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ノベルバユーザー570502

第32話 二実

午後4時頃、晴南達はいつもより早く部活動を終えて帰路についていた。

町の西側に家がある拓也と亜美と長孝と慎吾とは途中で分かれていた。

晴南がため息まじりに言った。

「まさか、こんなに早く家に帰る事になるとはね。」

晴南が七緒に言った。

「もう七緒?家に帰りたいとか書かないでよ?」

七緒が晴南に言った。

「したい事書いてって言ったじゃん?だから書いたよ!何もせずに家に帰りますって。」

晴南がため息をついた。

「はあー。」

麻衣子が晴南に言った。

「まあたまには早く帰るのもいいんじゃない?いつも部活時間ギリギリまでやってるんだし。」

晴南が七緒に尋ねた。

「そういえば七緒って前は何の部活に入ってたっけ?」

七緒が晴南に言った。

「帰宅部だよ。」

晴南が七緒に尋ねた。

「へえ、そんな部活あったんだ?どこの部屋を使ってたの?」

麻衣子が晴南に言った。

「違う違う、帰宅部っていうのは部活動をせずにそのまま家に帰る子達の事。」

晴南が麻衣子に尋ねた。

「えっ?じゃあ帰宅部って部活動じゃないの?」

麻衣子が晴南に言った。

「そりゃそうでしょう?家に帰る部活動ってどんな部活動よ?」

優斗が晴南に言った。

「あっ?でも今まさに部活動で家に帰ってるよね?」

晃太が優斗に言った。

「確かに、これじゃあ本当に帰宅部だな。」

晴南が晃太に尋ねた。

「ねえ晃太?もしかして今のうまい事言ったつもりなの?」

晃太は晴南に困ったように言った。

「えっ?いや?」

そして少し恥ずかしそうな顔で晴南に言った。

「ああ。そうだ。」

晴南が晃太に言った。

「うーん、あんまり面白くなかったわよ?」

晃太が残念そうに晴南に言った。

「そうか。面白くなかったか。」

晴南が晃太に言った。

「いい晃太!!人を楽しませたいならもっと笑いのセンスを磨かなきゃダメよ?」

晃太が晴南に言った。

「ああ。」

麻衣子が呆れた様子で晴南に言った。

「ねえ、普段からすべりまくってる晴南がそれを言う?」

すると晴南達のいる所に二人の女性がやって来た。

その一人が晴南に声をかけた。

「あら晴南ちゃんじゃない?」

晴南がやってきた女性に気づいて言った。

「あっ三緒さん?こんにちわ。」

やってきた女性の一人は七緒の姉の三緒だった。

七緒が三緒に尋ねた。

「お姉ちゃん?どこに行くの?」

三緒が手に持っていた布製のバックを見せながら七緒に言った。

「グルグルマートに夕飯の買い出しに行く所よ?」

グルグルマートはチェーン店のコンビニであった。

九木礼町のスーパーはすでに撤退してしまい、町の東側と西側にコンビニが一軒づつあるだけになっていた。

それ故にグルグルマートは九木礼町の人々にとって貴重な買い物の場所となっていた。

すると今度は三緒が七緒に尋ねた。

「七緒こそどうしたのよ?今日は帰ってくるの早いじゃない?」

すると麻衣子が三緒に言った。

「今日は部活が早く終わったんです。」

三緒が麻衣子に言った。

「そっか。」

すると三緒の横にいたもう一人の女性が晴南に声をかけてきた。

「晴南ちゃん!久しぶりね?」

晴南が首をひねりながらその女性に言った。

「えっと?すいません?どちら様でしたっけ?」

長い黒髪のスタイルの良い女性で紺色のブラウスと茶色のデニムを着ていた。

その女性が晴南に言った。

「えっー!晴南ちゃんそれはひどいな?私の顔忘れちゃった??」

晴南はその女性の顔を見ながら考えていた。

その女性が晴南に言った。

「ほら、私よ?」

晴南がその女性に言った。

「もしかして二実(つぐみ)さん?」

その女性が晴南に言った。

「そうそう二実(つぐみ)よ。やっと思い出してくれた?」

彼女の名前は九前坂(くぜんざか)二実(つぐみ)である。

彼女はこの九木礼の出身で、七緒の姉である九良平三緒とは同級生であり親しい友人でもあった。

晴南が二実に言った。

「二実さん?髪伸ばしたんですね?イメージ変わってて全然分かりませんでした?」

二実が晴南に言った。

「そうイメチェンしようと思ってね。今伸ばしてるの。」

晴南が二実に尋ねた。

「いつこっちに戻ってきてたんです?」

二実が晴南に言った。

「昨日こっちに戻ってきたんだ。それで三緒の所に遊びに来たのよ!三緒とは同じ大学だしね。」

三緒が晴南に言った。

「そうなのよ、おかげで騒がしい大学生活を送ってるわ。」

二実が三緒に言った。

「ちょっと騒がしいってなによ?そこは賑やかなって言ってよね。」

晴南が二実に尋ねた。

「もしかして五実(いつみ)も戻ってきてるんですか?」

二実が晴南に言った。

「ごめんね。五実はこっちに戻ってきてないの。」

晴南が残念そうに二実に言った。

「そうですか?」

二実が晴南に言った。

「またそのうち連れてくるから、安心して。」

晴南が二実に言った。

「はい!」

二実が晴南に言った。

「そうだ!晴南ちゃん、今週の土曜日うちに泊まりに来なよ?もちろんみんなも一緒に?」

晴南が二実に言った。

「えっ?二実さんの家にですか?」

二実が晴南に言った。

「そうよ!お泊まり会しようよ?晴南ちゃん!」

晴南が二実に言った。

「面白そう!行きます!」

すると美咲が晴南に言った。

「ちょっと晴南?週末はみんなで明井田に行くってさっき決めたでしょ?」

晴南が二実に言った。

「ああ、そうだった。ごめんなさい。二実さん。週末はもう予定入れちゃってるんですよ?」

二実が残念そうに晴南に言った。

「ええー?そんな?」

晴南が二実に言った。

「二実さん?また今度行きますね?」

二実が晴南に尋ねた。

「ねえ?明井田に行って何するつもりなの?」

晴南が二実に言った。

「明井田のルイミーに行ってカラオケをしてプリクラを撮って、それから洋菓子専門店ベルガでチーズケーキを食べに行くんです。」

二実が晴南に言った。

「カラオケとプリクラとチーズケーキか?」

二実は何かを考えているようだった。

そして晴南に言った。

「それなら別の日に私たちがカラオケとプリクラに連れてってあげるわ!そしてチーズケーキを用意するわ!だから晴南ちゃん!土曜日来てくれない?」

二実が続けて晴南に言った。

「晴南ちゃん達が良ければ明日でも連れてってあげるわ!」

晴南が二実に言った。

「えっ?明日ですか?」

麻衣子が二実に尋ねた。

「でも二実さん?平日に明井田まで出かけるのは無理じゃないですか?」

二実が麻衣子に言った。

「大丈夫よ!明井田には行かないから!」

麻衣子が二実に尋ねた。

「明井田には行かない?」

二実が麻衣子に言った。

「閃いちゃったのよ。この難題を解決する方法をね!」

二実がみんなに言った。

「どう晴南ちゃん?みんな?来てくれない?」

晴南は二実に言った。

「行きます!!連れてってください。」

美咲が晴南に言った。

「ちょっと晴南?勝手に決めないでよ!私達は行きたいなんて言ってないでしょ?」

二実が晴南に言った。

「なんだったらお泊まり会はうちじゃなくて別の場所で開いてもいいわよ?」

晴南が二実に尋ねた。

「どこですか?」

二実が晴南に言った。

「それはまだ言えないけど、かなり広い場所よ。しかもこの町の中にあるわ。」

すると三緒が二実に尋ねた。

「二実?まさかあそこを使うつもり?」

二実が三緒に言った。

「察しがいいわね。そうよ。考えてみたらうちのマンションじゃお泊まり会をするにはちょっと狭いからね。それだったら広い敷地があるあそこを使った方がいいと思わない?」

これを聞いた晴南は目を輝かせながらみんなに言った。

「ねえみんな?二実さんの所に行きましょうよ?ねっ!ねっ!」

麻衣子が心配そうに二実に言った。

「うーん、二実さん?外泊とかしたらお母さんに怒られるんだけど?」

二実が麻衣子に言った。

「ああそこは心配しないで大丈夫よ。美紀さんにはちゃんと話をしておくから。」

麻衣子が少し考えた後で晴南に言った。

「まあそれなら私は別に構わないけど?」

冬湖が晴南に言った。

「私も構いませんよ?」

晴南が麻衣子と冬湖に言った。

「ありがとう、麻衣子、冬湖。」

麻衣子が由香に尋ねた。

「由香はどうする?嫌なら私が代わりに言ってあげようか?」

すると由香は首を横に振った。

由香が麻衣子に小さな声で言った。

「私は、い、行きたいです。」

すると晴南が由香に言った。

「ありがとう、由香!!」

七緒が晴南に言った。

「晴南、私は行きたくない。」

三緒が七緒に言った。

「ダメよ七緒?あんたは強制参加よ!どうせ家でゴロゴロするだけなんだから、友達と遊んで来なさい!」

七緒が三緒に言った。

「お姉ちゃん、ひどいよ!」

すると美咲が晴南と麻衣子に言った。

「ちょっと晴南?麻衣子?約束を破るつもり?一緒に明井田に行くって約束したでしょ?」

二実が美咲に言った。

「ごめんね、美咲ちゃん!わがまま言っちゃて?でもチーズケーキはちゃんと用意するから安心して!それと来てくれるならお礼もするから。おこずかいが足りなくて困ってない?私が助けてあげるわ!」

美咲が二実に尋ねた。

「二実さん?それ本当ですか?」

二実が美咲に言った。

「もちろん!」

美咲が二実に言った。

「なら行きます!」

こうして週末は二実が主催するお泊まり会をする事になった。

そして晴南達は二人に挨拶をすると自宅にかえっていった。

晴南達が帰ったのを確認すると二実が口を開いた。

「てっきり止めるかと思ってたんだけど?」

三緒が二実に尋ねた。

「止めた方がよかったの?」

二実が三緒に言った。

「うんうん、止めてくれなくて助かったわ。」

三緒が二実に尋ねた。

「それで二実?一体どういうつもりなの?」

二実が三緒に言った。

「そんなの決まってるわ!かわいい後輩達と一緒にいたいからよ!」

三緒が二実に言った。

「おちゃらけなくていいから、本当の事を言ってよ。」

二実が三緒に言った。

「気になって仕方ないのよ、晴南ちゃん達がさ?」

「だからさ、」

真面目に話してと言おうとした三緒だったが、二実の真剣な目を見て言葉を止めた。

三緒が二実に尋ねた。

「気になるって?」

二実が三緒に言った。

「晴南ちゃん達に何か違和感を感じるのよ。」

三緒が二実に言った。

「違和感?でも近くに悪さをする奴はいないみたいだけど?」

二実が三緒に言った。

「そうなのよね、まさにそこが気になるのよね?近くにあいつらがいないんだったら何も感じないはずでしょ?だったらこの違和感は何なのって話よ?」

三緒が二実に言った。

「気にしすぎじゃないの?」

二実が三緒に言った。

「うーん、そうかもしれない。まあでも私の勘違いならそれに越した事はないでしょ。」

三緒が二実に言った。

「確かにね。」

二実が三緒に言った。

「三緒もさ、晴南ちゃん達に注意を払ってあげて欲しいの?お願いできる?」

三緒が二実に言った。

「ええ、分かってる、私もできる限り気をつけてみる。」

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