魔力ゼロの天才、魔法学園に通う下級貴族に転生し無双する
第十二話【同類】
再びサーミリアの方へと身体を向けた俺は素直な質問を投げかける。
「なんか用か?」
「ええ。もちろん。ねぇ。どうやったの? 私の魔力量測定に間違いはありえないわ。あなたの魔力量は貴族として平凡。それに今まで特別な噂も聞いたことがない」
サーミリアは妖艶な笑みを顔に浮かばせながら、俺を見つめる。
まるで珍しい研究対象を見つけたような、そんな目つきだ。
「でもね? 何か変な感じもするのよねぇ。まるで開けてはいけない神話の箱がその底に沈んでいるような……」
「この世の全ての災厄が封じられている箱のことか?」
「ええ。ねぇ。ペイル君、あなた本当に何者なの?」
「何者も何も、ただのこの学園の一年生さ」
俺はサーミリアの質問を適当に受け流しながら、言われたことの一つが気になっていた。
サーミリアも言ったように俺の魔力量は常人よりは多いが、貴族としては平凡で、それは俺自身が調べた結果とも一致している。
しかし、先ほどの四重複合魔法を使おうとした時に、感じた違和感。
まるで、俺の身体の中に全貌を見ることすら敵わない何かがあるような気がしたのだ。
あのままさらに五重、六重と重ねていったとしたら、何かとてつもない問題が起こる直感がして、やめたというのもある。
それを一度の測定で視えたということは、サーミリアの魔力測定能力は並外れているということだろう。
「もう! はぐらかすのが得意なのね……じゃあ、こっちはきちんと教えてくれるかしら? 何を潜ませていようが、たった今あなたはそれを扱うことができていないはずだわ。それなのに、ねぇどうやったの?」
その瞬間、俺は直感した。
この女性サーミリアは、ある意味俺と同類と言っていい。
彼女は取りつかれているのだ。
知識欲という魔物に。
しかし俺は慌てることなく、淡々と言葉を返した。
「どうやったとは? さっき自分で言っていたじゃないか。俺には壁を壊すような魔力量はない。かと言って、俺には俺のために外から壁を壊してくれるような実力の持ち主の知り合いはいない」
「いいのよ。偽らなくても。いくら古くなったとはいえ、たかが入学して半年のガキに壊せるほど学園長の魔法はやわじゃないわ。それにね、魔力痕って知ってる? 魔法を唱えると、その威力に応じた痕跡がしばらく残るのよ。それを視るには特別な力が必要だけれど、私には視えるの。あなたの周りにびっくりするくらいの魔力痕がね」
「魔力痕だと?」
魔力痕というのは初めて聞く言葉だ。
俺はサーミリアに隠し通せないという事実よりも、自分の知らない世界がまだある事実に心を躍らせていた。
いまだに恍惚の表情で俺を見つめているサーミリアに、俺は提案を投げかける。
「その魔力痕というのは、どうやって見るんだ? やり方を俺に教えてくれたら、俺も先生の質問に素直に答えよう」
「ダメよ! ダメ、ダメ そんな安い女じゃないの。あー、もう! いいわ。秘密は自分で暴く方がずーっと素敵ですものね」
「そうか。交渉決裂だな。俺も魔力痕の見方については独自に学ぶとしよう。ただ、魔力痕という新しい知識を与えてくれた礼として、一つヒントをやろう」
「あら、意外と優しいのね? ミステリアスも好きだけど、優しい男も好きよ。でも一番好きなのは強い雄」
「先生の性癖に興味は一切ないが。魔力と魔法は容器に入った水とその容器から取り出した水の関係に似ている。以上だ」
「なるほど……余計わかりにくくなった気もしないでもないけれど、きっとその中に答えがあるのね。うふふふ……」
「あっはっはっは!」
サーミリアと俺は、互いに見つめ合ったまま高らかと声を出して笑った。
「なんか用か?」
「ええ。もちろん。ねぇ。どうやったの? 私の魔力量測定に間違いはありえないわ。あなたの魔力量は貴族として平凡。それに今まで特別な噂も聞いたことがない」
サーミリアは妖艶な笑みを顔に浮かばせながら、俺を見つめる。
まるで珍しい研究対象を見つけたような、そんな目つきだ。
「でもね? 何か変な感じもするのよねぇ。まるで開けてはいけない神話の箱がその底に沈んでいるような……」
「この世の全ての災厄が封じられている箱のことか?」
「ええ。ねぇ。ペイル君、あなた本当に何者なの?」
「何者も何も、ただのこの学園の一年生さ」
俺はサーミリアの質問を適当に受け流しながら、言われたことの一つが気になっていた。
サーミリアも言ったように俺の魔力量は常人よりは多いが、貴族としては平凡で、それは俺自身が調べた結果とも一致している。
しかし、先ほどの四重複合魔法を使おうとした時に、感じた違和感。
まるで、俺の身体の中に全貌を見ることすら敵わない何かがあるような気がしたのだ。
あのままさらに五重、六重と重ねていったとしたら、何かとてつもない問題が起こる直感がして、やめたというのもある。
それを一度の測定で視えたということは、サーミリアの魔力測定能力は並外れているということだろう。
「もう! はぐらかすのが得意なのね……じゃあ、こっちはきちんと教えてくれるかしら? 何を潜ませていようが、たった今あなたはそれを扱うことができていないはずだわ。それなのに、ねぇどうやったの?」
その瞬間、俺は直感した。
この女性サーミリアは、ある意味俺と同類と言っていい。
彼女は取りつかれているのだ。
知識欲という魔物に。
しかし俺は慌てることなく、淡々と言葉を返した。
「どうやったとは? さっき自分で言っていたじゃないか。俺には壁を壊すような魔力量はない。かと言って、俺には俺のために外から壁を壊してくれるような実力の持ち主の知り合いはいない」
「いいのよ。偽らなくても。いくら古くなったとはいえ、たかが入学して半年のガキに壊せるほど学園長の魔法はやわじゃないわ。それにね、魔力痕って知ってる? 魔法を唱えると、その威力に応じた痕跡がしばらく残るのよ。それを視るには特別な力が必要だけれど、私には視えるの。あなたの周りにびっくりするくらいの魔力痕がね」
「魔力痕だと?」
魔力痕というのは初めて聞く言葉だ。
俺はサーミリアに隠し通せないという事実よりも、自分の知らない世界がまだある事実に心を躍らせていた。
いまだに恍惚の表情で俺を見つめているサーミリアに、俺は提案を投げかける。
「その魔力痕というのは、どうやって見るんだ? やり方を俺に教えてくれたら、俺も先生の質問に素直に答えよう」
「ダメよ! ダメ、ダメ そんな安い女じゃないの。あー、もう! いいわ。秘密は自分で暴く方がずーっと素敵ですものね」
「そうか。交渉決裂だな。俺も魔力痕の見方については独自に学ぶとしよう。ただ、魔力痕という新しい知識を与えてくれた礼として、一つヒントをやろう」
「あら、意外と優しいのね? ミステリアスも好きだけど、優しい男も好きよ。でも一番好きなのは強い雄」
「先生の性癖に興味は一切ないが。魔力と魔法は容器に入った水とその容器から取り出した水の関係に似ている。以上だ」
「なるほど……余計わかりにくくなった気もしないでもないけれど、きっとその中に答えがあるのね。うふふふ……」
「あっはっはっは!」
サーミリアと俺は、互いに見つめ合ったまま高らかと声を出して笑った。
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