありがとね。」

優斗が麻衣子に言った。

「僕も何もしてないよ。懐中電灯で花火を照らしてただけだし。」

拓也が優斗に尋ねた。

「他のみんなは?」

優斗が拓也に言った。

「第二社務所の食堂にいるはずだよ。」

晴南達は第二社務所の中に入っていった。

そしてそのまま食堂へと向かった。

食堂には三緒と冬湖と長孝と亜美と七緒がいた。

三緒がみんなに言った。

「良かった、無事に戻ってきてくれて。」

冬湖が麻衣子に言った。

「麻衣子さん!!」

麻衣子が冬湖に言った。

「冬湖、心配かけてごめんね。」

麻衣子が三緒に尋ねた。

「それで夕食のカレーってどうなりました?」

三緒が麻衣子に言った。

「もうできてるよ?冷蔵庫の中に入ってるわ?」

麻衣子が三緒に言った。

「三緒さん、色々とすいませんでした。」

三緒が麻衣子に言った。

「そんなの気にしなくていいから。」

二実がみんなに言った。

「それじゃあ遅くなっちゃったけど夕食にしよっか?」

晴南が二実に言った。

「賛成!!もうおなかペコペコ。」

三緒がみんなに言った。

「それじゃあ準備を始めよっか。」

冷蔵庫からボールに入ったコールスローサラダと大鍋に入ったカレーが取り出された。

すぐにカレーの大鍋が温められて、配膳の準備が始まった。

晴南と麻衣子が中心になって配膳が進められた。

コールスローサラダとカレーライスをそれぞれの皿に盛り付けていく。

そして各々で自分の席まで配膳された料理を持っていった。

その間に三緒がコップに水を注いでそれぞれの席に置いていった。

そして二実がアイスとマドレーヌを一つづつ配っていった。

配膳が終わり、皆にカレーライスとコールスローサラダとアイスとマドレーヌが配られた。

全員が席に座って晴南の合図を待っていた。

晴南がみんなに尋ねた。

「みんな?カレーとサラダとアイスとマドレーヌはあるわね?」

みんなが頷いた。

晴南が大きな声で言った。

「それじゃあ、いただきます!!」

みんなが一斉に言った。

「いただきます!」

その後で晴南が美咲の所にやって来た。

そして晴南が美咲に言った。

「それじゃあさっそくだけど美咲!勝負よ!」

美咲が晴南に尋ねた。

「何言ってるの?晴南?」

晴南が美咲に言った。

「何って、アイスとマドレーヌをかけたコイントス勝負に決まってるでしょ?たぶん拓也がどっちも要らないって言うわ。そのアイスとマドレーヌをかけたコイントス勝負に決まってるでしょ?」

すると晴南は美咲のトレーの上にアイスとマドレーヌが二つづつある事に気がついた。

晴南が美咲に尋ねた。

「そのアイスとマドレーヌどうしたの?」

美咲が晴南に言った。

「拓也君からもらったの。」

晴南が美咲に言った。

「えっー?」

晴南が拓也に言った。

「ちょっと拓也!!なんで美咲にアイスとマドレーヌあげちゃうのよ?」

拓也が晴南に言った。

「なんでって美咲が欲しいって言ったからな。俺もアイスとマドレーヌは要らなかったから美咲にやっただけだ。」

晴南が拓也に言った。

「美咲に先にあげちゃったらコイントス勝負ができないじゃないの?」

拓也が晴南に言った。

「今日はいろいろと大変だったんだ。そんな事いわずに、甘いものぐらいゆっくり食べさせてやったらどうだ。」

美咲が晴南に言った。

「という訳よ?分かった晴南?」

晴南が美咲に言った。

「はあー、もう分かったわ。」

晴南はコイントス勝負をあきらめてカレーライスを食べ始めた。

食堂では皆が美味しそうに料理を頬張っていた。

先ほどの失踪はまるで無かったように、和やかな雰囲気で食事が進んでいった。

しばらくして全員が食べ終わった。

晴南が大きな声で言った。

「ごちそうさまでした。」

みんなが大きな声で言った。

「ごちそうさまでした。」

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